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インドがアルテミス協定に調印した意義。アルテミス協定は月だけでなく、火星さらに小惑星帯も視野に入れ、将来の宇宙資源採掘も想定した多国間協定だ。

  2023年6月22日、ワシントンDCのホワイトハウスの執務室で会談するジョー・バイデン米大統領(右)とインドのナレンドラ・モディ首相。(写真:Anna Moneymaker/Getty Images) インドがアルテミス協定に調印、中国との宇宙開発競争で米国との関係強化か  インドによるアルテミス協定遵守は、中国の民間・軍事宇宙活動の拡大と、国際舞台でのソフト・パワーとしての宇宙利用への対抗を支援するために同盟国を結集しようとする米国の努力を後押しするものである。 ワシントン -月、火星、潜在的に鉱物資源の豊富な小惑星の探査と開発のための規範を設定するアルテミス協定 Artemis Accords に インドが署名した。  「インドが協定署名することは、協定とアルテミス計画にとって変革の瞬間である」と、協定の交渉の多くを担当した元NASA職員のマイク・ゴールドはブレイキング・ディフェンスに語った。  今回の署名は、インドのナレンドラ・モディ首相とジョー・バイデン米大統領が本日午後の記者会見で正式発表した。この協定は、水曜日に始まったモディによる初のワシントン公式訪問で結ばれた協定の一部だ。  「アルテミス協定への参加が決定したことで、両国は宇宙協力で大きな飛躍を遂げた。インドとアメリカのパートナーシップにとって、空さえも限界ではない」とモディは語った。  モディはバイデンと今朝会談し、明日は国家宇宙会議の議長を務めるカマラ・ハリス副大統領と、軍事宇宙活動に関する国際行動規範の確立をバイデン政権が主導するアントニー・ブリンケン国務長官との昼食会に出席する。  特に、ニューデリーがこの協定を遵守することは、中国による民間および軍事宇宙活動の拡大や、国際舞台でのソフト・パワーの手段としての宇宙利用に対抗するため、同盟国を結集させたいアメリカの努力を後押しするものだと、政府関係者や専門家は述べている。インドは長い間、中国を地政学上の重要なライバルとみなしてきた。例えば、2007年には米国、オーストラリア、日本とともに、通称「四極安全保障対話(Quad)」に参加した。  インドがアルテミス協定に署名したことは、「クアドのようなプラットフォームの中でインドができることを前進させるものです。以前のクアド声明では、クアドパートナーは宇宙空間のための世界的なルールの面で互いに協

宇宙で主導権を中国に奪われそうな中、危機感を訴え、改革を提唱する米報告書に注目

  2005年12月5日、北京での展示会で、中国の「英雄宇宙飛行士」フェイ・ジュンロンとニー・ハイシェンが神舟6号で着用した宇宙服に感嘆する来場者。 (Photo credit STR/AFP via Getty Images) 報告書は、産業界、専門家、国防総省の関係者が参加したワークショップに基づき、各国の枠を越えた人類の宇宙進出をリードする米国の「北極星」ビジョンの促進をめざしている 米 国防総省の国防革新部門DIUが主催した宇宙産業基盤ワークショップの最新版報告書によれば、2045年までに宇宙開発の主導権で中国は米国を追い越す「軌道に乗った」状態とある。  ここまで悲観的な見解の理由として、米国政府と産業界に共通の「緊急性の欠如」と、官僚的な環境「規制の負担によって米国の商業的進歩を遅らせている」ことがあると、報告書「宇宙産業基盤の現状:持続可能性、繁栄、地球のための新たな宇宙レースを勝ち抜く」は述べている。  「米国が投資を増やさなければ、中国は宇宙の優位性において米国を追い越す可能性がある」と、DIUのディレクター、マイケル・ブラウンは、2022年報告書を発表する大西洋評議会主催のイベントで水曜日に述べた。  報告書は、毎年開催されているワークショップの第4弾で、今年は国防総省や情報機関を含む350人以上の産業界代表者や政府関係者が参加した。報告書の著者は国防総省の現役職員だあ、報告書は公式文書ではないと明示しており、同報告書で表明された見解は国防総省や米国政府の公式な方針を示すものではない。  報告書の著者は、DIU の Space Portfolio Director であるスティーブン「バッキー」ブトウ Steven "Bucky" Butow、宇宙軍トップ、ジェイ・レイモンド大将Jay Raymondの補佐官ジョン・オルソン少将 Maj. Gen. John Olson、空軍の Space Acquisition and Integration Office で Space Architecture, Science and Technology の Director である エリック・フェルト大佐Eric Felt、空軍研究本部 (AFRL) 宇宙装備局Space Vehicles Directorate で 主任科学者の

