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2025年9月8日月曜日

ヴェネズエラと緊張高まる中、F-35戦闘機がカリブ海に展開(TWZ)― 麻薬原料が中国から流入し、ラテンアメリカで加工され、米本土に流入する構図にトランプは軍事力を投入し、中国へのメッセージでもあるのでは


ヴェネズエラが対象の麻薬取締作戦の拡大に伴い、10機のF-35戦闘機がプエルトリコへ向かっていることを米当局者が認めた

An official familiar with operations confirmed to us that U.S. President Donald Trump has ordered 10 F-35 Joint Strike fighters to head to Puerto Rico to take part in ongoing counter-narcotics opertions(

(米空軍写真/ケイトリン・アーギッシュ曹長撮影)

リブ海でのトランプ政権による麻薬対策作戦に詳しい情報筋が本誌に対し、F-35 ジョイントストライクファイター10機が作戦参加のためプエルトリコへ派遣される命令を受けたことを確認した。これはロイター通信による先行報道を裏付けるものだ。戦闘機は来週プエルトリコに到着する見込みだが所属部隊、派遣元、到着後の任務内容については不明だ。

戦闘機配備の情報は、ヴェネズエラ空軍のF-16戦闘機がカリブ海で活動中の米海軍駆逐艦に接近飛行した翌日に伝えられた。これは米ヴェネズエラ間の緊張激化における最新の動きである。

The Pentagon says two Venezuelan jets flew close to the USS Jason Dunham.

米当局者は金曜朝、米駆逐艦「ジェイソン・ダンハム」付近を飛行したヴェネズエラF-16戦闘機2機について本誌に「極めて挑発的な行動であり、明らかに武力示威だ」と述べた。(USN/Mass Communication Specialist 3rd Class Theoplis Stewart II)

この駆逐艦への接近飛行は、ドナルド・トランプ米大統領が「ヴェネズエラの独裁者ニコラス・マドゥロと密接に連携する『ヴェネズエラ・トレン・デ・アラグア麻薬テロリスト』」所属の船舶を軍が攻撃したと発言した2日後に発生した。トランプ大統領は攻撃の動画を公開し、麻薬密売人11名を殺害したと述べた。大統領は7月に麻薬テロ組織と指定されたグループに対する軍事力行使を承認する機密文書に署名しているが、この事件は議会承認なしに攻撃を実施した合法性など様々な問題点を浮き彫りにした。

フォックスニュースがXで報じたところによると、同艇は停止命令を受けていたが従わず撃沈された。

同地域からの麻薬流入阻止を掲げるトランプ大統領は少なくとも8隻の軍艦に加え、追加の監視・攻撃資産を同地域に派遣していた。

米当局者は金曜日朝、ダンハムに加え、同地域に展開する海軍資産の位置に関する最新情報を提供した。

第22海兵遠征部隊(MEU)は、イオー・ジマ強襲揚陸艦(ARG)の一部として、8月14日にノーフォークを出港し、カリブ海南部へ向かった。この部隊は、3隻の艦船に4,500人以上の水兵と海兵隊員を乗せていた。艦船は、ワスプ級強襲揚陸艦「USSイオー・ジマ」、サンアントニオ級強襲揚陸艦「USSサンアントニオ」、および「USSフォートローダーデール」である。これらの艦艇は現在もプエルトリコ南岸沖に停泊し、海兵隊員と水兵が水陸両用上陸訓練を実施中だ。

ARG/MEU艦艇に加え、アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦「グラヴェリー」も南カリブ海で航行中だと当局者は述べた。

一方、少なくとも2隻の海軍艦艇がパナマ運河を通過した。タィコンデロガ級ミサイル巡洋艦「レイク・エリー」は最近、太平洋側からカリブ海側へ運河を通過した。アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦「サンプソン」は運河の太平洋側に停泊中である。潜水艦部隊の位置公表に関する公式発表方針を理由に、当局はロサンゼルス級攻撃型原子力潜水艦「ニューポート・ニューズ」の所在は明かさなかった。同艦も今回の作戦に参加している。

TOPSHOT - The US Navy warship USS Sampson (DDG 102) docks at the Amador International Cruise Terminal in Panama City on September 02, 2025. Venezuelan President Nicolas Maduro said on September 1, 2025, that eight US military vessels with 1,200 missiles were targeting his country, which he declared to be in a state of "maximum readiness to defend" itself. (Photo by Martin BERNETTI / AFP) (Photo by MARTIN BERNETTI/AFP via Getty Images)

アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦サンプソン(DDG 102)は9月2日、パナマシティのアマドール国際クルーズターミナルに停泊し、現在も同地に留まっていると、米当局者が本誌に伝えた。(写真:Martin BERNETTI / AFP)MARTIN BERNETTI

