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2026年6月30日火曜日

バーナムが新首相に就任したら英国の防衛・安全保障にどんな影響が生まれるか予想

 

2026年6月22日、イングランド・ロンドンの国会議事堂で宣誓式を終えた後、メイカーフィールド選出の労働党下院議員アンディ・バーナムが喜びを露わにしている。(写真:ダン・キットウッド/ゲッティイメージズ)

アンディ・バーナムの首相就任は防衛・国家安全保障にどんな影響を与えるか

Prime Minister Andy Burnham comes with defense and national security implications


バーナムは、現政権の防衛・安全保障政策で多くを引き継ぐだろうが、重要な相違点も出てきそうだ

https://breakingdefense.com/2026/06/prime-minister-andy-burnham-comes-with-defense-and-national-security-implications/



ア・スターマーが首相を辞任するというニュースを受け、先週行われた特別補欠選挙で英国議会の新議員となったアンディ・バーナムにすべての注目が集まっている。バーナムが労働党党首選(もし実施されれば)で勝利した場合、彼の首相在任中は、最近ジョン・ヒーリー英国防相を辞任に追い込んだのと同じ経済的逆風と財政的制約に直面することになるだろう。

とはいえ、バーナムの台頭が、英国の戦略レベルにおいて大きな変化をもたらす可能性もある。

バーナムは、突然の選挙で予想を上回る結果を残した。選挙前の世論調査では、最有力な対立候補を3~12ポイントリードしていたが、投票当日には20ポイント以上の大差で勝利した。イングランド北西部にある本人の新たな選挙区メイカーフィールドは、新興右派政党「改革党」から労働党が直面する挑戦を測る政治的な風向計と見なされている。この強い追い風と、労働党内での人気を背景に、バーナムが新たな党首、ひいては首相に就任する可能性は極めて高いとみられる。

次期総選挙は2029年8月までに実施される。財政を根本的に変革し、国家の舵取りを転換するには、これでは時間が足りない。バーナムは、防衛・安全保障政策においてスターマーのアプローチの多くの側面を引き継ごうとするだろうが、いくつかの重要な相違点があると思われる。

スターマーが防衛分野で最初に行った施策の一つは、「戦略的防衛見直し」の外部委託で報告書は2025年6月に公表された。スターマー政権は、数千発の新型ミサイルの購入、潜水艦の増強、陸軍の拡大など、62項目の提言すべてを受け入れた。しかし、同レビューの執筆者の一人元労働党国防相兼元NATO事務総長のジョージ・ロバートソン卿は、後に政府がレビューで合意した公約を履行していないと批判した。バーナムは、これらの公約を実行に移すことで、スターマーとの差別化を図ろうとするだろう。

第一に、そして最重要なのは防衛費だ。2025年、ロンドン政府は2027年までに英国の国内総生産(GDP)の2.5%、2035年までに3.5%に相当する額を防衛費に充てることを約束した。しかし、これらの目標達成に向けた具体的な道筋――あるいはその欠如――こそが、今月早々、ジョン・ヒーリー元国防相の辞任につながった

スターマー政権のレイチェル・リーブス蔵相は、支出を抑制し政府の債務負担を軽減する手段として、厳格な財政ルールを課した。防衛費をめぐる大々的な騒動がスターマーにとって「最後のとどめ」となったことを踏まえると、バーナムは、ドイツと同様の方法で、防衛費増額を可能にするため、これらの財政ルールを超えた借入を行うことを余儀なくされる可能性が高い。バーナムが指名する大蔵大臣と国防相の考え方が一致しているかどうかは、英国の防衛政策に大きな影響を与えることになるだろう。

公表が延期中の「防衛投資計画(DIP)」の発表可否は、スターマー陣営とバーナム陣営間で主要な対立点となっている。現政権は、バーナムがダウニング街に入居できる最も早い時期の2週間前に開催されるNATOサミット前にDIPを公表する方針を堅持している。スターマーの計画が許容する額よりも防衛費を増やすと述べてきたバーナムは、自身が直面する最も重要な初期の政策決定の一つについて、自身のチームが方針を定める機会を与えるため、公表を秋まで延期したいと考えているとみられる。

