このたび自衛艦として就役した新型イージス艦「まや」もSM-6運用可能となっています。では、SM-6とはどんな存在なのでしょうか。以下をご参照ください。
最新鋭のSM-6は各種ミサイルの最良の部分を応用し、あらゆる標的に対応可能だ。
米海軍は艦船戦闘力の増強がねらいの長期計画の実現をめざしている。
構想で大きな柱とされるミサイルがSM-6で、対空ミサイルからほぼすべての用途に投入可能となった。
米海軍は長年供用中のトマホーク巡航ミサイルの最新型を「ブロックV」とし、対艦弾頭、対地弾頭の二形式があると発表。▶トマホークはレイセオン製品でワシントンD.C.で論争の種となった。オバマ政権は主力対地攻撃手段として1980年代から供用中の同ミサイルの生産を中止し予算節約する案を提起した。▶だが議会は同案を否定し、単価100万ドルでトマホークを購入継続させた。
その裏で同じレイセオン製品で低知名度のSM-6が主役となる。海軍の水上艦潜水艦が搭載中の主要ミサイルは10型式あるが、海上、空中、さらに大気圏境界部分すべてに対応できるのはSM-6のみだ。
海軍は2026年にかけてSM-6を1,800本合計64億ドルで調達する。イージスレーダーシステム搭載艦に導入する。2019年末現在で米海軍のイージス艦は合計41隻ある。▶艦船攻撃、航空機迎撃に加え弾道ミサイル対応まで可能なミサイルはSM-6のみだ。改良を加えればSM-6で対地攻撃さらに潜水艦まで標的にできる。「一本のミサイルを一本の発射管から運用して各種効果を期待できる」と戦略国際研究所のミサイル専門家トーマス・カラコが述べる。▶SM-6はフランケンシュタインの怪物のような存在で、レイセオンが別のミサイルから流用した部品を搭載している。シーカーと炸薬弾頭は高性能中距離空対空ミサイルAMRAAMから、本体は旧型SM-2のまま使っている。
SM-6ブロックIは2013年に供用開始され、航空機・巡航ミサイルへの対応を任務とした。「その後に機能が追加され弾道ミサイルの最終段階迎撃手段となった」とカラコは解説している。
センサーを改良したのがブロックIAで、2016年の試射で水上目標に命中させ、対艦ミサイルになった。▶さらに進化する。「シーカー、弾頭部の改良で対地攻撃手段となる」(カラコ)▶戦略予算評価センターの海軍分野アナリスト、ブライアン・クラークによれば海軍は弾頭部分を魚雷に変え、ロケット本体から分離させれば対潜水艦型にもなる。この機構は冷戦時にASROCとして実現している。
そんなSM-6だが大幅改良しないと実行不可能な分野がある。
シーカーは大気中と宇宙空間で作動が異なる。大気との摩擦のためシーカーにカバーをつけている。このカバーをセンサーで探知不可能とするため、使える素材の種類は限られる。▶だが宇宙空間の標的は別だ。まず温度だ。大気との摩擦がないため、ミサイルのシーカーは真空の低温度で目標捕捉できる改良が必要だ。▶シーカー部分を開放型、閉鎖型の2型式にして閉鎖型のSM-2、SM-6を大気圏対応用に、開放型シーカーのSM-3を大気圏外対応に使い分けているのはこのためだ。SM-6を弾道ミサイル対応に大気圏外に投入するとSM-3と同等になる。▶基本形のSM-6でここまで対応させようとすると限界がある。改良型SM-6は宇宙空間を除きあらゆる場面に対応できる。
トマホーク論争が見出しを飾ったが、米海軍がハイテク戦に向け再整備する中でSM-6に注目が必要だ。■
この記事は以下を再構成したものです。
Meet the Navy's Latest Cruise Missile: The SM-6 Is a Crazy Hybrid
Here's what it is made of.
by David Axe
March 20, 2020 Topic: Technology Region: Americas Blog Brand: The Buzz Tags: NavyU.S. NavyMilitaryTechnologyWorldSM-6
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