ラベル 無人飛行船 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 無人飛行船 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2020年3月14日土曜日

ハイテク飛行船が無人機空母になる、空母部隊を上空から支援する日がやってくる(?)

現代のハイテク飛行船が海軍作戦を支援する図が実現するのか。無人機との組み合わせで空中空母になればすばらしいのですが....

海軍は1930年代に飛行船を運用し、発想はよかったが実践で想定通りにいかなかった経緯がある。
1930年代で終焉した飛行船運用構想を米海軍は復活すべきとの論考が米海軍協会紀要に掲載された。
著者カイル・ミゾカミは大型飛行船を無人航空機の母機に採用すべきという。米海軍では80年前のアクロン級飛行船の復活になるが、飛行船で航空母艦を補完できるという。
「UAVを搭載した今日版のアクロン級飛行船を実現する技術はすでに存在している」(ミゾカミ)
海軍の公式ウェブサイトはアクロン級飛行船二機の短い供用実績に触れている。全長785フィート、時速50ノット、乗員89名で長距離飛行可能だった同級は機関銃6丁を搭載し、戦闘機4機を発進、改修する複雑な取り扱い装置もついていた。
「当時の技術を考えると3千マイルを移動し、素材の欠陥や航法技術の未熟さを克服したのは傑出した成果だったといえる」と歴史に詳しいリチャード・スミスが著している「1932年当時、それだけの航続距離を有する機体は存在しなかった」
だがアクロンは1933年に墜落し73名が死亡した。姉妹船メイコンも1935年墜落し二名の生命を奪った。海軍は艦載機運用を重視し飛行船使用を中止した。だがミゾカミは飛行船運用を再検討すべきと主張する。
高高度上空の飛行船にセンサー、ネットワーク機能を搭載すれば空母より早く到達しつつ数日間数週間も現地に留まれる。無人航空機数十機を搭載し、それぞれがレーダー、電子光学式等のセンサーを運用すれば母船のセンサー探知距離を拡大し水上部隊の目となる。無人機には兵装搭載も可能で対艦、対潜攻撃の他ヘリコプター等低性能機材の攻撃や対地攻撃も可能だろう。
攻撃型飛行船は水上艦の代替にならないが、補強効果が期待でき、分散攻撃力の実現手段として海兵隊等地上部隊の支援もできる。飛行船多数で広大な海域に警戒網を敷けば、敵脅威が低い海域である前提なら、有益な効果を生むだろう。
2005年にアメリカンブリンプ社のA-170一機MZ-3Aを海軍が調達した。同機は全長178フィートで最高時速40ノットで、ヘリウムを充填したA-170は数千フィートの低空での性能が最高になる。
同機はニュージャージー、メリーランドで各種センサーを搭載し試験された。「機体の大きさや空力特性上の制約があるが、飛行船は固定翼機回転翼機よりはるかに短期間かつ効率の良い開発が可能だ」と海軍高システムズ本部は説明している。
2010年にMZ-3Aはアラバマへ展開し、ディープウォーターホライゾン石油掘削事故の後始末を支援した。MZ-3Aの調達運航コストは2006年から2012年通じ360万ドルだった。
海軍はMZ-3運航を2013年に終了した。「予算不足の理由でなく、投入すべきミッションがないためだ」との説明で、予算は高高度飛行無人機やF-35Bに流用された。
それでもミゾカミは自説を曲げない。「海軍航空運用の100年超の実績で各種構想を試してきた。水上戦闘機など実現しなかったものもある。飛行船空母構想は逆に復活してもおかしくない。経費上の問題はあるが航空母艦の将来は保証されているように見えるが、次代の艦隊が画期的な航空戦力の放射手段を伴い展開するのは確実に思える」■

この記事は以下を再構成したものです。

Not Dead Yet: What If the Navy Revived Flying Aircraft Carriers?

