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2025年7月15日火曜日

米空軍F-16CとF-15Eが複数のXQ-58ドローンを制御するテストに成功(The Aviationist) — 忠実なるウィングマン実現に向けマン-マシン連携の戦術開発は着実に進んでいるようですね


XQ-58 F-16C F-15E teaming

エグリン空軍基地の湾岸試験訓練場上空を飛行する米空軍のXQ-58Aヴァルキリー(自律型低コスト戦術無人機)。 (米空軍撮影:イルカ・コール)。


F-16CファイティングファルコンとF-15Eストライクイーグルに搭乗したパイロットが、それぞれ2機のXQ-58Aヴァルキリー無人航空機を操縦して空戦訓練シナリオを実施した。

 「マン-マシンチーミングにおける大きな飛躍」と定義される画期的なテストにおいて、米空軍はこのほど、複数の自律型協働プラットフォーム(ACP)が有人戦闘機と並行して飛行する能力を実証した。  このテストでは、フロリダ州のエグリン空軍基地で、F-16Cファイティング・ファルコンとF-15Eストライク・イーグルのパイロットが、それぞれ2機のXQ-58Aヴァルキリー無人航空機を空戦訓練シナリオで操縦した。


どんなテストだったのか

空軍研究本部(AFRL)のプレスリリースによれば、XQ-58を空戦シナリオに組み込む目的は、状況認識とミッションの有効性を高めつつ、パイロットの作業負荷を軽減することである。 プレスリリースによると、テストは、国防総省の研究・技術担当次官室の下で、国防総省の急速防衛実験予備プログラムの支援を受け、空軍研究本部と空軍テストセンター、航空戦闘司令部、米海軍が実施したもので、共同作業のようだ。

 「この飛行により、我々は複雑な脅威を克服し、我々の優位性を拡大するためにマン-マシンのチーミングを活用する能力を開発する上で重要な一歩を踏み出した」と空軍研究本部を率いるジェイソン・E・バルトロメイ准将は述べた。「自律型プラットフォームを開発し、有人システムと統合することで、我々は迅速に適応し、戦闘効果を高め、戦闘環境における搭乗員のリスクを軽減することができる。



Drones2023年10月3日、フロリダ州エグリン空軍基地で、第96試験飛行隊所属の米空軍F-16ファイティングファルコン機と初試験飛行を行う米海兵隊XQ-58Aヴァルキリー(高度自律型低コスト戦術無人機)。 (米空軍撮影:Master Sgt.)


広範なACPカテゴリーは、協働戦闘機(CCA)プログラムの役割と一見似ており、前者で学んだ教訓は後者の導入に役立つ。AFRLもこのことに言及しており、「最近の飛行デモンストレーションから得られたデータは、国防総省全体における半自律型能力の将来の開発と配備に役立つだろう」と述べている。

 マン-マシンのチーミングに関する研究は、競合的で複雑な作戦環境の要求に応えるべく近代化を進めている米空軍が導入している技術革新の最前線だ。 無人プラットフォームは、"信頼できる質量 "で有人資産をサポートし、より高い運用の柔軟性を可能にする、"将来の航空戦力の重要なイネーブラ "と考えられている。

 「ACPを投入した今回のテストは、現代戦の進化する要件と、我々の戦闘員によって明確にされたニーズに直接対応するものだ。「我々は、このようなオペレーター主導の厳しい評価を通じて、ACPの革新と統合に取り組んでいる。このアプローチは、我々の戦闘能力を研ぎ澄まし、制空権を維持し、複雑な将来の環境において統合軍を効果的に支援できるようにするための基本である」。

 プレスリリースはさらに、「ACPは手頃な価格で滑走路を柔軟に変更できる能力を提供し、リスクの高い環境でも半自動的に運用できる。 空軍と産業界は、"責任感があり、公平で、追跡可能で、信頼性があり、管理可能なAI技術を構築することにコミットしている」とある。


XQ-58Aヴァルキリー

XQ-58Aヴァルキリーは、クレイトス・ディフェンス&セキュリティ・ソリューションズが空軍研究本部(AFRL)と提携して開発した滑走路に依存しない高速長距離無人戦闘機(UCAV)である。AFRLのLCAAT(Low Cost Attritable Aircraft Technology)の一環で開発されたヴァルキリーは、従来型プラットフォームに比べ数分の一のコストで高い実用性を実現するよう設計されている。

 XQ-58Aは、低メンテナンスで再利用可能でありながら、高脅威環境では消耗品とみなされるほど手頃な価格である。契約締結から2019年の初飛行まで、この航空機はわずか2年半で開発され、前倒し取得と商業的製造方法の利点を実証した。

 ヴァルキリーの設計には、ステルスに最適化された胴体、V字尾翼、内部ペイロードベイが組み込まれている。地上のレールから発射され、パラシュートで回収されるため、滑走路を使わず、運用において高い柔軟性を発揮する。

 XQ-58Aは、打撃、ISR、電子戦、デコイ、通信中継など、さまざまな任務に対応できる。また、第5世代航空機との有人・無人チームの実証にも成功している。2021年の注目すべきテストでは、XQ-58Aが内部ベイからALTIUS-600小型無人航空機システム(SUAS)を放出し、浮遊弾薬や他のUASの空中発射プラットフォームとしての能力を披露した。


内部ペイロードベイからAltius-600 UAV/浮遊弾薬を投下するXQ-58A Valkyrie。 (画像クレジット:Courtesy photo via U.S. Air Force)