「軍備」と「民生」への支出のバランスを見直す必要性についてバーナムは広く言及してきたが、必ずしも後者を削減し前者を優先するというものではない。その代わり、より多くを就労させ、福祉依存から脱却させることで、防衛投資資金を捻出できると示唆している。これは、英国の財政問題の解決策としてスターマーやリーブスが一貫して重視してきた「成長」を彷彿とさせるが、バーナムはこの再均衡を実現するため、前任者よりも迅速かつ具体的な進展を示す必要があろう。

防衛政策の観点から言えば、バーナムは調達と投資について10年という時間軸を重視している。これは、生産ラインの拡大に向けた長期的なコミットメントを求める防衛関連企業にとって、共感を呼ぶだろう。おそらくさらに重要なのは、これが、防衛支出を活用して成長を強化し、地域経済を再建し、長期的に労働者のスキルを向上させる産業戦略を策定したいというバーナムの意向を反映している点だ。このように、バーナムは、必要性が高まっている防衛費増額を、「再産業化」という枠組みで位置づける可能性が高い。

武力行使に関しては、バーナムは、海外軍事作戦に必要な正当性の鍵として多国籍性および国際法を重視するという労働党の伝統を引き継ぐとみられる。これに関連して、欧州の同盟国と連携し、ウクライナへの英国の強力な支援が継続されることが予想される。つまり、バーナムの防衛・外交政策の姿勢はスターマーと類似したものになる可能性が高いが、防衛支出への重点を強め、産業戦略との結びつきが明確になる可能性がある。しかし、次期首相となる可能性の高い彼が活用を検討しうる、欧州の安全保障関係を劇的に変動させる重要な戦略的手段が一つある。

ちょうど10年前の今週、英国の有権者はEU離脱を選択した。それ以来、データによれば、残留派が勝利していた場合の予測と比較して、英国経済のパフォーマンスは低迷している。最新の世論調査データによると、英国国民はその決定を後悔しており、経済活性化や英国の安全保障の向上を妨げる要因と見なしている。同じ経済予測によれば、EU再加盟は、英国のGDPに大きなプラスの効果をもたらし、ひいては防衛予算にも好影響を与える可能性が高い。現在、英国は欧州の防衛体制に比較的うまく統合されているが、再加盟により、防衛産業における協力のさらなる道が開かれ、EUの調達資金へのアクセスが拡大し、欧州の防衛産業政策に対する影響力も高まるだろう。

バーナムは候補者として、補欠選挙運動中、ブレグジットへの焦点を慎重に避け、かつてスターマーの対抗馬だったウェス・ストリーティングのEU再加盟呼びかけから距離を置いていた。とはいえ、バーナムが再加盟を支持していることは明らかで、国内政治的に余地があると判断すれば、英国政治で「触れてはならないタブー」とされてきた「英国のEU再加盟」の議論を正常化しそうだ。

そうなれば、バーナムは最終的に、単なるスターマーの後継者というだけでなく、英国をブレグジット時代のアイデンティティ政治から脱却させた指導者として見なされることになるかもしれない。■

ジョン・R・デニは、米国陸軍戦争大学(U.S. Army War College)の研究教授であり、アトランティック・カウンシルおよびNATO防衛大学(NATO Defense College)の非居住シニアフェローを務めている。

フィリップ・ディキンソンは、アトランティック・カウンシルのスコウクロフト戦略・安全保障センターに所属する「大西洋横断安全保障イニシアチブ」の副所長である。以前は、英国外務・英連邦・開発省でキャリア外交官を務めていた。

ここに示された見解は、著者個人のものである。

2026年6月21日日曜日

英国による影の船団への乗船検査直後にロシア艦が英仏海峡で民間船を警告射撃―影の船団がロシアの経済を支えているためロシア海軍も必死です。逆ギレしたロシアは要注意ですが、海軍はかなり悲惨な状態のようです

 

影の船団への乗船検査直後にロシアフリゲート艦が英仏海峡で民間船に警告射撃していた

Russian Frigate Opens Fire With Warning Shots in the English Channel

https://theaviationist.com/2026/06/16/russian-frigate-opens-fire-with-warning-shots-in-the-english-channel/

Russian Warship Warning Shot English Channel

写真:ロシアのフリゲート艦「アドミラル・グリゴロヴィチ」(手前)を監視するRFAタイドフォース(背景)。(画像提供:Crown Copyright 2026)

