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2025年1月2日木曜日

プロジェクト33でインド太平洋で全領域での統合作戦の実現を目指す米海軍の姿を太平洋艦隊司令官が解説(USNI Proceedings)

 The Arleigh Burke–class guided-missile destroyer USS Daniel Inouye (DDG-118) comes alongside the Nimitz-class aircraft carrier USS Theodore Roosevelt (CVN-71) for replenishment on 25 January 2024.

2024年1月25日、アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦ダニエル・イノウエ(USS Daniel Inouye、DDG-118)がニミッツ級空母セオドア・ルーズベルト(USS Theodore Roosevelt、CVN-71)に横付けし、補給を受ける。米海軍(クリス・ウィリアムソン撮影


米海軍のナビゲーション・プラン2024とプロジェクト33の実施計画がハイエンド戦への対応能力を高める

サム・パパロ米海軍大将

2025年1月 Proceedings 第151巻第1号、1463ページ

国は、21世紀における最も重要な作戦地域であるインド太平洋地域において、地域の安定を維持し、すべての国の主権的権利を保護するよう努めている。中国、ロシア、北朝鮮が安定性と安全保障を脅かしている。1 これらの国家は、現在のルールに基づく国際システムを自国に有利な状態に変えようと不安定な状況を作り出しているが、米国統合軍は、ますます有能になる同盟国やパートナーと協力しつつ、地域秩序を覆そうとする勢力を阻止する準備を常に整えている。 

米太平洋軍は地域統合軍司令官であり、リサ・フランチェッティ海軍作戦部長(CNO)の新たな「2024年航行計画(NavPlan)」およびその実施計画である「プロジェクト33」などの軍のイニシアティブによって強化された陸軍、海軍、海兵隊、空軍、宇宙軍の能力を活用している。これらの軍事能力は、統合軍として連携することで、戦闘領域を拡大し、紛争を抑止し、危機に対応し、必要に応じて戦闘を行い勝利を収めることで、インド太平洋地域における信頼性と抑止力を強化する。

統合軍の能力と、同盟国およびパートナー諸国との相互運用性の核心となるのは、米国の各軍事部門の即応態勢と近代化だ。プロジェクト33は、海軍を個々の軍事部門として改善し、統合戦闘エコシステムへの貢献を強化するための明確な道筋を提供する。

プロジェクト33を通じて、海軍は即応態勢を強化する。具体的には、戦闘即応能力の向上を目的としたメンテナンスのバックログの削減、ロボットおよび自律システム(UxS)の運用化、有能な人材の採用と確保に向けた取り組みの強化、水兵の戦術的熟練度を高めるための柔軟な訓練の改善、必要な即応部隊を編成し維持するための重要なインフラの復旧などだ。

大型艦の建造には数年かかる。そのため、CNOは、短期的な戦闘能力の向上を目指し、UxSの迅速な開発、実用化、統合に重点的に取り組んでいる。これらのシステムは、多目的通常戦力を強化し、攻撃力、探知能力、生存性を高める。

プロジェクト33では、情報と意思決定の優位性を高めるための海軍の中心的な戦闘システムとして、艦隊海上作戦センター(MOC)も重視している。

ロボットおよび自律システム

2023年5月に国防副長官キャスリーン・ヒックスが発表し、現在インド太平洋地域で採用されている「レプリケーター構想」を基盤とするプロジェクト33により、海軍はより広範な地域で高い能力を発揮して活動することが可能になる。3 無人システムは、いつでも、複数の軸から、大量の火力を動的に投射する能力を提供する。敵対者にとって探知や反撃が困難となる能力もある。 プロジェクト33のビジョンは、より多くの弾薬をより多くのプラットフォームに、より多くの場所で提供することであり、また、C5ISR対策に重点を置いている。これは、海軍、統合軍をより致命的に、そして生存能力の高いものにする鍵となる。例えば、ロブ・ガウチャー海軍少将(潜水艦部隊司令官)が最近、本誌への寄稿記事の中で述べているように、「UUV(無人水中ビークル)により、潜水艦は情報、監視、偵察(ISR)、音響収集、海底調査など、複数の作戦を同時遂行できるようになる。UUVは、潜水艦にとっては浅すぎたり、深すぎたり、あるいは危険すぎる海域にも進入できる。これにより、潜水艦や乗組員にかかっていたリスクがロボットにシフトする。」4 