構造、ペイロード、運用能力を改善したブロック2バージョンは、2022年に初飛行した。この更新バージョンは、フロリダ州エグリン空軍基地で進行中の統合と試験の一部であり、スカイボーグと自律飛行可能航空機実験プログラムの評価のため複数のヴァルキリーが納入されている。

 2023年、AFRLが開発したAI飛行ソフトウエアでヴァルキリーは3時間のミッションを飛行し、自律空戦における大きなマイルストーンとなった。 ABMSとCCAの下で試験が継続される中、ヴァルキリーは半自律型無人能力の開発と配備への情報提供に役立つだろう。■



U.S. Air Force F-16C and F-15E Control Multiple XQ-58 Drones in Groundbreaking Test

Published on: July 5, 2025 at 4:33 PM

 Stefano D'Urso

https://theaviationist.com/2025/07/05/f-16c-f-15e-control-multiple-xq-58-drones/

ステファノ・ドゥルソ

Stefano D'Ursoは、イタリアのレッチェを拠点とするフリーランスのジャーナリストであり、TheAviationistへの寄稿者でもある。 産業工学を専攻し、航空宇宙工学の修士号取得を目指している。 電子戦、滞空弾、OSINT技術を軍事作戦や現在の紛争に応用することが専門分野。


2025年5月11日日曜日

クレイトスがランディングギア装備のヴァルキリーを公開(Aviation Week) — これまでのXQ-58は帰還時にネットで回収する前提だったんですね

 

Kratos

クレジット:クレイトス


レイトス・ディフェンス・アンド・セキュリティ・ソリューションズはXQ-58Aヴァルキリーの第2バージョンを発表した。

 「滑走路の柔軟性/滑走路の独立性は、最大限の作戦上の有用性をもたらす」と、クレイトスは新しいコンフィギュレーションのイメージ図を含むソーシャルメディアへの投稿で述べている。

 このメッセージは、XQ-58Aの当初の設計コンセプトからの転換を意味する。数年前に構想が浮上したとき、クレイトスはロケットによる離陸とパラシュートによる着陸を必要とするオリジナルのヴァルキリー設計で滑走路独立性を実現した。

 結局、米空軍はCCA運用プロトタイプの最初の増分で滑走路ベースの大型無人航空機システム(UAS)を取得すると決定した。 クレイトスはまた、XQ-67オフボード・センシング・ステーション・プログラムにデミゴルゴンと呼ばれる着陸装置を装備した大型UASを提供する入札で敗退し、最終的にジェネラル・アトミックス・アエロネイバル・システムズが落札した。

 しかし、海兵隊は2023年にXQ-58Aへの関心を復活させ、実験的なプロジェクト・イーグル用に2機を納入する契約をクレイトスに交付した。 

 昨年、プログラムが飛行テストに移行する中、クレイトスはXQ-58Aのオリジナルバージョンが滑走路離陸を可能にするトロリーベースの着陸装置を明らかにした。

 同時にクレイトスCEOのエリック・デマルコは、ペイロードを犠牲にしてまで内部着陸装置システムを追加したXQ-58Aの第2バージョンに着手したことを明らかにした。「ヴァルキリーでは、ロケット打ち上げができるようになります」。 

 クレイトスの無搭乗機部門の社長スティーブ・フェンドリーは、最近本誌にこう語っている。 「内部ペイロードの容積の一部を放棄しても、外部ペイロードはすべて維持できます」。

 海兵隊は、提案されている海兵隊航空地上任務部隊無人遠征戦術機(MUX-TacAir)プログラムで、将来型CCA設計を選択することを計画している。 MUX-TacAirは、ロッキード・マーチン社F-35Bを補強し、戦闘や偵察の任務に従事する無人航空機を指す。■


Kratos Reveals Landing Gear-Equipped Valkyrie Version

Steve Trimble April 15, 2025

https://aviationweek.com/defense/aircraft-propulsion/kratos-reveals-landing-gear-equipped-valkyrie-version

スティーブ・トリンブル

ワシントンDCが拠点のAviation Week Networkの軍事航空、ミサイル、宇宙担当。


2024年7月9日火曜日

安価なドローンをめざすXQ-58ヴァルキリーが発射台車システムで滑走路から離陸可能となった(これまではRATO方式)、機体単価は現在5百万ドル、さらに価格低下をめざす


安価な無人機を目指すクレイトスのXQ-58で滑走路からの運用も可能となったようです。また、価格もこれから更に下がるとあり、更に期待が膨らみます。The War Zone記事からのご紹介です。




新しい発射方法はより大きなペイロードをXQ-58に可能とする


Kratos has developed a new launch trolley that allows its XQ-58 drones to take off from traditional runways.  

