スキップしてメイン コンテンツに移動

中国の空軍兵力は米国にどこまで近づくのか


艦船篇に続き、空軍力での中国の脅威を取り上げるレポートです。中国が米国の兵力構成と同じ方向を目指すとは思えず、かつ開発も多方面で一斉に行われており(それだけ資金が潤沢)今後が案じられます。国家の軍ではなく、党の軍なのですが、党そのものがマネーマシンとなっており、軍も追随し、将来的に軍需産業とつながる産軍複合体に発展しないとはだれも断言できないでしょう。

Report: Chinese Air Force Closes Gap With U.S.

by KRIS OSBORN on DECEMBER 4, 2014
FC-31-2

米空軍の中国航空兵力に対する優越性は急速に縮小に向かっており、中国は戦闘機、輸送機、ステルス機で装備近代化を進めているとの議会報告が公表された。
  1. 2014年度版米中経済安全保障検討委員会The 2014 U.S.-China Economic and Security Review Commission は議会が外部専門家を任命した審議会で米中の軍事バランスを評価し、今後の米軍の作戦立案、予算他で提言することが目的だ。
  2. 委員会はこのたび報告書をまとめ、中国人民解放軍は作戦機材約2,200機を保有し、そのうち600機が新鋭機だとする。
  3. 「中国空軍の近代化は1990年代初頭にはじまり、次第に多任務の実施が可能な空軍兵力投射能力を国境の外で可能とし、防空・ミサイル防衛能力、早期警戒能力を整備してきた。」とまとめている。
  4. 委員の一人がMilitary.comに対して議会が十分な予算を準備し、中国の迅速な進歩に対応した技術優越性の確保につながることを期待と発言。予算手当には太平洋重視の兵力再配備も含むべきと述べている。
  5. 「毎年40から50項目の提言を議会に投げて、委員各位が最重要と考える事項を10点別に提言している。今年のトップ10には太平洋リバランスを実施する予算手当が入っている」とラリー・ウォーツェル Larry Wortzel 委員(報告書編集、刊行を総括)は言う。.
  6. 中国ステルス機について報告書ではJ-20試作型の飛行から同機は現時点でアジア太平洋地区に配備中のいかなる機種よりも先進的と表現。また小型ステルス機ではFC-31のテストも進んでいると報告。
  7. このうち瀋陽FC-31は珠海航空ショーで展示されたが、専門家の中には同機がF-35と同等の技術水準の機体なのか不明と指摘する声もある。
  8. 米国の技術優位性は、兵装、航空機材、艦艇のいずれでも急速に縮まりつつあると報告書は指摘する。ある専門家が米中の戦闘機で20年前と現在を比較したところ、1995年当時の米側高性能機のF-15、F-16、F/A-18は大中国のJ-6より幅に優れていたが今日の中国J-10やJ-11はF-15と同程度の性能を有する機体だという。.
  9. J-10、J-11以外にロシア製Su-27、Su-30を保有する中国は新鋭Su-35をロシアから購入せんとしていると指摘する。
  10. 「Su-35ははるかに高性能で航続距離が大幅に伸びるので台湾海峡、東シナ海、南シナ海での航空優越性の確保に役立つほか、同機の各部品をリバースエンジニアリングする材料にもなる。具体的には高性能レーダーやエンジンがあり、中国の国産機に利用することになる」
  11. ステルス、高性能戦闘機以外に中国は空対空ミサイルでもこの15年で相当の進展を示していると指摘する。
  12. 「2000年時点で中国空軍の戦闘機が搭載していたミサイルは視界範囲に有効射程が限定されていた。15年間に中国は短距離・中距離の空対空ミサイル、精密誘導爆弾、全天候型衛星誘導爆弾、対レーダー見しある、空中発射対地巡航ミサイル、対艦巡航ミサイルを導入した」
  13. 報告書ではY-20輸送機にも言及している。新型戦略輸送機として現在テスト中の同機は米空軍C-130の三倍の貨物搭載量を誇る。同機を空中給油機に改装すれば、中国空軍機の飛行距離を大幅に延ばし、はるか遠距離に空軍力を投射することができる。
  14. 現時点で中国には近代的な空中給油機部隊はなく、作戦機材も空中給油対応でないので有効到達範囲が限定されている。
  15. 「人民解放軍海軍の初の空母搭載飛行隊が作戦可能となるまでは空中給油機が遠隔地での航空作戦のカギだが、現有給油機が1950年代のH-6U爆撃機改装の12機では大規模な作戦の支援は不可能だ。」
  16. そこでY-20を給油機に転用すれば南シナ海、東シナ海での作戦を有利に進められる、とウォーツェルが見る。
  17. 報告書ではロシア報道を引用し新型次世代地対空ミサイルS-400の対中販売をロシアが認めたとしている。
  18. 「この交渉は2012年から続いており、従来の中国の防空有効範囲をS-400で2倍の250マイル地点まで広げ、台湾全土、尖閣諸島、南シナ海の一部を有効範囲に収めることとなる」
  19. 核兵力、長距離大陸間弾道弾としてDF-31、DF-31A、さらに開発中のDF-41を列挙している。
  20. 「中国は道路移動式ICBMに核兵器を搭載しているが、DF-41は再突入核兵器10基を搭載する」(ウォーツェル)
  21. 国防関係に強い議員からは下院軍事委員会海軍力部隊投射小委員会HASC Seapower and Projection Forces subcommittee の委員長ランディ―・フォーブス議員(共、ヴァージニア)のように報告書の指摘事項に懸念を表明するものがある。フォーブス議員はかねてから米国は中国の軍拡脅威に適正に対応すべきと主張してきた。
  22. 「10年前のペンタゴンは中国の動きに注意を払っていなかった。」「グローバルな視点で我が国をこれから数十年に渡り防衛できるしっかりした戦略を構築する必要がある」
  23. フォーブス議員は中国との関係改善、平和と安定の追求は重要としながら、米国も軍事力の近代化、準備態勢を図りつつ、中国の意図よりも実際の能力を見て判断すべきだとする。
  24. 「準備は相手の能力を見てすべきで、意図は事件があれば一夜にして一転するものだ」■

コメント

このブログの人気の投稿

フィリピンのFA-50がF-22を「撃墜」した最近の米比演習での真実はこうだ......

