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2015年8月26日水曜日

中国海軍、入隊勧誘ビデオに見える内部事情



人民解放軍が党の軍隊であり、極めて閉鎖性の強い組織であることに注意が必要です。またその中でどんな考えが涵養されているのか、その考えが行動に現れていること(例 射撃レーダーを海上自衛隊機に照射)にも注意が必要です。下に紹介されているビデオは今見られるのかわかりませんが、尖閣諸島が出てくるなど不穏な内容であることも明らかで、9月3日の「抗日戦勝利」(日本が降伏文書に調印した日ですが、中国を代表していたのは国民党政府でした)にあわせて公開されたのは間違いないでしょう。たかがPRとはいえ、日本政府は尖閣諸島のシーンの挿入に抗議しないのでしょうか。追記 このビデオをご覧になりたい方は下をクリックしてください。https://www.youtube.com/watch?v=YPZgfKkYID4

Chinese Navy: ‘So Long As It Is Blue, There We Will Be On Guard’
By Colin Clark on August 21, 2015 at 2:39 PM

WASHINGTON: 中国軍部が『地球のいかなる地点であれ、外洋すべてがわが海軍の守備範囲だ』との興味深いが意味の重い宣言をしている。

  1. これは人民解放軍海軍(PLAN)の入隊勧誘ビデオで紹介されている文言だ。「きれいに作られており、琴線に触れる内容」とディーン・チェン(ヘリテージ財団で著名な中国軍事問題専門家)が語る。「世論形成の戦いでもある」 ビデオを製作したのは人民解放軍の政治総局で、政治忠誠心、心理戦また人員関連すべてを担当する部局だ。
  2. 「中国(PRC)の外洋海軍がシーレーン防衛だけが目的だろうか。中国防衛も重要任務だと思う」とチェンは見る。中国は伝統的に陸上を重視してきたが、世界各地の海洋パトロールにも乗り出しており、西側の英米が経済政治上の権益を守ってきたのと同じ行動に出ている。「中国の経済重心は沿岸部に移っており、もはや中国本土と世界の間に緩衝地帯は存在しない」
  3. PRビデオでは尖閣諸島の現在の映像も入っている他50年代らしき戦闘映像もあり、ビデオの副題たる『全ての領土へ一歩たりとも踏み入れさせない』の意味が出てくる。愛国的中国市民向けとともに日本へのメッセージと受け止められる他、周辺各国に対してもPRCが領土と主張する場所で妥協の余地がないと言っているようだ。
  4. だがこのリクルート広報の真の狙いはPLANにとって望ましい人材の確保にある。その点で興味深い内部事情がある。.
  5. チェンによれば中国はプロ意識の高い軍の構築をめざしてきたが、実際は徴兵制度に頼っているのが真相だ。「中国は技術志向の軍を整備しようとしている」とチェンは指摘し、これまで30年間一貫した軍の目標だとする。
  6. その中でゆくゆく下士官となり中国軍を支える人材候補の勧誘が重要だ。今回の広報では士官候補生として、必要な技術を有しているが、軍務を職業とは真剣に考えない層も狙う。
  7. チェンは現在の徴兵制ではプロ意識の高い軍を構築することは「根本的に困難」と指摘する。「将校が全員共産党員で下士官が非党員なら、下士官は将校と連携できない」
  8. ビデオにはアメリカの勧誘ビデオさながらの場面もある。水兵が子どもが描いたらしい絵をじっと見つめる場面だ。チェンは「軍務への勧誘」を訴える要素もビデオ中にあると指摘する。『才能を花開かせる機会だ』との説明があり、ハイテク装備が全編で示される。また女性も写っている
  9. 愛国心に訴える必要もある。『強靭な祖国には強力な海軍が必要だ』とし、ビデオの最後には水兵の一隊が行進する。『海軍は君を必要とする。一緒に栄光ある国家再興の目標を実現しよう』 再興とは習近平主席の提唱する政策目標で、中国をもう一度活力ある強力な国家に復帰させる事を意味する。■


2015年4月2日木曜日

新型中国商級原子力潜水艦は要注意 特殊作戦部隊用小型潜航艇を搭載



中国の特殊部隊が想定する任務がNavy Sealと同様とは思えませんが、ハードウェアが整備されているということはミッション想定があり、訓練も進んでいることを意味します。今後の選択肢として小規模のエリート部隊による強襲、撤収が加われば中国海軍=党も活用範囲が広がりますね。近隣諸国の我々には歓迎できないことですが。