ワイト島の南約20海里の公海上で軍艦アドミラル・グリゴロヴィチの近くを民間ヨットが航行していた。英国夏時間(BST)11時40分頃に発生したと報じられている

国がロシアの「影の船団」所属とされる船舶へ初の乗船検査を実施して数日後に発生した。フリゲート艦アドミラル・グリゴロヴィチは、NATO加盟国の近くを通過する船舶を護衛する任務をロシア海軍から命じられていたとみられている。同艦は、乗船検査に直接介入してはいないものの、その存在自体が、ロシア関連の貨物船を拿捕しようとする計画に対して、間違いなく一定の抑止力となっている。

BBCニュースによると、両事件の発生時期は近いものの、英国政府は現時点では、この新たな出来事を2026年6月14日の「スミルトス」乗船検査とは関連付けないと見ている。

警告射撃は、フリゲート艦が民間ヨットに対して「音声による警告」を行った後に発射されたとされている。ロシア側は、その民間ヨットが40フィートの帆船『Bright Future』であったと主張している。公式声明によると、警告射撃や照明弾、音声による警告は、国際的に認められたVHF周波数での無線呼びかけに対し、民間船が進路を変更しなかった後にのみ行われたという。

ヨットからの初期の報告では、事件はロシア軍艦から約500ヤードの地点で発生したとされていたが、ロシア側の公式声明では距離を150メートル(164ヤード)としている。また、声明では、当時ヨットは帆ではなくエンジンを使用していたとされており、これが事実であれば、乗組員は船の速度や進路を細かく制御できたことになる。スカイニュースによる未確認の情報によると、フリゲート艦自体に技術的な問題があり、機動性が制限されていたという。

イギリス海軍の哨戒艦HMS マージーHMS タインは、英国領海周辺での通常任務の一環でアドミラル・グリゴロヴィチを監視していた。哨戒艦は事件を目撃したとされ、その後、HMS タインブライト・フューチャーへ小艇を派遣し、乗組員の安全を確認するとともに、事件に関する彼らの見解を記録したものとみられる。ヨットの乗船者や船体に負傷者や損傷は報告されておらず、警告射撃は――ほとんどの軍隊の手順通り――船舶から十分に離れた場所を狙って行われたとされる。

2025年10月28日、スコットランド沖でHMS「タイン」が確認された。(画像提供:LPhot Daniel Bladen/Crown Copyright 2025)

英国国防省は、現在もこの事件の調査を続けているため、これまでのところ限定的なコメントにとどまっている。

アドミラル・グリゴロヴィチとは

プロジェクト11356R型フリゲートで、同級初号艦であるアドミラル・グリゴロヴィチは、2016年3月にロシア海軍に就役した。排水量4000トン級で名目上は黒海艦隊に配属されているが、アドミラル・グリゴロヴィチは、ロシアによるウクライナへの全面侵攻が始まってから、黒海に戻っていない。その結果、同艦は地中海や大西洋でNATO艦艇の尾行で常連となっている。

同級艦は、そのサイズにしては充実した武装を備えており、100mm AK-190主砲、防空ミサイル用垂直発射システム(VLS)セル24基、巡航ミサイル用VLSセル8基、AK-630近接防御兵器システム(CIWS)2基、そして特徴的なRBU-6000「スメルチ-2」対潜ロケット発射装置を誇っている。

ロシアに加え、インドも同級艦を2隻運用している。これらは当初ロシアでの使用を目的としていたが、2014年以降、ウクライナが動力源となるガスタービンの供給を停止した。ロシア製の代替品も検討されたが、未完成艦の2隻はインドに売却された。インドはウクライナ製のガスタービンを入手することに成功し、これらはロシアの造船所で艦艇に搭載された。■

著者:カイ・グリート

カイは、英国コーンウォールを拠点とする航空愛好家であり、フリーランスの写真家兼ライターである。ファルマス大学で報道・編集写真学の学士号(優等)を取得している。その写真作品は、国内外で認知された数多くの組織やニュース媒体で紹介されており、2022年にはコーンウォールの歴史に焦点を当てた書籍を自費出版した。航空のあらゆる側面に加え、軍事作戦・歴史、国際関係、政治、諜報、宇宙分野にも情熱を注いでいる。

