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米空軍の発想が柔軟すぎる。B-52で貨物輸送し有事の迅速分散運用ACEコンセプト用に専用コンテナBOCSを開発し実証運用が行われた。

 

U.S. Air Force photo by Senior Airman Chase Sullivan

B-52の爆弾倉に貨物コンテナを搭載した演習で、迅速な展開がより現実的になった

 

ークスデール空軍基地は、B-52Hストラトフォートレスが興味深い役割を演習で担ったと発表した。4機の爆撃機に、爆弾倉に収まる比較的大きな貨物コンテナを搭載し、米空軍の迅速展開コンセプトをテストした実証は、将来の作戦機の展開における物流フットプリントの減少の可能性を示したとある。

バークスデール基地の声明によると、演習に参加した4機のB-52Hは、同基地の第2爆撃航空団の所属機。8月16日から19日にかけて、ワシントン州のフェアチャイルド空軍基地に移動し、ACE(Agile Combat Employment)ミッション関連の演習を実施した。一般にACEミッションは、各地から予測不可能な分散作戦を実践することで、生存能力を高め、前方地域で戦闘力を生み出すことを主眼とする。ACE関連演習は、空軍が遠隔地にある厳しい施設や小規模な物流施設を活用し、柔軟かつ機敏な運用を可能にする一助となることを意図している。特に、ACE作戦では貨物運搬が重要な要素となるため、今回のB-52実証の重要性が際立つ。

今回のACEテストミッションでは、B-52爆撃機を主に使用して、革新的な貨物輸送作戦を模索するとともに、生存性と厳しい環境での作戦を念頭に置いた、有機保守支援の提供方法を実証した。B-52は、BOCS(On-Board Cargo System)という貨物輸送システムにより、爆撃任務以外の役割、つまり貨物支援機としての役割を果たした。

空軍はBOCSを、B-52Hの爆弾倉内のハードポイントに接続する設計の貨物コンテナだと説明している。各B-52はBOCS2つを搭載し、各爆弾倉に1つずつ、最大5,000ポンドの整備・支援機器を搭載し、B-52一機で合計10,000ポンドの空輸能力を実現する。

主に訓練だが、B-52の三個爆撃航空団すべてがBOCSを自由に利用できるようになったという。以前のB-52は、貨物保管庫が皆無に近かった。

BOCSは、少なくともコンセプトとしては、2006年の航空戦域バトルラボで、最も有用な取り組みとして生まれた。The War Zoneは、空軍グローバル・ストライク司令部にBOCSの出自について照会したが、返事はもらっていない。いずれにせよ、空軍は、ACEミッションにBOCSを追加することで、爆撃機展開における貨物支援の必要性を軽減し、その結果、作戦の補給活動の負担を削減することを期待しているようだ。

バークスデール空軍基地でのアジャイル戦闘演習の後、第2航空機整備飛行隊の飛行士がB-52オンボードカーゴシステムからメンテナンスとサポート機器を降ろした。Credit: Airman Nicole Ledbetter/U.S. Air Force

「当初のBOCSコンセプトは、爆撃機の常時プレゼンスを成功させるために必要なあらゆるものを戦術的にフェリーする機会を作ることでした」と、第2爆撃航空団航空機メンテナンス飛行隊生産管理官のアンソニー・ウィリアムズ曹長は言います。

演習では、ACEの任務全体と同様、時間も重要要素だった。ACEでは、軍用機を短期間で各地に配備することを重要とし、整備支援のシナリオは、BUFFの飛行を維持することから始まる。バークスデール第2航空整備飛行隊の整備員は5人1組のチームに分かれ、必要な修理・整備・交換機材をBOCSに効率よく詰め込み、今回の派遣をスタートさせた。チームは、B-52の着陸、再武装、修理の練習のため、フェアチャイルドに飛んだ第96爆撃中隊の機内に同乗したという。

