ATLANTIC OCEAN (June 30, 2018) アーレイ・バーク級誘導ミサイル駆逐艦USSベインブリッジ(DDG96)が実弾演習中にMark 45 5インチ砲を発射した。
中国とロシアを相手にした戦争?
米国は欧州と太平洋の双方で危機に直面している。ロシア・ウクライナ戦争は不安な膠着状態に陥ったが、エスカレートの危険はある。ナンシー・ペロシ下院議長の台北訪問をきっかけに、台湾の長期的な地位をめぐる緊張が高まっている。どちらの危機もエスカレートはしないだろうが、米国は2地域で2大国と戦う(あるいは代理戦争する)ことになるかもしれない。
このことが米国にどれほどプレッシャーを与えるだろうか。 各戦域の紛争の性質に大きく依存するが、米国は両戦域でかなりの期間、戦争を維持できる可能性が高い。
ウクライナ戦争
ロシア・ウクライナ戦争は、モスクワと欧米の代理戦争となり、米国は膨大な量の高性能兵器を投入している。
現在、ウクライナ軍は、ロシアがウクライナを広範囲に占領するのを阻止するため十分な戦闘力を発揮している。米国・NATO諸国は、武器、経済援助、後方支援、情報などを提供し、ウクライナ軍を支援している。米国は、ウクライナ軍がロシアとの戦いで使用する外国製装備の大部分を供給しているが、他のNATO諸国もかなりの効果を上げている。米国が連合をまとめる政治的な接着剤になっているのは間違いないが、欧州諸国の大部分は、米国の有無にかかわらず戦争にコミットしている。戦争にかかる費用(装備)と戦争で発生する費用(経済的混乱とエネルギー供給)にもかかわらず、現時点でヨーロッパ諸国はウクライナへ支援を継続する意思があるように思われる。
ロシアがエスカレートしたら?ヨーロッパでは、NATO軍がすべての通常戦力でロシア軍に決定的な優位を保っていると思われる。優位性は海上と空中で最も顕著であり、NATOの欧州加盟国の海軍と空軍は、ロシアが現在ウクライナで交戦中の部隊を規模と能力で容易に凌駕する。ロシアがエスカレートすれば、他の同盟諸国がロシア侵略に抵抗する残留的な警戒心を消す可能性が高い。
台湾をめぐる軍事衝突がロシア・ウクライナ戦争のバランスを変化させる可能性がある。中国は、装備や人員の派遣に至るまで、ロシアの戦争努力への支援への消極性を失う可能性が高い。世界の貿易ネットワークが完全に破壊され、ロシアの経済状況は相対的には若干緩和されるだろう。
中国との戦い
台湾をめぐる戦いでは、米国は、ハイエンドの海・空軍資産を必要とする。これには米海軍の最重要艦艇(攻撃型潜水艦、巡航ミサイル潜水艦、空母戦闘群、水陸両用戦闘群など)に加え、海軍と空軍が運用する先進の戦闘機、爆撃機、タンカー、偵察機が含まれる。
米国が地上部隊を派遣する必要があるとしても、ウクライナ戦闘の能力が削がれることはないだろう。さらに、NATOとの同盟関係があるため、台湾がウクライナより優先される。
太平洋地域では、米国はヨーロッパより同盟国に頼れないが、ここも政治状況に大きく左右される。フランスとイギリスが権威主義的な枢軸と戦っている立場と自らを位置づければ、それぞれ太平洋に効果的な海軍部隊を派遣できるだろう。さらに重要なことは、日本とオーストラリアが、台湾をめぐる危機に具体的に言及しつつ、対米関係を強固にする重要なステップを踏んでいることである。米国は同盟国の関与を期待できないかもしれないが、北京は同盟国の排除を期待できない。いずれにせよ、中国には米国が支援する台湾を迅速に打ち負かす軍事力は現時点ではない。
両戦域で共通する要素
台湾とウクライナの作戦区域で共通するのは、ロジスティクスとインテリジェンスの要求である。 確かに、米国はロシアのウクライナ侵攻が始まって以来、中国の活動を注視してきたが、現在ウクライナの戦闘を支援するため投入している電子、サイバー、分析資産の一部を中国にシフトさせる必要があるのは間違いない。このような努力の一部はヨーロッパ勢に取って代わられるかもしれないが、米国にはこの分野で他国の追随を許さない装備があるので、ウクライナは間違いなくそのシフトに気づく。
ロジスティクスの面では、ウクライナ戦で米国の防衛産業基盤に負担が増えている。消耗戦になったため、武器や弾薬の在庫を使い果たしてしまった。 ウクライナと台湾の作戦上の要求が重ならないのは幸いだが、ユーラシア大陸の両側で戦闘が長引けば、米軍は不足に悩まされそうだ。前述のように、両地域が競合した場合、台湾が優先される可能性が高い。
次に何が起こるか?
米国は、アジアとヨーロッパの両方で戦うべく軍備構築に潤沢な費用を支払ってきた。航空戦力や兵站の面で重複があるのは間違いないが、米軍の膨大な戦闘力が、両戦域で交戦する必要性で極度に緊張させられることはない、戦域で要求が違うためだ。ウクライナ戦争がNATOとロシアの直接対決に発展しても、欧州諸国の実戦部隊が関与し、米国は重要な支援役を担うことになる。要するに、米国はロシアと中国の両方と同時に交戦できる...しばらくの間は、同盟数カ国の助けを借りれば。■
Could the U.S. Military Fight Russia and China At the Same Time? - 19FortyFive
ByRobert FarleyPublished8 hours ago
Now a Contributing Editor for 19FortyFive, Dr. Robert Farley has taught security and diplomacy courses at the Patterson School since 2005. He received his BS from the University of Oregon in 1997, and his Ph. D. from the University of Washington in 2004. Dr. Farley is the author of Grounded: The Case for Abolishing the United States Air Force (University Press of Kentucky, 2014), the Battleship Book (Wildside, 2016), and Patents for Power: Intellectual Property Law and the Diffusion of Military Technology (University of Chicago, 2020). He has contributed extensively to a number of journals and magazines, including the National Interest, the Diplomat: APAC, World Politics Review, and the American Prospect. Dr. Farley is also a founder and senior editor of Lawyers, Guns and Money.
Farley先生は、対テロ戦争後の米国の戦略を予測しないのかな?
返信削除米国は中露とニ正面戦争を起こすつもりはない。そんな戦争は最悪の戦略であり、勝者などいないかもしれない。
米国の次の戦略は、既に実行しているかもしれず、それはウクライナ戦争がそれである。
米国は、最強の軍事力を温存し、戦う民主主義国との同盟を特に強化し、援助するつもりであり、決して負けない体制を構築するのだろう。
Farley先生は、その辺も記事にしてもらいたいものだ。