New Chinese Nuclear Sub Design Includes Special Operations Mini-Sub

March 25, 2015 6:11 PM
A Computer generated image of a Type-93T or Shang-class nuclear attack submarine タイプ93-T 商級原子力攻撃潜水艦の想像図

最新鋭の中国原子力潜水艦はミニ潜航艇を搭載し、特殊部隊(SOF)運用が前提のようだ。
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  1. この艦はタイプ93T 商級 ShangでSOF用潜航艇の収納場所が特徴だ。3月17日付けの国営参考消息 Reference NewsではSEAL運用の米海軍潜水艦と同等としている。.
  2. 火曜日には Jane’s Defence Weekly が英語版ではじめて報道しているが、参考消息は米海軍のSEAL運搬移動機SEAL Delivery Vehicles (SDV)用とは異なり、商級潜水艦改良型の格納容器は潜航艇の船体3分の2を格納すると説明。
  3. 「そのためSDVへの移送は潜水艦が潜行中は容易ではない。特殊部隊要員は潜水艦へはヘリコプターで移動しているのが写真でわかる」とJane'sは報道している。
A U.S. Navy Seal Delivery Vehicle onboard Los Angeles-class attack submarine USS Dallas. US Navy Photoロサンジェルス級攻撃潜水艦USSダラス艦上に搭載されたNavy Seal移送機. US Navy Photo

  1. 今回の中国報道で運搬艇の説明は、これまでの中国の艦船設計の特徴と共通している、と U.S. Naval Institute’s Combat Fleets of the World 編者エリック・ワーサイムは説明している。「中国は西側の艦船設計を参考にしつつ我が方の潜水艦活用方法を研究し、自国の運用を実現している」とUSNI Newsに語っている。
  2. 人民解放軍海軍(PLAN)の誘導ミサイル駆逐艦(DDG)は驚くほど西側のDDGに類似している。SOF運用能力はともかく、商級改良型の出現でともすれば秘密のベールに隠れがちな中国の潜水艦建造に光が照らされる格好だ。
  3. 商級一号艦が進水したのは2002年だったが、翌年の二号艦進水のあと中国は一旦建造を中断していることが2014年に海軍情報局による中国艦船建造状況の評価報告で示されている。
  4. 「ほぼ10年が経過して中国は商級の改良型4隻の建造を開始し、その一号艦は2012年に進水している」と同上報告書は記述している。旧型のタイプ91漢級の後継艦の位置づけだが、原子炉の静粛化に手こずり改良型の開発が中断したとの報道が広く流布している。.
  5. 格納スペース以外に画像からは艦体側面にソナー格納部分と思われるものが4点あり、曳航式ソナーの取り付け装置も見られるとJane'sは分析している。
  6. 中国潜水艦部隊の能力が向上して作戦海域が本国海域から広がるのは近隣各国にとって気の休まる話ではない。
  7. イ商級SSN1隻がインド沿岸付近を昨年12月から2月にかけてパトロールしていた事実にンド海軍が憂慮しているとの報道が3月24日付のThe Telegraphに掲載されている。■


2014年12月9日火曜日

2020年に米中の海軍力バランスが逆転する可能性はあるのか


かつてソ連海軍の脅威が叫ばれましたが、今や中国がかつてのソ連の立場ですね。米海軍も空母中心主義のまま、周辺技術の整備を怠っており、(例 巡航ミサイル)、かつ海軍艦艇数も減少の一歩という中で、現実的な対応が求められるわけです。サイバースパイ活動は頭が痛いですが、逆もまた真なりで実は米国も中国の技術にアクセスしているかもしれませんね。海上自衛隊に求められる方向もこの報告書の延長線にありそうですね。

Report: Chinese Navy’s Fleet Will Outnumber U.S. by 2020

by KRIS OSBORN on DECEMBER 3, 2014
中国は2020年までに海軍艦艇を合計351隻とし、世界各地を攻撃目標に収めるとの報道がある。
  1. 米中経済安全保障検討委員会 U.S.-China Economic and Security Review Commissionの議会向け提言では米海軍も艦艇建造のペースを早め太平洋でプレゼンスを強化すべきとの内容だが、米軍はこの戦略をすでに開始ずみだ。
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  1. 同委員会は太平洋艦隊を67隻に増強し、兵力再配置の一環で母港の6割を太平洋に2020年までに移転すべきだとする。

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  1. 米海軍の再配備計画では艦艇の6割を太平洋に配属し、太平洋地区の軍港に艦艇を順番で派遣する他、海兵隊部隊をオーストラリアのダーウィンに駐留させる。また沿海戦闘艦を4隻シンガポールに交代で派遣する。

