Su-34. Image Credit: Russian Military.
ロシアの防衛産業には、苦労が待ち受けている。自給自足と自称しているが、ロシア産業には西側の部品と支援を必要としていることが判明した。自給率が世界で最も高いロシア産業が、制裁により供給不足に悩まされている。防衛分野で自前主義は不可能なのか。これは安全保障で何を意味するのだろうか。
理論的には、国家は自国の防衛産業基盤に物資を供給するチェーンを注意深く守るべきだ。国家は可能であれば防衛産業を可能な限り内製化することで脆弱性を低減させようとする。もちろん、これはすべての国家で可能なことではなく、海外の防衛産業に一部または全部を頼らざるを得ない国家もある。しかし、特に大国は、防衛において可能な限り自律的であろうとする。
この論理は、数十年にわたる複合工業生産のトレンドと真っ向から対立する。20世紀後半、ほとんどの産業は少なくともある程度までグローバル化し、資源や最終製品の完成部品を国境を越えたパートナーシップに依存するようになった。インフラストラクチャーと投資により、このような統合は自給自足よりはるかに効率的なものとなった。グローバル化の時代、防衛産業は確かに芽を出したが(トランスナショナルな生産と技術革新が西側とソビエト圏双方の防衛力増強で特徴となった)、防衛は主要セクターで最もグローバル化が遅れている。公平を期すため、「バイ・ローカル」の少なからぬ部分は、国内産業(および労働者)向け補助金も含んでおり、同じ論理で正当化されがちだが、完全な自国主義とは言えない。
この逆風にもかかわらず、現代の防衛産業は自国主義を貫けるだろうか。
ウクライナ侵攻でロシアは不完全な国防自給自足体制の問題に直面した。ロシアの防衛産業基盤が欧米と密接に結びついていることは、難しい現実である。ロシア産業が西側諸国の部品に明らかに依存していることにロシア人でも驚いているようだ。ロシアは、高性能兵器を維持するのに十分なチップを調達しようと入念な努力を行っている。ロシア事例は、防衛サプライチェーンの脆弱性を示しており、各国が自国の防衛産業基盤に不可欠な要件の国産化を促しているのだろうか。 ロシアのジレンマに対する簡潔な答えは、少なくとも先端部品に関する限り、防衛分野における自給自足は、第一級の軍事能力を求める国家にも不可能であるということだ。一部の国が挑戦する可能性はあるが、成功する国はほとんどないだろう。近代的な防衛産業基盤には高度部品が必要であり、それは世界的な技術産業(ごく少数の国が保有)か、ハイテク市場へのオープンアクセスによってのみ入手可能であるというのが厳然たる事実だ。
このため、高度ハイテク兵器に必要な部品は、西側諸国で入手可能で、西側は利用できるが、この技術的エコシステムの外にいる人にはかなり利用しにくい世界になっている。これは、冷戦時代、米国が西側技術へのソ連のアクセスを阻止するため莫大な手段を講じた状況と多くの点で類似している。しかし、今回は米国がより強力な優位性を享受している。サプライチェーンの力学、輸出規制、知的財産法などにより、米国はこれまで享受していたよりもはるかにグローバルなテクノロジーをコントロールできるようになった。スウェーデンとフィンランドのNATO加盟により、これらの国々の技術部門と欧米の多国籍防衛産業基盤との統合が加速されることは間違いない。
西側諸国が防衛産業基盤の高度化を維持したまま、このエコシステムから逃れるのは極めて困難だ。例えばトルコや韓国は、欧米製装備品の国内代替品の開発に力を入れているが、この努力はサプライチェーンの信頼性への懸念からというより、主に輸出規制を回避するためのものだ。トルコがロシアの防空機器に浮気しているにもかかわらず、トルコと韓国は共に欧米の技術エコシステムの完全な参加者であり続けている。
この先はどうなる?
この技術的な未来は、ロシアと中国の両方にとって醜いものに見えるが、特に前者にあてはまる。冷戦時代に存在した技術ブロックを再構築して、ロシアを対象に西側の技術ブロックを拡大すれば、モスクワに利益をもたらさないし、モスクワと北京の間にくさびを打ち込む結果になりかねない。民生技術経済に深く関与している中国がロシアをどこまで支援するかという難しい選択に迫られることになろう。さらに、ロシアと中国は、国際防衛市場におけるシェアをめぐり、ますます直接的な対立を深めている。
つまり、北京はロシアを自国の技術エコシステムと防衛産業基盤に引き込みたいのだろう。ロシアは明らかにジュニアパートナーの地位になる。■
Russia's Defense Industry Is In Serious Trouble Due to Sanctions - 19FortyFive
ByRobert FarleyPublished24 hours ago
Dr. Robert Farley has taught security and diplomacy courses at the Patterson School since 2005. He received his BS from the University of Oregon in 1997, and his Ph. D. from the University of Washington in 2004. Dr. Farley is the author of Grounded: The Case for Abolishing the United States Air Force (University Press of Kentucky, 2014), the Battleship Book (Wildside, 2016), and Patents for Power: Intellectual Property Law and the Diffusion of Military Technology (University of Chicago, 2020). He has contributed extensively to a number of journals and magazines, including the National Interest, the Diplomat: APAC, World Politics Review, and the American Prospect. Dr. Farley is also a founder and senior editor of Lawyers, Guns and Money.
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