なるほど海兵隊はオスプレイのミッション拡大を狙っており、F-35Bの岩国配備ともリンクした計画を有していることがよくわかります。攻撃、輸送、給油、さらに通信中継と多様な期待があるのですね。
Osprey Fires Guided Rockets And Missiles In New Trials
ロッキード・マーティンKC-130ハーキュリーズを武装偵察機材に変えた米海兵隊はV-22オスプレイでも同じことをしようとしている。.
- 全ての機材にセンサーや武装を施すというのが海兵隊の持論であり、V-22メーカーのベル・ボーイングは自社予算でオスプレイに前方発射兵器を搭載し実証した。
- 実証はユマ試射場(アリゾナ州)で、戦闘機への空中給油能力、電子戦機材、通信中継機材の機能実証後に行った。
- もともとCH-46シーナイト輸送ヘリの代替機として高速兵員輸送任務お想定していたオスプレイが大きく異なる想定になってきた。
- 今回海兵隊が試用した前方発射兵器能力は攻撃が主眼で、地上部隊の支援や戦闘機の一部任務を肩代わりすればAV-8ハリアーやF-35を別任務に振り向けることができる。
ベルとボーイングはテスト機材を使ってオスプレイで前方発射兵器の運用を実証する Credit: Bell Helicopter
- ベルはテスト機を投入し、海軍航空システムズ本部の承認を必要とせずに改修を迅速に行った。
- 実証テストでは2.75インチ非誘導ロケット弾26発を5回のフライトで発射し、誘導ロケット弾2発はBAEシステムズの高性能精密攻撃兵器システムとして発射している。後者はすでに海兵隊が採用済みだ。さらにレイセオンのグリフィンB軽量精密誘導ミサイル二発も発射した。オスプレイはホバリングモード、速度110ノットでエンジンナセルを60度にした状態の双方で発射している。
- 「非誘導型ロケット弾の発射で機体にかかる荷重のチェックができました」とベルヘリコプターは語る。「非誘導型ロケット弾を発射すれば悪いやつらは頭を下げる。オスプレイには誘導型兵器も搭載できます」
- 機体前部に小型パイロンアームが機長コックピット下にとりつけられあ。機体構造が7発のロケットポッドもしくは同様の重量の兵装の装着に耐えられることが分かった。機首下に標準装備のレイセオン製AN/AAQ-27A電子光学式(EO)カメラの代わりに、L-3ウェスカム製MX-15センサーにレーザー照準器を搭載し、コックピットから作動切替し、乗員が任意に目標を捕捉できるようになった。
ベル・ボーイングはテスト機左側にパイロンを追加装着したほか、新型センサータレットを機首下に付け加えた。Credit: Bell Helicopter
- ロケット弾発射時の熱と破片から降着装置を収納したスポンソンを保護するため、技術陣は表面に保護塗膜を施した。
- 攻撃能力の付与の検討は2月に開始され、空軍特殊作戦司令部が特に関心を示していた。ベルは今秋の実証に間に合う形で仕様固めをした。テスト機はそれに先立ちニューメキシコで高温高回転エンジンテストに入っていた。
- オスプレイに武装を与える構想は前からあり、もともと防御用に側面ドアに機関銃を装着していたが、BAEシステムズは 7.62-mm ガトリング銃を貨物スペースに搭載する装備を開発していた。ただし、この装備は重量が大きく、アフガニスタンでは使用されることは少なかった。
- 強化パイロンの追加で大重量兵装の装着が可能となり、ガンポッドもつけられるが、反動発生のため機体との一体化は複雑になるという。理想だけでいえば、海兵隊・空軍ともに機首に武装をつけ、ヘルメットの視野と直結して、着陸地点で急に表れる敵を排除したいのだ。
実証では高性能戦術ティルトローター機が非誘導型、BAEシステムズの誘導型ロケット弾を発射したほか、レイセオンの精密誘導ミサイルも発射した。Credit: Bell Helicopter
- 海兵隊の2015年度航空運用計画ではオスプレイの威力増大では武装の追加に加え新型目標捕捉ポッド、ビデオデータリンク、ソフトウェア変更可能な無線装置、飛行中の通信ゲイトウェイ機能も想定し、オスプレイを空中通信中継基地とすることを想定する。
- またオスプレイはKC-10エクステンダーからの空中給油が許可され、長距離の展開が可能となった。今後はKC-46や民間空中給油企業Omega Aerial Refueling のボーイング707の利用に拡大する。海兵隊はMV-22による空中給油能力の実証テストを2013年秋に実施しており、予定されるF-35Bの日本配備2017年夏までに対応可能にしようとしている。■
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