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米陸軍の榴弾砲が70キロ先標的に命中。既存技術の改良でここまでの長射程化が実現すれば、スタンドオフ効果は大きい。

    米陸軍はユマ演習地で長射程砲弾を開発中で砲弾、砲身含め抜本的な火砲の改良を目指し榴弾砲の性能向上を狙う。 (Army)   米 陸軍が開発中の長射程火砲 Extended Range Cannon Artillery (ERCA) system が12月19日アリゾナ州ユマ演習地でエクスカリバー長射程誘導砲弾を43マイル(69.2キロメートル)先の標的に命中させた。   米陸軍はロシア含むハイエンド敵勢力に対しスタンドオフ攻撃の優位性を確保すべく火砲の長射程化を目指している。今回のERCA火が実用化されれば敵の攻撃が届かない地点から標的を狙える。   ERCA火砲はM109A7パラディン統合制御(PIM)榴弾砲の車台を使い、39口径砲身を58口径30フィート銃身に交換した。これにレイセオン製のエクスカリバー砲弾とXM1113高性能推進剤を組み合わせ、射程を大幅に延長した。   2020年3月に陸軍は目標とする射程70キロメートルに一歩近づく65キロを達成していた。   今回の試射は三発で、一発目は強い向かい風のため標的にわずかに届かなず、二発目は慣性測定用ハードウェアが故障し、三発目が推進剤、砲弾他のバランスをとり長射程を実現した。   ただ今回の成功ではなく、あくまでも実戦投入への過程にすぎないと陸軍は説明。今回発射された砲弾はそれぞれ微妙に相違舌設計で秒速1000メートルでERCA砲から発射時の高圧と運動量に対応すべく最適解を求めた。   今回の試射で一年半に及ぶエクスカリバー砲弾開発は大きな成果を上げ諸条件の実現に目処がついたと陸軍は振り返る。   エクスカリバーは高速高圧の環境でも機能し、70キロ先の標的を直撃する性能を発揮したと総括している。   陸軍が目指すのは現場で実用的に扱える技術で、推進剤や弾薬部分でも例外ではなく高性能といえども発射回数が減るのでは効果がなくなる。そのため砲弾と推進剤の最適組み合わせで榴弾砲が運用し、最大効果の実現をめざしている。   2021年に最終仕様を決定する。その中でロケット推進部分と砲弾の仕様が重要となる。また鋼材の選択も攻撃効果を左右する。   ERCAは2023年に実戦投入される見込み。■   この記事は以下を再構成したものです。     Army long-range cannon gets direct

米陸軍野砲射程が70キロまで伸びる。戦闘の様相はこう変わる

米 陸軍の超長距離砲兵隊が敵の補給ラインを先に寸断し兵力集積地点にも砲撃を終えてから地上戦を展開すれば、敵部隊の排除は容易になるはずだ 。 さらに、敵の届かない地点からスタンドオフ砲撃すれば米軍部隊は安全かつ自信を持って敵軍を駆逐できるのではないか。 との想定で陸軍は155mm砲を改良し有効射程を従来の二倍の70kmに延ばす。 この事業は射程延長砲撃戦力 Extended Range Cannon Artillery (ERCA)と呼ばれ、迅速な実現をめざし進められてきた。陸軍技術部門は威力を高め残存性を高くした新型155mm砲の開発試験に動いている。 ERCAは米陸軍次世代装備本部 Army Futures Command が試験中で、62km先への着弾を実現しながら必要な精度は維持した成果を上げている。最新のM777迫撃砲ではGPS誘導方式のエクスキャリバー砲弾を運用し、最大射程は30から40kmとなる。この射程を二倍に延ばすERCAでは戦術戦略両面の要求を実現する狙いがある。狙いは敵を「アウトレンジ」することだと陸軍関係者が語ってくれた。 従来型装備に対しERCAは30フィートの砲弾を発射し、遠距離を狙う。 「ERCAでは 約30フィートで 58口径砲弾を運用します。内部容積が増えているため推進剤や砲尾を変えられます。初速は砲身長に依存します」とジョン・ラファティ准将(長距離精密火力機能横断チーム長)が今年初めのTNI取材に答えていた。 ラファティ准将からは砲弾の背後に強力な推進剤があり、スライド式尾栓は長距離砲用に改良したとの説明もある。 「砲の後部は強靭な鉄鋼で封印します。火薬系列は電子点火方式で薬室は拡大しており、砲身を長くしたことで初速はずっと高くなります」 ERCAは既存155mm用砲弾も運用しながら、精密誘導技術を応用した新効果を上げる。陸軍はエクスキャリバー砲弾のメーカー、レイセオンと飛翔修正可能な砲弾の開発をめざしている。これが実現すれば発射後に修正を加え普通なら攻撃不可能な標的も狙える。この原理を「弾道変更技術」と呼び、橋の下に隠れる敵や山の背後にいる敵を攻撃する。 「勾配を隠れ蓑にする敵は砲兵隊には難題です。弾道の最終部分が逆勾配に邪魔されるからです。