KRATOS


テルスが特徴のXQ-58ヴァルキリードローンは、車輪付き台車の助けを借りて、通常滑走路から離陸可能となった。この新しい離陸方法により、XQ-58は、より多くの燃料やより大きなペイロードを搭載したまま離陸が可能になり、また、滑走路に依存しないモードで運用できる貴重な能力を保持している。

 XQ-58のメーカーであるクレイトスは、昨日クレイトス・トロリー・ランチ・システム(KTLS)の実証に成功したと発表した。同社のプレスリリースには、いつテストが行われたか記載されていないが、ノースダコタ州のグランドフォークス空軍基地と併設されたドローンに特化した航空ビジネスパークで行われた。

 クレイトスのリリースによれば、「KTLSによる離陸は完全に自律的であり、エンジンは通常の離陸と同様にスロットルアップし、ヴァルキリーとKTLSの複合システムは滑走路を加速する。「最終的に、離陸速度に達すると、航空機は上昇し、KTLSから離れ(分離し)、航空機が飛行任務に進む間、KTLSはドローグ・シュートを展開し、滑走路上に停止するためにブレーキをかける。

 KTLSは、滑走路だけでなく、直線道路やその他の適切な路面からのXQ-58の打ち上げにも使用できる。

 2019年の初飛行以来、XQ-58の主な離陸方法は、使い捨てロケットブースターの補助で、静止発射台を経由するものだった。着陸装置を持たないワルキューレは、パラシュート回収システムを使い降下する。膨張式エアバッグは、ドローンが地面に激突した際のクッションとなる。 新しいトロリーは離陸時に切り離されるため、ヴァルキリーはパラシュートで着陸する。

 RATO(ロケット支援離陸)とKTLS打ち上げの両方の主な利点は、航空機のペイロードと燃料搭載量を最大化できることであり、従来の格納式ギアに必要な重量や保管容積によって減少することはない。「重要なことは、離着陸ギアのコストに影響されないことです。手頃な質量の配備のためには、空中システムのコストを抑えることが最も重要です。


パラシュートとエアバッグを展開したXQ-58の回収。アメリカ空軍


 つまり、従来の滑走路を使用するということは、XQ-58がより高い総重量で飛行できるということであり、より多くの武器、センサー、燃料を搭載できることに等しい。クレイトスは本誌に対し、「燃料とペイロード容量の両方で数十%の増加」、「ペイロード量とシステムの航続距離/耐久性でかなりのアドバンテージが得られる」と語っている。

 クレイトスのウェブサイトによれば、XQ-58の最大打ち上げ重量は6,000ポンドで、最大45,000フィート、航続距離3,000マイルの飛行が可能だという。ヴァルキリーは、内部のセンターラインベイと翼下のハードポイントに武器やその他の貯蔵品を搭載できる。また、高度にモジュール化された内部設計により、電子戦や通信中継など、さまざまな任務のために容易に構成・再構成することができる。



2021年の試験中、内部ペイロードベイから小型のALTIUS 600ドローンを放出する空軍のXQ-58A。アメリカ空軍


 同社は近年、XQ-58ファミリーの性能範囲を拡大するために取り組んでいると述べており、現在少なくとも5つの異なるバリエーションがある。これには、ベースライン・タイプよりも重いと過去に説明されたブロック2バージョンも含まれ、KTLSの恩恵を大きく受ける他の大型タイプも存在する可能性がある。

 正確な構成はコストにも影響する。XQ-58の現在の単価は、バージョンやその他の要因にもよるが、500万ドルから600万ドルの間だ。 

 クレイトスは過去に、価格を200万ドル程度まで下げるのが目標だと語っており、そうなれば多くの消耗品ミサイルより安いとは言わないまでも、ドローンの価格は同等になる。

 クレイトスは、XQ-58の第3の発射オプションも計画中であると述べているが、今のところ詳細については明らかにしていない。空中発射と空母カタパルト発射の2つの可能性が推測されている。同社は過去にコンテナ打ち上げのコンセプトも示しているが、それでもRATO方式でドローンを空中に飛ばすことに変わりはない。

 航空機用のトロリー発射システムは新しいものではない。ナチス・ドイツのロケットエンジンを搭載したMe-163迎撃機や、ジェットエンジンを搭載したArado Ar 234爆撃機の初期プロトタイプは、いずれも従来の着陸装置の代わりに台車のようなシステムを使用していた。

 XQ-58の場合、前述の通り、KTLSは滑走路に依存しないコア・デザインの利点を犠牲にせず、ドローン採用の選択肢を広げる。作戦上、ヴァルキリーは、ミッションの要件や利用可能な基地のインフラに応じて、どちらの方法でも打ち上げられる可能性がある。

 過去に本誌が取り上げたように、XQ-58は通常型滑走路、あるいは即席の滑走路や道路で運用できれば、将来の分散型作戦において非常に有利に働く。ヴァルキリーの小さな運用フットプリントと容易に展開可能な静止発射台は、作戦区域近くに容易に配置できることを意味し、駐留時間を短縮したり、あるいは滞空時間を増やすことができる。中国との太平洋での戦争のようなハイエンド紛争では、確立された空軍基地が最重要標的となる。そのため、インフラが限られた遠隔地や過酷な場所など、分散した場所から航空戦力を生み出せることが重要になる。

 XQ-58の滑走路非依存性は、米海兵隊にとって特に魅力的に映る。海兵隊は、太平洋での島嶼移動シナリオを視野に入れながら、発展途上にある分散型遠征作戦のコンセプトで部隊を再編成している。海兵隊のF-35Bは、他の戦闘機ではできない小さな離着陸帯からの運用が可能で、ヴァルキリーとの共同作戦に適している。海兵隊は現在、電子戦プラットフォームとしてなど、少数のヴァルキリーで実験を行っている。クレイトスは過去に、海兵隊はその役割により完全に最適化されたMQ-58Bのバリエーションを視野に入れていると述べている。