2026年6月16日火曜日

英国がロシアの「影の船団」へ初の乗船検査を実施―制裁破りの船舶への取締でロシアの原油関連収入は減少中だがロシアも海軍艦艇を出動サせる構えだ

 UK Conducts First Boarding of Russian Shadow Fleet Ship

英国王立海兵隊コマンド部隊および国家犯罪対策庁の法執行官が乗船・捜索・押収(VBSS)作戦を実施した。英国政府著作権/英国国防省、2026年。

英国がロシアの「影の船団」へ初の乗船検査を実施

UK Conducts First Boarding of Russian Shadow Fleet Ship


  • Naval News

  • 2026年6月15日公開

  • リー・ウィレット博士

https://www.navalnews.com/naval-news/2026/06/uk-conducts-first-boarding-of-russian-shadow-fleet-ship/

国は、ロシアの「影の船団」の船舶に初の乗船作戦を実施した。対象の原油タンカー、スミトロスSmyrtosは6月14日未明にイギリス海峡で阻止された。

英国政府の声明によると、乗船は王立海兵隊コマンドーおよび国家犯罪対策庁(NCA)の法執行要員により遂行された。

6時間に及ぶ作戦において、乗船作戦は合同海上航空グループ所属のチヌーク、マーリンMk4、ワイルドキャット各ヘリコプター、英国空軍のポセイドンP-8A海上哨戒・偵察機(MPRA)、および英国海軍の23型フリゲート艦HMS『サザーランド』とハント級掃海艦HMS『レドベリー』に支援された。声明によると、この作戦はフランスとの緊密な連携の下で実施された。

本誌の取材によると、スミルトスは両国によって追跡されていたため、連携により作戦上の衝突回避が可能になったという。

声明はさらに、捜査は継続中であるものの、同船は英国南岸沖の停泊地に留め置かれ、環境や安全上の懸念がないか監視されると付け加えた。

レドベリーが停泊地周辺の警備にあたっている。

marinetraffic.comによると、スミトロスは現在、ポートランド・ビル東方に位置している。

「同船への取締措置は公海上で行われ、国内法および国際法に従い実施された」と声明は述べている。

サザーランド作戦に先立つ数日間、遠方から同船を監視していた。本誌取材によると、迎撃はワイト島沖約25マイルの海域で行われた。

UK Conducts First Boarding of Russian Shadow Fleet Ship

英国は、統合・共同・合同作戦の一環として、ロシアの「影の船団」に対する初の阻止作戦を実施した。写真は、英国海軍23型フリゲート艦HMSサザーランド(左)とマーリンヘリコプターに挟まれたタンカー「スミルトス」である。英国王室著作権/英国国防省、2026年。

「影の船団」に対する英国初の作戦は、3月下旬に英国軍に許可が下りたことを受けて実施された。当時、英国防省(MoD)は、行動の法的根拠と関連する軍事オプションが整合されたと述べており、これは英国が行動する準備が整い、その意思を示していたことを意味する。

こうした準備には、非協力的な乗組員との遭遇も想定し、阻止作戦を実施するために必要な専門部隊の整備も含まれていたはずだ。このような阻止および乗船作戦は、正式には「船舶への乗船・捜索・押収(VBSS)」任務として知られている。本誌の取材によると、今回の事例では当該船舶の乗組員がVBSS上の要求に協力したとのことである。

BBCは6月15日、その後、制裁違反の容疑でNCA(国家犯罪対策庁)の職員に1名が逮捕されたと報じた。

ロシアは、2022年2月のウクライナ侵攻後に発動された国際制裁に違反する形で、有効な国旗を掲げず航行する商船からなる「影の船団」で石油輸出を支えているとされる。

「ロシアはウクライナでの紛争資金を調達するために『影の船団』に依存しており、我々の阻止作戦は[ロシアのウラジーミル・]プーチン大統領の違法な戦争に打撃を与えるものである」 と、英国のダン・ジャービス国防相は政府声明の中で述べた。

声明によると、推定700隻からなる「影の船団」は、ロシアの制裁対象となる石油の75%を輸送している。また、英国はこれらの船舶のうち500隻以上を制裁対象としており、2025年のロシアの石油・ガス収入は前年比24%減少したと付け加えた。

声明によると、スミトロスは英国が制裁対象とした船舶の一つである。

声明は次のように続けた。「本日の措置は、英国が制裁を執行し、我々の安全保障を守るために、利用可能なあらゆる法的手段を講じるという明確なメッセージをロシアに送るものである。」

1982年の国連海洋法条約(UNCLOS)第110条に基づき、船舶に国籍がないと疑うに足る合理的な根拠がある場合、軍艦を用いて当該船舶の旗国を確認する臨検権を行使することができる。疑わしい船舶でそのような判断が下された場合、調査を目的とした乗船検査も実施される可能性がある。

