スキップしてメイン コンテンツに移動

2020年に米中の海軍力バランスが逆転する可能性はあるのか


かつてソ連海軍の脅威が叫ばれましたが、今や中国がかつてのソ連の立場ですね。米海軍も空母中心主義のまま、周辺技術の整備を怠っており、(例 巡航ミサイル)、かつ海軍艦艇数も減少の一歩という中で、現実的な対応が求められるわけです。サイバースパイ活動は頭が痛いですが、逆もまた真なりで実は米国も中国の技術にアクセスしているかもしれませんね。海上自衛隊に求められる方向もこの報告書の延長線にありそうですね。

Report: Chinese Navy’s Fleet Will Outnumber U.S. by 2020

by KRIS OSBORN on DECEMBER 3, 2014
中国は2020年までに海軍艦艇を合計351隻とし、世界各地を攻撃目標に収めるとの報道がある。
  1. 米中経済安全保障検討委員会 U.S.-China Economic and Security Review Commissionの議会向け提言では米海軍も艦艇建造のペースを早め太平洋でプレゼンスを強化すべきとの内容だが、米軍はこの戦略をすでに開始ずみだ。
.
  1. 同委員会は太平洋艦隊を67隻に増強し、兵力再配置の一環で母港の6割を太平洋に2020年までに移転すべきだとする。

.
  1. 米海軍の再配備計画では艦艇の6割を太平洋に配属し、太平洋地区の軍港に艦艇を順番で派遣する他、海兵隊部隊をオーストラリアのダーウィンに駐留させる。また沿海戦闘艦を4隻シンガポールに交代で派遣する。

  1. ただし国防専門家の間には中国の脅威急拡大に対抗できる太平洋でのプレゼンス増強の予算がどこにあるのかと疑問視する向きがある。また厳しい予算削減策の他にも米海軍には今後の課題がある。

  1. 報告は中国が開発中の各種武器、機材について言及しており、太平洋で米海軍の空母他水上艦艇が今後作戦を展開する前提条件が変わると指摘している。特にDF-21D精密誘導陸上発射型の対艦弾道ミサイルに言及しており、900カイリ以上の有効射程で水上艦艇が標的になるとしている。今回の年次報告をまとめたラリー・ウォーツェル Larry Wortzel は「真の海洋型海軍になりつつある」と評す。

  1. 「中国が目指すのはミサイル中心の装備整備で米海軍の航空母艦を中国近海に近づけさせないことだ。中国海軍の整備状況と米海軍が艦艇数で減少傾向にあることを考えると、力とプレゼンスのバランスは中国に有利に働いていく」と同委員会は述べる。

  1. 中国の軍事支出規模を正確に把握できないが、2014年度は1,310億ドル相当で前年から12.2%増と委員会は見る。この規模は米国の軍事支出の六分の一に相当する。ただし中国は1989年以来毎年二桁で軍事予算を増やしており、その結果2008年実績から倍増したと報告書は指摘している。

  1. ランディ・フォーブス下院軍事委員会海上権力部隊投射小委員会委員長(共、ヴァージニア)は潜水艦および水上警備艦艇が2007年比で三倍増になったことを懸念している。

  1. 「警備能力増強は氷山の一角にすぎない。今後5年ないし8年で中国潜水艦は82隻となるのに対し我が方はアジア太平洋地区で32隻ないし34隻しか運用できない」「現状でも中国は60隻対32隻と潜水艦で優位な立場にある。水上艦艇では中国の対艦ミサイルは我が方より有効射程が長い」

  1. また報告書はサイバースパイ活動で中国は兵器開発を早めていると指摘。2012年度の国防科学委員会報告では沿海戦闘艦、F-35、F/A-18、ブラックホークヘリコプター、イージス弾道ミサイル防衛、ペイトリオット、グローバルホークとことごとく情報が盗まれたとする。

  1. 中国の海軍技術はまだ現行の米艦艇の水準まで到達していないが、今後数十年で大幅に関係が変わる可能性がある。中国もハイテクの次世代艦、兵装の開発を進めているとの報道がある。

  1. 中でも旅洋III型 LUYANG IIIは新型駆逐艦で今年中に艦隊に編入の予定だ。同艦には垂直発射型長距離対艦巡航ミサイルを搭載し、射程を伸ばしたHHQ-9対空ミサイルも搭載するという。

  1. さらに国産航空母艦数隻の建造を開始しているという。現在はウクライナが建造した遼寧一隻だけで、搭載する航空部隊が戦力化するのは2016年以降だと報告書は指摘する。空母運用を想定したJ-15の開発が進行中だ。

  1. 揚陸強襲艦では玉昭(Yuzhao)級LPDの追加建造の計画がある。同艦は兵員800名、ヘリコプター4機、装甲車両20台を搭載すると報告書は伝える。

  1. 新型055型巡洋艦は陸上攻撃用ミサイルに加え、レーザー兵器、レイルガンも搭載するとしている。

  1. 水上艦部隊を補完するのが少なくとも60隻と言う小型高速ミサイル艇と、青島級軽フリゲート艦だ。

  1. また潜水艦では攻撃型、核ミサイル搭載型、SSBN型が急増すると委員会は見る。現時点で中国の弾道ミサイル搭載原子力潜水艦SSBNはJL-2ミサイルを搭載し、4,500カイリ以内で攻撃が可能だ。JL-3搭載で射程距離を拡大するという。またロシアと共同で新型攻撃潜水艦の開発を進めている。

  1. 「中国はロシア製高性能通常型潜水艦4隻ないし6隻の建造をめざし、ロシアの最新ソナー、推進手段、静粛化技術を手に入れようとしている。交渉がまとまれば人民解放軍海軍の次期潜水艦の能力向上、静粛化につながり、中国潜水艦の追跡探知が米国にとって困難となる」と報告書はまとめている。

  1. さらに新型誘導ミサイル搭載原子力潜水艦095級SSGNを開発中と言われ、中国初の潜水艦発射型対地巡航ミサイルを搭載する。■

コメント

このブログの人気の投稿

フィリピンのFA-50がF-22を「撃墜」した最近の米比演習での真実はこうだ......

