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2022年の展望② 国家偵察局NRO長官の考える宇宙配備ISR機能の重要性について

  2022年の展望特集の第二回は米国家偵察局長クリス・スコレーズ Chris Scolese です。ISRの重要度は高まるばかりで、宇宙空間からの情報収集にあたる専門機関NROは俊英な技術者の集団なのでしょう。       国 家偵察局(NRO)は60年以上をかけて世界最高水準の情報収集偵察監視装備を宇宙空間に展開してきた。政策決定層に重要情報を提供し、アナリストや軍でも活用されている。悪意の行動する側の意図を理解するとともに、自然災害被害への支援にも役立ち、気候変動にも対応している。     米国の宇宙空間での優位性は数々の技術革新で達成され、その典型がNROだ。技術革新は創造性を重視する環境あってのことだが、同時にリスクをあえてとる姿勢と、作業に当たる人員を勇気づけ、他国の動静に絶えず気を配ることにより実現する。最良の人材が集まっており、今後の針路を照らす存在だ。   NROは空中回収式の小型カメラから地上150マイル上からデータを直接地上へ送る装備へと比較的短時間で進化を遂げた。最近ではパンデミック中でも18カ月で16個ものペイロードを軌道に乗せた。目指すゴールはより良い情報をもっと迅速にかつ利用可能な形で提供し、任務遂行に役立たせること、さらに能力を拡大し高精度情報を提供することだ。   今や新しい課題が控えている。わが方の装備は宇宙空間で妨害を試みる勢力から守る必要がある。米国の宇宙利用での優越性に気づき、追いつこうとしている国がある。新技術を開発し、新技法を利用し、技術を組み合わせ最大の難題となるISR問題を宇宙で解決することにかけては米国が世界のどこよりも優れている。   だが敵対勢力より先を進むには、わが国は単独では解決できなくなっている。同盟国等の力に頼る時が来ており、従来の想定と異なる新しい協力国を育成すべきだ。単独で対応するよりも優秀性を一貫して維持できるはずだ。   そのため、より多様な衛星群、より高い応答性、より予測可能なカバレッジ、よりダイナミックなタスク処理など、より弾力的でミッションに特化したアーキテクチャを実現しなければならない。わが方のアーキテクチャは、NROが開発したシステムだけでなく、現在配備されている高機能な商用および国際的なシステムにも依存する。イノベーションに境界がなく、特定機関のみのものでもない。力を合わせれば、驚く

2022年を占う。①NATO事務局長イエンス・ストルテンベルグ

  2022年を展望する安全保障各界のリーダーの声をお伝えします。第一回はストルステンブルグNATO事務局長直筆によるエッセイです。     乱 気流の時代になってきた。世界は競合の度を高め、不安定かつ予測不可能になってきた。ロシアは強硬な軍事ハイブリッド行動を続け、中国は対外的には強硬な姿勢を、国内で圧制の度を強めている。国際民主体制に対し、両国は独裁体制の最先頭を走っている。同時にサイバー攻撃の頻度が高まっており、巧妙に効果を上げている。テロの脅威は消えていない。核兵器の拡散は止まらない。気候変動で不安定度が高まり燃料危機も発生している。   こうした現実課題を受けて大西洋両岸の安全保障体制にも影響が出ている。それぞれ事情は異なるが、北米と欧州が共同で立ち向かう方向はひとつしかない。ともにNATO体制で対応するのだ。   6月のNATOサミットで各国首脳部はNATO2030の大胆な議題を後押ししてくれた。2030年代以降にも同盟関係を強く維持し、厳しい世界情勢に対応していく。   加盟国が30か国になったNATO体制を各国の安全保障の検討決定にもっと活用すべきと決断している。全ドメインで抑止力防衛力を強化する。陸海空宇宙ならびにサイバー空間だ。テロへの戦いを続け、国際社会と協調して国境線保全に努めるが、過去の大きな経験則を参考にする。   合わせてその他分野でも強化を目指す。特に回復力、技術、安全保障面での気候変動の影響を重視する。機構全体として各国社会、インフラ、サプライチェーンの回復力を強化する目標がある。弱点を克服し、依存性を減らし外部の干渉に抵抗力を発揮し、攻撃を受けても迅速に反撃し、機構の軍事力を絶えず効果的に運用するのが狙いだ。   NATOとして共同行動し、技術優位性を磨き、競争力を維持する。そのため最新技術への投資として人工知能、バイオテック、量子コンピュータを重視する。北大西洋国防技術革新加速化事業 Defence Innovation Accelerator for the North Atlantic (DIANA)を立ち上げた。またNATOイノベーションファンドも創設し、民間部門の技術革新を安全保障にも応用し、環大西洋協力で技術共有を進める。   さいごに気候変動と安全保障の課題について述べたい。これ自体が脅威であり危機を拡大する効果があ