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2025年12月27日土曜日

太平洋島嶼作戦の補給活動の実証で米軍が水陸両用機を民間から借り上げる ― 海自US-2しか候補がないのではないでしょうか。少なくとも日本の立場を弱めたい勢力に口撃の機会としてはなりません

 

米国防総省が水陸両用機で太平洋の島嶼への補給活動の実証へ

中国との紛争の可能性が高まる中、水陸両用航空機能力の欠如が米国で顕著になっている

TWZ

タイラー・ロゴウェイ

公開日 2025年12月23日 午後4時43分 EST

INDOPACOM will hire contractor amphibious aircraft for new pilot program in Pacific.

日本のUS-2水陸両用飛行艇。パイロットプログラムにおける機体が何になるかは不明だ。戦争省

次国防授権法(NDAA)のほぼ最終草案が2週間以上前に公開された時、本誌の注意を引いた最も奇妙な点の一つとして、太平洋地域での請負業者による野心的な航空機運営パイロットプログラムがあった。その後成立したNDAAでは文言に若干の修正が加えられたものの、興味深さは変わらない。

該当する条文は以下の通りだ:

EC. 381. 米国インド太平洋軍管轄区域における契約両用航空資源パイロット計画

(a) 権限。国防長官は、海軍長官及び米国インド太平洋軍司令官と連携し、同軍の責任区域内における任務遂行のため、戦闘指揮官及び国防総省の他の構成部隊指揮官が利用可能な民間水陸両用航空機群の契約運用に関するパイロットプログラムを実施することができる。

(b) 任務要請の受理及び審査。 米国インド太平洋軍司令官は、(a)項に基づく試験プログラムに従い、任務要請を適時に受理し審査する手続きを確立するものとする。

(c) 終了。本条(a)項に基づくパイロットプログラムを実施する権限は、本法の成立日から3年を経過した日に終了する。

今月初めにNDAA草案が公開された直後、本誌はインド太平洋軍に対し、この取り決めの範囲と規模に関する詳細を問い合わせた。しかし「まだ法律化されていない」としてコメントは拒否された。成立後も同司令部はコメントを拒否したままで、先週金曜日には国防総省に問い合わせるよう指示してきた。現時点で返答は得られていないが、いずれ得られるよう期待している。とはいえ、明らかに機密性が高くなく比較的単純な条項と思われる内容に対して、ここまでの情報不足は奇妙だ。

いずれにせよ、現時点で入手可能な限られた情報に基づけば、これは太平洋作戦における空白を埋めるため、民間航空サービス活用を試験するプログラムと見える。これは平時における兵站・捜索救助活動、そして(より差し迫った)戦時下における両方の側面に関わる。

広大な太平洋のほぼ全域に水上飛行機でアクセスできないことは、中国に対抗する国防総省での能力リストにおける欠落要素だ。フロート装備の特殊作戦用MC-130Jがこの問題に対する国防総省の解決策、あるいは少なくとも可能性と見なされてきた。しかし、同計画は2024年に中止された。太平洋における米軍ニーズを支援するため水上飛行機の活用を模索した他の計画も近年相次いで中止に追い込まれている。

一方で、中国は先進的な水陸両用航空機能力へ投資を進めており、この地域で米国と最も緊密な同盟関係にある日本も、捜索救助を主目的とし、遠隔海域へのアクセス能力を副次的に備えた水陸両用機——新明和工業US-2——の小規模フリート(8機)を維持している。留意すべきは、これら二国は紛争時には自国周辺で戦うことになる点だ。米国はここ半世紀で最も困難な遠征戦争に陥ることになるだろう。

中国、世界最大の水陸両用機AG600を初飛行

水陸両用飛行艇やその他の水上機コンセプトの不足において、戦闘捜索救難(CSAR)が最も差し迫った懸念事項だ。太平洋全域にわたる長期紛争では、敵の攻撃だけでなく技術的故障や人的ミスによっても航空機が失われる。こうした事態が発生する海域は陸地から遠く離れているため、対応に長大な時間を要する。これは平時でさえ当てはまることであり、太平洋の何千マイルも沖合から脅威が発生する状況下ではなおさらだ。固定翼機は海上遭難者へ追加支援物資を投下できるが、救出は不可能だ。救出には生存者へ艦船を派遣するか、ヘリコプター/ティルトローター機を射程圏内へ投入する必要がある。後者は中国との大規模戦闘において既に重大な課題と認識されている。そして繰り返しになるが、これら全てには多大な時間を要する。しかもそれは乗組員が実際に発見された後の話だ。

従来のCSAR(捜索救難)資産では、距離と脅威能力の両面で太平洋上の目標到達が極めて困難だ。(米空軍)

