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太平洋航空作戦で必要となる給油能力の確保にむけ、迅速に準備を進めるAMC。ACE構想とは。変革を加速化する米各軍。

  AMCとPACAFによれば燃料貯蔵、空中給油双方の懸念事項を克服できたという。 グ アムのアンダーセン空軍基地の珊瑚礁台地に、錆びついた白い燃料貯蔵タンクが点在している。グアム港から26マイルのパイプラインで送り込まれたジェット燃料が、6600万ガロンという空軍最大の容量を誇るタンクを満たしている。航空隊員がグアムを「太平洋のガソリンスタンド」と呼ぶ所以である。 ハワイ・オアフ島のパール・ハーバー・ヒッカム統合基地周辺には、2億5000万ガロンの燃料が地下と地上の大型タンクに貯蔵され、深緑のハワイの山々を前に白く光っている。 膨大な量の燃料だ。しかし、専門家によれば、太平洋での空中給油には十分ではない。 国防アナリストは、空軍が空中給油機保有を減らす計画を立てており、太平洋の燃料貯蔵能力の不足も加わり、米軍の即応体制にリスクをもたらすと懸念している。米国が中国との戦争に直面した場合、航空機動軍団(AMC)の需要を満たせなくなると心配している。 太平洋の移動には燃料が不可欠で、燃料は空中で確保しなければならない 。 PACAF司令官 ケネス・ウィルスバック大将 ハドソン研究所の報告書では、2025年度までにKC-10エクステンダー48機が退役すると、潜在需要に対しタンカー能力が13%不足するとある。さらに、空軍は2023年度に13機のKC-135ストラトタンカーを退役させる予定だ。一方、新型KC-46ペガサスは、リモートビジョンシステム(RVS)の不具合を解消する作業が完了していない。空軍は2022年6月17日現在で同型機を61機保有している。2023年10月1日までに14機を追加保有する見込みだ。2025年10月1日までに合計119機のKC-46の納入を想定している。 フランク・ケンドール空軍長官は「Divest to Invest」戦略を推進し、将来の能力に資金を充てるため、有用性が低く、運用コストが高い機材を手放すとしている。 2021年9月現在、空軍のタンカーは、KC-135(392機)、KC-10(50機)、KC-46(48機)の計490機となっている。2019年国防権限法では、最低479機のタンカーを求められている。しかし、ケンドールは455機まで減らしたい考えで、2023年度承認法案の下院版では、空軍に466機保有を認めている。 航空機動軍団では、こ

米空軍の発想が柔軟すぎる。B-52で貨物輸送し有事の迅速分散運用ACEコンセプト用に専用コンテナBOCSを開発し実証運用が行われた。

  U.S. Air Force photo by Senior Airman Chase Sullivan B-52の爆弾倉に貨物コンテナを搭載した演習で、迅速な展開がより現実的になった   バ ークスデール空軍基地は、B-52Hストラトフォートレスが興味深い役割を演習で担ったと発表した。4機の爆撃機に、爆弾倉に収まる比較的大きな貨物コンテナを搭載し、米空軍の迅速展開コンセプトをテストした実証は、将来の作戦機の展開における物流フットプリントの減少の可能性を示したとある。 バークスデール基地の声明によると、演習に参加した4機のB-52Hは、同基地の第2爆撃航空団の所属機。8月16日から19日にかけて、ワシントン州のフェアチャイルド空軍基地に移動し、ACE(Agile Combat Employment)ミッション関連の演習を実施した。一般にACEミッションは、各地から予測不可能な分散作戦を実践することで、生存能力を高め、前方地域で戦闘力を生み出すことを主眼とする。ACE関連演習は、空軍が遠隔地にある厳しい施設や小規模な物流施設を活用し、柔軟かつ機敏な運用を可能にする一助となることを意図している。特に、ACE作戦では貨物運搬が重要な要素となるため、今回のB-52実証の重要性が際立つ。 今回のACEテストミッションでは、B-52爆撃機を主に使用して、革新的な貨物輸送作戦を模索するとともに、生存性と厳しい環境での作戦を念頭に置いた、有機保守支援の提供方法を実証した。B-52は、BOCS(On-Board Cargo System)という貨物輸送システムにより、爆撃任務以外の役割、つまり貨物支援機としての役割を果たした。 空軍はBOCSを、B-52Hの爆弾倉内のハードポイントに接続する設計の貨物コンテナだと説明している。各B-52はBOCS2つを搭載し、各爆弾倉に1つずつ、最大5,000ポンドの整備・支援機器を搭載し、B-52一機で合計10,000ポンドの空輸能力を実現する。 主に訓練だが、B-52の三個爆撃航空団すべてがBOCSを自由に利用できるようになったという。以前のB-52は、貨物保管庫が皆無に近かった。 BOCSは、少なくともコンセプトとしては、2006年の航空戦域バトルラボで、最も有用な取り組みとして生まれた。The War Zoneは、空軍グローバル・ストライ

