スキップしてメイン コンテンツに移動

投稿

ラベル(極超音速ミサイル)が付いた投稿を表示しています

中国の宇宙極超音速ミサイルに米国はどう対抗するのか。AI技術の導入で核戦争シナリオが一変したようだ。抑止効果が生まれるのは米国が同等の技術を実戦化してからになる。

  中国の極超音速ミサイルDF-17の初期型が2019年の軍事パレードに登場した。ZOYA RUSINOVA\TASS VIA GETTY IMAGES     中 国が今夏打ち上げた極超音速ミサイルは「地球一周した」と米関係者がDefense Oneに教えてくれた。ペンタゴンは今回の驚くべきテストの意味を解析中だ。   7月27日打ち上げられたとまずフィナンシャルタイムズが伝え、米国がアフガニスタン問題に忙殺されている間に実施された。   10月27日 Bloomberg Televisionの 取材に応えたマーク・ミリー統合参謀本部議長はこの打ち上げについて「スプートニク並みの衝撃はないが、かなり近い意味がある。全力を挙げて注視している」と述べた。   中国外務省は平和目的の宇宙機だったと公表している。   フィナンシャルタイムズ記事は複数筋を引用し、核弾頭搭載可能の極超音速ミサイルが地球周回軌道を取り標的に向かったと伝えていた。   アリゾナ州選出民主党下院議員ルーベン・ギャレゴは今回の打ち上げで米国防優先事項の見直しが必要なことが明白と述べている。   「パニックになってはいけないが、再考の必要が確かにある」と述べるギャレゴは海兵隊出身でイラク戦争に出征し、現在は下院軍事委員会に所属している。   「軍事委員会は極超音速技術、研究の投資で遅れていることに気づかされている。急いで追いつきたいが、今回の事態で情報収集の遅れが露呈し、確認に時間がかかった」(ギャレゴ)   今回の打ち上げでペンタゴン高官の間に米国がソフトウェアや人工知能で中国より遅れているのかとの議論が高まっているとミリー議長も認めている中で、空軍のソフトウェア部門トップが先月辞任している。   American Enterprise Instituteの客員研究員ジョン・フェラーリ(元陸軍少将)は今回の打ち上げで重大な問題が表に出たと述べている。   「AIが今回の打ち上げと飛行制御に使われていることが関心の的だ。核をめぐるゲームが一変した可能性がある」「問題は防衛がこれに対応できるか、あるいは攻撃を正しく行えるかだ」   この形で核攻撃を想定しあらゆる標的を防御しようとすれば米国は破産を免れないとフェラーリは言う。   「技術面では互角にする必要がある。AI技術で極超音速ミサイルを阻止すること