飛行艇は迅速に対応でき、海況が許せば着水して人員を回収できる。またレーダーの探知範囲外を低空飛行で長距離移動可能だ。これは多くの点でエンドツーエンドの解決策であり、一分一秒が重要な状況下で迅速に実行され、成功をもたらすことができる。これは第二次世界大戦中に水上機が墜落した航空機乗員や水兵の捜索・救助に活躍し、多くの命を救った実証済みの能力であった。米軍の水上機は朝鮮戦争ベトナム戦争を通じてこの役割を継続した。HU-16アルバトロス水陸両用機は1980年代まで米沿岸警備隊で運用され続けた

太平洋での航空海上救助活動中、パイロットがPBMマリナーに搭乗する様子…HDストック映像

もう一つの役割は、先に触れた通り、通常の航空機ではアクセスできない極度に孤立した地域——特に島嶼部——への軽微な後方支援だ。固定翼機では全く到達できない場所もある。ここで水陸両用機が活躍する。辺境の小さな島で小規模部隊が活動できるようにするのだ。これは国防総省の現行太平洋戦略の中核をなす要素である。

滑走路のある飛行場であっても、多くの任務ではC-17やC-130は不要だ。戦闘機やその他のシステムの部品といった15ポンド(約6.8kg)の部品こそが、米空軍輸送機が運ぶ「至急必要」の主要貨物となり得る。小型の水陸両用機を活用すれば、米軍の従来型輸送機部隊は独自の能力が求められる任務に専念できる。あらゆる兆候から、太平洋戦域での限定戦争ですら、これらの部隊は限界まで任務を課されるだろう。中国はこうした任務向けの無人機を開発中であり、多くの機種が試験段階にある。一方、米国は遅れを取っている。

A KC-130J Hercules aircraft lands on Tinian Island's North Field runway, May 30, during Exercise Geiger Fury 2012. The aircraft was the first to land on the runway since 1947. The runway was cleared and repaired by elements of Marine Wing Support Squadron 171 during Exercise Geiger Fury 2012 which is intended to increase aviation readiness and simulate operations in a deployed austere environment. The aircraft is with Marine Aerial Refueler Transport Squadron 152, Marine Aircraft Group 36, 1st Marine Aircraft Wing, III Marine Expeditionary Force. MWSS-171 is with MAG-12, 1st MAW, III MEF.ティニアン島に着陸するKC-130J。小規模な前哨基地への貨物輸送の多くには、C-130の能力は必要ない。(写真:ランス・コーポラル・ベンジャミン・プライヤー) ベンジャミン・プライヤー軍曹

こうした事情を踏まえると、インド太平洋軍(INDOPACOM)は、航空機を調達して自ら運用する部隊を編成するより、まずは請負業者モデルを採用することで、柔軟な手法で水陸両用機の概念を実証したいと考えているようだ。こうしたパイロットプログラムはリスクを軽減し、短期的には一定の能力を提供できる。一方で、米国にこの構想を試す余裕はなく、中国との潜在的な紛争に備え自前の航空機が今すぐ必要だと主張する者もいる。

そこで大きな疑問となるのは、請負業者運用という要件に適合する、あるいは実際に利用可能な航空機は何かということだ。現時点ではその答えは明確ではない。選択肢は非常に限られており、US-2がこの任務にほぼ完璧に適合しているように見えるものの、高価な同機はごく少数しか存在せず、迅速な移管は不可能だ。追加生産は可能ではあるが。

日本のUS-2 – 限界を知らない世界最先端の水陸両用機だ

CL-415スーパースクーパーは能力は劣るが実績のある解決策だ。ただし現在は主に消防活動に用いられている。一方で、この機種の民間運航事業者が既に存在するのは利点だ。しかし他方で、これらの機体は本来の任務で需要が高い。

3000万ドルの「スーパースクーパー」は山火事対策用だ

セスナ・キャラバンのような水上機を使用する可能性もあるが、前述の2機種に比べ能力が大幅に劣り、使用ケースも限定される。

2016年の米海兵隊戦術シミュレーション文書(USMC)

いずれにせよ、今後の展開を見守る必要がある。国防総省がこの規定の意図を明確にしてくれることを期待したい。現状では、インド太平洋軍(INDOPACOM)が水陸両用機を実戦投入する機会を得られる可能性がある。少なくとも、その性能を評価する機会にはなるだろう。■

タイラー・ロゴウェイ

編集長

タイラーは軍事技術・戦略・外交政策の研究に情熱を注ぎ、防衛メディア分野でこれらのテーマに関する主導的な発言力を築いてきた。防衛サイト『フォックストロット・アルファ』を創設した後、『ザ・ウォー・ゾーン』を開発した。


Pentagon To Contract Fleet Of Seaplanes For The Pacific

The lack of an American amphibious aircraft capability has become more glaring as the possibility of a conflict with China looms larger.