中国の攻撃で既存基地機能喪失を想定し、非通常型地点への分散を進め、迅速に燃料等を再補給する米空軍のACE、FARP両作戦構想に注目。

超 大国間競合の現実を見てペンタゴンは従来の想定をあらため、互角の実力を有する敵国に対応する新方法を模索している。 米軍は中国やロシアが相手では、ここ20年間相手にしてきたアフガニスタン、イラク、シリアのような装備貧弱な戦闘員相手の戦いの再現にならないことを承知している。 中国軍・ロシア軍は米軍にとって現実かつ協力な脅威であり、全く違う戦闘に対応する必要がある。 まず、米軍は少なくとも紛争当初で、従来当たり前だった制空権を獲得できない。さらに、地上の米軍や基地も安全でなくなる。中国とロシアは、前方基地や国内の空軍基地を短距離、中距離、長距離の兵器システムで攻撃可能で、米国の防空設備を圧倒する数のミサイルを保有している。さらに極超音速兵器の出現で現時点の防空システムは防御不可能となったとされ、敵からの距離に関係なく基地の安全性は低下している。 ACEとFARP そうなると、即席の空軍基地へ航空機を分散運用することが、ハイエンド戦で重要な意味を持ちそうだ。米空軍はこのことをよく理解し、2つの重要なコンセプトに取り組んでいる。アジャイル戦闘展開 Agile Combat Employment (ACE)と前方兵装燃料補給拠点 Forward Arming and Refueling Point (FARP)だ。 舗装未舗装の滑走路で空軍が有事に使用可能な地点を示す地図。ACE、FARPではこうした臨時飛行場を活用することになる。 (USAF via the War Zone ). アイアンダガー演習 日本で最近展開したアイアンダガー Iron Dagger 演習を見れば、米空軍がインド太平洋で中国相手に展開する戦闘の様相を示している。同時にACE、FARPの実戦の重要性が浮かび上がってくる。 アイアンダガー演習で空軍は354航空遠征航空団所属のF-35A編隊を事前通告ほぼなしの状態で岩国海兵隊航空基地に短時間で移動させた。これは アジャイル戦闘展開の実証となり、燃料、兵装の再補給を短時間で整備されていない環境で実施し、前方兵装燃料補給拠点の実効性を示した。 354航空遠征団司令デビッド・バークランド米空軍大佐 Colonel David Berkland は、「今回の動的戦力展開(DFE)運用では、第5世代航空兵力をすばやく動員し、インド太平洋戦域に展開する能力を示せた

