第6世代機に期待される装備や性能について専門家の意見をまとめた記事のご紹介です。運用はどうなり、ステルスはどこまで必要となるのでしょうか。F-3の大型化への方向性はまちがっていませんね。ただし、当ブログオーナーの意見はB-21サイズの超大型「戦闘航空機」を予想するものです。
現代の軍用機は「世代」で区別される。設計時期と応用技術が基準で、最新は「第5世代」戦闘機だ。米中露三カ国が開発中で、その後の機材となる第6世代機はどんな姿で、現行機とどこが違うのか。
まず、第5世代戦闘機の要素を見てみよう。ステルス、センサー、スーパークルーズだ。ステルスが必須要件で、機体形状でレーダー断面積を減らす。レーダー技術も進歩しており、ステルスに限界があるとなんども言われてきたが、多くは誇張であり、ステルスは電子戦、レーダーと並びジェット戦闘機の必要条件である。
第5世代機のセンサー類では高性能電子スキャンアレイ(AESA)レーダーや電子光学センサーで敵機の赤外線放射を遠距離から探知する。第4世代機でも同様の性能を搭載例があるが、第4世代機はこうしたセンサーの初期段階で搭載している。その他、センサー融合機能で、リアルタイム映像、拡張現実による目標捕捉、その他データがパイロットの目の前に現れる。特に重要なのが僚機、地上部隊あるいは海軍部隊のデータを取り込み戦闘に活用することだ。
そして第5世代戦闘機のエンジンではアフターバーナーを用いず超音速巡航し、これをスーパークルーズと呼ぶ。これにより任意の地点に迅速に移動でき、敵機に対し運動性で優位に立てるし、燃料も節約できる。第5世代機でもアフターバーナーはつくが、燃料を大量消費することもあり使用場面は限られる。
第6世代機は第5世代機の特徴を引き継ぐが、開発中の技術も採用する。そのため、就役するまでに新技術が実用化されると見込むが、予測はあくまでも現在開発中の技術内容を基礎とする。では第6世代機に採用される新技術を見てみよう。
レーザー兵器の搭載
レーザー兵器が短距離空対空戦を一変させるはずだ。現行の戦闘機は化学エナジーを使う20ミリから30ミリの機関銃を搭載している。第5世代機のF-35も機関銃を搭載するが、兵装、燃料、センサーはすべて機内に搭載するため弾倉サイズに厳しく制限される。F-35Aの4本銃身25ミリ砲は182発しか搭載していない。発射制御機能では機関砲の発射速度、精度、重力の影響すべてを考慮する必要がある。
レーザー兵器は機関銃から大きな進歩となる。必要なのはレーザーと機体エンジンで生まれる電力のみだ。エナジー貯蔵が必要だが理論上は発射回数は無限だ。さらにレーザーは秒速186千マイルで直進するので敵機命中が容易になる。レーザーは敵ミサイルからの防御手段にもなる。
航続距離を伸ばすため機体大型化は必至
現行の戦闘機の戦闘行動半径は670カイリ以下が多い。超大国間の戦闘へ回帰する中で長距離性能が痛感されている。広大な太平洋、東欧、ロシアを考慮すると戦術機が長距離を移動する機会がでる。事態を複雑にするのがロシア、中国ともに大量のミサイルで、西側の航空基地や早期警戒機を使用不能にしようと構えていることだ。
新鋭機ではステルス性能のため外部燃料タンクを搭載できない。第6世代機で戦闘行動半径を4割伸ばそうとすれば物理的に大型機にして燃料搭載量を増やすしかない。航続距離が伸びれば広範な空域に戦力分散でき、対応も柔軟に可能となる。
無人機編隊を同行させる
現在開発中の高性能亜音速無人機に危険任務を無人機に任せる選択肢をパイロットに生む。米空軍の「忠実なるウィングマン」構想では戦闘機は無人機小編隊と飛び、偵察、電子戦、攻撃、空対空戦までこなさせる。低価格かつ使い捨て無人機により空軍は機材数を増やしつつ上昇する一方の有人機コストに対応できる。
敵地侵攻任務につく第6世代機に無人機編隊が同行するはずだ。一部は敵の地対空レーダー探知、対放射線ミサイルによる撃破任務を割り振られる。あるいは意図的に滞空して敵レーダーの再起動を待つはずだ。その他の無人機は強力な妨害信号を発信したり、有人第6世代機に偽装する一方、空対空ミサイル搭載の無人機がおとりとなり敵機を有人戦闘機のしかける罠に誘うだろう。有人機の兵装搭載量の限界を補うため、精密誘導ミサイルや爆弾を搭載する無人機も配備されるはずだ。