別の例として、海軍情報戦センター太平洋の「オフェンシブ・スウォーム・イネーブルド・タクティクス」プログラムでは、重要な地理的領域において、小型で消耗可能な多数のUxSを使用した自律的な群れ戦術に焦点を当てた能力の試験と実用化を行っている。5 さらに、陸軍のプロジェクト・コンバージェンスの下で自律システムに継続的に注目し、フィリピンとのバリカタン演習などに組み込むことで、統合部隊は能力を動的かつ継続的にリハーサルし、改善することが可能になる。 

シー・デナイアル/コントロールSea Denial/Control

Book Cover

米海軍

シー・デナイアル(海上阻止)とシー・コントロール(海上統制)は、いずれもプロジェクト33の主要目標である。インド太平洋地域では、統合部隊が地形を利用して敵の動きを制限する方法を模索している。開発中の従来型および新型の能力により、悪意を持つ敵にとって主要地域が荒れ地となる。新興技術において、まだほとんど実現されていない人工知能(AI)が、UxSを実現する鍵となるだろう。AIは、ISRから戦闘指揮、維持管理に至るまで、海上阻止・海上統制の全側面において、重要な役割を果たす可能性がある。軍は、産業界を後押しするために、明確な要件、ユースケース、運用概念を継続的に提示しなければなならない。そのためには、軍のリーダーはコンピュータサイエンスから工学まで、テクノロジーに精通していなければならない。こうした理由から、CNOのNavPlanは、戦闘員の能力向上につながる学習と投資キャンペーンを正しく呼びかけている。

同時に、統合軍は、現在のウクライナと中東での紛争からの教訓を「過剰に学習」してはならない。両紛争においてUxSの使用は重要であるが、それらのプラットフォームは、インド太平洋の広大な距離に対応する能力を備えた大型の独立型ペイロードを搭載可能で回復可能な自律型システムではない。

UxSの活用に加え、米国のインド太平洋軍は、指揮統制の予行演習、訓練、改善、改良を通じて、この地域の広大な戦域全体にわたる管理能力と運用能力を拡大している。これには、地域における危機や紛争に対処するために迅速に設立できる統合任務部隊レベルの指揮を認証し改善するための訓練や演習も含まれる。また、パシフィックセンチネルやノーザン・エッジなど年次合同演習、および空軍の太平洋への戦力復帰や陸軍のオペレーション・パスウェイズなどの各軍演習では、戦闘司令部レベルから各戦闘部隊に至るまで、司令部機能を大規模にテストし、指揮統制を継続的に検証・改善している。

維持

通常戦力によって提供される全領域における動的な戦闘能力は、UxSによって補完され、その地域全体で維持されなければならない。プロジェクト33の主要要素は、戦闘部隊の編成、運用、維持に必要な重要なインフラの復元だ。6  例としては、進行中の競争段階における地域での海軍活動の増加を促進するため、また紛争発生時の戦闘修復を支援するため、グアム、日本、および西太平洋のその他地域に海軍の維持インフラを前進させることが挙げられる。

統合部隊全体では、兵站在庫と部隊に関する知識と認識を向上させるツールを作成している。これは、兵站を火力と効果のプロセスの一部として扱うものである。これにより、司令官は、補給品がどこで消費されているか、どの兵站部隊が再補給を提供できるかに基づいて、地域全体にわたる兵站を理解し、任務を割り当てることが可能となり、意思決定の優位性が向上する。兵站に関する意思決定ツールに加え、統合軍は、分散型作戦を支援するために戦域における戦力態勢を改善しているが、同時に、米国の戦闘部隊を維持するあらゆる活動に困難を伴うことも認識している。海軍がプロジェクト33に継続的に重点を置き、施設やその他のインフラのグローバルなネットワークを改善・拡大することは、戦闘能力のある部隊を強化する上で極めて重要である。

Putting more players on the field includes reducing the maintenance backlog for current ships and submarines. Here, the USS Colorado (SSN-788) undergoes maintenance at Pearl Harbor Naval Shipyard in June 2024.

り多くのプレイヤーを戦場に投入するには、現有の艦船や潜水艦の整備の積み残し分の削減も重要だ。 2024年6月にパール・ハーバー海軍造船所で整備を受けるUSSコロラド(SSN-788)。 米海軍(クラウディア・ラマンティア)

統合...