  1. ただし国防専門家の間には中国の脅威急拡大に対抗できる太平洋でのプレゼンス増強の予算がどこにあるのかと疑問視する向きがある。また厳しい予算削減策の他にも米海軍には今後の課題がある。

  1. 報告は中国が開発中の各種武器、機材について言及しており、太平洋で米海軍の空母他水上艦艇が今後作戦を展開する前提条件が変わると指摘している。特にDF-21D精密誘導陸上発射型の対艦弾道ミサイルに言及しており、900カイリ以上の有効射程で水上艦艇が標的になるとしている。今回の年次報告をまとめたラリー・ウォーツェル Larry Wortzel は「真の海洋型海軍になりつつある」と評す。

  1. 「中国が目指すのはミサイル中心の装備整備で米海軍の航空母艦を中国近海に近づけさせないことだ。中国海軍の整備状況と米海軍が艦艇数で減少傾向にあることを考えると、力とプレゼンスのバランスは中国に有利に働いていく」と同委員会は述べる。

  1. 中国の軍事支出規模を正確に把握できないが、2014年度は1,310億ドル相当で前年から12.2%増と委員会は見る。この規模は米国の軍事支出の六分の一に相当する。ただし中国は1989年以来毎年二桁で軍事予算を増やしており、その結果2008年実績から倍増したと報告書は指摘している。

  1. ランディ・フォーブス下院軍事委員会海上権力部隊投射小委員会委員長(共、ヴァージニア)は潜水艦および水上警備艦艇が2007年比で三倍増になったことを懸念している。

  1. 「警備能力増強は氷山の一角にすぎない。今後5年ないし8年で中国潜水艦は82隻となるのに対し我が方はアジア太平洋地区で32隻ないし34隻しか運用できない」「現状でも中国は60隻対32隻と潜水艦で優位な立場にある。水上艦艇では中国の対艦ミサイルは我が方より有効射程が長い」

  1. また報告書はサイバースパイ活動で中国は兵器開発を早めていると指摘。2012年度の国防科学委員会報告では沿海戦闘艦、F-35、F/A-18、ブラックホークヘリコプター、イージス弾道ミサイル防衛、ペイトリオット、グローバルホークとことごとく情報が盗まれたとする。

  1. 中国の海軍技術はまだ現行の米艦艇の水準まで到達していないが、今後数十年で大幅に関係が変わる可能性がある。中国もハイテクの次世代艦、兵装の開発を進めているとの報道がある。

  1. 中でも旅洋III型 LUYANG IIIは新型駆逐艦で今年中に艦隊に編入の予定だ。同艦には垂直発射型長距離対艦巡航ミサイルを搭載し、射程を伸ばしたHHQ-9対空ミサイルも搭載するという。

  1. さらに国産航空母艦数隻の建造を開始しているという。現在はウクライナが建造した遼寧一隻だけで、搭載する航空部隊が戦力化するのは2016年以降だと報告書は指摘する。空母運用を想定したJ-15の開発が進行中だ。

  1. 揚陸強襲艦では玉昭(Yuzhao)級LPDの追加建造の計画がある。同艦は兵員800名、ヘリコプター4機、装甲車両20台を搭載すると報告書は伝える。

  1. 新型055型巡洋艦は陸上攻撃用ミサイルに加え、レーザー兵器、レイルガンも搭載するとしている。

  1. 水上艦部隊を補完するのが少なくとも60隻と言う小型高速ミサイル艇と、青島級軽フリゲート艦だ。

  1. また潜水艦では攻撃型、核ミサイル搭載型、SSBN型が急増すると委員会は見る。現時点で中国の弾道ミサイル搭載原子力潜水艦SSBNはJL-2ミサイルを搭載し、4,500カイリ以内で攻撃が可能だ。JL-3搭載で射程距離を拡大するという。またロシアと共同で新型攻撃潜水艦の開発を進めている。

  1. 「中国はロシア製高性能通常型潜水艦4隻ないし6隻の建造をめざし、ロシアの最新ソナー、推進手段、静粛化技術を手に入れようとしている。交渉がまとまれば人民解放軍海軍の次期潜水艦の能力向上、静粛化につながり、中国潜水艦の追跡探知が米国にとって困難となる」と報告書はまとめている。

  1. さらに新型誘導ミサイル搭載原子力潜水艦095級SSGNを開発中と言われ、中国初の潜水艦発射型対地巡航ミサイルを搭載する。■