旧式技術でも脅威が海にあれば、それだけで対応は振り回されます。ましてやミサイル潜水艦となれば最優先で追い回すことになるでしょう。北朝鮮といえども貴重な艦をみすみす失うことはできないので、その他の小型潜水艦などで輪形陣を作るのではないでしょうか。つまり海軍装備のエスカレートですね。そんな事態を避けるためにも北朝鮮がこんな装備を整備する本当の理由を考えるべきだと思います。意外にも戦前の日本と同じ国体護持ではないでしょうか。
Opinion: North Korea’s Sea-Based Deterrent
By: Debalina Ghoshal
Published: December 1, 2014 8:43 AM • Updated: December 1, 2014 9:25 AM
ソ連時代のゴルフII級弾道ミサイル潜水艦、1985年撮影。北朝鮮はこれを基に独自に核抑止力を整備中と言われる。DoD Photo
北朝鮮がソ連時代のゴルフ-II級を原型に国産潜水艦を開発中との報道が世界で注目を集めている。同級はすでに陳腐化しているとはいえ、搭載するミサイル発射管含め技術を「検分し」「複製」したとの報道もある。
そうなると同潜水艦から弾道ミサイルの発射が可能となる。潜水艦用にミサイル垂直発射システムを開発中との報道もあり、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)につながる。さらに不安を引き起こすのは北朝鮮の弾道ミサイルは核弾頭を装着可能である点だ。
別報道で北朝鮮に核弾頭小型化技術があるともいわれ、潜水艦発射弾道ミサイルの核兵器化の可能性が高まる。核ミサイル搭載の潜水艦が遊弋するようになれば北東アジアの安全保障が脅かされる。現在想定される潜水艦では北米攻撃は不可能だが、前進配備基地はアジア太平洋地区で攻撃対象となる。
中国、米国、韓国、日本が北朝鮮の核兵器開発に懸念を高め、朝鮮半島非核化を求める中で、この報道が入ってきたことから北朝鮮に核兵器放棄の意図がまったくないことがあきらかだ。それどころか核抑止力の増強を図っている。2013年に国営メディアで北朝鮮は朝鮮半島非核化は世界の非核化があって初めて実現すると伝えている。
核心的な問題が北朝鮮の潜水艦部隊が作戦運用に入れるのかであることは言うまでもない。核兵器保有を目指す各国が抑止力を海に配備する傾向は共通しており、北朝鮮がこの例に倣っても何ら不思議はない。
ただし、今話題になっている潜水艦は水中発射弾道原子力潜水艦でもなく、大気非依存型推進システム(AIP)もついていない通常型のディーゼル動力艦である。北朝鮮は旧式ゴルフ級をリバースエンジニアリングしているため、今日の対潜技術で簡単に排除できるはずで、排除されれば核報復を実施する北朝鮮の能力は低下する。
北朝鮮は地上配備ミサイルでは固体燃料・液体燃料を共に開発しており、初のSLBMもそのどちらかになる可能性がある。しかし、現時点での懸念は北朝鮮が潜水艦に核搭載可能ミサイルを格納できるかどうかである。
金正恩がプロジェクト633級と思しき潜水艦の司令塔に立つ KCNA Photo
海に核抑止力を配備し、米本土あるいは前進配備の米軍基地を攻撃する抑止力があれば北朝鮮国内の地上配備弾道ミサイルの抑止力も高まる。つまり陸上配備ミサイルを第一撃に使用すれば、北朝鮮は海中の核抑止力を温存し、第二次攻撃に使える。たとえ先制攻撃方針を北朝鮮が採用しなくても、海中の核抑止があれば報復能力は増すので敵からの攻撃を未然に防ぐことができる。
国連安全保障理事会の決議に反して北朝鮮は弾道ミサイル開発を進めており、核実験も行っている。さらに韓国、米国へ核攻撃の恫喝を加えること数回で、北朝鮮が米本土を狙う潜水艦発射弾道ミサイルの取得を目指しているのは確かなようだ。陸上発射型ミサイルの射程距離が10,000キロを超えるまで進歩すればさらにこれは確実になる。
ただし北朝鮮が海から核抑止力を運用する能力を整備するにはまだ数年かかるだろう。■
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