Tyler Rogoway

Published Dec 23, 2025 4:43 PM EST

https://www.twz.com/news-features/pentagon-to-contract-fleet-of-seaplanes-for-the-pacific


2022年9月11日日曜日

米空軍特殊作戦軍団のUS-2への関心度は本物だ。新明和工業は米軍向け生産の検討に入っている模様。C-130水上機改装案は挫折か。

 

グアムのアンダーセン空軍基地で行われたコープノース22で、海上自衛隊の新明和US-2の前に立つオーストラリア空軍、米空軍、海上自衛隊(2022年2月10日撮影)。米軍は、コープ・ノース含む合同演習や作戦活動を通じ、インド太平洋地域の同盟国やパートナー国との関与の拡大や関係強化を常に目指している。 (U.S. Air Force photo by Airman 1st Class Yosselin Perla)

 

Naval Newsは、新明和工業株式会社に米特殊作戦軍(USSOCOM)が水上飛行機US-2に興味を示しているのか問い合わせたところ、同社から返答を得た。また、USSOCOMにC-130J MACの現況とコメントを問い合わせたのであわせて以下お伝えする。



米国特殊作戦司令部(USSOCOM)のコメント

USSOCOMが水陸両用機C-130Jフロートプレーンや水上機を保有する可能性が高まる中、「船体構造」を有する水上機としては、海上自衛隊の「新明和US-2」が候補に挙がっている。現在、US-2は海上自衛隊に配備されている。

 USSOCOMは、既存MC-130Jにポンツーンを追加して、実質的な水上機にできると考えており、このコンセプトは特殊作戦部隊産業会議2022(SOFIC 2022)で確認された。

 「水陸両用MC-130の実証に関して、USSOCOMは現在、市場調査中で、既存のSOF要件に対応する水陸両用機の可能性を確認するために行っている。またAFSOCは、C-130機にフロート・アセンブリを搭載する実証を行っています。リスクを軽減し、変更を加えるため主要な要因として、デジタルエンジニアリングを活用しており、水力試験とサブスケール機の空力試験を行っている。


USSOCOMの新技術担当技術部長Rich Rodriguez、SOFIC2022でのC-130 MACの状況について

MC-130Jフロートプレーンのコンセプトにはメリットとデメリットがある。主な利点としては、ポンツーンの追加で、アドオンフロートキットが実現できれば、SOCOMの既存MC-130Jを使用できることだ。ポンツーンキットがあれば、各C-130Jで大きな構造変更をすることなく水上機に改造できる。水陸両用のMC-130J(MAC)は、以下のレンダリングと非常によく似た外観になるはずだ。


SOFIC 2022では、このAFSOCのMC-130をポンツーンフロートに載せるコンセプトが、水陸両用MC-130Jの実験目標だと確認された (USAF image)


 だがMC-130J MAC構想の最大の欠点は、機体が高い位置にあるため後部貨物ランプと側面ドアが高さで不利な位置となり、海面から小型ボートを上運用するクレーンがないため水上作戦が困難になることだ。(新明和US-2は腹部が海面上のため、小型ゴムボートを側面ドアから手で上げ下げすることができる)。 実際、AFSOCのレンダリングでは、MC-130Jの胴体からポンツーンや水面につながるハシゴや階段が描かれている。MACが海面までバラストを落とすことができれば、機体先端部FLIRボールが水没し、敏感な電子機器や光学系が危険にさらされる。 また、コックピットが高い位置のため、MC-130Jフロートプレーンの着陸が困難になる可能性もある。

 

 ロッキード・マーチンは、ここで見ることのできるボート(またはクジラの腹)の外皮を持つ水上機を設計しているが、スケールモデル以上に進展した形跡は見当たらない。Naval Newsは同社に水陸両用MC-130Jのコンセプトと状況についてコメントを求めましたが、ロッキードは質問はすべてUSSOCOMに委ねた。



グアムのアンダーセン空軍基地で行われたコープノース22で、オーストラリア空軍と米空軍の隊員に海上自衛隊の新明和US-2の能力を説明する海上自衛隊の隊員(2022年2月10日)。同盟とパートナーシップのネットワークは、世界の安全保障のバックボーンであり続けています。 (U.S. Air Force photo by Airman 1st Class Yosselin Perla)



 Naval NewsがUSSOCOMにMACの状況について2022年8月末に問い合わせたところ、USSOCOM広報のカサンドラ・トンプソン中尉は、MACは2022年8月時点で国防省内の公式事業ではないため、新しいMACニュースで共有すべき内容はないとし、状況は変わっていないと回答してきた。米国政府の契約関連のウェブサイトを確認したところ、C-130J MACは正式なProgram of Recordではないことが確認された。