ゴールドウォーター・ニコルズ法の成立以降、40年近くにわたる献身的な行動、世界中で展開される複数の軍事作戦、プロジェクト33などの近代化努力により、米軍はかつてないほど統合が進み、個々の軍種や領域ごとの要素を合算させたものよりはるかに大きな全体となっている。各軍は戦術および作戦レベルにおいて戦闘エコシステムに統合されており、統合を強化する方法を追求し続けている。8 米軍の指揮統制、演習、作戦、安全保障協力活動、および危機・紛争計画は、インド太平洋地域における戦闘力を確保し、敵対勢力を抑止し、同盟国を保証し、危機に対応し、戦争の全領域で優勢を保つために、常に実施、テスト、改善されている。

...そして統合

米国が単独で大規模な紛争に介入するシナリオは存在しないとNavPlan 2024が指摘している。そのため、米軍の指揮統制に加え、米太平洋軍は他の軍およびその司令部への支援と連携を継続的に改善している。これらの取り組みには、在日米軍をインド太平洋軍の指揮下にある統合部隊司令部として再編し、自衛隊の統合運用司令部との重要な連携先とする取り組みも含まれる。この新たな指揮統制関係と二国間能力は、日米両政府がそれぞれの枠組みを改善し、二国間での運用と能力を統合し、平時および有事における米軍と同盟軍との相互運用性と計画性を高める合意を支えるものである。

最近の例は数多くある。例えば、北朝鮮の挑発行為に対処するために、米国、日本、韓国の3カ国間で実施された強化された3カ国間防衛演習、情報共有の改善、弾道ミサイル防衛に関する協力の拡大などである。9  2024年を通じ、3カ国の同盟国は3カ国間海上演習、3カ国間空中演習(同地域で活動する米国の爆撃機を護衛)、および初の3カ国間多領域演習である「フリーダム・エッジ」を実施した。各演習は相互運用性を向上させ、複数の敵対国に対し米国の決意と結束を印象付けるとともに、将来のより良い作戦協力のための有益な教訓を提供した。

さらに南では、米国、フィリピン、オーストラリア、日本の合同パトロールが、南シナ海における中国の違法な主張を押し戻そうとするフィリピンを支援している。これらの活動は、米国が強圧的な行動に対して強力な同盟関係を結んでいることを北京に印象付ける。また、同盟国やパートナー国に対して、米国は一方的に支援するだけでなく、地域の国々を招集し、平時から相互運用性の問題について共に取り組むことができることを保証する。

こうした合同および統合演習や活動はすべて、米国の同盟関係を強化し、敵対国に対して侵略の無益さを伝える。

Chief of Naval Operations Admiral Lisa Franchetti discussed Navigation Plan 2024 and Project 33 with Seth Jones at the Center for Strategic and International Studies in September 2024. Both documents are focused on improving the Navy’s near-term readiness for crisis or conflict by 2027.

2024年9月、リサ・フランケッティ海軍作戦部長は、戦略国際問題研究所(CSIS)でセス・ジョーンズと「ナビゲーション・プラン2024」と「プロジェクト33」を話し合った。 両文書は、2027年までに海軍の危機や紛争に対する即応態勢を改善することに焦点を当てている。 米海軍(エリオット・ファブリツィオ)

ブラフを弄する時間はない

CNOのNavPlanとProject 33は、2027年までに即応態勢を改善し、危機や紛争に備えるために、積極的かつ必要な目標を設定している。わずか2年後の未来である。敵対勢力を抑止し、同盟国を保証するということに関しては、ハッタリは通用しない。米統合軍は、単独での戦闘能力と、同盟国およびパートナーとの結束した力を備え、戦い、勝利しなければならない。プロジェクト33は、インド太平洋地域におけるこうした取り組みと能力を強化し、勝利を収める能力と可能性をもたらすと確信している。■

* 本記事の執筆に協力いただいたネイサン・K・フィニー大佐(米陸軍)に感謝いたします。

1. Andrea Kendall-Taylor and Richard Fontaine, “The Axis of Upheaval: How America’s Adversaries Are Uniting to Overturn the Global Order,” Foreign Affairs 103 no. 3 (May/June 2024), 50–63.

2. ADM Lisa M. Franchetti, USN, Chief of Naval Operations Navigation Plan for America’s Warfighting Navy 2024; and James Holmes, “The Navy’s New NavPlan Sets Its Sights on China, from a Sea Denial Stance,” U.S. Naval Institute Proceedings 150, no. 9 (September 2024).