航空機の整備を担当する空軍戦略航空兵站部長のジェイソン・スネデカー少佐Maj. Jason Snedekerは、「航空機1機につき整備員5名が搭乗すれば、有事の際に航空機の再生を確実に行い、ACE支援が可能な自立したロジスティクス能力を持てる」と述べている。しかし、B-52の乗員に加え、5人の整備員をどのように輸送したかは不明で、これについても空軍グローバル・ストライク司令部の説明を待っている。

バークスデール空軍基地でのアジャイル戦闘配置演習の後、B-52搭載カーゴシステムを降ろす第2航空機整備飛行隊員 Credit: Airman Nicole Ledbetter/U.S. Air Force

フェアチャイルド空軍基地は、演習で重要な役割を果たしたといえよう。B-52Hは2010年に滑走路が改修されて以来、初めて運用されることになるため、不慣れさに加え、爆撃機特有の設備がないことが、整備チームや搭乗員に実際のACE運用に近い形で挑戦する機会となった。

第8空軍とグローバル・ストライク・オペレーション・センターの司令官であるアンドリュー・J・ゲバラ少将Maj. Gen. Andrew J. Gebaraは、「彼らの努力のおかげで、我々が普段見慣れている大きなフットプリントなしに、大きな火力を目標に投入できることが証明された」と述べている。

フェアチャイルド空軍基地で、B-52H内部の搭載貨物システムの外壁を取り外す、第2航空整備隊の生産監督官であるアンソニー・ウィリアムズ・ジュニア曹長(左)と第2航空整備隊のエンジン整備士であるアーロン・ワイルス上級航空士(右)。 Credit: Senior Airman Chase Sullivan/U.S. Air Force

武器輸送に関しては、ACEに所属する爆撃機がB-52Hの武器パイロンのみ、あるいは武器パイロンと爆弾倉の間に弾薬を分散搭載し、航空機が目的地に飛び、その弾薬を使用して迅速に作戦行動を開始できるように、BOCSアプローチの使用が考えられる。しかし、このようなコンセプトで前線基地で本戦闘を継続することには疑問が残る。そこで、BOCSを片方のベイに、武器を残るベイとパイロンに搭載する、あるいはBOCSを両方のベイに、武器をパイロンに搭載することが考えられる。

また、B-52が各10,000ポンドの貨物を搭載しても、貨物専用機1機の最大積載量には及ばない。例えば、C-130の最大積載量は42,000ポンドで、C-17の最大積載量は170,900ポンドだ。そのため、BOCS搭載のB-52は、これまでのようにACEの初期配備をサポートするためC-130が必要としなくなる可能性はあるものの、持続的なロジスティクス問題は依然として残る。BOCSが運べる貨物の種類は、システムの寸法で制限され、爆弾倉の寸法でも制限されるため、貨物輸送機が通常運ぶ大きな貨物は運べない。

爆撃機が活動できる場所と、そこに到着した後に活動できる手段の両方を拡大することは、既知の拠点が機能しなくなったり、危険にさらされる将来のハイエンド紛争では非常に重要になるかもしれない。空軍はここ数年、このような開発を優先してきた。爆撃機が重要地域付近で飛行できる基地を複数確保することは、将来の大規模紛争で極めて重要になるからだ。

フェアチャイルド空軍基地で行われたアジャイル戦闘演習で、滑走路をタキシングする4機のB-52H ストラトフォートレス。 Credit: Senior Airman Chase Sullivan/U.S. Air Force

ACE環境でのBOCSの活用は、B-52を数十年、少なくとも2050年まで、おそらくそのはるか先まで機能させるための一連の強化・改良の中で最新のものだ。B-52は、少なくともB-52JまたはB-52Kの新型機となり、新型AESAレーダー、ロールスロイスF130ターボファン・エンジン、極超音速兵器搭載など各種アップグレードが行われる。

BOCSとACEの組み合わせによる副次的な空輸能力で、B-52運用の幅は大きく広がった。■

 

The B-52 Bomber Is Now Also A Cargo Hauler | The Drive

BYEMMA HELFRICHAUG 30, 2022 1:49 PM

THE WAR ZONE


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