着実に進む日本と米国の宇宙空間安全保障協力....米宇宙軍、宇宙司令部との連携はここまで来ている

米ペイロードを日本の準天頂衛星で2回にわたり打上げる合意書に内閣府宇宙開発戦略推進事務局が署名する歴史的瞬間が生まれた。 日 本がフランス、ドイツに続き宇宙軍との連携を公認された。 「SPACECOMは日本との連携で合意書を取り交わす」と宇宙軍報道官が2021年3月21日認めた。 宇宙作戦部長ジェイ・レイモンド大将は日本を同軍の多国間連携事業に加える方針を2月の議会公聴会で表明していた。 「ヴァンデンバーグAFBの多国間宇宙連携室を強化し、ドイツ、フランス、英国の連絡官の常駐で政策及びTTP(戦術、技術、手順)の調整を図っている」「同室の業務拡大として日本、イタリア、南朝鮮を次に加えたい」 多国間宇宙連携室はSPACECOMの連合宇宙作戦センター(CSpOC)と別組織だが同じヴァンデンバーグAFB内に設置されている。CSpOCにはファイブアイズ対象国のオーストラリア、カナダ、ニュージーランド、英国が米国関係者も米衛星運用を見守り、脅威対象のブリーフィングにも立ち会う。多国間連携部門はそれより軽度の機密情報を扱い、ファイブアイズ並の機密アクセスが認められない同盟国も加わることができる。 SPACECOMトップのジェイムズ・ディキンソン陸軍大将は多国間協力のネットワーク構築に前向きで、各国連絡官の常駐もめざす。 宇宙軍も国際協力へ焦点をあわせ、特にインド太平洋地区で中国の宇宙進出を警戒している。「ここ数年で各国との協力体制を大幅強化し、フランス、ドイツ、日本に加え大韓民国への拡大をめざしている」(宇宙軍作戦次長DT・トンプソン大将) 「世界各地で米国単独の実行はありえない。宇宙空間も同じだ」とニーナ・M・アーマニョ中将(宇宙軍幕僚長)が昨日発言していた。「宇宙でも同盟関係を構築することが宇宙軍の業務遂行に不可欠だ」 米国は日本と宇宙空間の状況認識能力拡充で協力を進めている。日本は米国製の宇宙状況認識 (SSA) センサーを搭載する準天頂衛星システム(QZSS)を静止軌道に打ち上げ、中国軍の宇宙活動へ監視を強める。 昨年12月宇宙軍は宇宙ミサイルシステムズセンター作成の光学センサーペイロードを日本の衛星に搭載し、種子島宇宙センターから2023年、2024年と連続打ち上げする正式合意を発表していた。 「宇宙ドメインでの状況認識能力向上は両国の宇宙協力を進める一歩に過ぎない」