3. Joseph Clark, “Hicks Underscores U.S. Innovation in Unveiling Strategy to Counter China’s Military Buildup,” Department of Defense News, 28 August 2023.

4. VADM Robert M. Gaucher, “Maintaining Undersea Superiority: Status Report,” U.S. Naval Institute Proceedings 150, no. 10 (October 2024).

5. Maison Piedfort, “NIWC Pacific’s Swarming Experimentation Aims to Advance Autonomous Warfare,” DVIDs, 26 July 2021. 

6. Franchetti, Navigation Plan for America’s Warfighting Navy 2024

7. Salvatore R. Mercogliano, “Logistics Wins (and Loses) Wars,” U.S. Naval Institute Proceedings 150, no. 2 (February 2024); and CDR Graham Scarbro, USN, “Strike Warfare’s Inventory Problem,” U.S. Naval Institute Proceedings 149, no. 12 (December 2023).

8. See, for instance, the work of non-naval forces in support of seapower in the Indo-Pacific: GEN Charles Flynn and LTC Tim Devine, USA, “To Upgun Seapower in the Indo-Pacific, You Need an Army,” U.S. Naval Institute Proceedings 150, no. 2 (February 2024); and VADM Brian Brown, USN (Ret.), “The Challenge of Joint Space Operations,” U.S. Naval Institute Proceedings 150, no. 1 (January 2024).

9. The White House, “Fact Sheet: The Trilateral Leaders’ Summit at Camp David,” August 2023


https://www.usni.org/magazines/proceedings/2025/january/project-33-enabling-joint-all-domain-operations-indo-pacific


2024年10月4日金曜日

米駆逐艦がSM-3でイランミサイルの迎撃に成功、空母USSハリー・S・トルーマンは第六艦隊に加わるため移動中(USNI News)

 


USS バルクリーBulkeley (DDG 84) は、2024年10月1日、東地中海からイスラエルを防衛するため、イラン弾道ミサイル複数と交戦した。 US Navy Image


海軍の誘導ミサイル駆逐艦2隻が、スタンダード・ミサイル3などの兵器を組み合わせて、イランのミサイルを破壊したことを、米政府関係者が水曜日にUSNI Newsに確認した。 

 USSバルクリー(DDG-84)とUSSコール(DDG-67)は、イスラエルに向け発射されたイランのミサイルに対し、約12発の迎撃ミサイルを発射した、と国防総省は火曜日に発表した。 

 USNI News の Fleet and Marine Tracker によれば、2隻の駆逐艦はそれぞれ独立して配備され、月曜日時点で東地中海にいた。 

 国防総省のパトリック・ライダー報道官は、イランのミサイル攻撃からイスラエルを守るために駆逐艦がどのように関与したかについての詳細は明らかにしなかった。 

 イランは約200発の弾道ミサイルを発射したが、無人機や巡航ミサイルも使用したかどうかは不明だとライダーは述べた。 

 水曜日の記者団との会話で、海軍作戦部長のリサ・フランケッティ提督は、火曜日の作戦についての詳細は明かせないとしながらも、アメリカはイスラエルが自衛できることを保証することに全力を尽くしていると述べた。 

 「わがほうの艦船は、(米中央軍)司令官が望むように配置されており......このような攻撃に対応できるように態勢を整えている」と彼女は防衛ライターズ・グループの朝食会で語った。「そしてまた、昨日の報道でご覧になったように、コールとバルクレーはその防衛を行うことができました。ですから、私たちは中東で起こるいかなる行動にも、世界の他の地域と同じように備えているのです」。 

 フランチェッティ作戦部長は、空母打撃群と水陸両用即応集団が、海兵遠征部隊を伴って中東に計画配備されていることを指摘した。「私の責任は、彼らが訓練され、人員配置され、認定され、準備が整っていることを確認することであり、彼らのスケジュールを管理することである」。 

 水曜日時点で、USSハリー・S・トルーマン(CVN-75)は米第6艦隊に加わり、東地中海に向かっていると、国防当局者が水曜日にUSNIニュースに語った。 ヴァージニア州ノーフォーク海軍基地から9月23日出港した同空母は、アゾレス諸島付近で活動中で、今週後半に到着する予定。 

