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画期的な小型ターボジェットエンジンの登場で装備品の様相に変化が生まれる

巡航ミサイルのエンジンはもともと小型でしたが、さらに小型化を目指しているのですね。ただしスウォームに応用するにはもっと小型化が必要なのでしょう。小型化といえば日本の得意分野ですね。クレイトスはここに来て登場頻度が高くなってきました。

空軍は低コスト巡航ミサイル開発のため低コスト小型エンジンの開発を進めているが、同エンジンは広く応用されそうだ。

米空軍は画期的な小型・低コストのターボジェットエンジンのテストの成功を発表した。テストはグレイウルフGray Wolfと呼称される事業の一環で安価な巡航ミサイルの実現を狙う。

テストに成功したのはテクニカルディレクションズTechnical Directions Inc. (TDI)のTDI-J85エンジン。同社は無人機メーカー、クレイトスの事業部。空軍研究実験本部(AFRL)がグレイウルフに携わり、F-16ヴァイパーに同エンジンを搭載した写真を公開した。写真ではグリフォンエアロスペースのロゴが写っている。AFRLは2017年にグレイウルフ事業を発表し、ノースロップ・グラマンロッキード・マーティン両社にテスト機材の提供で契約交付していた。

「今回のテスト成功で同エンジンさらにウェポンシステム全体への信頼性が増進した」とAFRLがまとめた。「TDI-J85開発は巡航ミサイル開発と並行作業で難題だったがAFRL、TDI、ノースロップ・グラマンとの共同作業が大きな成果を示した」

USAF
TDI-J85を推進手段に導入したノースロップ・グラマンのテスト機材がF-16ヴァイパーの主翼下に搭載された。

TDI-J85は推力200ポンドで本体重量はわずか28ポンド。これに対しウィリアムズF107ターボファンエンジン(AGM-86B空中発射式巡航ミサイルALCM他トマホーク対地攻撃巡航ミサイルに採用)の推力は600ポンドで重量は67ポンドある。

TDI
TDI-J85エンジン


「TDI-J85エンジンは飛行中始動に成功したほか、高高度での作動も実証した。同エンジンは性能要求を満たし、燃料消費率も予測通りの実績を示した」「累計作動時間から設計耐久性へ信頼度が高まった」とAFRLは発表。

「エンジン設計では最終価格と整備性に主眼を置き大量生産を想定した。エンジン性能が実証された」「この大きさ、価格のエンジンでこの高度で作動に成功したのは初」(AFRL)

AFRLはTDI-J85の単価を発表していないが、上記F107では2014年時点で190千ドルだった。

TDIは小型ジェットエンジン技術の開発に注力しており、2013年に空軍予算150万ドルを交付され、「小型低コスト推進手段」の名称で開発を開始していた。契約は2016年まで継続され、その後グレイウルフ事業が立ち上げられた。

低コストで燃料消費率が高いエンジンが同事業の中核で空中発射式巡航ミサイルの全体コスト引き下げを目指す。最新の2021年度予算要求ではAGM-158A共用空対地スタンドオフミサイル(JASSM)とAGM-158BJASSM-射程拡大型(JASSM-ER)の概算単価は126.6万ドルで批判の的となっていた。

コスト削減以外に燃料消費効率が引き上がれば搭載燃料を増やさず長距離を飛翔でき、燃料搭載を減らした分だけペイロードを増やしても有効射程が犠牲にならない。

空軍は「250カイリ超の巡航性能」を有する低コスト巡航ミサイルの実証をめざす。この距離はJASSMの有効射程に近いが、JASSM-ERや今後登場するAGM-158DのJASSM-XR、AGM-86BALCM、トマホークの性能より短い。

エンジン改良は空中発射式巡航ミサイル以外にも可能だ。TDI-J85はその他の新世代装備、おとり、無人機に応用できる。

空軍が目指すグレイウルフの全体像ははっきりしない。2019年6月に空軍は当初想定していたネットワーク化大量投入小型装備への応用は断念しゴールデンホードGolden Hordeと呼ぶ別事業を立ち上げると発表した。

USAF
グレイウルフ事業の当初の説明資料

グレイウルフ事業が終了しても、画期的なTDI-J85が別事業に応用されるのは確実だ。TDIは米軍の別契約で低コストかつ低燃費エンジンの開発に取り掛かっている。

いずれにせよ、空軍が画期的な低コスト巡航ミサイル開発をめざしているのは確実で、その他装備の開発にも大きな影響が出そうだ。■

この記事は以下を再構成したものです。

Air Force's Gray Wolf Program Tests Game-Changing Small Low-Cost Jet Engine
The Air Force funded the development of the engine as part of a project to develop low-cost cruise missiles, but it could have wider applications.
BY JOSEPH TREVITHICKMARCH 20, 2020


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