 また、Naval NewsはUSSOCOMに新明和US-2への関心について質問し、回答を得た。

「US-2視察は、USSOCOMがAFSOC(米空軍特殊作戦司令部)と協力し、水陸両用の新技術を分析し、実行可能な取得戦略をめざす市場調査活動の一環であった」。


USSOCOM広報部 カサンドラ・トンプソン中尉

防衛視覚情報配信サービス(DVIDS)配信の写真は、米空軍特殊作戦司令部(AFSOC)が2022年2月10日にグアムのアンダーセン空軍基地で実際に新明和US-2を視察したと確認できるが、特殊作戦の機密性のため、USSOCOMは関心分野やUS-2を取得計画に組み込む可能性について追加のコメントや詳細を提供できない。

 したがって、サブスケールモデリング以外に、USSOCOMの水陸両用MC-130Jフロートプレーンの実際の状況は不明で、最終的に米海兵隊(米海軍、米海兵隊、米沿岸警備隊)向けに製造されるかは不明なままだ。USSOCOM MACをDARPAの "Liberty Lifter"と混同しないよう注意する必要がある。


2021年11月9日、空軍特殊作戦司令部副司令官エリック・ヒル少将、第353特殊作戦航空団司令官シェーン・ベセリ大佐と新明和US-2の能力を話し合う海上自衛隊第31航空団の搭乗員。[筆者注:「グラス・コックピット」計器盤は、水上機の外見がやや古典的に見えても、US-2の近代的で洗練された操作系を反映している。] (U.S. Air Force Photo by 1st Lt Rachael Parks)



新明和工業のコメント

2022年8月末、米軍向けUS-2の生産可能性についてNaval Newsが問い合わせたところ、新明和工業航空機事業部営業部より回答があった。新明和はUS-2は海上自衛隊向けに開発したが、センサー装備や生産時期、1機あたりの価格などについては、顧客の意向を理由に回答できないとしている。

Naval News: US-2の外側に武器の搭載は可能か?

新明和工業株式会社:機外に武器を搭載するのは困難です。

Naval News:米軍からUS-2のデモを依頼されたことはあるか?

新明和工業株式会社:AFSOCは日本でUS-2に搭乗し、その様子はAFSOCのウェブサイトにアップロードされています。

Naval News:US-2を米軍向けに生産できるか、可能ならどんな改造が必要なのか。

新明和工業株式会社:AFSOC向けUS-2の製造は可能です。当社はやる気満々です。米国企業と連携して進めています。整備マニュアル等や装備品はAFSOC仕様にする必要があります。

Naval News: US-2の機体価格、製造工期は?

新明和工業株式会社:US-2の価格はAFSOCの要求で大きく変わるので、この質問に答えるのは難しいです。また、リードタイムについてもお答えできません。

Naval News: US-2はどこまでメンテナンスが必要で、耐用年数は?オーバーホールや整備を行う間隔は?

新明和工業:海上で離着陸を行うため、定期的なメンテナンスの間隔は短い。耐用年数も答えられない。

Naval News: US-2は他の水上機と比較してどんなメリットがあるのか?

新明和工業:US-2の最大の特徴は、水上で非常に短距離で離着陸できることです。その他水上機と比較して、圧倒的に短距離です。新明和は、US-2がC-130J MACよりも米軍の要求に応えられると確信しています。(新明和は、US-2は波高3mの海面に着水できる世界唯一の水陸両用機と述べている。)

Naval News: US-2は何機作られたのか?

新明和工業株式会社:9号機を製造中です。

Naval News:US-2は陸上水上でのタキシー運用が可能なのか?

新明和工業株式会社:US-2は陸上で離陸できます。

Naval News:US-2に暗視機能があるか?

新明和工業株式会社:US-2には暗視機能はありません。

Naval News:US-2は空中給油が可能か?また、海上での給油は可能か?

新明和工業株式会社:空中給油能力はありません。洋上で船から給油する能力はあります。(US-2は時速298MPHまたは480KMHで飛行でき、航続距離は2,920マイルまたは4,700キロメートル。離水距離は280m、着水距離は330m。)


海兵隊岩国航空基地で見学者を待つ日本の新明和US-2(2022年7月8日撮影)。US-2は、人員救助や有事対応を目的とした水陸両用機だ。 (U.S. Air Force photo by Senior Airman Gary Hilton)


