スキップしてメイン コンテンツに移動

★米海軍のレーザー兵器がペルシア湾で稼働中



これはすごい。海軍の砲術士官はこれからレーザー士官になるのでしょうか。そのためには相当の発電容量が必要で、ズムワルト級ががぜん注目されるでしょう。目標捕捉すれば即破壊、となればスターウォーズの世界が海上で実現しますね。もちろんそんなに簡単ではありませんが。

Star Wars At Sea: Navy’s Laser Gets Real

By SYDNEY J. FREEDBERG JR.on December 10, 2014 at 3:43 PM

PENTAGON: レーザー兵器の時代が正式に幕開けした。今年9月より米海軍は40百万ドル相当100キロワット級のレーザーウェポンズシステムLaser Weapons System (LaWS)をUSSポンセ に搭載し、ペルシア湾で運用中。海軍研究部長マシュー・クランダー少将 Rear Adm. Matthew Klunderによれば「毎日利用している」とのこと。乗組員が訓練用標的に命中破壊させており、それとは別に超高性能望遠鏡としてレーザーの光学性能を活用し、疑わしい艦船や航空機を監視している。
まだ戦闘時の発射は行っていないが、ペンタゴンはレーザー兵器の交戦規則を作り、ポンセ艦長には必要と判断すれば艦の防衛に発射する許可が下りているという。
通常の弾丸と比較した場合のレーザーの利点は「拡張性」 scalabilityだと海軍の技術トップ、ブライアント・フラー少将 Rear Adm. Bryant Fuller (海軍海洋システムズ本部)は語る。もし疑わしい船舶あるいは航空機がポンセに接近しすぎた際はレーザー兵器操作員は低出力の「目くらませ」 dazzling モードで標的対象の乗員の目に入るが、損害は発生させない。さらに接近してきたらレーザーの出力を上げ相手のセンサーを破壊、モーターを焼きつかせ、さらに相手が搭載する爆発性物質を起爆させる。演習では標的無人機の急所を狙い「二秒以内」で撃墜したとクランダーは言う。
ただし有人標的の場合はジュネーブ協定が盲目化させる兵器の利用を禁じているので事情が複雑だ。レーザーは出力によって盲目になることがある。そのためペンタゴンは交戦規則のまとめに一年ほどかかっている。国際法や米国内法規を適用するとレーザーは「対人目標には使えない」とクランダーはいい、「それを順守している」
「もし相手の舟艇に人が乗っており、こちらを狙っていたら、照準は人には合わせず、舟艇に合わせる」とクランダーは言う。
US Navy photo
USSポンセが搭載するレーザーウェポンズシステム(LaWS)
「艦船の機能を奪う方が効果的」とフラーも言う。センサー、兵装、エンジンのいずれかを破壊すれば効果的に対象を無力化できる。(提督は二人ともレーザーを最高出力にしたらどうなるかは述べていないが、おそらくおぞましいことになろう) 海軍公開のビデオ画像ではレーザー照準は恐ろしく正確で小型ボートに搭載したロケット推進式手りゅう弾(RPG)の一発に照準を合わせている。ビデオではRPGがレーザーで起爆する光景がうつっており、ボートの兵員を直接殺害する必要はない。
海軍はイランお得意の小型強襲艇による同時多数接近にレーザーを使うテストもしているとクランダーは言う。ボートは爆発しなかったが、レーザーを一艘に照射し、目標捕捉したままの状態を「一秒か二秒」保持した。この時間があれば重要な装備を焼け焦がせることができる。その後、次の小艇、さらに次の次の、と連続して短時間で照射した。
ではどこまでの大きさの目標を破壊できるか。「大型ヘリコプターの機能停止は可能」とクランダーは述べる。その場合、当然機体は墜落する。小型艇は海上で機能停止する。
今後の課題は高速移動目標で、それには今以上の出力のレーザーが必要だ。2016年か2017年までに海軍は100キロワットから150キロワット級レーザーの艦艇搭載を目指すとクランダーは言う。「これがあればUAVや高速舟艇以外の目標を対象にできる」 現行の30キロワット級LaWSであれば多くの艦艇にそのまま搭載できるが、「100キロワットや150キロワットとなるとより広範囲な利用が想定できる」
高出力が利用できればレーガン大統領時代から実現を目指してきたミサイル撃墜が達成できる。クランダーとフラーによれば海軍はこれは100ないし150キロワット級レーザーで実現可能とみているが、確証はできないとする。現行のレーザー兵器の発射コストは一回0.59ドル分の電気消費量であるが、現在使用中のミサイル迎撃手段であるスタンダードミサイルが数十万ドルから数百万ドルであるのと比較してはるかに安価だ。ミサイル迎撃レーザーだともっと安価になり、無限に発射可能だ。
逆に低出力レーザーではポンセ搭載の例のように効果が限定的だが、驚くような副次効果がある。高い光学水準で安定化した目標捕捉のアルゴリズムがレーザー発射で必要だが、これを超高性能望遠鏡として活用できる。防御用の第一義的利用に加え、「この効果を毎日活用し、識別・目標捕捉に使っている」とクランダーは言う。
「水平線上に航空機を発見した場合、裸眼では小さな点にすぎない。双眼鏡で航空機とわかるがレーザーだと何を搭載して、どこの所属なのか、何をしようとしているのかが分かる」「尾翼の登録番号も見える」
この素晴らしい装置が高温、湿度、粉塵の舞うペルシア湾の過酷な環境でどこまで機能するかを試している。
「風速30ノットの砂嵐までならシステムは機能する。翌日にチェックしてみたらアラインメントは正確で再調整の必要がなかった」(クランダー)■