 トルーマンは、7月に長期展開から帰還したUSSドワイト・D・アイゼンハワー(CVN-69)以来、東海岸から展開する最初の空母である。 ロイド・オースティン国防長官の命令により、昨年10月のハマスによるイスラエル南部への攻撃以来、米空母は中東と東地中海にほぼ常時駐留している。 

 月曜日の時点では、西海岸を拠点とする空母USSエイブラハム・リンカンCVN-72)が、現在進行中の米軍のプレゼンス活動を支援するため、オマーン湾で活動している。 

 空母に加え、第24海兵遠征隊が乗艦する3隻のワスプ水陸両用準備集団が、レバノンからの非戦闘員の避難に備えて東地中海にいると、国防当局者がUSNIニュースに語った。■


U.S. Destroyers Successfully Down Iranian Missiles with SM-3s, Carrier USS Harry. S. Truman Now in U.S. 6th Fleet

Mallory Shelbourne and Sam LaGrone

October 2, 2024 6:02 PM

U.S. Destroyers Successfully Down Iranian Missiles with SM-3s, Carrier USS Harry. S. Truman Now in U.S. 6th Fleet - USNI News


2022年11月3日木曜日

SSBNコロンビア級投入までのつなぎにオハイオ級の耐用年数延長が始まる

  

2021年6月28日、ジブラルタル港に到着したUSSアラスカ(SSBN-732)。US Navy Photo

古参の潜水艦5隻が3年の寿命延長の候補だと、米海軍当局が発表した。

修理期間18ヶ月で、海軍が戦略核の不測の事態に備えミサイル原潜10隻の増加をサポートするため、オハイオ級核弾道ミサイル潜水艦SSBN5隻を対象にすると、戦略潜水艦プログラムを統括するスコット・パパーノ少将Rear Adm. Scott Pappanoは、海軍潜水艦連盟の年次シンポジウムで述べた。

この計画は、2030年10月に最初のパトロールを開始する予定の次期SSBNコロンビア級の初号艦USS District of Columbia (SSBN-826)以下コロンビア級の就役までのつなぎとなる。

パパーノ少将は、「コロンビア級が稼働し、オハイオ級が退役する2030年代が、リスクが最も高い時期になる」と述べた。

今後のSSBNは、初期問題が発生する可能性のある新造艦と、部品故障のリスクが高い最古参オハイオ級が並立すると、パパーノ少将は述べた。

事態を複雑にしている要素としてパパーノ少将は、次期戦略兵器トライデントII D5 Life Extension IIミサイルのテストプログラムがあり、これはSSBN各級でテストする必要がある、と述べている。

新ミサイルはコロンビア級9号艦から搭載され、12号艦まで継続されるが、同級の以前の8隻の潜水艦は後日装備を受けるとパパーノ少将は述べた。このプログラムでは、ミサイルの老朽部品を交換し、2060年代まで寿命を延ばす設計とする。

不活性化前制限使用(PIRA)を受ける初号艦は、USSアラスカ(SSBN-732)で、早ければ2029会計年度に始まる可能性があると、パパーノ少将は述べた。海軍は、確立ずみプロセスに基づき、調達に時間がかかる材料を確保するため、2025年または2026年までにPIRAを進めるかを決定すると、海軍作戦本部(OPNAV N97)の潜水艦戦担当ディレクターダグ・ペリー少将Rear.Adm. Doug Perryが述べた。

「潜水艦の寿命延長の評価プロセスは、高度なまで標準化されたプロセスだ」。「すべての潜水艦は、引退時期が近づくと、艦の物理的な状態の見直しを指示されデータを収集します。艦のすべての部品、長年にわたるメンテナンスの履歴データをすべて見ます。それをデータベースに取り込み検討します」(ペリー少将)。

オハイオ級SSBNの耐用年数を延ばすという今後の作業の鍵を握るのは、同級で最も古い原子力誘導ミサイル潜水艦(SSGN)4隻だ。

海軍は同級を当初の30年の耐用年数から42年に延長している。うち最初の2隻、USSオハイオ(SSGN-726)とUSSフロリダ(SSGN-728)は2026年度に退役する予定で、その後、核弾頭付きトライデントミサイルではなく、トマホーク対地攻撃ミサイル搭載用に改造された残りの3隻が続く。