筆者のコメント

 推測の域を出ないものの、米空軍がUS-2を調達した場合、USSOCOMに利点と問題点の両方が生まれる。現在の生産数は少なく(新明和US-2はこれまで9機しか製造されていない)、実際に米軍特殊作戦部隊や海上部隊のために購入された場合、米軍はUS-2を特殊水上機と見なすかもしれない。US-2は非武装で、精密誘導弾を束ねたパレットを投下できる後部貨物ランプがないため、武装化は難しいようだ。しかし、米海兵隊のKC-130Jハーベストホークには、デリンジャー・ドアと呼ばれる精密誘導弾発射装置が搭載されている。ラックには最大10発の弾丸が収納できる。米軍仕様US-2にもこのようなデリンジャードアが追加され、US-2の与圧キャビン内でスタンドオフの武装ができるかもしれない。また、スイングアーム式の機銃マウントをサイドドアに設置し、折り畳んで出入り口を確保するオプションも考えられる。


米海兵隊のKC-130Jハーベストホークに、デリンジャードアと呼ばれる加圧式スタンドオフ、精密誘導弾発射装置と弾薬10発を収納するラックを取り付ける改造が施されている((Photo: NAVAIR)


 新明和のウェブサイトにある3分間のビデオでは、RHIB(Rigid Hull inflatable boat)が、ドアの上のノブに巻き付けられたロープでUS-2のサイドドアに吊り上げられる様子が映し出されている。乗組員はロープを引っ張り、RHIBを横向きにドアに押し込んでいる。RHIBはサイドドアから押し出して展開される。乗員がUS-2からRHIBに乗り降りするのは、かなり速くできるので、救難やSARの任務で、この方法が生まれる受け入れられるかもしれないが、重い貨物や武装の積み下ろしで、ロープ1本でRHIBを結ぶのは、RHIBをMC-130J MAC内部から後部ランプから発進させるのと比べると、大海原では難しいかもしれない。

 新明和US-2型水上飛行機が採用されれば、米国沿岸警備隊のVisual Board Search and Seizure(VBSS)、高速艇の追跡、麻薬、海賊、密輸の阻止にも大きな助けとなり、資産となる可能性がある。

US-2のサイドドア脇にオレンジ色RHIBが展開された。ドアと上にあるオレンジ色ノブに注目。ロープを結び滑車としてRHIBを昇降させる (Photo: USMC) 



 もう一つの疑問は、US-2が米国向けに製造された場合、米国政府支給品(GFE)を装着したUS-2と、日本製装備を英語仕様に改造したUS-2を比べて、どれだけ信頼できるのかという点だ。USSOCOM(および米軍)は、GFE装備(ジャマー、センサー、カウンターメジャー、ナイトビジョン、データリンク、安全な通信)を追加することが多いので、人道支援、有事、SAR以外のマルチロール用途だと、AFSOCのUS-2はどこまで複雑になるのか?

 AFSOCが戦闘装備仕様のUS-2を必要とするならば、「短い定期メンテナンス間隔」は、長いメンテナンスダウンタイムになり、アメリカのUS-2は、外洋に展開するより頻繁に桟橋に停泊することになるかもしれない。新明和は、AFSOCと協力することで、アメリカの特殊部隊の要求を満たせると確信していると述べた。

 しかし、米軍のUS-2は、米海軍で切実に必要としている輸送機、水上機補給機、墜落パイロットのSAR水上機となりうる。また、米軍のUS-2は、増え続ける無人の水上・水中艦艇の整備、燃料補給、再武装、監視を行うことができる。新明和US-2は、世界の海という「距離の専制」を克服し、米軍の特殊作戦や海上部隊で、可能性を与えるソリューションになるかもしれない。■


ShinMaywa and USSOCOM Comment on the US-2 Seaplane - Naval News

Peter Ong  08 Sep 2022

 

Posted by : Peter Ong

Peter Ong is a Freelance Writer with United States and International Federation of Journalists (IFJ) media credentials and lives in California. Peter has a Bachelor's Degree in Technical Writing/Graphic Design and a Master's Degree in Business. He writes articles for defense, maritime and emergency vehicle publications.

 


2022年2月27日日曜日

日曜特集 米軍が新明和US-2を採用したら.....あらためて飛行艇への関心が高まる中で、日本がこれまで心血を注いで開発したニッチ技術が花を開く可能性

 重苦しい空気の週末になりました。こういうときだからこそ楽しい話題もお送りしましょうメディア関係者の皆様へ US2という機体は存在しませんのでご注意ください。

Alman lede (1)


1992年1月23日、アメリカ空軍のF-16(コールサイン、クラン33)が米本国へのフェリーフライト中に空中給油機に衝突した。パイロットは東京の東方約625マイルの海上で射出脱出したが、救助ヘリコプターの飛行範囲から大きく外れていた。パイロット救助に活用できる艦船はなかった。しかし、わずか4時間後、日本の自衛隊はパイロットを発見救出した。船もヘリも使わなかった。水陸両用機、コールサイン「かもめ81」だった。