MQ-9をアジャイル戦闘展開に投入する準備ができた。新しい自動離着陸機能の効果を実証した米空軍。

  着陸地に専用人員やインフラが配置していくてもすべて遠隔制御できる、ということなのでしょうか。一見するとどこがすごいのかわかりにくいのですが、それだけUAVの実際の運用をこちらが理解していないということなのでしょうね。理解がまちがっていたらすみません。 US Air Force   クリーチ空軍基地を離陸したMQ-9 リーパーがホローマンAFB(ニューメキシコ)に着陸した。 July 8, 2021. 556試験評価飛行隊が二日にわたるMQ-9用の自動離着機能の実証としてネリスAFBから機体を制御し、クリーチAFBからホローマンAFBまで移動させた (U.S. Air Force photo by Airman 1st Class Jessica Sanchez) 第 556試験評価飛行隊(TES)がMQ-9リーパーの自動離着陸機能(ATLC)の完成度を2021年7月8日に実証し、発進回収設備や人員による誘導なしに実行した。この機能でMQ-9はアジャイル戦闘展開(ACE)に投入可能となり、MQ-9で予定されるソフトウェアアップグレードならびに新型小型機体制御ステーションで世界各地での同機運用の形態が一変しそうだ。 これまでのMQ-9の離着陸では専用の発進回収要員が着陸地点に待機する必要があった。だが今回は実証地から55.6マイル離れたネリス空軍基地の操作ステーションから衛星経由の操作でクリーチAFBのMQ-9が滑走路を移動し離陸した。556TESは機能を実証し、機体はATLCにより着陸したが、今週の実証で機能の限界がさらに押し上げられた。 テストは二日間にわたるもので、初日に556TESがクリーチAFBからニューメキシコのキャノンAFBまでMQ-9を飛行させ、着陸後、滑走路を移動させ再び離陸し、クリーチAFBに帰還させた。すべて衛星経由で行った。操作員はコックピット映像で自動着陸用の参照点を確保した。二日目には目的地はニューメキシコのホローマンAFBに変更され、チームは再び機能実証に取り組んだ。今回は標的捕捉ポッドを搭載し滑走路の状況を調査させ、ATLCチームに必要な基地内の状況を伝え、離陸させた。 当初公表のATLC手順ではMQ-9は滑走路へ移動してから、クルーが電子的に参照点を付け、機体は滑走路上に位置を決めることになっていた。ただ、今回の実証はもっと先に進ん

パシフィックアイアン2021演習で米空軍はラプターを25機投入する。ACEの実効性を試し、A2ADを取る中国ロシアへの対抗だ。

  西 太平洋での演習に米空軍F-22ラプター部隊が加わり、厳しい空域で実力を発揮できるかを試す。   パシフィックアイアン2021   演習はパシフィックアイアン2021の名称で、空軍は7月中の実施で空軍の人員装備多数が参加する。米インド太平洋軍(INDOPACOM)は太平洋空軍、航空戦闘軍団から800名35機超が加わると発表。機材はF-15Eストライクイーグル10機がアイダホのマウンテンホーム空軍基地366戦闘航空団から、F-22ラプター25機が525戦闘飛行隊、アラスカのエルメンドーフ-リチャードソン共用基地の第3航空団およびハワイ州軍パールハーバー-ヒッカム共用基地の154航空団199戦闘飛行隊から、C-130J2機が横田航空基地の374空輸団から加わる。   F-22の機数に意味がある   太平洋空軍司令を務めたダン・「フィグ」・リーフ空軍中将(退役)によればパシフィックアイアン2021にラプター25機が参加すると一回の演習に加わる機数として最大になる。ラプターの運行経費の高さを考えると機数に大きな意味があるという。   機体単価とともに高額な機体を制空任務にしか投入できないことに懸念が生まれ、F-22調達は2009年に終了した。中国やロシアとの対抗が激しさを増している今日でも生産再開の可能性は低い。ということで現在保有中のラプターの増勢はなく、今後老朽化しても代替機材がない。そのためF-22を都度投入すると重要な決断となっている。   そこでF-22をパシフィックアイアン2021にこれだけの機数投入することに大きな意味があり、空軍が太平洋地区にへの関与の姿勢の大きさを示しているとリーフ中将は解説している。   ACEとは   パシフィックアイアン2021はグアム、テニアンから展開し、アジャイル戦闘展開(ACE)を行う。   ACEとはロシア、中国が接近阻止領域拒否 (A2/AD)戦略を展開する中で米国が直面する課題にこたえるものだ。中露両国の戦略はヨーロッパ、東アジアで米軍部隊の安全な運用を妨害することにある。   中国はA2/AD戦略に関しミサイル開発を進めている。地対空ミサイル(SAM)、巡航ミサイルのほか長距離弾道ミサイルもこの一環だ。ここに対艦弾道ミサイル(ASBM)や極超音速滑空体(HGV)も加わり、米国との対戦となれば米空母や域内の米軍基地を