 同時に、XQ-58がより高い離陸重量で任務を遂行できるようにすることも、非常に価値がある。これは、米空軍のCCA(Collaborative Combat Aircraft)ドローンプログラムに関連する可能性がある。クレイトスはCCAに参加することに明確な関心を持っているが、空軍がヴァルキリーを研究開発や試験評価業務に多用しているにもかかわらず、少なくとも公の場ではこれまで目立った存在感を示していない。

 おそらく最も重要なことは、新しい発射方式によりXQ-58の内部および外部搭載能力が最大限に活用可能になり、ミッションで最大限の実用性を発揮できる可能性があるということだ。

 ヴァルキリーとKTLSシステムのデモンストレーションの成功は、クレイトスが顧客の声に "耳を傾け"、自己資金を投入することで、低コストのシステムを迅速に開発し、実証し、実戦投入した別の例となった。クレイトスでは、"より良いものとは十分あり、準備が整い、今日飛行できる"ことであり、米国の産業基盤を再構築し、戦闘機を支援するために政府顧客パートナーと協力する中で、いつか実現すると希望する、想像上のイメージやパワーポイント、レンダリングではなく、製品を提供することに組織全体が集中している。

 KTLSが提供する正確な能力、そしてXQ-58でまだ謎に包まれたまま第3の打ち上げオプションは、まだ解明されていない。いずれにせよ、新しく発表された発射台車は、ヴァルキリーの性能と能力を拡大するクレイトスの継続的な努力の一例となった。■


XQ-58 Valkyrie Can Now Take Off From Runways Thanks To New Launch Trolly System

A new launch trolley expands potential XQ-58 operations, including greater payloads, while also retaining runway-independent capabilities.

JOSEPH TREVITHICKhttps://www.twz.com/air/xq-58a-valkyrie-can-now-take-off-from-runways



2023年10月29日日曜日

米海兵隊もXQ-58Aヴァルキリーの試験運用を開始した(The War Zone)

 The US Marine Corps has flown one of its XQ-58A Valkyrie drones for the first time, making it the second known operator of the type in addition to the US Air Force.

USAF

XQ-58ヴァルキリーが海兵隊で飛行中

海兵隊はXQ-58を偵察、電子戦、忠実なウイングマン用プラットフォームの想定でテストし、将来のドローン運用に向け情報を集めている

海兵隊がステルス無人機クレイトス「XQ-58Aヴァルキリー」の飛行を開始した。海兵隊はドローンを高度に自律的な監視・偵察資産、電子戦プラットフォーム、乗組戦闘機のウィングマンとして評価する計画で、キネティックな役割も含まれる。

海兵隊のXQ-58の初飛行は10月3日に行われた。ドローンはフロリダのエグリン空軍基地から打ち上げられた。試験飛行は、エグリンの第96試験飛行隊に属する空軍の第40飛行試験飛行隊と、海軍航空システム司令部(NAVAIR)隷下の米海軍航空戦センター航空機部(NAWCAD)の協力で実施された。国防次官研究技術局(OUSD(R&E))もマリン・ヴァルキリー・プログラムに関与している。

XQ-58は完全に滑走路に依存しない設計で、地上発射装置からのロケットアシスト離陸方式を採用している。同機はパラシュート回収システムで地上に戻り、着陸時には膨張式エアバッグがクッションとなる。

クレイトスによれば、XQ-58は全長30フィート、翼幅27フィートで、最大航続距離は約3,000マイル、最大打ち上げ重量は6,500ポンド(内部ペイロードベイに最大600ポンド、翼下にさらに600ポンドを含む)である。巡航速度は亜音速のマッハ0.72で、最高速度はマッハ0.85。

第40飛行テスト飛行隊は、主に人工知能と機械学習主導の自律飛行システムの開発を支援するため、昨年最初の機体を受領して以来、エグリンでヴァルキリーを運用している。空軍は2019年に同型機の初飛行を監督した。

NAVAIRは1月、PAACK-P(Penetrating Affordable Autonomous Collaborative Killer-Portfolio)と呼ばれるプログラムを支援するため、海兵隊に代わってヴァルキリーのペアを購入する契約をKratosと締結した。海兵隊は現在、PAACK-Pがより大規模な海兵空地任務部隊の無人航空機システム遠征プログラム(MUX)の戦術航空機(TACAIR)コンポーネントに組み込まれることを期待している。

今日発表のプレスリリースによると、海兵隊は3月に2機のXQ-58のうち最初の1機を受領した。MODEXの番号からすると、海兵隊が2機目を受領したのはその後となる。

海兵隊が公開した10月3日の試験飛行のビデオと写真(この記事の上部と下にある)は、MODEX番号107のヴァルキリーだ。

One of the US Marine Corps' two XQ-58A Valkyrie drones flies together with a US Air Force F-16C Viper fighter on October 3, 2023. <em>USAF</em>

2023年10月3日、米海兵隊の2機のXQ-58Aヴァルキリーのうちの1機が、米空軍のF-16Cバイパー戦闘機と一緒に飛行する。USAF

先月の2023年海兵隊ミラマー基地航空ショーからの追加写真には、もう1機の海兵隊XQ-58が写っている。

<em>USMC</em>

USMC

海兵隊は、PAACK-Pの一環として、XQ-58で少なくともあと6回の試験飛行を計画している。

海兵隊プレスリリースによると、飛行試験には「さまざまな情報・監視・偵察(ISR)任務を支援するプラットフォームの能力評価、乗員付きプラットフォームへの自律電子支援の有効性、戦闘空中哨戒を増強するAI(人工知能)対応プラットフォームの可能性、その他の有人-無人チーミング(MUM-T)能力目標の継続成熟を含む目的」がある。

