今回の合意により、米国主導の経済制裁から脱する機会が長期的にイランに生まれるはずだ。 中国とイランが戦略枠組み合意を調印し、25年の有効期間を想定している。一部観測筋にはこれで中東の構図が一変し、中国は米国に対抗し中東に足場を確保したとの見方がある。また、今回の合意によりイランはバイデン政権への立場を強め、核合意体制再開に展望が開けたとの見方もある。合意により長期的にみて、イランは経済、戦略両面で同国ににらみを利かす米国など各国の狙いから自由になり、そのため中東地区でのイラン影響力を抑え込むもくろみが効果を減ずることになりそうだ。 今回の合意内容は2016年から検討が進んでいたが、調印が遅れたのはイラン側に米イラン関係への悪影響とともにイラン核合意体制JCPOAにも影響が出て、制裁措置の解除が遠のくとの懸念があったためだ。ドナルド・トランプ前大統領が核合意体制から脱退し、以前より厳しい制裁措置を実行したが、バイデン政権も核合意体制復帰に躊躇し、あらたな経済戦略措置の選択肢が必要との機運が高まっている。 中国イラン合意の詳細内容は非公表だが、ニューヨークタイムズが昨年入手した18ページ草案と大きな違いはないと見られる。25年間にわたり中国が4,000億ドルを、金融、通信、港湾、鉄道、医療、情報技術等の各分野に投入する。見返りにイラン原油を大幅割引価格で輸入すると草案にあった。さらに、ニューヨークタイムズが正しければ、草案には軍事協力の拡大、兵装開発、情報共有の推進も盛り込まれている。 これだけ大規模の願望が今後25年間にわたり実行に移されるかが注目される。というのは、中国イラン両国は複雑な対外圧力の影響をまぬがれることができないためである。中国にとって今回の合意事項は一帯一路の一環としてイランを同構想に組み込むことを意味する。また米国の独壇場とされる分野に食い込むことを躊躇しないとのメッセージを米国に対し中国は示せる。 イランの観点では、米国による経済戦略包囲網から脱する効果が期待できる。ことにイラン米国間で核合意体制再開をめぐり微妙な駆け引きが続く中、どちらが先に妥協の姿勢を見せるか静視する状態なので今回の合意に意味が出てくる。米国の主張はイランがまずJCPOAで定めた核開発停止を実行すべきで、しかる後に米国は制裁措置の解除に踏み切る、とい...
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