軍事用極超音速ミサイル試験を平和目的の宇宙機実験だったと虚偽発言する中国外務省の情報操作をうのみしている日本メディアのおめでたさ。

  中国政府はテストそのものがなかったといい抜けようとしているが、記者会見で触れた宇宙機テストは7月のものでまったく別個のもので、そのまま伝えたNHKなど国内メディアは中国の情報操作に手を貸したことになりました。 LOCKHEED MARTIN   中 国政府は中国が極超音速滑空体を軌道に乗せたのちに大気圏再突入させ標的に向け飛翔させたとの報道内容を否定した。中国外務省は再利用可能宇宙機だったとし、武器ではないと述べた。しかし、公式声明で宇宙機打ち上げは7月とあり、フィナンシャルタイムズ記事では軌道上爆撃手段のテストは8月とある。     中国外務省報道官趙立堅は2021年10月18日記者会見でブルームバーグ、AFPからの質問に対し、同記事を否定した。   「今回は通常の宇宙機の試験で再利用の可能性を試したものである」「地球帰還に先立ち切り離した後、大気圏内で支持部門が燃え尽き、破片は大洋に落下した」同報道官はこの宇宙機がフィナンシャルタイムズ記事にある飛翔体と同じなのかと尋ねられこう答えた。   ブルームバーグのジェイムズ・メイがー、BBCのスティーブン・マクダネル両名がこれを受けて中国外務省から趙報道官の発言は7月の宇宙機の件だったと確認したと伝えている。軌道上爆撃手段システムのテストは8月実施だったことが判明している。   国営企業中国航天China Aerospace Science and Technology Corporation(CASC)は7月に再利用可能な宇宙機テストに成功したと発表しているが、その際は準軌道飛翔だったとしている。CASCは同宇宙機の飛翔方式について説明しておらず、内モンゴルの酒泉衛星打ち上げ場Jiuquan Satellite Launch Centerから発射したと述べていた。2020年にも同打ち上げ場から長征2Fロケットが打ち上げらており、「再利用可能試験宇宙機」だったとの説明があった。   フィナンシャルタイムズ記事では長征2Cロケットが軌道爆撃システムのテストに使われたとあり、長征ロケット第77回目打ち上げとなったが、非公表のままだ。76回目78回目は7月19日、8月24日に実施されている。   趙報道官が言及したCASCによる宇宙機テストはこの売り7月16日にものだろう。さらにフィナンシャルタイムズの取材源によれば今回

中国が大気圏再突入型極超音速ミサイル実験を実施。従来型ミサイル防衛の不備がつかれる事態を恐れる。中国との戦略兵器制限交渉は可能なのか。

    LOCKHEED MARTIN   中 国が核運用可能な極超音速滑空体を宇宙空間に打ち上げ、周回軌道に近い形で移動させて大気圏へ再突入し標的に移動させたとフィナンシャルタイムズが伝えている。この装備が実用化されれば影響は大きいと同紙にあり、関係者5名に意見を聞いたところ、米国はこの事態に虚を突かれた形だという。 試験実施は8月ごろで加速滑空体は長征2Cロケットが打ち上げた。同ロケットは77回目の発射となったが、北京は公表していないが、8月の76回78回の発射は公表している。フィナンシャルタイムズ記事では滑空体は標的から数マイル外れたとあるが、開発中の技術内容のほうが重要だ。 宇宙空間からの爆撃構想は冷戦時代からあり、部分軌道爆撃システムFOBSと呼ばれるが、当時は核兵器を再突入体から投下する構想だった。今回の中国装備では極超音速滑空体の膨大な運動エネルギーを使う。大気圏内で長時間の飛翔制御を行いつつ膨大な速度で標的に向かうのが特徴だ。 FOBSへの懸念が生まれたのは、ミサイル防衛の網をかいくぐるだけでなく早期警戒網で探知できなくなるためだ。通常の大陸間弾道ミサイル(ICBM)と比べるとFOBSは予測不能の攻撃手段となる。飛翔距離の限界もなくなる。だがこれまでのFOBSは弾道ミサイルの延長で中間段階で追跡すれば飛翔経路は予測ができないわけではなかった。 今回テストされたとされるハイブリッド設計では全く予測不能となる。 CHINESE SPACE AGENCY 長征2Cロケットの打ち上げ 制御可能な極超音速滑空体が高高度から超高速降下すると通常の弾道追跡では対応できない。さらに事態を複雑にするのが、南極経由の攻撃を実施することで、米国の弾道ミサイル早期警戒網は北極越え軌道を想定しているためで、防衛手段も同様だ。この装備への対抗が極めて困難になる理由は、米国の中間段階での迎撃は通常の弾道ミサイルに特化した放物線軌道対応が中心なためだ。 滑空体とFOBSが一緒になれば、大気圏再突入時に防衛側の中間段階対応能力外の距離を方向を替えながら飛翔し標的にむかう。通常の地上配備レーダーの有効範囲では対応できない。そこに超高速が加わり、防衛側の現行装備では対応不能となる。 現時点では極超音速滑空体への対抗は極めて難しい。対抗策の開発が進んでいるものの、迎撃解が得られるかは対象の