海兵隊のプレスリリースでは、テストで武器やその他の装備品の放出を伴うかは不明である。しかし、2023年のミラマー・エアショーで海兵隊ヴァルキリーは、不活性AIM-120高性能中距離空対空ミサイル(AMRAAM)と不活性500ポンド級統合直接攻撃弾(JDAM)精密誘導爆弾のペアと一緒に展示されていた。

今年初め、クレイトスのエリック・デマルコEric DeMarco社長兼最高経営責任者(CEO)は、ステルス性を持つF-35統合打撃戦闘機とともに電子戦任務を飛行するヴァルキリーの能力が、海兵隊にとって重要な関心分野であることを明らかにした。

海兵隊が最終的にXQ-58、あるいはその派生型を運用するかどうかは、まだわからない。現状では、PAACK-Pは、海兵隊が将来のドローン要件を絞り込む実験的な取り組みに過ぎない。

「今回の購入は、将来の自律型共同プラットフォームを検討する米海兵隊の取り組みの一環です」と、海兵隊航空広報担当のジェイ・ヘルナンデス少佐は1月の声明で本誌に語っていた。「基本契約はベースライン機のために締結され、機体は実験用で、将来の改造や運用に関する決定はなされていない」。

とはいえ、XQ-58の設計は海兵隊にとって大きく魅力となる特性を持っている。クレイトスは過去にヴァルキリーで使用するコンテナ化された発射システムも提示していた。ドローンの低観測特性と3000マイルの余裕ある航続距離は太平洋戦域に非常に適している。

海兵隊は近年、迅速展開と、遠隔地や僻地を含む前方で持続的なハイエンド作戦を実施する能力に重点を置いた新しい作戦構想を中心に、部隊構造全体を抜本的に再編成中だ。海兵隊航空部隊のF-35B統合打撃戦闘機が将来の無人偵察機とチームを組む可能性があり、この新しい遠征・分散作戦ビジョンの中心的存在となる。

「海兵隊は、急速に進化する安全保障環境の中で、常にその能力を近代化し、強化しようとしています」と、海兵隊本部海兵隊航空室のドナルド・ケリー中佐は、本日のプレスリリースで述べている。「XQ-58ヴァルキリーのテストは、過酷な環境での待機する部隊の作戦と統合軍の両方を支援する、機敏で遠征的で致命的な能力の必要性を補完し、高度に自律的で低コストの戦術的UAS(無人航空機システム)の要件を決定する」。

もちろん、特に空において、ますます無人装備を投入する将来を見据えているのは海兵隊に限らない。エグリンは空軍の自律型航空機試験の主要拠点となっており、XQ-58も含む。海軍もまた、空母航空団やその他艦船の作戦に、ドローンを統合することを期待している。

さらに、空軍と海軍は、関連技術について積極的に協力している。これには、将来の作戦中に無人機の制御を相互にやり取りできるようにするシステムも含まれる。これはすべて、海兵隊にとっても間違いなく関心のあることだ。

PAACK-PプログラムでXQ-58をテストし、海兵隊のドローン要件がどう進化していくかはまだわからない。いずれにせよ、海兵隊は初飛行で重要な一歩を踏み出した。■

XQ-58 Valkyrie Is Now Flying With The Marine Corps | The Drive

BYJOSEPH TREVITHICK|PUBLISHED OCT 5, 2023 8:55 PM EDT

THE WAR ZONE



2023年1月8日日曜日

米海軍もXQ-58Aを評価試験用に導入。自律型無人機の運用はこれからの標準になる。日本の準備は大丈夫か。変化の早い今だからこそしっかり未来をにらんでいてほしい。

 艦載機特に戦闘機パイロットの存在意義をめぐり、無人機導入に抵抗があった米海軍でもここに来て無搭乗機材の活用は避けられないと開発試験を加速化しています。空軍に続き同じ機材を試験用とは言え導入するのは、海軍が空軍の知見を活用したいと思惑が見えてきます。さて、これまで無人機については及び腰だった日本ですが、遅れを取り戻すことができるのかが2030年代の安全保障環境に影響を与えそうですね。The Warzoneの記事です。


Navy Buys XQ-58A Valkyries For Secretive ‘Killer’ Drone ProjectUSAF

米海軍が導入するXQ-58Aは、敵防空網を突破する自律型ドローンの能力実証で役立つ 

米海軍がクレイトスのXQ-58A Valkyrieドローンの最新のオペレーターになる。海軍はPenetrating Affordable Autonomous Collaborative Killerと呼ぶ新プログラムの一環として、ステルス低価格の同型2機の購入契約を同社に交付した。現在のところ、XQ-58Aの唯一のユーザーが米空軍で、機密扱いの共同戦闘機プログラムプロジェクトを含む様々な試験目的で使用中だ。

海軍がXQ-58Aをどう使用するか詳細は不明だが、今回の無人機購入は、海軍の将来的な無人化へのビジョンと、拡大し続け、大きな利益を生む可能性があるこの市場におけるクレイトスの位置づけに関して、重要な進展と言える。