乗船およびその後の調査を行うにあたり、各国は利用可能な様々な法的手段を有している。BBCは以前、英国におけるそのような手段の一つとして、2018年制裁・マネーロンダリング法があることを報じている。

Naval News コメント

防衛予算をめぐる国家レベルの政治的議論が継続していることから、英国の防衛界にとって困難な一週間が続いたが、今回の作戦は、国家および国際的な利益に対するリスクを阻止するための高度な作戦を遂行できる、英国の海上における継続的な準備態勢と能力を実証した。

英仏海峡・北海・バルト海地域において、ロシアが自国の海軍艦艇を用いて「影の船団」の船舶を護衛していること、さらに英国領海内と周辺におけるロシア海軍艦艇の常態化した存在(英国政府が以前述べたところによると、2024年以降30%増加している)は、こうした阻止活動で考慮すべき要因となる。■


リー・ウィレット博士

リー・ウィレット博士は、防衛・安全保障問題に関する独立系アナリストであり、海軍および海洋問題を専門としている。ロンドンを拠点とするウィレット博士は、学術界、独立系分析機関、メディアの各分野で25年の経験を有する。シンクタンクのRUSI(王立防衛研究所)では13年間在籍し、海洋研究プログラムの運営も担当したほか、ジェーンズ社では『ジェーンズ・ネイビー・インターナショナル』の編集長として4年間勤務した。また、以下の艦艇に乗船し、海上での実務経験も積んでいる:英国王立海軍の艦艇および潜水艦、 米海軍の空母、強襲揚陸艦、水上艦、そして(「バルトプス(BALTOPS)」、「コールド・レスポンス(Cold Response)」、「ダイナミック・マンタ(Dynamic Manta)」、「ダイナミック・メッセンジャー(Dynamic Messenger)」を含む複数のNATO演習に参加した経験から)様々なNATO加盟国の水上艦や潜水艦にも乗船した。また、英国の議会委員会に対し、海上核抑止力、海賊対策、海洋監視、海底戦などのテーマについて証言を行っている。

2026年6月15日月曜日

英SSNアストゥート級で運用可能な艦が一隻もない―英海軍の衰退ぶりをロシアは虎視眈々と見つめる。福祉か防衛か、二者択一しかない英国経済のおちぶれを日本は他山の石としなければならない

 Astute-Class Submarine

アストゥート級潜水艦。画像提供:英国海軍。

英アストゥート級攻撃型SSNは全隻が港で足止め状況の中、ロシアは英海域をゆうゆうと偵察中

All Five of Britain’s Astute-Class Attack Submarines Are Stuck in Port at Once — While Russia Probes Its Waters

英国のアストゥート級原子力攻撃型潜水艦5隻すべてが、同時に出向できない状況だ。英国海軍には整備用の乾ドックと熟練した乗組員が不足しており、整備待ちとなっている。この空白期間にロシアが偵察活動を強化しており、英国の海底ケーブルやミサイル潜水艦が無防備な状態に置かれている。さらに、この問題を解決するための資金調達をめぐり、国防相が辞任した

国からの最新報道によると、アステュート級原子力攻撃型潜水艦5隻すべてが、整備を待つため現在、港に足止めされている。このニュースは、英海軍の危機的な状況について英国国防省に警告する報告が長年続いた後に伝えられてきた。潜水艦が運用不能となっていることは、この島国の国家安全保障にとって大打撃である。英国は、海底インターネットケーブルや弾道ミサイル潜水艦を、とりわけロシアの脅威から守るためにアストート級に依存しているからだ。この事態は、過去数年にわたり着実に衰退中の英国海軍にとって、長きにわたる屈辱の連鎖における最新の出来事である。

なぜ英国の原子力攻撃型潜水艦が運用不能なのか

Astute-Class SSN Royal Navyアストート級SSN(原子力攻撃型潜水艦) 英国海軍

6月7日、英国の潜水艦部隊の悲惨な状況が報じられ、アストート級潜水艦5隻すべてが港に足止めされ、整備と修理を待っていることが明らかになった。以前には、HMSアンソンだけは運行可能と伝えられていた。