麻薬テロ組織と見なされるグループを標的としているものの、これらの作戦に直接関与する当局者は先週本誌に対し、ヴェネズエラ大統領も標的としていると明かした。同大統領は2020年、トランプ政権第1期中にニューヨーク連邦裁判所で起訴された。マドゥロ大統領と側近数名を含む14名は、コロンビアの反政府組織FARCとの共謀によるコカイン密輸および麻薬テロリズムの連邦罪で起訴された。米国政府はマドゥロの逮捕に5000万ドルの懸賞金を懸けている。

F-35は多様な能力を発揮する。標的攻撃や敵機迎撃といった物理的戦闘能力で最も知られる一方、統合打撃戦闘機は高性能レーダーと電光システムを備えた極めて強力な情報収集ツールでもある。しかし電子情報収集能力こそが、おそらく最も強力な偵察資産と言える。

更新 午後1時20分(東部時間)

ピート・ヘグセス国防長官は木曜日、ジョージア州フォートベニングを訪問中に、今週早々に実施された麻薬カルテルの密輸艇への致死攻撃について追加説明した。長官は死亡したとされる密輸業者を悪名高いテロリストに例えた。

「麻薬カルテル出身であることはアルカイダ出身と何ら変わらない」とヘグセス長官は記者団に宣言した。「国際水域において、彼らはこれまで通り、そうした扱いを受けるだろう」

「我々は麻薬密輸艇を撃沈し、11人の麻薬テロリストを海底に沈めた」と長官は主張した。「同様の行為を行う者は同じ運命を辿るだろう。我々は彼らの正体、行動内容、代表する組織、目的地への移動理由を完全に把握していた」。

更新:東部時間午後5時36分 –

国防総省を戦争省に改称すると発表したホワイトハウス式典で、トランプはヴェネズエラ政権の転覆を狙っているか問われた。

「その件については話さないが、選挙が行われたという事実は議論している。控えめに言っても非常に奇妙な選挙だった。非常に控えめな表現だ。言えるのは、ヴェネズエラから我が国に数十億ドル相当の麻薬が流入しているということだけだ」。

トランプは、破壊されたとされる密輸艇が麻薬で満たされていたと再び主張した。「あの船を見れば…袋が山積みになっている。その袋がアメリカで何十万人もの死者を出している。それが現実だ」。

大統領はまた、「昨年アメリカで30万~35万人が薬物で死亡した」と根拠なく主張した。

実際の数字いかんにかかわらずトランプは密輸業者への致死攻撃を継続すると述べた。

「先日もあらゆる種類の麻薬、おそらく主にフェンタニルが、あらゆる種類の麻薬を積んだ連中が侵入させようとしているのを見つければ、我々は彼らを排除する」と大統領は誓った。「公海や近海で遊びたい連中は、大変な目に遭うだろう」。

トランプはさらに、米艦船に接近しすぎた航空機は撃墜されると付け加えた。ヴェネズエラ軍機が米軍艦艇上空を飛行した場合の対応を問われると、トランプは「まあ、彼らは厄介な目に遭うだろう」と応じた。

その後、同席していた統合参謀本部議長ダン・ケイン空軍大将に目を向けた。「しかし将軍、彼らがそんなことをしたら、君には好きなように行動する選択肢があるんだぞ」と大統領はケインに伝えた。「危険な位置を飛行するなら、君や艦長がどう対処するかを判断してよい」。

トランプは戦闘機がダンハムにどれほど接近したかについては言及を避けた。「その件については話したくない」とトランプは述べた。「だが危険な状況に追い込まれたら、撃墜されるだろう」。

一方で米大統領は自身の行動が効果を上げていると述べた。

「あの[ボート襲撃]現場付近の船舶航行は大幅に減少している」とトランプはさらに説明した。「彼らはそれを『滑走路』と呼んでいた。米国への滑走路だ。その滑走路の船舶航行が激減している。理由は想像がつくだろう」。

F-35s Deploying To Caribbean Amid Growing Tensions With Venezuela (Updated)

A U.S. official has confirmed to us that 10 F-35s are heading to Puerto Rico as the counter-narcotics operation aimed at Venezuela expands.