国防総省は2022年12月30日、毎日の契約通知で、海軍がXQ-58Aを2機購入する契約を確定させたと発表した。契約は、海軍航空システム本部(NAVAIR)の海軍航空戦機部門(NAWCAD)を通じ行われ、15百万ドルで、生産と配送、不特定の 「センサーと武器システムのペイロード」が対象。

通知によると、無人機は、「貫通型安価な自律型協調キラー - ポートフォリオの目標を達成する」ため使用される。これには「非経常的なエンジニアリングサービス、システム/サブシステムの統合、設置、試験、地上・飛行運用、ロジスティクス、メンテナンス、および政府試験場での飛行試験と実証実験のため政府所有のまま請負業者による運用」が含まれるとある。作業は、9月30日に終了する今年度中に完了するとある。

契約通知には、対象のXQ-58Aが改良型ブロック2バージョンかどうかは書かれていない。両機の正確な性能は不明だが、クレイトスのウェブサイトによると、ヴァルキリーは海抜45,000フィートまで飛行可能で、最大航続距離は3,000マイルという。ペイロードは同社によれば、最大6,000ポンドになる。XQ-58Aは、各種センサーやその他のシステムを迅速に統合できるよう、モジュール式のオープンアーキテクチャ設計だ。

米空軍のXQ-58Aが2021年にテストされた  USAF

XQ-58Aは、地上ランチャーからロケットアシスト方式で離陸し、パラシュートで地上に帰還する。これにより滑走路に依存しない。クレイトスは以前から、ヴァルキリーが容易に展開できるプラットフォームであると宣伝しており、コンテナ型ランチャーのコンセプトも示していた。

国防総省の契約通知には、海軍が合衆国法典第10編第4023節の権限を行使し、特に実験目的の各種調達に適用され、競争なしでクレイトスを指名したと書かれている。

「貫通型アフォーダブル自律協働キラー」という説明と、「センサーと兵器システムのペイロード」の両方についての言及から海軍のねらう中核的な目的で強いヒントがわかる。これは、敵防空網を突破し、高度自律性で活動できるステルス無人プラットフォームを複数開発する計画で、潜在的にはネットワーク化された群として、有人プラットフォームと共同し多様な任務を遂行すると示唆している。これには、情報、監視、偵察(ISR)または通信ノード(いずれの場合もメッシュ・ネットワークの一部として)として機能すること、電子戦ノードとして機能すること、その他、空や地上の敵脅威と直接交戦することなどが含まれる可能性がある。

空軍は、協調型戦闘航空機材Collaborative Combat Aircraft(CCA)プログラムの目標を説明するため、同一ではないにしても、多くの類似した用語を使用している。さらに、CCAは、空軍の大規模な次世代航空支配(NGAD)構想の一部でもある。NGADには、新型無人機以外に、第6世代有人戦闘機の開発や、新型い高度なセンサー、ネットワーキング、戦闘管理スイート、兵器システム、次世代ジェットエンジンなど、さまざまなプロジェクトが含まれる。

給油中の第6世代戦闘機の想像図。Lockheed Martin

ロッキード・マーチン

海軍は独自のNGADプログラムを持っており、機密扱いだが、F/A-XXと呼ぶ第6世代戦闘機を含め、空軍と多くの点で類似している。また、海軍関係者は過去に、将来の空母航空団の航空機の50%以上が無搭乗になる可能性があると発言している。そのため、NAVAIRによるXQ-58Aの2機購入が、同軍のNGADの取り組みのうち、CCAのようなサブコンポーネントと結びつく可能性は大いにあり得る。

2019年以来、空軍はXQ-58Aを使用して、高度な自律機能、通信およびデータ共有スイート、CCAプログラムで取得する可能性を含む将来の無人機につながるその他システム、ならびに乗員付きプラットフォームに関する作業をサポートしてきた。2022年11月、フロリダ州エグリン空軍基地の第96試験飛行隊は、2機のヴァルキリーが第40飛行試験飛行隊に加わり、自律機能関連の試験を開始したと発表した。

空軍は2021年、わずか3回の飛行を終えた最初のXQ-58Aを引退させ、博物館に送ると決定し、同機の設計が低コスト重視であることも浮き彫りになった。当時、空軍の広報担当者はAviation Week誌に対し、同無人機は 「大規模なアップグレードや修理 」を想定していなかったと語っている。

ヴァルキリーの正確な現在の単価は不明だ。クレイトスが昨年発表したデータでは、年間50機生産した場合、約400万ドルになるとされているが、同社は過去に、100機以上の生産では200万ドル以下になる可能性があると述べていた。

このように考えると、海軍が保有する2機のXQ-58Aも同様に試験支援用で、空軍の知見を活用できる可能性がある。逆に海軍の自律化技術は、空軍の様々な先進的なドローン開発に活用されている。米軍は無搭乗機とのチーミング・コンセプトに長年取り組んでおり、2015年には海兵隊のAV-8Bハリアー・ジャンプジェットとクレイトスUTAP-22マコ・ドローンを連結し飛ばすテストも行った。

同型のドローンが作戦行動機材に移行することは予見していないのかもしれないが、それでも今回の機材は、さらなるヴァルキリーや改良型につながるかもしれない、そうした能力への貴重な足がかりにもなるだろう。

