現代のハイテク飛行船が海軍作戦を支援する図が実現するのか。無人機との組み合わせで空中空母になればすばらしいのですが....
米海軍は1930年代に飛行船を運用し、発想はよかったが実践で想定通りにいかなかった経緯がある。
1930年代で終焉した飛行船運用構想を米海軍は復活すべきとの論考が米海軍協会紀要に掲載された。
著者カイル・ミゾカミは大型飛行船を無人航空機の母機に採用すべきという。米海軍では80年前のアクロン級飛行船の復活になるが、飛行船で航空母艦を補完できるという。
「UAVを搭載した今日版のアクロン級飛行船を実現する技術はすでに存在している」(ミゾカミ)
海軍の公式ウェブサイトはアクロン級飛行船二機の短い供用実績に触れている。全長785フィート、時速50ノット、乗員89名で長距離飛行可能だった同級は機関銃6丁を搭載し、戦闘機4機を発進、改修する複雑な取り扱い装置もついていた。
「当時の技術を考えると3千マイルを移動し、素材の欠陥や航法技術の未熟さを克服したのは傑出した成果だったといえる」と歴史に詳しいリチャード・スミスが著している「1932年当時、それだけの航続距離を有する機体は存在しなかった」
だがアクロンは1933年に墜落し73名が死亡した。姉妹船メイコンも1935年墜落し二名の生命を奪った。海軍は艦載機運用を重視し飛行船使用を中止した。だがミゾカミは飛行船運用を再検討すべきと主張する。
高高度上空の飛行船にセンサー、ネットワーク機能を搭載すれば空母より早く到達しつつ数日間数週間も現地に留まれる。無人航空機数十機を搭載し、それぞれがレーダー、電子光学式等のセンサーを運用すれば母船のセンサー探知距離を拡大し水上部隊の目となる。無人機には兵装搭載も可能で対艦、対潜攻撃の他ヘリコプター等低性能機材の攻撃や対地攻撃も可能だろう。
攻撃型飛行船は水上艦の代替にならないが、補強効果が期待でき、分散攻撃力の実現手段として海兵隊等地上部隊の支援もできる。飛行船多数で広大な海域に警戒網を敷けば、敵脅威が低い海域である前提なら、有益な効果を生むだろう。
2005年にアメリカンブリンプ社のA-170一機MZ-3Aを海軍が調達した。同機は全長178フィートで最高時速40ノットで、ヘリウムを充填したA-170は数千フィートの低空での性能が最高になる。
同機はニュージャージー、メリーランドで各種センサーを搭載し試験された。「機体の大きさや空力特性上の制約があるが、飛行船は固定翼機回転翼機よりはるかに短期間かつ効率の良い開発が可能だ」と海軍高システムズ本部は説明している。
2010年にMZ-3Aはアラバマへ展開し、ディープウォーターホライゾン石油掘削事故の後始末を支援した。MZ-3Aの調達運航コストは2006年から2012年通じ360万ドルだった。
海軍はMZ-3運航を2013年に終了した。「予算不足の理由でなく、投入すべきミッションがないためだ」との説明で、予算は高高度飛行無人機やF-35Bに流用された。
それでもミゾカミは自説を曲げない。「海軍航空運用の100年超の実績で各種構想を試してきた。水上戦闘機など実現しなかったものもある。飛行船空母構想は逆に復活してもおかしくない。経費上の問題はあるが航空母艦の将来は保証されているように見えるが、次代の艦隊が画期的な航空戦力の放射手段を伴い展開するのは確実に思える」■
この記事は以下を再構成したものです。
Not Dead Yet: What If the Navy Revived Flying Aircraft Carriers?
Could it be?
March 13, 2020 Topic: Technology Region: Americas Blog Brand: The Buzz Tags: USS AkronNavyU.S. NavyMilitaryTechnologyWorld
ミゾカミさん、典型的な「手段と目的を取り違えちゃってる人」にも見えますが・・・、
返信削除順番としては、まず最初に「達成すべきミッション」があって、その次に「ミッション達成に必要な機材」ですからねえ。
「この機材があれば、こんなミッションができる!」といった発想は、およびじゃないわけですな、軍隊は。