米宇宙軍が国家情報機関コミュニティに正式加盟。宇宙空間をISRで最優先ドメインと認知するあらわれ。

  米宇宙軍のロゴが合同打ち上げアライアンス(ULA)のアトラスVロケット側面に加えられた。Cape Canaveral Air Force Station, Florida. (United Launch Alliance) 米 宇宙軍の情報部門が1月8日をもって米情報機関コミュニティ(IC)の正式な一員になった。 「宇宙軍、情報機関コミュニティ、さらに国家安全保障に寄与すべく宇宙情報活動、使用機材、協力体制を一歩向上させるべくアクションをとった」と宇宙軍作戦部長ジョン・レイモンド大将が発表した。▼「大きな一歩となり、宇宙空間の確保、アクセスに尽力する米国の真剣な姿勢のあらわれだ。各方面と連携し、宇宙軍さらに我が国はあらゆる脅威に優位性を維持していく」▼在コロラド州ピーターソン空軍基地のスペースデルタ7が宇宙軍で情報収集監視偵察(ISR)任務にあたる。▼新規組織がICに加わるのは2006年の麻薬取締局の国家安全保障部門以来となり、ICに加わるDoD関連組織はこれで9になった。 「本日の追加で国防情報エンタープライズに宇宙軍が加わり、戦闘の全ドメインで我が国の情報活動が調整、同期化可能となる」と情報保安体制担当の国防次官代行エズラ・コーヘンが述べている。 国家情報長官(DNI)ジョン・ラトクリフは「宇宙関連情報及び情報活動の共有でICおよびDoDは統合効果、調整効果を発揮し、情報活動を最適化し、各ミッションの効果も最大化できる」と述べ、「今回の進展情報活動、軍事活動での優先ドメインとしては宇宙空間の重要性を裏付けした格好だが、加えて共同作戦体制や将来の能力開発や運用さらに真の意味での戦略警戒態勢をグローバル規模で拡充する」とした。 ラトクリフが暗示したのは宇宙軍をICに加盟させる決定は12月の国家宇宙協議会で決まり、DNIが実現に尽力したことだ。▼また宇宙空間は「優先情報収集ドメイン」と新しい国家宇宙政策で宣言された。▼2020年はじめにDNIは宇宙空間での脅威への対抗措置に予算を計上するよう各情報機関に求めていた。▼この予算規模は非公開情報だが、ラトクリフは大規模投資と述べている。 DNIは国家宇宙情報センターを宇宙軍との協力で新設し、宇宙関連情報活動のニーズに答えようとしている。▼「センターが発足すれば宇宙関連脅威に関する科学技術情報が類を見ない規模で利用可能と

次の戦争はどんな姿になるのだろうか 今わかっていること

Aviationweekの創刊100周年エッセイの一環ですが、二人の著者は中国による米ハイテク奇襲攻撃スリラーGhost Fleetの著者ですので、内容もその方向になっています。戦争を計画する側は前回の戦争のイメージにとらわれ結局事態に追いつけなくなるそうですが、果たして次に全面戦争が勃発すればどうなりますか。心してご一読ください。 The Next 100 Years: P.W. Singer and August Cole What We Know Now About the Wars of the Future May 5, 2016 Aviation Week & Space Technology http://aviationweek.com/defense/next-100-years-pw-singer-and-august-cole 将来の戦争は偶発的に始まるかもしれない。例えばパイロットが無茶な操縦をして別の機体に衝突し、単なる事故だったものが怒りに変わり戦火につながるかもしれない。あるいは危機状態が限界に達し、新政策もしくは新しく造成した島が問題となり同盟国も巻き込んだ大国同士の戦争になるかもしれない。あるいは新世界秩序の構築のため強くなった経済力、軍事力を活かそうとするかもしれない。 未来の戦闘の原因や進展は予測が難しいが、確実なこともある。空がカギを握りそうだ。ただし米国がこれまで経験したことのない形になりそうだ。米国が制空権確保に苦労した最後の経験で空軍は陸軍航空隊の名称だった。米地上部隊が空爆を受けた直近の事例はラオスに展開した部隊が北ヴィエトナムがソ連のアントノフ貨物機を爆撃に転用した機体から爆弾を受けたものだった。ドッグファイトがあった最後の年に生まれた子供がそろそろ軍務についてもおかしくない年齢になっている。 Credit: Sam Cole 将来の戦争では空の戦いが重要になるとしても、航空機多数で航空優勢の確保を狙う国家が相手となるか、非国家勢力がこれまで誰も経験したことのない方法で空に進出を狙ってくるかは不明だ。後者は現実のものになっている。イラクシリア戦では紛争当事者双方が無人航空機システム(UAS)を投入している。現地での米軍作戦の成否はUASによる目標補足と攻撃能力にかかっ