もちろん、ロッキード・マーチンノースロップ・グラマンジェネラル・アトミックスボーイングレイセオンなど、米国の主要な防衛関連企業も最近、将来の無人プラットフォームと、さらに高度な自律性と乗員・無人チーム編成コンセプトを支える技術のビジョンを打ち出している。こうした作業の多くは、少なくとも部分的には、空軍で発展途上の CCA 要件を満たすのが目的のようだ。しかし、多くは、海軍の同様のプロジェクト、たとえば「貫通型安価な自律型共同殺人機」のポートフォリオにも適用できる。

はっきりしているのは、有人機やその他無人機と連携できる高度自律性があり、比較的安価な大量の高度無人機を、将来の米国の航空戦力の重要な構成要素と米軍がみなすようになってきたことだ。この視点は、特に中国やロシアといった潜在的な互角戦力を有するの敵対国に対する、将来の高度紛争の計画時に顕著になる。例えば、米政府と契約するシンクタンクなどは、XQ-58サイズやそれ以下のドローンを混合した高度に自律的な群れが、中国の台湾への軍事介入時でのアメリカの反応シナリオで、ゲームを変える可能性を一貫して示している。

高度な無人航空機と自律型テクノロジーの開発と実用化で大きく進歩している中国の国営航空産業や、米国の同盟国協力国多数も、同様の結論に達しているようだ。

以上を念頭に置き、2022年11月にクレイトスが発注元二箇所からXQ-58A受注を見込んでいると述べていたことが興味深い。うち1つが米国海軍だと判明した。もう1つは未公表のままだ。同社は当時、別の無名の「第4の新規顧客でヴァルキリーシステム複数と」と交渉中と述べていた。■

 

Navy Buys XQ-58A Valkyries For Secretive 'Killer' Drone Project

 

BYJOSEPH TREVITHICK|PUBLISHED JAN 2, 2023 6:28 PM

THE WAR ZONE

 


2022年11月9日水曜日

性能範囲を広げつつあるXQ-58ヴァルキリーは各国が注目する低価格UAVとして受注を獲得できるか注目。

 

USAF


クレイトスは、ステルス低価格のXQ-58Aの飛行性能を拡大し続け、顧客が並び始めていると述べている

 

ローンメーカーのクレイトスは、同社のステルスドローンXQ-58Aヴァルキリー Valkyrieが、さらに長時間、高高度で、重い総重量で飛行できる性能を最近のテスト飛行で示したと発表。新規顧客からヴァルキリー発注の見込みがあり、また、別の顧客とも交渉中であるとしているとしている。

クレイトスは、昨日のプレスリリースと四半期決算説明会で、XQ-58Aの開発について発表した。現在までのところ、同機を購入したのは米空軍のみだが、研究開発および試験・進化の取り組みを支援するため、各種機材を使用している。このうち最もよく知られているのはスカイボーグSkyborgで、空軍研究本部(AFRL)と空軍ライフサイクル管理センター(AFLCMC)が主導するプロジェクトとして、人工知能(AI)駆動の「コンピュータブレイン」とその他関連技術の開発を中心に、高度自律性を備えた各種ドローンに統合される。

クレイトスがテストフライト発表で同時公開した、XQ-58A発進時の写真。 Kratos

クレイトスのプレスリリースでは、最近の飛行性能拡張テストフライトがいつ行われたかは具体的には書かれていないが、アリゾナ州にある米軍の広大なユマ実験場(YPG)で行われたとある。テストに使用されたのは、同社が自社開発した12機の新規生産機体のブロック2仕様のXQ-58Aだった。ヴァルキリーは、来年に最後の1機が完成する。

リリースによると、最近の飛行は、「(以前の政府の範囲制限に基づき)プラットフォームで以前に承認され実証されたよりも長く、高く、重いミッション重量で、より長い距離で飛行し、XQ-58Aの拡張性能を証明した」とある。クレイトスは、飛行時間、飛行高度、総距離、重量などの詳細を明らかにしていない。

同社ウェブサイトによると、XQ-58Aは最大打ち上げ重量6,000ポンド、海抜45,000フィートまでの高度で飛行でき、最大航続距離は約3,000マイルとある。ヴァルキリーは、発射台からロケットで離陸し、飛行終了後はパラシュートで回収する。

滑走路に依存しないことは、目標地域に近い場所での前方作戦に有利だが、滑走路が全くない場所からは利用できない可能性がある。昨日のクレイトスのプレスリリース写真のキャプションには、滑走路を使わない打ち上げ・回収方法は、「有人作戦に利用できる滑走路」を維持するのにも役立つとある。同社によれば、XQ-58Aは迅速に配備され、比較的小さい設置面積で厳しい場所からも運用されることを意図している。前方展開に対応しようとコンテナ型発進システムのコンセプトもあった。

ミッション終了後、パラシュートで降下するXQ-58A。また、下には地上に降りたときのクッションとなるインフレータブルエアバッグが見える Kratos

XQ-58Aは、アトリタビリティと呼ばれるものを視野に入れて設計されている。つまり、高価で複雑な「絶妙な」資産を使えない、高リスクのシナリオで使用できるコストと能力のバランスだ。The War Zoneは過去にクレイトスと、無人航空機の設計におけるアトリタビリティとアフォーダビリティを深く話し合ったことがあります。

XQ-58Aのアトリタビリティは、空軍が実証ずみで、空軍は最初のヴァルキリーをオハイオ州のライトパターソン空軍基地の博物館に送った。同軍は、このドローンが「大規模アップグレードや修理」の予定はなかったため、使用後にこの決断を下したと述べている。