英国の産業基盤が防衛ニーズを満たせないため、5隻すべてが運用不能となった。

元英国潜水艦艦長のライアン・ラムジー中佐は次のように説明している。「利用可能な乾ドックに限りがある…。整備スキルを持つ要員の確保も困難で、乗組員が任務に就ける状態であることを確認するシミュレーターも限られている。」長年にわたり、英国は著しく老朽化したインフラで運用を続けてきた結果、ここにきて整備や修理作業に深刻な遅れが生じている。

これらの問題は、英海軍にとって新しいものではない。10年以上にわたり、英国は整備の遅れに苦しみ、長期哨戒任務に就ける潜水艦は艦隊でわずか1隻しか残されていない。「だから、これは前例のないことではない」とラムジーは続けた。

「しかし、現在利用可能な潜水艦の数がこれほど少ないという点では前例がない。そして、その背景には、ロシアが活動を活発化させ、世界がかつてないほど危険になっている状況がある。」 下院図書館は長年にわたり、英国の造船所における熟練技術者の不足や、整備作業に適したスペースの欠如について警鐘を鳴らし続けてきた。

Astute-Class Submarine

アストゥート級潜水艦。画像提供:クリエイティブ・コモンズ。

Astute-Class Royal Navy Submarine

アストゥート級英国海軍潜水艦。画像提供:英国海軍。

資金枯渇

核心的な問題は、国家安全保障に対する全面的な資金不足である。キア・スターマー首相率いる政府へ防衛費増額を促す努力がなされているにもかかわらず、英国政府は支出増に慎重な姿勢を崩しておらず、その結果、重要インフラは近代化されず老朽化が進み続けている。

政府の防衛投資計画(DIP)は、国防予算の骨子を示すはずだった。

しかし、意見の相違で計画は遅延し、重要部門特に造船所は十分な資金を得られないままとなっている。

その結果、6月11日(木)、ジョン・ヒーリー元国防相は辞任し、「脅威が高まるこの時期に、国を守るため必要な資源を投入する能力も意思もない」として、スターマー首相と政府を非難した。

公開辞任状の中で、ヒーリーは、十分な防衛予算がなければ、自らは「部隊の即応態勢を低下させ、作戦に従事する要員のリスクを高め、ひいては国の安全を損ないかねない決定を下さざるを得なくなる」と述べた。

ヒーリーの辞任とアストゥート級潜水艦の現状は、英国軍が現在置かれている憂慮すべき状況を指し示す、極めて厳しい二つの兆候である。

Astute-class

アストゥート級潜水艦。画像提供:BAEシステムズ。

スコットランド近海での海上試験中のアストゥート級潜水艦HMSアンブッシュ。原子力攻撃型潜水艦の2番艦であるアンブッシュは、2010年12月16日にバローで命名され、2011年1月5日に進水した。

政府が防衛費増額に消極的であるにもかかわらず、英国はロシアがもたらす脅威に警鐘を鳴らし続けている。最近のコメントで、英国国防参謀総長のリチャード・ナイトン卿は、ロシアが英国の防衛体制に探りを入れており、「賭け金を上げている」と警告した。「私の職業人生において、最も危険な時期であることは明白だ」「この国が直面するリスクと脅威は、冷戦以来私が経験したどの時期よりも深刻だ」と彼は述べた。

アステュート級潜水艦は、英国海軍の核弾頭搭載弾道ミサイル潜水艦や、同国の海底インフラを保護する上で極めて重要な役割を果たしている。

同級潜水艦がなければ、英国はロシアによる攻撃や破壊工作の脅威にさらされかねない。

地平線に漂う暗雲

英国は今、困難な選択に直面している。国家安全保障を犠牲にして現状を維持するか、あるいは福祉や社会サービスを犠牲にして防衛費を増額するか、のいずれかを選ばなければならない。

ロシアの外交専門家であるニキータ・ポドゴルノフが指摘したように、「ジョン・ヒーリーが去ったのは、英国に資金がないからだ。スターマーや英国エリート層が軍備拡張や軍事予算の拡大を支持していなかったわけではない。防衛に巨額の資金を投じるか、あるいは少なくとも経済と社会サービスを何とか維持するか、そのどちらかだ」。現在、英国は政府総支出の約24%を福祉に充てている。この予算を維持するか、防衛費を優先して削減するか、その選択を迫られている。