  Wikimedia Commons フィリピン空軍のかわいい軽戦闘機FA-50が米空軍の獰猛なF-22を演習で仕留めたとの報道が出ていますが、真相は....The Nationa lnterest記事からのご紹介です。 フ ィリピン空軍(PAF)は、7月に行われた空戦演習で、FA-50軽攻撃機の1機が、アメリカの制空権チャンピオンF-22ラプターを想定外のキルに成功したと発表した。この発表は、FA-50のガンカメラが捉えた画像とともに発表されたもので、パイロットが赤外線誘導(ヒートシーキング)ミサイルでステルス機をロックオンした際、フィリピンの戦闘機の照準にラプターが映っていた。  「この事件は、軍事史に重大な展開をもたらした。フィリピンの主力戦闘機は、ルソン島上空でコープ・サンダー演習の一環として行われた模擬空戦で、第5世代戦闘機に勝利した」とPAFの声明には書かれている。  しかし、この快挙は確かにフィリピン空軍にとって祝福に値するが、画像をよく見ると、3800万ドルの練習機から攻撃機になった航空機が、なぜ3億5000万ドル以上のラプターに勝つことができたのか、多くの価値あるヒントが得られる。  そして、ここでネタバレがある: この種の演習ではよくあることだが、F-22は片翼を後ろ手に縛って飛んでいるように見える。  フィリピンとアメリカの戦闘機の模擬交戦は、7月2日から21日にかけてフィリピンで行われた一連の二国間戦闘機訓練と専門家交流であるコープ・サンダー23-2で行われた。米空軍は、F-16とF-22を中心とする15機の航空機と500人以上の航空兵を派遣し、地上攻撃型のFA-50、A-29、AS-211を運用する同数のフィリピン空軍要員とともに訓練に参加した。  しかし、約3週間にわたって何十機もの航空機が何十回もの出撃をしたにもかかわらず、この訓練で世界の注目を集めたのは、空軍のパイロットが無線で「フォックス2!右旋回でラプターを1機撃墜!」と伝え得てきたときだった。 戦闘訓練はフェアな戦いではない コープサンダー23-2のような戦闘演習は、それを報道するメディアによってしばしば誤解される(誤解は報道機関の偏った姿勢に起因することもある)。たとえば、航空機同士の交戦は、あたかも2機のジェット機が単に空中で無差別級ケージマッチを行ったかのように、脈絡な

主張:台湾の軍事力、防衛体制、情報収集能力にはこれだけの欠陥がある。近代化が遅れている台湾軍が共同運営能力を獲得するまで危険な状態が続く。

iStock illustration 台 湾の防衛力強化は、米国にとり急務だ。台湾軍の訓練教官として台湾に配備した人員を、現状の 30 人から 4 倍の 100 人から 200 人にする計画が伝えられている。 議会は 12 月に 2023 年国防権限法を可決し、台湾の兵器調達のために、 5 年間で 100 億ドルの融資と助成を予算化した。 さらに、下院中国特別委員会の委員長であるマイク・ギャラガー議員(ウィスコンシン州選出)は最近、中国の侵略を抑止するため「台湾を徹底的に武装させる」と宣言している。マクマスター前国家安全保障顧問は、台湾への武器供与の加速を推進している。ワシントンでは、台湾の自衛を支援することが急務であることが明らかである。 台湾軍の近代化は大幅に遅れている こうした約束にもかかわらず、台湾は近代的な戦闘力への転換を図るため必要な軍事改革に難色を示したままである。外部からの支援が効果的であるためには、プロ意識、敗北主義、中国のナショナリズムという 3 つの無形でどこにでもある問題に取り組まなければならない。 サミュエル・ P ・ハンチントンは著書『兵士と国家』で、軍のプロフェッショナリズムの定義として、専門性、責任、企業性という 3 つを挙げている。責任感は、 " 暴力の管理はするが、暴力行為そのものはしない " という「特異な技能」と関連する。 台湾の軍事的プロフェッショナリズムを専門知識と技能で低評価になる。例えば、国防部は武器調達の前にシステム分析と運用要件を要求しているが、そのプロセスは決定後の場当たり的なチェックマークにすぎない。その結果、参謀本部は実務の本質を理解し、技術を習得することができない。 国防部には、政策と訓練カリキュラムの更新が切実に必要だ。蔡英文総統の国防大臣数名が、時代遅れの銃剣突撃訓練の復活を提唱した。この技術は 200 年前のフランスで生まれたもので、スタンドオフ精密弾の時代には、効果はごくわずかでしかないだろう。一方、台湾が新たに入手した武器の多くは武器庫や倉庫に保管されたままで、兵士の訓練用具がほとんどない。 かろうじて徴兵期間を 4 カ月から 1 年に延長することは、適切と思われるが、同省は、兵士に直立歩行訓練を義務付けるというわけのわからない計画を立てている。直立歩行は 18 世紀にプロ