Could it be?
by David Axe 
March 13, 2020  Topic: Technology  Region: Americas  Blog Brand: The Buzz  Tags: USS AkronNavyU.S. NavyMilitaryTechnologyWorld


2016年2月15日月曜日

無人飛行船でミサイル防衛まで期待するJLENSは再稼働に向かっているとNORADが発表



After Blimp's Wild Ride, JLENS Program Will Fly Again, NORAD Says

By Jen Judson, Defense News 4:10 p.m. EST February 11, 2016

US Army's Joint Land Attack Cruise Defense Elevated Sensor System (JLENS) launch(Photo: Senior Airman Tiffany DeNault/US Air Force)
WASHINGTON — 共用陸上攻撃・巡航ミサイル防衛用空中ネットセンサーシステムJoint Land Attack Cruise Missile Defense Elevated Netted Sensor System (JLENS)はメリーランドで制御不能となり、係留用ケーブルをひきずったままペンシルバニア方向へ漂流する事件を昨年秋に発生させたが、運用試験は再開に向かうようだ。
  1. 事故調査の報告書がまとまり、関係機関の間でJLENSは再開の調整にはいった。火器管制用飛行船の新造追加、人員訓練、提言内容の実施の他予算の増額が必要と北米防空司令部(NORAD)および米北方軍の報道官べス・スミス少佐がDefense Newsに述べている。
  2. JLENSはメリーランド州アバディーンの実験施設で係留から外れ、ペンシルベニアへ漂流した。途中の送電線を係留ロープが切断し広範囲で停電が発生している。追跡にF-16が2機発進し、ペンシルバニア州内の移動を見守った。途中で内部の気体が漏れはじめ高度を下げ、最終的にゆっくりと着地した。州軍が発砲し、飛行船を完全にしぼませた。
  3. JLENSはレイセオンが製作し、火器管制用と測定用の飛行船二機で構成し、三年間の運用実験に入っていた。
  4. 同システムは多数の小舟艇や移動体を追跡するとともに巡航ミサイル探知も行う構想で、ヴァージニア州ノーフォークからボストンまで一度に「見る」能力がある。米陸軍は現在の二機以上を導入するのか、メリーランドでずっと係留したままにするのかを演習で決めるはずだった。
  5. 陸軍戦闘即応センターと巡航ミサイル防衛システムの共用防衛装備準備室が出した結論はJLENS漂流の原因は設計上の瑕疵ではなく、設計、運用上の人的ミス、手順上の問題が複合したためととスミス少佐は説明。
  6. 尾部フィン内の空気圧が低下し事故が発生したと分かったとスミス少佐は紹介。低下の原因は「パイロットチューブ、つまり気圧感知装置の作動不良」だという。気圧が低下した飛行船は空中で不安定になった。
  7. 「空力効率がなくなった反面抗力がふえたことで係留ケーブルに張力が増し切断に至った」(スミス)
  8. 調査結果は軍内部に伝わり、アシュ・カーター国防長官も説明を受けた。長官もJLENSの運用試験継続を認めている。
  9. NORADおよびNORTHCOM司令官ビル・ゴートニー海軍大将は声明文で「JLENSは他にはない巡航ミサイル防衛機能を我が国の統合防空システムのうち首都地区で実現するもの。同事業を継続することが国益上最善の選択である。事故調査で原因を詳しく調べたため、同飛行船の安全な運航再開にめどがついたと確信している」と発表。
  10. 次は議会がJLENSをどうするか決定する番だ。予算は2016年度に30百万ドル削減されている。その結果、使える資金は10.5百万ドルしかない。削減理由は「テスト日程の遅延」だった。
  11. オバマ大統領の2017年度予算要求ではJLENSに45.5百万ドルを求め実戦演習の実施を想定している。陸軍が2018年度にはわずか6.7百万ドルの予算を計上する予定になっているのが注目される。同年度は実験演習の最終年度だ。
  12. 2017年度予算要求では「新規装備の訓練、JLENS演習の実施によりNORAD/NORTHCOMのノーブルイーグル作戦を支援すること、および政府によるJLENS演習の実施支援」の想定がわかる。
  13. 前回の事故で破損した装備の補修や対策の実施に予算が必要だ。また保管中のJLENSの「再稼働」も予算に含まれると予算要求文書は述べる。■