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F-35は新型無人機XQ-58Aに勝てるのだろうか

国が西太平洋で中国と対決する日が来れば、最前線を飛ぶのは安価な無人航空装備になっているかもしれない。
ロッキード・マーティンF-35に未解決の課題3点がある。稼働率を高く維持したくても機体があまりにも複雑な構造なこと。航続距離が圧倒的に足りないし、運行経費が高い。これに対しクレイトス・ディフェンス&セキュリティのXQ-58Aヴァルキリーは実験段階の無人航空機(UAV)だが、F-35の任務の多くをこなしつつ、近代戦での残存性が優れている。
有人戦闘機は攻撃に脆弱
F-35では機体構造が複雑すぎ、信頼性が劣る結果が生じている。事業開始から26年が経過しているが米国防総省の運用テスト評価部長ロバート・ベーラーはF-35各型で信頼性が65%以上の機体はなく、故障が頻発し、修理に長時間が必要になていると指摘している。
二番目にF-35Aの作戦半径はおよそ675カイリ(1,250キロ)で中国がUAV、弾道ミサイル・巡航ミサイル多数を投入しているが、多くはこの半径を超えている。中国は第一列島線、第二列島線の米軍基地をミサイル、無人機で攻撃してくるだろう。
このためF-35が安全運行できるのは遠隔地の基地からで、空中給油機がないと戦闘に加われない。給油機にステルス性がないため、中国はこの撃破を目指した戦術や兵装を開発してきた。空中給油ができないとF-35は戦闘に加われない。
だが戦闘機で最大の問題は新型かつ安価な技術により戦闘機の任務を数分の一程度の予算で実現できるようになったことだ。XQ-58Aは滑走路以外の場所から運用でき、ステルス性があり(正しき体表面に塗布材料はつかない、有効半径は3,000カイリがあり、マッハ0.72で巡航し、270Kgの兵装搭載能力がある。
ステルスモードのF-35では小半径爆弾なら8発、空対空ミサイルは4本しか機内搭載できない。ロッキードは空対空ミサイル6発の搭載が可能となったと述べている。ロット13のF-35Aの機体単価は80百万ドルになるが、この数字は機材の最終価格ではない。テスト中にまだ多くの欠陥が見つかっており、解決が間に合わない。
F-35の耐用期間は8千時間といわれ、一時間あたり運行経費は2018年に44千ドル、2024年度に34千ドルに下がる。そうなるとF-35A一機の調達運用コストは352百万ドルから432百万ドルの間になる。これに対しクレイトスはヴァルキリーの販売価格を100機製造の場合で2百万ドルに設定している。また同機は自律飛行型であり、パイロット技能の維持に毎月飛行時間を計上する必要がない。
自律型ヴァルキリーでは人件費がさらに削減できる。整備陣および航空基地の経費や各専門職養成費用や退職金、健康保険料も不要だ。
この計算ではF-35一機の導入運用コストでX-58が300機調達できることになる。供用期間通じてヴァルキリー4機がF-35A1機の約四十分の一程度の費用ですむ。また航続距離の長さを生かしヴァルキリーはF-35では到達不可能な地点も標的にできる。
さらに重要な点としてヴァルキリーなら中国の偵察攻撃部隊に勝てる。F-35では無理だが、ヴァルキリーに固定運用基地は不要だ。クレイトスは標準貨物コンテナーでヴァルキリー運用を実証中だ。つまり発進するまでコンテナー内部に格納されたまま居場所を探知されない。この機能を使えば同機は平滑な場所ならどこからでも発進し、どの場所でも回収できる。また中国の攻撃兵器の有効射程外からも運用できる。 
XQ-58Aの性能はF-35の数分の一にeすぎなくても、2つの局面でうわまわる性能がある。航続距離と地上での残存性だ。F-35がいかに高性能でも航空基地を攻撃されれば残存が危うくなる。ヴァルキリーは地上で撃破を免れる可能性が高く、F-35の僚機となる日が遠からず将来に実現しそうで、F-35の後継機種とも組んで供用されそうだ。■
TX Hammes is a Distinguished Research Fellow at the USA’s National Defense University. The views expressed are his own and do not reflect the official policy or position of the National Defense University, the DoD, or the government. He is the author of Deglobalization and International Security
この記事は以下から再構成しています。
F-35 v Valkyrie: range, payload, cost and survivability
3 March 2020

コメント

  1. 先日トルコの無人機がシリアのパンツィーリS1を撃破しましたが、無人機は極端に言うと「帰ってこなくても良い」ので勝てるかわからない強力な敵にも突っ込める利点があります。
    対中国やロシアのようなハイエンド戦では大きなメリットになるでしょう。

    返信削除
  2. F-35についてはちょっと悪意のある書きかたすぎやしませんかねぇ。
    空中給油については無人機も選択肢になりつつあるし、ビーストモードについては無視ですか。そうですか。

    ヴァルキリーは確かに魅力的な選択肢だけれど実用上は戻ってこれる巡航ミサイルであってF-35を比較対象にするのはなんか違う気がするんだよな。

    返信削除

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