人工知能がパイロットを助ける
自機、僚機、艦船、地上部隊、衛星、その他から流入する大量データへパイロットが対応しきれなくなる。将来においてもパイロットの処理能力が大幅に増える予測はない。パイロットは自機操縦に専念すべきで、AIがかわりにデータの洪水をさばき、優先順位つきでパイロットに表示してくれる。
第6世代機のAIは例えばロシアの「チーズボード」レーダーを探知し、次にとるべき行動メを提示する。一緒に飛ぶ無人機の燃料残、飛行距離、兵装類の状況も把握する。機体が損傷した場合は代替基地を表示し、必要な燃料と距離を算出する。また緊急度の低いデータは別のAIに割り振り、重要データのみパイロットのAIに集中させミッション達成を確実にする。
こうした次世代ジェット戦闘機に応用が期待される新技術により第6世代機が実現するはずだ。ここにない新技術も導入される。いずれにせよ次世代機は現行機材から大きく進歩し、かつてない威力を空軍部隊は発揮するだろう。■
この記事は以下を再構成しています。
F-35s Are Old News: What Would a Sixth Generation Fighter Look Like?
September 14, 2019 Topic: Security Blog Brand: The Buzz Tags: F-35Sixth-Generation FighterMilitaryLasersAI
>当ブログオーナーの意見はB-21サイズの超大型「戦闘航空機」を予想するものです。
返信削除そうはならんでしょう。
その手の「空飛ぶ軍艦」では数を揃えられないし、数が揃わなければ平時の領域防空に支障が出る上にコスパも最悪で開発・生産・維持が出来る国は片手で数える程にもならないでしょう。
突然変異的に数カ国がそれを採用したとしても、それでは『世代』として成立しない。
VTOL/STOVLが技術的には傑出していてもそれらが世代と認識されなかったのと同じ。
第6世代と呼称されるためにはそれが世界中の空軍が採用する普遍的なものでなければならず、故に対空戦闘用大型爆撃機は仮に開発配備されても第6世代とはなり得ないでしょう。
じゃあ何が第6世代なんだと問われても現状では見えていないので返答不可能ではありますが・・・。
個人的には、最近のエンジンの進歩や可変バイパス比エンジンの動向を見ると、将来の戦闘機のエンジンにはアフターバーナーは不要になるのではないか、という気がしてきますね。
返信削除バイパス比を変えてターボジェット化できるなら、近年のタービン入口温度の上昇なども相まって、態々スペースを取ってまでアフターバーナーを積むメリットがあるのか、とも思えますし。
>当ブログオーナーの意見はB-21サイズの超大型「戦闘航空機」を予想するものです。
返信削除私はこれを支持します。戦闘機を小さく作るのは種々の困難さが伴います。今までその困難さがあっても小型でなければならなかったのはひとえに「格闘戦」が必要であったからです。
高Gでの旋回を伴うような格闘戦を想定しないならば無理をして小さく作る必要はなく戦術的に必要な要件を詰め込んでも将来の発展性を残せるような余裕のある設計が可能です。
また乗員を多数乗せることで複雑なワークフローも実現出来ます。十分魅力的な選択肢であると考えます。
今後アビオニクスの発展も考えれば哨戒機、爆撃機、戦闘機、早期警戒機の垣根は小さくなっていきますのでこれらを同じプラットフォームから運用するということは十分未来の戦場ではあり得ることではないかと思っています。
〇〇世代戦闘機の定義なんてのは言った者勝ちなとこはありますが、それにしても米軍が
返信削除「B-21サイズの超大型戦闘航空機」を以てGen.6を定義することはないと思いますね。。
まあ、「無人で作戦可能」とか「指向性エネルギー兵器搭載」等がGen.6条件の一部を成した時に「強いて言えば、あれもGe.6だね(笑)」とはなるかもしれまんが。
重武装で高性能な大型機が空中で万能を発揮し、小型戦闘機を無用とするロジックはWW2
前もありましたし、40年前の日本のSF「戦闘妖精雪風」でも書かれていましたし、実際
に護身用の空対空ミサイルを搭載した爆撃機(英?)も作られましたが、共通して「結果は今一つ」でした。はたして、真打登場となるのでしょうか?