北朝鮮の極超音速ミサイルの正体を推理する。

  NORTH KOREAN STATE MEDIA     北 朝鮮が新型弾道ミサイルに「切り離し式極超音滑空体弾頭」をつけ発射に成功したと発表した。同国が公表した写真は一点のみで上に掲載した。火星-8と呼称し、分析が困難になっているが、今回の発射は南北朝鮮が新型ミサイルを相互に公開する中で新たな装備となった。   北朝鮮国営メディアは同ミサイルを「戦略兵器」と呼称しているが、通常は核兵器搭載装備のことを指し、北朝鮮のMupyong Ri から9月27日早朝に発射された。直後に北朝鮮国連大使Kim Songが年次総会で演説し、ミサイル発射は同国の「正当な権利」であると主張した。   南朝鮮の聯合通信は今回のミサイルは新型で、制御可能な再突入体を用いている可能性に触れている。「ソウル筋ではミサイルは200キロ以上飛翔し、高度は60㎞に達したとみており、これまで北朝鮮が発射してきたミサイルと異なる飛翔特徴を示したとしている」(聯合通信)   ミサイル発射時点で南朝鮮空軍のE-737ピースアイ空中早期警戒統制機が同国中部上空を飛行していたい。同機搭載の高性能アクティブ電子スキャンアレイレーダーがミサイルを追尾し、遠隔データを集めていたはずだ。   北朝鮮が火星-8の写真として唯一公表した写真では輪郭しか判明しないが、弾頭部分はかなり大きく、フィンがついていおり、なんらかの飛翔制御機能を示唆している。画像解析の専門家が弾頭部分の解明を目指したが結論は出ていない。もちろん、公表画像が編集されている可能性もある。   仮に写真が本物なら、形状から中国のDF-17極超音速滑空体に極めて類似している。あるいは大型制御可能再突入体MaRVかもしれない。 CHINA MILITARY 中国はDF-17モックアップを2019年の軍事パレードに動員した。   無動力でブースト後滑空する飛行体ではロケットブースターで適性高度速度を実現してから滑空体を切り離しマッハ5以上の極超音速で標的に向かう。高度の制御性を確立するため大気圏内での飛翔となる。   速度、制御性、飛翔特徴を実現し、極超音速兵器は防空側には追尾、迎撃が課題となる。さらに高性能MaRVが加わると通常の弾道ミサイル対応と全く異なる。まず、防空側の対応時間が問題となる。 GAO 通常の弾道ミサイルと極超音速ブースト滑空体の飛翔経路

極超音速ミサイル発射を無人機で探知する日本の構想の行方.....探知も困難だが撃破能力の開発も課題。総合防衛体制構築には巨額の費用が必要となる。

      GAO 極超音速滑空体の飛翔パターンを通常の弾道ミサイルと比較した図。空気吸い込み式極超音速巡航ミサイルの飛翔パターンも示した。   日 本の防衛省は赤外線センサーを無人機に搭載し極超音速ミサイル攻撃への早期警戒の実現を検討している。日本国内報道では無人機を利用した警戒態勢が中国、ロシアが開発中の超高速兵器への対抗策で浮上している。   これを伝えた産経新聞によれば防衛省は8月7日にこの方針を発表した。「極超音速兵器の開発に呼応し対抗策の整備を急ぐ」   記事では無人機に既存の赤外線探知装置を搭載するとあり、これは2019年に開発が終了した「弾道ミサイル識別用に開発された技術実証」装置のようだ。この「小型赤外線センサー」を無人機に搭載し「敵国付近の空域で運用」し、長時間滞空させる。   多数国が開発を進める極超音速ミサイルへの対応ではなるべく早期探知が重要さをましている。   極超音速ミサイルはマッハ5超で飛翔し、軌跡は弾道ミサイルに近いが、ちがうのは予測可能な弾道軌跡を使わず、途中で制御可能なまま標的に向かうことだ。このため探知、撃破はともに困難となる。「飛翔制御で自由に低高度を突き進む極超音速ミサイルは既存の探知迎撃の仕組みでは対応が困難」と米議会調査局は今年6月に報告していた。「地上レーダーでは見通し線でレーダー探知効果が限定され、極超音速兵器を探知できても手遅れとなる。このため防衛側には迎撃手段の稼働に残された時間は限られてくる」   日本の無人機利用探知システムは「複数の」UAVを連続稼働させ空域を監視し、集めたデータを地上局へ送る。   想定する無人機の型式は明かされていないが、日本は出遅れたものの無人機装備の整備を加速化させている。   その一環で航空自衛隊はRQ-4Bグローバルホークのブロック30仕様の高高度偵察装備を3機発注しており、これが候補になりうるが、3機では探知効果の実現が不足する。   NORTHROP GRUMMAN 日本向けRQ-4Bグローバルホーク二号機は2021年6月24日に初飛行している。     他方で米国のミサイル防衛庁(MDA)はUAVを使う弾道ミサイル探知をめざしており、対象に加速滑空体も含める。MDAは特殊改装したMQ-9で空中センサー機能テストを行っており、ハワイで2016年実施した際にはMQ-9のペアで