パパーノ少将は、SSGN4隻が退役を始めると、海軍は艦の破壊試験を行い、他のオハイオ艦がどこまでの寿命を得られるか、退役艦から剥ぎ取れる部品を確認すると述べた。

コロンビア級計画に関しては、建設はほぼ予定通りに進んでおり、ミスは許されないとパパーノ少将は記者団に語った。

COVID-19の遅れと、General Dynamics Electric BoatとNewport Newsが潜水艦建造に使用するデジタル設計システムの初期不調が重なり、海軍が建設予定スケジュールに組み込んだ6ヶ月のバッファは、1ヶ月に減ったとパパーノ少将は明らかにした。

海軍と造船企業は、コロンビア艦12隻の建造だけでなく、バージニア級攻撃型潜水艦を年に2隻納入する需要に対応するため、今後10年間にわたり造船所労働者を毎年約1万人確保する必要がある。

パパーノ少将は、新型潜水艦建造のスケジュールを達成で唯一最大の障壁に、労働力を今年初めに取り上げていた。

「訓練は請負業者に任せてきた。そんな贅沢はもう言っていられない」と8月に語っている。■

Navy Could Extend Life of Five Ohio-class Ballistic Missile Boats to Hedge Against Columbia Program Delays - USNI News

By: Sam LaGrone

November 1, 2022 6:12 PM

   Report to Congress on Columbia-class Nuclear Ballistic Missile Submarine Program

Sam LaGrone is the editor of USNI News. He has covered legislation, acquisition and operations for the Sea Services since 2009 and spent time underway with the U.S. Navy, U.S. Marine Corps and the Canadian Navy.

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2022年4月3日日曜日

2023年度国防予算要求の概要② 米海軍省の艦艇、航空機関連の動向

 

今回退役の対象とされる巡洋艦は5隻

海軍は、5年間で36億ドルを節約するため、来年度に艦船24隻を退役させたいと発表した。

2023年度予算要で、海軍はフリーダム級沿海域戦闘艦(LSC)9隻、タイコンデロガ級巡洋艦5隻、ロサンゼルス級潜水艦2隻、揚陸ドック艦4隻、給油艦2隻、遠征転送ドック2隻を退役させる。

LCSの退役について、海軍予算担当副次官補ジョン・ガンブルトンJohn Gumbleton は、コンステレーション級フリゲート艦が対潜能力を持つため、LCSの対潜戦任務が不要となるとした。

「LCSのASW能力を見ての決定です。ASWのミッション・モジュールは、大きな課題を抱えたまま、うまくいきそうにありません。浮いた予算で4隻目のフリゲート艦を導入します。4隻目には効果的なASW能力があると思われるので、LCSポートフォリオでリスクを取ることにした」と、ガンブルトンは記者団に語っている。

コンステレーション級フリゲート初号艦は2026年の納入予定であり、初期運用能力獲得は2030年となる。

「フリーダム級には、駆動系で問題があります。ただしその修正は法外な金額ではありません」と、ガンブルトンは9隻のLCSに言及した。「しかし、艦種2つを維持する代わりに、艦種を一つに絞れば、節約が可能になります。それで今回の決定になったのです」

USSフォートワース(LCS-3)は、海軍が退役させたいLCS9隻の1隻。海軍は2021年度と2022年度にフォートワースを退役させようとしたが、議会が阻止した。フォートワースは2012年に就役した。フリーダム級LCSは、ガスタービンとディーゼルエンジンを結合するコンバイニングギアで問題が発生したが、フォートワースには別のコンバイニングギア機構を備えている。

海軍次官メレディス・バーガーMeredith Bergerは、LCSの9隻退役について聞かれ、「費用のかかる修理やメンテナンスから解放される」と述べた。

海軍関係者は、2023年度予算要求について、改訂版の国家防衛戦略、カルロス・デルトロ Carlos Del Toro海軍長官の目標、海軍作戦部長マイク・ギルデー大将Adm. Mike Gildayの優先事項である即応性、近代化、能力を満たすものと説明している。

 

「この環境下で、艦隊を持続可能とする決定をした。そのため、予算内で維持不可能な対象には予算をつけていない」と、バーガーは記者団に語った。「また迫りつつある脅威に対し、最高度に有能かつ準備の整った艦隊と部隊を作るため、現有装備の調整を確実に進める。そのため、短期的には、準備体制があがり、より致命的で、より能力の高い艦隊が生まれる。長期的には、艦隊の規模も増える」。