さらに、「この飛行は、政府の射場から離れた射場や作戦任務のための冗長無線/通信(「コムス」)パッケージによる暗号化通信で実施され、実証された。最後のテストポイントでは、通信途絶を想定した着陸地点までの航行が行われた」と説明がある。「機体は目標地点に着地し、飛行と機体回収の任務終了段階において、RF(無線周波数)通信を使用しない自律能力を実証した。この能力は、システムが『基地』に戻る際に、敵に探知されRF通信の放射を追跡される可能性を軽減するのに役立つ」。

XQ-58Aが「無線封印」モードで自律的に動作する能力は、脅威を突破したり回避する際に潜在的な利点となる。もちろん、電子戦妨害の脅威が高い環境でも任務を継続し、基地に安全に帰還することが可能だ。米軍などは、将来のハイエンド紛争は事実上そうなると予想している。ドローンの大群は、分散型「メッシュ」データ共有ネットワークの運用で、電子戦攻撃に対する回復力を高め、チームとして協調行動できる利点もある。

クレイトスのプレスリリースでは、今回の特別なテストフライトがAutonomous Collaborative Enabling Technologies (ACET) と呼ばれるAFRLの取り組みの支援であり、「Collaborative Combat Aircraft (CCA) などのAutonomous Collaborative Platforms (ACP) の開発に焦点を当てている」とも述べている。CCAは、空軍の次世代航空支配(NGAD)空戦構想の一部で、多様なミッションを実行するため有人機と様々なレベルで協力することを意図した高度自律性を有する無人プラットフォーム各種を中心に展開する期待が出ている。NGADには、ステルスの有人第6世代戦闘機以外に、先進的なセンサー、武器、エンジン、ネットワーキング、戦闘管理システムなどの開発も含まれており、すべてが新しい空戦の「生態系」を形成する。

クレイトス・ディフェンス&セキュリティ・ソリューションズの社長兼CEOエリック・デマルコEric DeMarcoは、「デジタルシミュレーションやモデリングを評価しつつ、当社のターゲットシステム機が実際の飛行や射撃によって軍事訓練や兵器開発をサポートしているように、クレイトスの定期的で限界を超えた開発飛行や任務準備飛行こそが最終的に敵を阻止し我が軍の即応性を向上させると確信しています」と声明で述べている。

クレイトス無人システム部門社長のスティーブ・フェンドリーSteve Fendleyは、最近の試験飛行に関連する声明の中で、「クレイトス/AFRLチームは、今真に未知の領域で限界を押し広げ、能力を進化させ続け、任務能力と有効性が個別および分散CCA能力と航空機の質量の組み合わせで達成されるCCAクラスにおける手頃感を促進しています」と述べている。「ウォーゲームや分析では、今日の紛争分野で勝利する解決策は質量であり、より少ない数の精巧なシステムでは常に失敗すると一貫して報告されています。クレイトスは、破壊的で手頃な(シンプルでエレガントによって可能になる)ソリューションセットにレーザーフォーカスしています」と述べた。

The War Zoneは以前、米軍とその契約下で働くシンクタンクが行ったウォーゲームが、相当のレベルの自律性を持つ低価格ドローンでネットワーク化された群れが、台湾をめぐる中国との紛争でゲームチェンジャーとなり得ると繰り返し示していることを詳しく報告してきた。

ネットワーク化された自律的な群れの一部として動作可能なものを含む、多層無人機が、将来のハイエンド空中戦における重要資産になるとの見解にますます近づいているのは、米軍だけではない。このことは、昨日クレイトスが発表した新規顧客と潜在的顧客に関する情報にも反映されている。

デマーコは、決算説明会で「当社は現在、新規顧客2箇所からヴァルキリー関連の戦術的ドローンシステムの契約を獲得する見込みです」と述べた。「さらに、つい最近、4番目の新規顧客候補との協議を開始しました」。

デマーコは、将来的または潜在的な顧客が誰であるか言及を避けているが、空軍以外の米軍の他の要素である可能性がある。より高度な無人航空機を外国に販売するための米国政府承認を得るプロセスは、悪名高く困難なものだったが、米国当局は重要な軍事無人機装備輸出で障壁を減らすよう求めている。

クレイトスは2018年、同社のUTAP-22、またはMakoという、初期の忠実なウィングマンが、アメリカ当局の輸出許可を得たと発表し注目されていた。同社は、イギリス、スウェーデン、韓国、台湾を含む海外顧客に対して、訓練などの各種目的で使用される空中標的無人機の販売実績を有している。

同時に、米国の主要同盟国の多くは、より厳しい輸出規制要件を容易にクリアでき、XQ-58Aなど無人機の能力に関心を抱いていると公言している。例えば、10月31日、英国防省は、「LANCA(Lightweight Affordable Novel Combat Aircraft)」プログラムに続く新しい取り組みとして、「Low-Cost Uncrewed Air Systems」を発表した。6月、英空軍(RAF)は、LANCA計画の一部で、忠実なウイングマン型ドローンの開発に焦点を当てた「Mosquito」計画を中止した。RAFは、このプロジェクトに続く新プロジェクトを想定していると述べていた。

いずれにせよ、ヴァルキリーの性能範囲と能力は拡大しているようで、新顧客も注目しているようだ。■

 

XQ-58A Valkyrie Flies Longer, Higher, Heavier In Recent Test

BYJOSEPH TREVITHICK|PUBLISHED NOV 4, 2022 4:53 PM

THE WAR ZONE