Howard Altman

Updated Sep 5, 2025 12:43 PM EDT

https://www.twz.com/air/10-f-35s-deploying-to-puerto-rico-as-part-of-growing-counter-narcotics-mission-aimed-at-venezuela

ハワード・アルトマン

シニアスタッフライター

ハワードは『The War Zone』のシニアスタッフライターであり、『Military Times』の元シニアマネージングエディターである。それ以前は『Tampa Bay Times』のシニアライターとして軍事問題を担当した。ハワードの作品は『Yahoo News』『RealClearDefense』『Air Force Times』など様々な出版物に掲載されている。


2017年8月31日木曜日

B-1Bを麻薬密輸対策に投入する意味とは




日本には麻薬密輸の流れを常時空中から行うニーズがないので自衛隊機にはこうしたミッションは縁遠く映るでしょうね。しかし米空軍は中国を視野に入れて海上ミッション経験を確保する手段に使っているのですね。最大の麻薬製造国といってよい北朝鮮が海の反対側にある日本も安心しいられません。あるいは朝鮮半島からの難民の流れを空中で捕捉監視する必要がいつ生まれてもおかしくありません。


US Air Force B-1 Bombers Are Hunting Drug Smugglers From Key West 米空軍B-1爆撃機がキーウェストを発進し麻薬密輸業者を摘発中

The obscure flights give bomber crews real-world experience while helping make up chronic intelligence shortfalls.

爆撃機乗員には実際任務の経験機会となり同時に情報収集機材不足も補える

BY JOSEPH TREVITHICKAUGUST 29, 2017
GOOGLE EARTH
B-1が3機キーウェスト海軍航空基地で2017年3月に視認されている