第二次世界大戦中、日本は海上作戦を行う他国と同様に、水上飛行機を多数保有していた。しかし、アメリカは関心を示さなくなった。米軍が水上機を手放した理由は4つある。第一に、第二次世界大戦の終結により、ヨーロッパ、アジアなどに長い滑走路のネットワークができた。ヨーロッパ、アジアなどに長い滑走路網ができたため、水上機の着水能力は意味がなくなったと思われた。第二に、次世代水上機といわれたR3YトレードウィンドとP6Mシーマスターが開発難に陥った。第三に、海軍が予算削減のため、空母や弾道ミサイル潜水艦を優先させたこと。第四に、米海軍の資金がなく、他国の海軍は水上機開発にゼロから資金を調達できなかった。水上機は、1983年まで沿岸警備隊が使用していたが、最後の機体は1967年の初飛行だった。


しかし、日本は関心を失わなかった。1966年、米国が水上機事業を縮小する中、日本は新明和に軍用水上機の開発を依頼した。その結果生まれたのが、高性能の水上機「US-1」である。現在、同機を改良した「US-2」が日本で運用されている。


米国がインド太平洋地域での競争を重視するようになり、米軍の一部が水陸両用機に特に注目するようになれば、日本の水上飛行機の入手を検討することは良いことであろう。US-2は実績があり、かつ生産中の機体であり、稼働初日から共同能力が高まる。さらに、US-2を少数購入すれば、米軍は比較的低コストで水上機運用の実験を行うことができ、研究開発の必要も皆無に近い。最後に、日本の航空産業からの購入は、日米同盟の強化につながり、日米関係の双方向の利益を強調することになる。


US-2とは


US-2は、技術面でも驚異的な機体だ。最高速度は時速300マイル以上、最大離陸重量は100,000ポンド以上、無給油航続距離は3,000マイル近くあり、US-2は捜索救助の任務に優れている。US-2は当初から北太平洋での救助活動を念頭に置き、波高10フィート(約1.5メートル---新明和工業では3メートルと説明しています)でも運用可能だ。そのため、外洋で活動が可能で、水上飛行機の利点を発揮できる。US-2は、墜落機を広範囲で捜索できるだけでなく、着陸して回収することも可能だ。


Figure 1: 海上自衛隊のUS-2 (image courtesy of Hangar B Productions).


US-2の導入で、米軍の太平洋における捜索救助活動能力は一気に向上する。図2は、空軍のブラックホーク原型の救難ヘリHH-60Wや、各軍で使用中のティルトローターV-22との比較で、US-2の対応範囲が相対的に高いことを示している。HH-60は通常、救難任務に特化した人員・構成のHC-130と並列運用されるが、この組合わせが常時保証されているわけではない。HC-130が故障など使用できない場合、HH-60の活動範囲は限定される。一方、US-2は自己完結型の救難能力を発揮する。

Figure 2: 救難ヘリコプターとUS-2水上機の飛行距離を比較した。距離は概算。V-22はMV-22のフェリー飛行時の性能を用いた。ただし、実際の運用時の半径はこれより大きく縮まる。HH-60の場合無給油で500マイル



この能力をコスト増なしで実現できる。運用コストは1時間あたり約1万2千ドル(JRMマーズ飛行艇と消防用タンカーとして使用されたBe-200を基に推定)、HC-130J(1時間あたり6千ドル)とHH-60W(1時間あたり9千ドル)の運用コストの合計1万5千ドルに匹敵し、2万ドルを超えるV-22の時間コストよりはるかに低くなる(数字は、不完全だが方向的には正しい指標である国防総省の償還率に基づく)。US-2の機体単価は150百万ドル以下と予想されるが、ここまで高くなるのは、生産機数が非常に低いのが主な理由だ。HC-130Jコンバット・キングとHH-60Wジョリー・グリーンIIを合わせると、ほぼ同じ水準となる。1億ドル近いV-22は、HC-130とHH-60の両方の特性を兼ね備えるが、無給油航続距離が短いのが欠点だ。V-22の無給油戦闘半径は通常500マイルで、US-2の半径1,400マイルを大きく下回る。内部燃料タンクの追加で、V-22の戦闘半径は約1,000マイルまで広がるが、機体の内部容積が大きく失われるため、通常はこの構成で飛行することはない。空中給油を行えば、航続距離を伸ばせるが、コストが劇的に増加する。さらに、適切な給油機を適切な場所に適切なタイミングで配置する必要がある。さらに、V-22飛行隊は通常、戦闘捜索・救助任務の訓練や支援は行わないが、必要であれば実行できる。米国が1,000マイル超で自己完結型の外洋救助能力を望むなら、水上機を検討する必要があることになる。