★日米防衛新ガイドラインは予想以上に多面的かつ画期的

ガイドラインの改定で国内報道は近隣同盟国(韓国、オーストラリア等)への対応などを中心にややバランスを欠いた記事の構成になっていませんか。本稿ではそれとはちがう視点(米国防高官=?)の発言を引用する形で広範囲の話題をコンパクトにまとめていますのでご紹介します。 US, Japan Strike New Military Agreement By Aaron Mehta and Paul Kallender-Umezu  4:43 p.m. EDT April 27, 2015 http://www.defensenews.com/story/breaking-news/2015/04/27/us-japan-new-military-agreement/26443297/ WASHINGTON and TOKYO — 日米両国が新しい防衛協力改訂に月曜日合意した。日本の防衛面でのプレゼンスを世界規模にひろげ、サイバー、宇宙、産業分野で二国協力を強化するとの内容だと米国防関係高官が明かした。 新日米防衛ガイドラインは月曜日ニューヨークシティで日米間の外交、防衛トップによる2+2協議で合意された。 上記米国防高官は合意書署名に先立ち記者団に内容を話し、合意内容は日本を米国の軍事上のパートナーとして世界規模で再定義する意味があり「非常に大きな出来事」と評した。 日本は攻撃を受けた域内の同盟国を防衛することができるようになる。米国に向けて発射されたミサイルを日本のミサイル防衛で迎撃できることも意味し、上記高官は北朝鮮が地域安定度ヘの「脅威度を高めている」と評した。 さらに日本が世界規模で平和維持活動や人道救助活動を展開すること、さらに情報収集・監視・偵察活動(ISR)の強化が見込まれる。 新ガイドラインは常設の「同盟間調整メカニズム」 ”alliance coordination mechanism" の創設を謳い、日米の防衛・外交関係者で構成するとしている。この機関が日米の作戦活動を調整・統制することが期待される。過去に同様の機能がなく防衛関係が進まなかった経緯がある。 【日本の観点】 各論は今後両国で詰めるが、まずガイドラインを日本の国会で審議可決する必要がある。障害はほとんど見られず順調に

宇宙依存度が高い米国防体制は中国との軍事衝突で脆弱性を示すのか 専門家の知見に耳を傾ける米下院

U.S. Dependence on Space Assets Could be a Liability in a Conflict with China USNI News By: John Grady Published: January 29, 2014 10:28 AM Updated: January 29, 2014 10:28 AM Launch of Atlas V MUOS-2, July 19, 2013 from Cape Canaveral AFS. US Navy Photo 米国は宇宙空間で「サイバー空間と同程度」の課題に直面していると下院審議会の委員長が中国の宇宙での進展を念頭に発言した。また宇宙で米中両国が「長期間にわたる競争」に入っていることを認めている。 下院軍事委員会海洋力・兵力投射小委員会委員長のランディ・フォーブス議員(共・ヴァージニア . Randy Forbes (R-Va.)からスティムソンセンターの研究員マイケル・クレポンsenior Stimson Center associate Michael Krepon に米国の弱点は何かとの質問が出た。クレプトンからは「事実を無視することはできません。衛星は探知されてしまいます」 さらに軍用民生双方で「中国の宇宙依存度は米国よりも低い」ことが次の論点だとカーネギー国際平和財団の主任研究員アシュレイ・テリス Ashley Tellis, senior associate at the Carnegie Endowment for International Peace が指摘した。 エアリスアナリティックス社長ロバート・バターワースRobert Butterworth, president of Aries Analytics Inc.,からは「高エネルギー兵器などを衛星に使った場合の効果は不明」と発言あり、中国はこの分野に資金を投入する可能性があるという。 中国が2007年に軌道上でテストを実施して以来、デブリ問題が注目を集めており、敵衛星の破壊は自国の軌道上の機材も危険になることが浮き彫りとなったが、中国は直撃による破壊方法から「ソフトキル」や「視力破壊」といった非対称形式のアプローチに切り替えているとテリスは発