要するに、アステュート級潜水艦は、現在ロンドンで激化している、はるかに広範な比喩的な紛争における数多くの犠牲者の一人に過ぎない。

政府の資金には限りがある。福祉国家を維持するか、防衛費を増やすかのいずれかを選ばなければならない。英国は両方の同時実現はできない。

議論が激化する中、ロンドンの原子力攻撃用潜水艦依然としてドックに留まり、修理を待ち、国の沿岸を守ることもできない。ロンドンの誰もがこの問題とロシアがもたらす脅威を認識しているが、誰も方針を修正する能力も意志も持っていないようだ。■

アイザック・サイツ(防衛コラムニスト)は、パトリック・ヘンリー大学の戦略情報・国家安全保障プログラムを卒業した。また、ミドルベリー語学学校でロシア語を学び、民間企業で情報分析官として勤務した経験を持つ。


2026年6月12日金曜日

政府予算案に抗議し英国防相が辞任―スターマー政権は崩壊寸前ですが、日本としてはGCAPへの英国の財政コミットメントの行方が心配なところです

 

政府予算案に抗議し英国防相が辞任

UK defense secretary resigns in protest of government spending plan

https://www.defensenews.com/global/europe/2026/06/11/uk-defense-secretary-resigns-over-government-spending-plan/

2026年5月21日、エストニア南部ヴォル近郊で行われた「スプリング・ストーム」演習に参加した第4軽旅団司令官のオリ・ドブソン准将(左)と話すジョン・ヒーリー英国国防相。(レオン・ニール/ゲッティイメージズ)

ローマ発 — 英国のジョン・ヒーリー John Healey 国防相は木曜日、キア・スターマー首相が「脅威の高まり」の時期に防衛費を削減していると非難し、辞任した。

ヒーリーは、英国の軍事準備態勢を強化するために策定されたものの、政府各省庁が資金配分を巡って対立したため数ヶ月間停滞したままの、英国政府の長期「防衛投資計画(DIP)」を批判した。

ヒーリーは木曜日に公開したスターマー首相宛の辞任状で、防衛資金計画を確認したが、「必要とされる水準には程遠い」と述べた。

さらに彼は、「脅威が高まっているこの時期に、国を守るために必要な資源を投入することについて、貴殿はそれができず、大蔵省はそれを望んでいなかった」と付け加えた。

ヒーリーは首相に対し、「我が軍の部隊に必要な資源を提供しないDIPの合意は受け入れられないと説明したため、は国防相としての辞表を提出する以外に選択肢がなくなった」と伝えた。

ヒーリーは、英国大蔵省が合意した支出計画では、2030年までに国防費がGDP比2.68%に達することになると述べたが、来年にはすでに2.6%に達することを考慮すれば、これでは不十分だと指摘した。

同氏は、2030年以降にはさらなる資金が投入されることを認めたものの、ロシアによる現在の脅威を踏まえれば、「戦闘準備態勢を加速させる必要性は最初の2年間にこそある」と不満を述べた。

「現実の状況に即した防衛投資計画(DIP)がなければ、私は自軍の即応態勢を低下させ、作戦に従事する要員のリスクを高め、ひいては国の安全を損なうような決断を迫られることになる」。

ヒーリーの辞任は、内部の反発や首相の辞任を求める声に揺れるスターマー率いる労働党政権にとって、決定的な打撃となる可能性がある。

英国はDIPの最終決定を先延ばしにしてきた(来月のトルコでのNATO首脳会議前に公表すると約束していた)ため、日本やイタリアと共同で進めている第6世代戦闘機プログラム「GCAP」に対する英国のコミットメントに疑念が持たれている。先月、英国は同プログラムの作業を3ヶ月間継続する暫定契約に署名した。今後、パートナー各国は、それ以降もGCAPへの資金供給を維持するために、DIPにどの程度の資金が確保されているかに関心を寄せることになるだろう。

ヒーリーの辞任に対し、木曜日にはイタリアのグイド・クロセッティ国防相から同情の声が寄せられた。クロセッティGuido Crosettoも米イラン紛争によるエナジーコストの高騰を背景に、イタリア国内で国防費削減の脅威に直面している。

「あなたの思いや、この決断に至った理由を完全に理解しています」と、クロセッティ氏はヒーリー辞任を受けて投稿した。

「同じ課題に直面している私たち同僚の誰一人として、無関心ではいられない選択です。「あなたが記されたほぼすべての内容に同意しますし、今日公表された考えは、私自身も度々抱いてきたものです」。■