水上機は決して安くないが、買わない選択は非常に高額な失敗になりかねない。F-16のパイロット訓練には約6百万ドル、F-35やB-2のパイロット訓練は約10百万ドルかかると言われる。互角の戦力を有する相手との戦闘では、航空機が失われ、パイロットは海上脱出することになる。パイロット回収には、経済的、道徳的な理由のほかに、別の議論もある。パイロットは、救助される可能性が高いとわかれば、積極的に攻撃するようになる。したがって、米国にとってパイロットの洋上救出は重要となる。


米軍と同盟国は、広大な太平洋上での戦闘航空作戦を考えるとき、水上機による戦闘捜索・救助の利点をよく検討すべきだ。エディ・リッケンバッカーやジョージ・ゲイなど、水上飛行機で命を救われた多くの過去の人々にとって、今日アメリカが救難水上飛行機を飛ばしていないと知れば驚くだろう。US-2が問題を解決できる。


試行を今すぐ始めるべき


米軍がUS-2を導入すれば、戦闘捜索・救助能力を即座に強化する以外に、水上機のユニークな特性を試す手段となる。水上機は万能ではない。すべての航空機同様に、水上機にも現実的な限界がある。しかし、滑走路が攻撃される想定の将来の紛争では、海上着水能力が重要要素になる。空軍特殊作戦軍団は、フロート付きC-130の実現に向け作業を開始しているが、時間と費用がかかる一方で成功の保証はない。これに対し、US-2は、今日、存在しており、機能している。US-2を調達すれば、米国はユースケースを改良し、水上機の最適用途、あるいは使用しないのがベストかを理解できる。


水上飛行機は、米軍がインド太平洋における課題、特に分散型作戦で特有の問題を解決する手段となる。US-2は捜索救助と海上偵察用途で設計されたが、遠く離れて展開する部隊への後方支援など、他用途の想像は難しくない。US-2のような水上飛行機は、通常アクセスできない場所に部隊を投入し、補給を続け、必要であれば撤収させることができる。US-2で無人航空機チームを前方の島しょに潜入させ、攻撃機の照準支援を行うシナリオもある。さらに、US-2は大量貨物を運ぶ設計ではないが、改造すれば、戦闘部隊の補給に役立つ。


上層部は、US-2を空中給油機に改造することさえ考えるかもしれない。給油機型は、船舶、あらかじめ設置された燃料ブラダー、他の航空機、または海に近い飛行場や燃料拠点から燃料補給できる。滑走路があれば、着陸できる。究極の未整備地である海面から前進させれば、攻撃機やその他の部隊の戦力投射が可能になる。ここまでの改良はすぐに必要ではない。当初は、最小仕様として、US-2はプローブ装備機に給油するだけにすればよい。ブームの搭載は、利点を多くもたらすが、作業は難易度が高い。


Figure 3: 米海軍の伝統色似塗装したUS-2が海軍海兵隊のF-35に空中給油する (image courtesy of Hangar B Productions).


C-130同様の空中給油ポッドを搭載したUS-2を考えてみよう。US-2は約6万ポンドの燃料を搭載し、前線基地から約600マイル飛行し、3万ポンドの燃料を降ろし、陸地に戻ってくる。これは、MQ-25スティングレイの2倍に相当する。さらに、US-2は、空母の格納庫もカタパルトも不要だ。別の言い方をすれば、US-2 1機でF-35C 4機の航続距離を40%、V-22 2機の航続距離を2倍に延長できる。


US-2のもう一つの可能性は、HC-130やMC-130(空軍の特殊作戦用C-130)のような役割で、救助任務や特殊作戦部隊の支援だ。救助部隊では、太平洋へのシフトの一環として、US-2とV-22のチームを追加した場合を分析する必要がある。この場合、US-2は空中う給油装備を搭載するか、ヘリコプターやその他車両の母艦として機能することができる。水上着陸ができれば、空軍特殊作戦司令部の説明のように、柔軟性が増し、統合部隊の司令官で選択肢を広げる。水上飛行機が提供する非対称的な能力の1つは、水面上で「待機」することがある。天候に恵まれれば、着水し、エンジンを停止し、乗組員が機内に残り、任務の支援や達成のため何日も待機できる。このようなコンセプトでは、水上飛行機の耐航性が重要視される。



Figure 4: 米空軍がUS-2を採用したらこうなる。低視認性塗装で特殊部隊作戦を支援する想定 (image courtesy of Hangar B Productions).