  Wikimedia Commons フィリピン空軍のかわいい軽戦闘機FA-50が米空軍の獰猛なF-22を演習で仕留めたとの報道が出ていますが、真相は....The Nationa lnterest記事からのご紹介です。 フ ィリピン空軍(PAF)は、7月に行われた空戦演習で、FA-50軽攻撃機の1機が、アメリカの制空権チャンピオンF-22ラプターを想定外のキルに成功したと発表した。この発表は、FA-50のガンカメラが捉えた画像とともに発表されたもので、パイロットが赤外線誘導(ヒートシーキング)ミサイルでステルス機をロックオンした際、フィリピンの戦闘機の照準にラプターが映っていた。  「この事件は、軍事史に重大な展開をもたらした。フィリピンの主力戦闘機は、ルソン島上空でコープ・サンダー演習の一環として行われた模擬空戦で、第5世代戦闘機に勝利した」とPAFの声明には書かれている。  しかし、この快挙は確かにフィリピン空軍にとって祝福に値するが、画像をよく見ると、3800万ドルの練習機から攻撃機になった航空機が、なぜ3億5000万ドル以上のラプターに勝つことができたのか、多くの価値あるヒントが得られる。  そして、ここでネタバレがある: この種の演習ではよくあることだが、F-22は片翼を後ろ手に縛って飛んでいるように見える。  フィリピンとアメリカの戦闘機の模擬交戦は、7月2日から21日にかけてフィリピンで行われた一連の二国間戦闘機訓練と専門家交流であるコープ・サンダー23-2で行われた。米空軍は、F-16とF-22を中心とする15機の航空機と500人以上の航空兵を派遣し、地上攻撃型のFA-50、A-29、AS-211を運用する同数のフィリピン空軍要員とともに訓練に参加した。  しかし、約3週間にわたって何十機もの航空機が何十回もの出撃をしたにもかかわらず、この訓練で世界の注目を集めたのは、空軍のパイロットが無線で「フォックス2!右旋回でラプターを1機撃墜!」と伝え得てきたときだった。 戦闘訓練はフェアな戦いではない コープサンダー23-2のような戦闘演習は、それを報道するメディアによってしばしば誤解される(誤解は報道機関の偏った姿勢に起因することもある)。たとえば、航空機同士の交戦は、あたかも2機のジェット機が単に空中で無差別級ケージマッチを行ったかのように、脈絡な

主張:台湾の軍事力、防衛体制、情報収集能力にはこれだけの欠陥がある。近代化が遅れている台湾軍が共同運営能力を獲得するまで危険な状態が続く。

iStock illustration 台 湾の防衛力強化は、米国にとり急務だ。台湾軍の訓練教官として台湾に配備した人員を、現状の 30 人から 4 倍の 100 人から 200 人にする計画が伝えられている。 議会は 12 月に 2023 年国防権限法を可決し、台湾の兵器調達のために、 5 年間で 100 億ドルの融資と助成を予算化した。 さらに、下院中国特別委員会の委員長であるマイク・ギャラガー議員(ウィスコンシン州選出)は最近、中国の侵略を抑止するため「台湾を徹底的に武装させる」と宣言している。マクマスター前国家安全保障顧問は、台湾への武器供与の加速を推進している。ワシントンでは、台湾の自衛を支援することが急務であることが明らかである。 台湾軍の近代化は大幅に遅れている こうした約束にもかかわらず、台湾は近代的な戦闘力への転換を図るため必要な軍事改革に難色を示したままである。外部からの支援が効果的であるためには、プロ意識、敗北主義、中国のナショナリズムという 3 つの無形でどこにでもある問題に取り組まなければならない。 サミュエル・ P ・ハンチントンは著書『兵士と国家』で、軍のプロフェッショナリズムの定義として、専門性、責任、企業性という 3 つを挙げている。責任感は、 " 暴力の管理はするが、暴力行為そのものはしない " という「特異な技能」と関連する。 台湾の軍事的プロフェッショナリズムを専門知識と技能で低評価になる。例えば、国防部は武器調達の前にシステム分析と運用要件を要求しているが、そのプロセスは決定後の場当たり的なチェックマークにすぎない。その結果、参謀本部は実務の本質を理解し、技術を習得することができない。 国防部には、政策と訓練カリキュラムの更新が切実に必要だ。蔡英文総統の国防大臣数名が、時代遅れの銃剣突撃訓練の復活を提唱した。この技術は 200 年前のフランスで生まれたもので、スタンドオフ精密弾の時代には、効果はごくわずかでしかないだろう。一方、台湾が新たに入手した武器の多くは武器庫や倉庫に保管されたままで、兵士の訓練用具がほとんどない。 かろうじて徴兵期間を 4 カ月から 1 年に延長することは、適切と思われるが、同省は、兵士に直立歩行訓練を義務付けるというわけのわからない計画を立てている。直立歩行は 18 世紀にプロ