艦船合計24隻を退役させると、海軍は将来防衛計画(国防総省の5年間の支出見通し)全体で36億ドル節約できると、ガンブルトンは述べた。

ただ、24隻のうち16隻は耐用年数に達しておらず、海軍は特例を求める必要がある、とガンブルトンは指摘する。

「巡洋艦も注目されていますが、5隻中4隻が耐用年数に達しています。早期退役を求めるのは1隻のみ」と述べた。

USSフォートワース(LCS-3)、カリフォーニア州サンディエゴ海軍基地にて。 Feb. 15, 2022

だが今後数年間で、艦隊規模は縮小する。米海軍の戦闘艦艇数は2022年度に297隻だが、2023年度には285隻、2024年度2025年度は287隻、2026年度に284隻、2027年度には280隻に減少する。

2023年度の海軍造船会計では、アーレイ・バーク級フライトIII 駆逐艦 2隻、バージニア級攻撃型潜水艦 2隻、コンステレーション級フリゲート 1 隻、サンアントニオ級揚陸輸送艦1 隻、アメリカ級強襲呂揚陸艦1隻、 T-AO-205 ジョンルイス級給油艦1隻、T-ATS6 ナバホ級救難艦1隻、計9隻を 279 億ドルで購入する。

海軍省の 2023 年度予算要求は、海軍が 1,805 億ドル、海兵隊が 503 億ドルで、合計 2,308 億ドル。海軍は2023年度比5.4%増の533億5千万ドルの調達資金を要求する。また、運用・整備費に614億2000万ドル、人件費に411億9000万ドル、研究開発費に210億2000万ドル、軍事建設費・家族住宅費に31億3000万ドルを要求している。

海兵隊は、調達費に122億3000万ドル、運用・保守費163億ドル、人件費172億9000万ドル、軍建設・家族住宅資金14億6ドル、研究・開発資金306億ドルを要求。

ガンブルトン氏によれば、要求はインフレを考慮し、海軍は5%、海兵隊は2%の「実質成長」となる。海軍省によると、海軍の要求額1805億1000万ドルは、2022年度の1722億6000万ドルに対し4.8%の増加、海兵隊の要求総額503億ドルは、1.8%の増加となる。

海軍は、耐用年数延長プログラムで上陸用舟艇エアクッション2機のオーバーホールと、艦船海岸接続装置2基と中古輸送船2隻の購入も要求している。

2023年度には、コロンビア級弾道ミサイル潜水艦計画やフォード級空母の購入はないが、海軍は両計画で段階的な資金投入を必要としている。ガンブルトンによると、海軍はフォード級で増予算29億ドルを要求している。フォード級空母は現在、ハンティントン・インガルス工業Huntington Ingalls Industriesのニューポート・ニューズ造船所Newport News Shipbuildingで3隻建造中。

今回の計画では次世代駆逐艦 DDG(X) の開発に取り組む中で、アーレイ・バーク級フライト III駆逐艦の複数年調達を再度実施する可能性が出てきたことがわかる。また、2023年度から2027年度にかけて、バージニア級攻撃型潜水艦を年間2隻購入する予測だ。

 

航空機材調達勘定では、海軍省は168億ドルを要求する。 内訳は、海軍が F-35C ライトニング II 共用打撃戦闘機JSF(9)、海兵隊が F-35C(4)、F-35B 短距離離陸・垂直着陸機(15)、海軍のE-2Dアドバンストホークアイ(5)、多発訓練システム機(6)、海兵隊向け多発式訓練システム(4)、海兵隊向けKC-130J(5)、海兵隊向けCH-53Kキングスタリオンヘリコプター(10)、海軍向けTH-73A訓練ヘリコプター(21)、TH-73A訓練ヘリコプター(5)機、海軍向けMQ-4Cトライトン(3)、海軍向けMQ-25Aスティングレイ(4)、海兵隊向けMQ-9Aリーパー(5)の合計96 機で168 億ドルの調達となる。

F-35Cの要求は、海軍のこれまでの想定から減少している。2022年度予算で議会に提出した説明資料では、2023年度に20機のF-35Cを購入を予測していたが、今回の要求では海軍海兵隊で13機しか求めていない。

「JSFの要求を下げたのは、バランスのためです。つまり、艦船建造のポートフォリオ、航空ポートフォリオ、兵器、研究開発とバランスをとるということ」とガンブルトンは「JSFを増やしたかったが、バランスを重視した」と記者団に語った。