コメント

このブログの人気の投稿

漁船で大挙押し寄せる中国海上民兵は第三の海上武力組織で要注意

目的のため手段を択ばない中国の思考がここにもあらわれていますが、非常に厄介な存在になります。下手に武力行使をすれば民間人への攻撃と騒ぐでしょう。放置すれば乱暴狼藉の限りを尽くすので、手に負えません。国際法の遵守と程遠い中国の姿勢がよく表れています。尖閣諸島への上陸など不測の事態に海上保安庁も準備は万端であるとよいですね。 Pentagon reveals covert Chinese fleet disguised as fishing boats  漁船に偽装する中国軍事組織の存在をペンタゴンが暴露   By Ryan Pickrell Daily Caller News Foundation Jun. 7, 3:30 PM http://www.wearethemighty.com/articles/pentagon-reveals-covert-chinese-fleet-disguised-as-fishing-boats ペンタゴンはこのたび発表した報告書で中国が海洋支配を目指し戦力を増強中であることに警鐘を鳴らしている。 中国海上民兵(CMM)は準軍事組織だが漁民に偽装して侵攻を行う組織として長年にわたり活動中だ。人民解放軍海軍が「灰色」、中国海警が「白」の船体で知られるがCMMは「青」船体として中国の三番目の海上兵力の位置づけだ。 CMMが「低密度海上紛争での実力行使」に関与していると国防総省報告書は指摘する。 ペンタゴン報告書では中国が漁船に偽装した部隊で南シナ海の「灰色領域」で騒乱を起こすと指摘。(US Navy photo) 「中国は法執行機関艦船や海上民兵を使った高圧的な戦術をたびたび行使しており、自国の権益のため武力衝突に発展する前にとどめるという計算づくの方法を海上展開している」と同報告書は説明。例としてヘイグの国際仲裁法廷が中国の南シナ海領有主張を昨年7月に退けたが、北京はCMMを中国が支配を望む地帯に派遣している。 「中国は国家管理で漁船団を整備し海上民兵に南シナ海で使わせるつもりだ」(報告書) 中国はCMMはあくまでも民間漁船団と主張する。「誤解のないように、国家により組織し、整備し、管理する部隊であり軍事指揮命令系統の下で活動している」とアンドリュー・エリク...