  1. Google Earthでキーウェスト海軍航空基地(フロリダ)の衛星画像を見る機会があれば、妙な点に気付くはずだ。第七爆撃航空団(テキサス、ダイエス空軍基地)所属のB-1 ボーンズ 三機が見られるのはキューバの空爆用ではない。世間には知らていないミッションに従事しているのだ。つまり麻薬密輸業者の監視である。
  2. 米空軍はかれこれ10年以上にわたりB-1の他B-52Hストラトフォートレス、E-3AWACS、E-8CJSTARSを投入し、支援用にKC-135給油機も展開しカリブ海、メキシコ湾から東太平洋上空で麻薬密輸取り締まりを行なっている。各軍横断体制の任務部隊の西部任務部隊 (JIATF-W) がハワイから各省庁を巻き込んだ作戦を統合調整している。米軍、米情報機関、法執行機関ならびに関係各国代表を巻き込んだ司令部になっている。
  3. 「ボートを見つけるのは爆撃機の本来の仕事ではないと思うでしょう」と米空軍ニック・イエィツ中佐(第9爆撃飛行隊指揮官、ダイエス空軍基地)が2016年取材で語っていた。「洋上飛行はテキサス西部ではできませんので、海軍沿岸警備隊との連携機能を試せるチャンスでもあります」
  4. 「現在のミッションとしてあらゆる種類の標的を捜索することがあります」と米空軍少佐マイケル・フリック(第9爆撃飛行隊兵装戦術主任)が説明している。「通常とは違う場所での捜索となりますが戦闘能力を試す機会となり即応体制も確認できますが、こういう機会はななかなかないんですよ」
  5. 両名は2016年に行われたビッグウィーク作戦での取材で発言している。同作戦はJIATF-S並びに米南方軍(SOUTHCOM)を支援して一週間にわたり実施された。米空軍は有人無人偵察機材、地上レーダー基地をカリブ海沿岸やラテンアメリカから運用し、関係各国とも協調した。
  6. 米軍及び関係各国はこの作戦で合計6トンものコカインを押収あるいは「放棄」させた。放棄とは密輸業者が海中に麻薬を投棄し脱出することだ。一週間で6トンとはJIATF-Sが2016年に収した合計282トンの2パーセントに相当する。
  7. 目標は密輸業者の逮捕であり殺害ではないので、爆撃機は密輸ボートを捜索し、動きを監視し、情報を海軍沿岸警備隊に流すことが任務だ。その後、各部隊が密輸業者を阻止したり逮捕に動く。
  8. 米空軍やその他群所属の航空機による密輸業者の捜索は以前から行われている。麻薬戦争の初期段階からスパイ機他偵察機が大きな役割を果たしてきた。
  9. 米国は各国と「協力保安地点」や「前方作戦地点」と呼ぶ拠点をカリブ海、中央・南アメリカで構築し偵察機の離着陸場所を確保している。RC-135V/WリヴェットジョイントやC-130シニアスカウト情報収集機材、U-2ドラゴンレイディ、RQ-4無人機が「国境の南」で麻薬対策に投入されており、各フライトにはパルメットエメルド、セミノールウィンド、シャークアックスといった派手な名称がついている。
USAF
E-3 AWACSが2機, RC-135V/W Rivet Joint1機, and two KC-135給油機二機がオランダ領アンティルのキュラソー基地ランプに駐機中。
  1. 各機材へは出動要望がひっきりなしで情報収集の求めは増える一方だ。特に夜間の広範囲海洋監視でこの傾向が強い。麻薬密輸業者は探知を逃れ、半潜水式「麻薬サブ」他特殊改装舟艇を使うことが多くなっている。
  2. 「ここ数年、情報収集監視偵察(ISR)等の要望に答え切れていないのは世界各地で高い優先順位があるためです」と米海軍カート・ティッド大将SOUTHCOM司令長官が2017年4月に述べている。「特に探知監視活動で制約を強く感じており、海上空中要望の四分の一しか実現できていない」
  3. そこで通常と違う形のISRが重要となり高性能多用途戦闘機含む戦闘機材を偵察任務に投入し、搭載する電子光学式、赤外線装備やレーダー等各種センサーを利用するのだ。F-16ヴァイパーやF/A-18ホーネットの目標捕捉用ポッドなら従来型の監視偵察機能を一気に二倍にできる。
SOUTHCOM
SOUTHCOMの監視行動はここまで広範囲だ
  1. 1990年代には州軍航空隊がF-15やF-16をハワード空軍基地(パナマ運河地帯)に定期的に交代配備されこの用途にうついていた。このミッションにはコロネットナイトホークの名称がつき密輸業者では高高度を飛行する機材には手が出ないことから効果的かつ現実の訓練を行うことができた。
  2. だが1999年11月に米国はパナマ運河をパナマに返還し、同国内の軍事施設を閉鎖した。米本土やプエルトリコからの運用では戦闘機の航続距離が不足し洋上監視ミッションに困難をきたすことが多くなった。
  3. そのため州軍航空隊はコロネットナイトホーク運用を2001年8月に終了した。9-11後は米国内で戦闘機飛行隊への出動要請が増えたのはそれだけ警戒態勢が重要になったためだ。
USAF
B-52がUSNS2nd Lieutenant John P. Bobo を2007年演習で海上捕捉した
  1. それでも爆撃機など大型機はKC-135の支援を受け、洋上待機時間が大幅に伸びるため米本土基地から離陸しても十分に有効だ。近接航空支援任務が増えたためB-1BとB-52Hはともに小型機と同じ目標捕捉ポッドを搭載している。
  2. 特に米爆撃機部隊に対艦攻撃、海洋阻止任務がふたたび求められるようになってきた。西太平洋で中国に対抗するためだ。
  3. 2014年6月に空軍はAN/ASQ-236ドラゴンズアイ・アクティブ電子スキャンレーダーポッドをB-52で試験運用中と発表し、艦船の探知追跡能力が引き上げられる。最近では2017年8月にB-1がAGM-158C長距離対艦ミサイル(LRASM)発射に成功し、爆撃機の海上運用効果の進展を実証した。
  4. フリック少佐の発言にあるように爆撃機をJSTARS含めマヤ雨密輸阻止に投入するのはカリブ海であれ別の場所であれ乗員には脅威のない世界で実際の任務で必要な技能を磨く絶好の機会となる。また他に選択肢のない場合にすぐ投入できる手段にもなる。
  5. 「一回のJSTARS飛行で他の海洋監視機材10機がカバーする海面を監視できます」と米海兵隊ジョン・ケリー大将’(前SOUTHCOM司令官)が2015年に述べている。「こうした機材を投入すれば『ウィン・ウィン』となり米南方軍と各部隊で良い結果が生まれます。こちらは必要と考えていた機材が利用でき、各軍は任務投入前に『多数目標がある環境』で腕を磨ける、ということです」
  6. 恒常的に機材不足する環境でB-1やB-52爆撃機の運航経費を考えるとこれが費用対効果が最大の解決策ではない。小型ビジネスジェット機や双発ターボプロップ機で同様の装備を搭載すればはるかに低い運航経費で効果をあげられる。
USAF
B-1がスナイパー高性能標的捕捉ポッドを搭載すると視偵察機能が向上する。
  1. そうなると、ティッド大将が2017年版の総括報告で空軍が委託業者により海上監視機材を確保し機材不足の対策としていると述べていることが理解できる。空軍はシエラネヴァダコーポレーションと一緒にボンバルディアのダッシュ-8を偵察機として運用しており、ペイルエイルの名称を与えている。うち一機が2013年10月にコロンビアとパナマの国境で墜落し4名の命が奪われる悲劇が生まれている。
  2. ただし、ティッド大将の指摘する偵察機材に新型機が投入されても需要すべてが満足できるかは不明だ。一方で2017年3月の衛星画像を見ると空軍爆撃機は引き続き重要な選択肢のようだ。■
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