兵器調達については、2023年度は、海兵隊に115基、海軍に39基の海軍打撃ミサイルを含む総額47億ドルを求める。

人員については、海軍は2023年度から2027年度に約1万人の乗員を削減する。

インフラ面では、造船所インフラ最適化計画(SIOP)で2023年度に17億ドルを要求しており、海軍の公的造船施設改修210億ドルの一部となる。

要求には、軍人と民間人双方向け4.6%賃上げの予算も含まれている。■

FY 23 Budget: Navy Wants to Shed 24 Ships for $3.6B in Savings Over Next Five Years - USNI News

By: Mallory Shelbourne

March 28, 2022 1:35 PM • Updated: March 28, 2022 5:20 PM

 



2021年12月12日日曜日

米海軍のスーパー駆逐艦ズムワルトが艦体に錆を走らせたまま、第一線配備が進んでいない状態についてSNSで関心が広まっている。

 

@CRJ1321 VIA @WARSHIPCAM

 


海軍に三隻しかないDDG-1000級駆逐艦の一号艦USSズムワルトは南カリフォーニア沖合で試験評価と訓練を続けているが、5年前に就役したものの、サンディエゴ湾を定期的に出入りする状況が続いている。二号艦USSマイケル・マンソー(DDG-1001)もサンディエゴに到着し、艤装工事と公試に入った。だがズムワルトの外観がここにきて輝きを失っている。レーダー波吸収タイルの一部が脱色しており、艦体に錆が見られる。

 

 

@CRJ1321撮影の写真がツイッター@Warshipcamに掲載されているが、同艦は通常のきれいな状態と異なる外観だ。


 

米海軍自慢のスーパー駆逐艦に錆が広がっていることにソーシャルメディアの関心が広がりを見せている。

 

長期間展開する艦艇を高ピッチで運用した場合は、整備の整った基地に停泊されたままの状態と異なり、艦の状態が悪くなることはよくある。「錆の広がり」は議論を呼ぶが、艦が動く限りは大きな問題ではないとの意見もある一方、海軍内に大きな問題がある証拠で憂慮のタネだとの意見もある。

 

同艦の外観での言い訳として、そもそも同艦乗組員が最小規模で設計されており、DDG-1000級はアーレイ・バーク級よりはるかに大きいものの、乗組員数は半分程度の175名で、しかもこれは実戦投入時の定員だ。

 

自動化の採用で省人化を進めているとは言え、肉体労働は必要であり、DDG-1000の清掃対象が広い。ズムワルト級乗員は低視認性塗料の維持もこなす必要があり、艦体には従来艦より曲面が多く錆発生への対応が大変だ。このため、ズムワルト、マイケル・マンソーの艦橋は複合材とし錆の発生を少なくしている。ただし姉妹艦USSリンドン・B・ジョンソン(DDG-1002)の艦橋は鋼鉄製に変更されている。

 

ズムワルトがいつ第一線配備になるか不明だが、現時点で初期作戦能力は獲得済みのはずだ。米会計検査院(GAO)は主要米軍装備品事業について最新の報告書で同級について以下述べている。

2020年9月時点で海軍は169百万ドルの予算要求でDDG 1000級の少なくとも一隻に新装備4種類の搭載を想定している。さらに追加予算を要求し、残る各艦への装備搭載を進めるとしている。海軍は各装備品は艦艇搭載に向け成熟化済みと主張するものの、搭載の完了は2021年12月の初期作戦能力獲得から数年先となる。このためDDG 1000級各艦は少なくとも2025年までは想定した作戦能力を下回る状態のままとなる

 

ズムワルトの近況について海軍に照会している。同艦は巨額の予算を投じ物議を醸しだしたものの、このような状況に置かれているのは不幸とした言いようがない。外観のみじめさのため、同艦が初めて出動した際の成果予想に陰りを落としてる。

 

海軍省は以下返答してきた。

USSズムワルト(DDG 1000)は高度消磁テストを終え12月9日母港に入港した。水上艦部隊には常に錆との戦いがある。運用環境の厳しさのため乗員は懸命に錆対策を整備中に行い、艦艇の戦力維持のため乗員訓練が必要だ。

The Navy's $9B Stealthy Super Destroyer Is Covered In Rust


 

The controversial futuristic warship looked less than gleaming as it pulled into San Diego Bay recently.

BY TYLER ROGOWAY DECEMBER 10, 2021