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C-17をミサイル運用機に転用する柔軟な思考はどこから生まれるのか

限られた資源の中でどうしたら戦力を最大化できるか、を考えると過去の延長線上に答えはなく、全く新しい発想が必要ですね。今回の事例は目的(兵装搭載量の少ないステルス戦闘機を補う兵力を最前線に実現する)から考えた結果で、この発想は「ブレイクスルー思考」につながります。ご関心の向きは日本企画計画学会のウェブサイトhttp://www.bttnet.com/jps/index.htm
をご参照ください。
国は将来戦への対応を模索している。そのひとつが輸送機に攻撃能力を付与する構想だ。
米空軍は「戦闘用途機材」の定義を見直し、弾薬多数を投入する方法を検討中だ。その中で輸送機を転用する案が浮上している。
空軍が「実験を企画中で上層部が重武装機構想の進捗で説明を受けた」とAir Force Magazineが2019年11月に伝えていた。
同構想は2016年に初めて検討された。「複数エンジン」搭載の重武装機は大量の「ネットワーク対応可能で半自律型兵器」を搭載し、他装備が把握した標的に発進させると空軍は構想を映像で発表していた。
ペンタゴンの戦略戦力整備室が重武装機構想を打ち出した。構想では「最古参機材をあらゆる種類の通常兵装の空中発射台に変える」とあった。アッシュ・カーター国防長官(当時)は「重武装機は大型空中弾倉の役目となり、第5世代機向けの前方センサーであり標的捕捉手段にもなる」と2016年に述べていた。
対象機にB-52を転用するとの見方が強かった。1960年代製のB-52は「旧式」かつ「エンジン複数」を搭載機材にあてはまるためだ。
重武装機構想の前に空軍はハイエンド戦を想定しB-52に長距離兵器の発射機能を想定したことがある。重武装機構想はB-52の運用概念の延長線上で同機のセンサー、通信機能、ハードポイント、兵装庫だけ手直しすればよい。
ただ記事では輸送機の改装でこの役目がこなせると指摘していた。だがC-17だと大幅改装をしないと兵装発射ができない。またC-17は電子対抗措置も脆弱だ。
「C-17は大規模作戦の開始時に高い需要となる」とマイク・ガンジンガー(ミッチェル航空宇宙研究所アナリスト)は述べる。「そのような機材を部隊展開用でなく攻撃に投入するのでは理屈に合わない」
だが空軍が重武装機取得に向かうことは理屈にあう。F-22やF-35が機内搭載できる兵装は少量だからだ。
F-22の標準装備は空対空ミサイル4本と1,000ポンド爆弾二発だ。F-35では空対空ミサイルはわずか2本で2,000ポンド爆弾二発を機内に搭載する。これに対し、ロシアや中国の戦闘機はステルスを気にしなければミサイル、爆弾を10発以上搭載できる。
米戦闘機部隊は敵勢力より少ない兵装で戦闘に臨むことになる。そこで重武装機が前線後方からミサイル多数を発射できれば、兵装量の不足を補う効果が生まれる。
重武装機構想発表の直後に米空軍の戦闘形式に詳しいブライアン・ラスリーは「奇抜だが全く新しい構想だ」とThe Daily Beastに述べた。「だが戦闘機が不足気味でしかも搭載兵装量が少ないところに敵が戦闘力を高めている中、ペンタゴンはなりふりかまわず新構想を試さざるを得ないと考えているのだろう。鈍足で非ステルスの大型爆撃機で高速ステルス戦闘機を支援するということか」
結局、爆撃機でなくてもよいのだ。■

この記事は以下を再構成しています。

Missile Plane: How the C-17 Cargo Plane Could Be Modified to Carry Deadly Weapons

It would be a powerful weapon.
by David Axe 
March 19, 2020  Topic: Security  Region: Americas  Blog Brand: The Buzz  Tags: C-17Arsenal PlaneMilitaryTechnologyAir Force


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