最後に、US-2は海軍のめざす海上偵察・攻撃複合体の一翼となる。P-8は統合軍に多くの能力をもたらすが、基本的には旅客機を改造した機材のため、運用には長い滑走路が必要となる。US-2には、武器搭載用のハードポイントや、対潜戦用のソノブイを展開するディスペンサーを取り付けることができるかもしれない。このようなアイデアは、前例がないわけではない。US-2の前身であるPS-1は、ソノブイと魚雷を搭載していた。また、着水後に船体からディッピングソナーを展開できた。US-2にも同様の改造を施せば、殺傷力の高い哨戒機となり、海軍は高い生存率と適応力を実現できる。


また、無人地上・無人水中機の整備・配備・回収能力も向上する。US-2のような水上飛行機は、前方地点に展開し、水中グライダーやその他車両を配備し、数週間後に回収し、データをダウンロードし、別の作戦の支援で戻ってくることができる。これにより、移動時間を大幅に短縮し、駐留時間が伸びる。さらに、海軍が無人装備品をより広範囲に展開し、かつ高速移動が可能になれば、敵の計画策定に不確実要素が増す。



Figure 5: 米海軍が哨戒用にUS-2を調達した想定で、VP-40のカラースキームを応用し、ソノブイ他センサーを搭載している(image courtesy of Hangar B Productions).



日米の絆強化にもつながる


US-2購入には、運用面や技術面に加え、外交的な側面もある。端的に言えば、日本が設計・製造した水上機を購入すれば、日米同盟がさらに改善される。2020年、日本は米国から200億ドル以上の武器を購入した。2020年7月、日本によるF-35戦闘機調達の要請230億ドルを承認し、過去2番目に大きな対外軍事売却となった。こうした購入が米国の雇用と国内産業を直接支えている。


新明和工業は小規模な会社であり、自衛隊はUS-2水上機を多数注文する余裕がない(実際には9機)。米国からの発注で、同社を良好な財務状態に保ち、日本経済を支える。日本製機材の調達は、唯一の現実的な選択肢である。現在、実用的な水上機を作るのは、日本以外に3カ国しかない。中国、カナダ、ロシアだ。ロシアや中国の水上機を購入するのは政治的に不可能であり、カナダの水上機はUS-2よりはるかに小さく、森林消火に最適化された機体だ。米国が太平洋作戦に最適な水上機を購入するのならば、US-2を購入すべきだ。最後に、日本製機材を買えば、技術革新は米国だけの独占ではないことが同盟国にわかる。


武器購入という切り口での外交は、決して新しいことではない。最近のAUKUS(豪・英・米)潜水艦の取引は、技術共有による外交力をあらためて浮き彫りにした。日本、インドネシア、マレーシア、インド、米国などの間で結ばれた武器協定に、US-2が含まれる世界を想像するのは難しくない。


中国との競争も考えるべき要素だ。中国の新型水上飛行機AG-600は、軍事と外交双方の機能を備えている。同機に関する初期の報道では、マレーシアとニュージーランドが性能に関心を示しているとある。また、中国が外交に同機を利用する可能性もある。米国は、敵国が設計した航空機ではなく、同盟国が設計による航空機を地域内パートナー各国に使ってもらいたいと考えている。


まとめ


米国は水陸両用機の国産設計を追求する一方で、既製品の採用も検討することが賢明だろう。捜索救助機材であれ、実験手段であれ、あるいは日米同盟に対するアメリカのコミットメントの象徴であれ、US-2を少量購入することにデメリットは皆無に近い。

現実的には、米軍は以下3つの行動を早期に起こすべきだ。第一に、日本から適切数の機材を購入するコストを検討し、そのコストと現在進行中の開発努力を比較する。第二に、US-2のような航空機を購入することで得られる相対的な有効性を、他の提案と比較して、各種方法で判断する。第三に、米国は海上自衛隊と限定的な交流プログラムを実施し、米国の能力が実用化される前に、飛行艇の運用経験を習得する必要がある。米国が最終的にUS-2を購入する意味がないと判断した場合でも、同盟国の能力と水陸両用機の能力全般について理解を深められれば、米国に有益な効果が生まれる。


米軍によるこうした行動では、同時に国務省等の政府機関による取り組みと組み合わせ、相乗効果を生む分野を特定する必要がある。米国は、限りある国防費を投入する用途として、これ以上に太平洋で好影響を与える選択肢がほかにない。US-2の購入は、墜落したパイロットや立ち往生した偵察チームに大きな意味があるかもしれないが、そもそも紛争を防ぐため重要な同盟関係を一層強化する報酬も生まれるのだ。■


A Japanese Seaplane Could Be the Difference-Maker for the US Military - War on the Rocks

DAVID ALMAN

NOVEMBER 4, 2021


David Alman is an officer and pilot in the Air National Guard. He holds a B.S./M.S. in aerospace engineering from the Georgia Institute of Technology. The views expressed here are his own and do not reflect those of his civilian employer, the U.S. Air Force, or the Department of Defense. The author has no financial interest in any seaplane development, although he admittedly would love to fly one. He is especially grateful to Adam Burch of Hangar B Productions for the artwork featured here.

Image: Hangar B Productions