海自の次期イージス艦ASEVはここがちがう。中国の055型大型駆逐艦とともに巡洋艦の域に近づく。イージス・アショア導入を阻止した住民の意思がこの新型艦になった。

  Japanese Ministry of Defense 日本が巡洋艦に近いミサイル防衛任務に特化したマルチロール艦を建造する  弾 道ミサイル防衛(BMD)艦2隻を新たに建造する日本の防衛装備整備計画が新たな展開を見せ、関係者はマルチロール指向の巡洋艦に近い設計に焦点を当てている。実現すれば、は第二次世界大戦後で最大の日本の水上戦闘艦となる。 この種の艦船が大型になる傾向は分かっていたが、日本は柔軟性のない、専用BMD艦をこれまで建造しており、今回は船体形状から、揚陸強襲艦とも共通点が多いように見える。 この開示は、本日発表された2024年度最新防衛予算概算要求に含まれている。これはまた、日本の過去最大の529億ドルであり、ライバル、特に中国と歩調を合わせる緊急性を反映している。 防衛予算要求で優先される支出は、イージスシステム搭載艦 ( Aegis system equipped vessel, ASEV) 2隻で、それぞれ26億ドルかかると予想されている。 コンピューター画像では、「まや」級(日本の最新型イージス護衛艦)と全体構成が似ているものの、新型艦はかなり大きくなる。また、レーダーは艦橋上部に格納され、喫水線よりはるか上空に設置されるため、水平線を長く見渡せるようになる。日本は、「まや」、「あたご」、「こんごう」各級のレーダーアレイをできるだけ高い位置に取り付けることを優先してきた。しかし、今回はさらに前進させる大きな特徴となる。 防衛省によると、新型ASEVは全長約620フィート、ビーム82フィート、標準排水量12,000トンになる。これに対し、「まや」クラスの設計は、全長557フィート強、ビーム約73フィート、標準排水量約8,200トンだ。一方、米海軍のタイコンデロガ級巡洋艦は、全長567フィート、ビーム55フィート、標準排水量約9,600トン。 サイズは、タイコンデロガ級が新しいASEV設計に近いが、それでもかなり小さい。Naval News報道によると、新型艦は米海軍アーレイ・バーク級フライトIII駆逐艦の1.7倍の大きさになると指摘している。 武装に関して言えば、新型ASEVは以前の検討よりはるかに幅広い能力を持つように計画されている。 同艦の兵器システムの中心は、さまざまな脅威に対する防空・弾道ミサイル防衛用のSM-3ブロックII...

次期高性能駆逐艦13DDXの概要が明らかになった 今年度に設計開始し、2030年代初頭の就役をめざす

最新の海上安全保障情報が海外メディアを通じて日本国内に入ってくることにイライラしています。今回は新型艦13DDXについての海外会議でのプレゼン内容をNaval Newsが伝えてくれましたが、防衛省防衛装備庁は定期的にブリーフィングを報道機関に開催すべきではないでしょうか。もっとも記事となるかは各社の判断なのですが、普段から防衛問題へのインテリジェンスを上げていく行為が必要でしょう。あわせてこれまでの習慣を捨てて、Destroyerは駆逐艦と呼ぶようにしていったらどうでしょうか。(本ブログでは護衛艦などという間際らしい用語は使っていません) Early rendering of the 13DDX destroyer for the JMSDF. ATLA image. 新型防空駆逐艦13DDXの構想 日本は、2024年度に新型のハイエンド防空駆逐艦13DDXの設計作業を開始する 日 本の防衛省(MoD)高官が最近の会議で語った内容によれば、2030年代初頭に就役開始予定のこの新型艦は、就役中の駆逐艦やフリゲート艦の設計を活用し、変化する脅威に対し重層的な防空を提供するため、異なるコンセプトと能力を統合する予定である。  防衛装備庁(ATLA)の今吉真一海将(海軍システム部長)は、13DDX先進駆逐艦のコンセプトは、「あさひ」/25DD級駆逐艦と「もがみ」/30FFM級フリゲート艦の設計を参考にすると、5月下旬に英国で開催された海軍指導者会議(CNE24)で語った。  この2つの艦級は、それぞれ2018年と2022年に就役を始めている。  13DDX型は、海上自衛隊(JMSDF)が、今吉の言う「新しい戦争方法」を含む、戦略的環境の重大かつ地球規模の変化に対抗できるようにするために必要とされる。防衛省と海上自衛隊は、この戦略的環境を2つの作戦文脈で捉えている。  第一に、中国、北朝鮮、ロシアが、極超音速システムを含むミサイル技術、電子戦(EW)を含むA2/AD能力の強化など、広範な軍事能力を急速に開発している。第二に、ウクライナにおけるロシアの戦争は、弾道ミサイルや巡航ミサイルの大規模な使用、EWやサイバー戦に基づく非対称攻撃、情報空間を含むハイブリッド戦争作戦、無人システムの使用など、新たな作戦実態を露呈したと説明した。  新型駆逐艦は、敵の対接近・領域拒否(A2/A...