ロシア、極超音速ミサイル多数を搭載した旧型巡洋戦艦は西側に脅威となる----急がれる極超音速ミサイルの実用化で東西は新たな兵器開発競争へ

  TASS   ロ シア海軍が冷戦時建造の旧式巡洋戦艦で武装強化、近代化改修を進めており、新しく迎撃ミサイル、近接防御兵装、長距離防空機能さらに極超音速兵器を加えている。   アドミラル・ナヒモフの改装   極超音速ミサイル搭載は1980年代建造のアドミラル・ナヒモフの兵装で大きな強化になる。同艦は「アイオワ級並みの大きさ」があり、「世界最強の水上戦闘艦」になるとフォーブス記事にある。   改修で高速処理コンピュータ性能、長距離センサー機能のネットワーク化、新型「火器管制」装備の搭載が進むのだろう。追加装備で近代化が実現すれば、重武装の同艦は米・NATO部隊に大きな脅威となる。   アドミラル・ナヒモフはS-300対空ミサイルを艦上運用に改良したフォートMミサイルのほか、対地攻撃巡航ミサイル、AK192砲、近接防御兵装、新型対潜兵器を搭載している。   追加兵装として「空母キラー」ミサイルとなるグラナイト超音速大型ミサイル20本も追加搭載されるとフォーブス記事は伝えている。   さらに9K33オサ短距離ミサイル40本があり、S-300長距離ミサイルは96本搭載する。またカシュタン近接防御装備にガトリング銃や9M322短距離ミサイルがある。   米海軍水上艦との比較    同艦の重武装ぶりを見て、米海軍の駆逐艦との戦力比較で疑問が生まれる。ロシア艦の長短迎撃ミサイルはSM-3、SM-6ミサイルで構成する米海軍の多層防御に匹敵するのだろうか。   ロシアの長距離ミサイルは米海軍のトマホークのライバルになるのか。   ロシアのCIWSは米海軍のファランクス並みに小舟艇、無人機、爆発体他接近してくる脅威に対応できるのか。   最後に米海軍駆逐艦とロシアの性能改修巡洋戦艦はともに無人機、ヘリコプターを運用し偵察、対潜のほか前方攻撃任務を遂行できる。   米海軍駆逐艦はロシア巡洋戦艦より小さいが、ハイテク兵装を搭載しており「外洋」海軍戦で大きな威力を発揮する。   米国はSM-6ミサイル、トマホーク、CIWS、SeaRAMsの性能向上を進めており、射程距離が延び、移動水上目標の攻撃が可能となり、新世代の誘導装備を導入し、ロシア側の兵装の進歩に対抗し、ネットワーク機能で連携効果を無人機、潜水艦さらに水上艦との間で実現する。   ロシアが1980年代建造艦のアドミラル・ナヒモフに