ロシアのベルゴロド市内の弾薬庫で火災事故画発生した Screenshot via Twitter
クリミアとロシア国内で爆破事件が連日発生しており、新しい局面が始まっているのか
ロシアはウクライナへの全面的な侵攻を続けているため、自国内や2014年に違法に併合した地域での戦争に、ますます痛みを感じるようになっている。
最新の進展では、ロシア当局者がベルゴロド州の弾薬庫が火災を起こしたと木曜日に発表し、ロシア軍基地での爆発や、占領下のクリミアのケルチ橋でのドローン攻撃も報告されている。
これらの出来事のすべて、あるいは一部が、ウクライナ軍やパルチザンの仕業であると証明されれば、6カ月前に始まった戦争で新局面が順調に進んでいるシグナルとなる。
木曜日にロシアのベルゴロド市の弾薬庫で大規模な火災が発生したとする動画でソーシャルメディアが盛り上がる中、同州知事は火災が発生し、地元住民が避難したことを認めた。
ヴィアチェスラフ・グラドコフVyacheslav Gladkovは自身のテレグラムアカウントで「Valuysky都市地区Timonovo村の近くで弾薬庫が火災にあった」と述べた。「死傷者は出ていない」。両村の住民は避難しているという。
グラドコフは、何が火種になったかについての説明していない。これは、ロシの国内とクリミアの弾薬庫を揺るがした謎の火災と爆発の最新の事例である。ロシアが侵略を始めてから占領中のウクライナでも、火災多数が発生している。
「救急隊が現場に到着し、火災の原因は調査中」。ウクライナはベルゴロドでの火事を公式に認めていない。
クリミアでは、ベルゴロドから南西約400マイルのベルベク軍事基地付近で爆発があり、ケルチ橋の近くでドローンが撃墜された可能性があるとの未確認の報告が木曜日に出ている。
ロイター通信は木曜日、セヴァストポリ北部のロシア軍主要空軍基地ベルベク付近で少なくとも4回の爆発があったと、地元情報筋3名を引用して報じたが、親モスクワ関係者は基地に被害はなかったと述べた。
ロシアのタス通信によると、「防空システムがセバストポリのベルベク飛行場周辺で無人航空機を撃墜した」とミハイル・ラズボジャエフ知事は述べている。「死傷者は出ていない」。
「ケルチ地方で無人航空機が撃墜されたと、ザポロージエ地方の軍民行政の主要評議会のウラジミール・ロゴフが自身のテレグラムチャンネルで述べた」とタス通信は伝えている。
防空システムがドローンを破壊し、「クリミア首長の顧問によると、街とクリミア橋に危険はない」という。
同橋はウクライナの関心とロシアの懸念の焦点になっている。
8月17日、ゼレンスキー顧問のミハイロ・ポドリャックMykhailo Podolyakは、35億ドルかかったケルチ海峡橋をが攻撃されたと示唆した。
ロシアにとって、橋が攻撃されることへの懸念は、以前から高まっていた。5月、ロシア本土とクリミアを結ぶ橋をミサイル攻撃する準備中のロシア軍の姿が目撃され数日後、米政府高官はThe War Zoneに対し、「ウクライナ国内のロシア軍の能力と兵站拠点は格好の標的だ」と述べた。The War Zoneは、ケルチ橋に対して米国が供給した兵器を使用することにためらいはないかと追及したところ、同高官は次のように答えている。
「申し上げたように、ウクライナが領土内でロシアに戦うことに、知る限りでは何の制約もない」。
これらの事件や、過去9日間のクリミア内のロシア施設への攻撃は原因は不明である。
ロシアは、8月16日にジャンコイDzhankoi軍需廃棄場で、8月9日にサキ空軍基地で、航空機多数のを破壊した爆発についてのメディア報道を確認している。しかし、ロシアは前者を破壊工作、後者を弾薬の偶発的な爆発とし、攻撃されたとは言っていない。
攻撃後の防護壁部分のクローズアップ。破壊された構造物の1つは誘導路の曲がり角にあり、クレーター数カ所がある。もう1つの構造物の残骸と、燃え尽きたSu-24が右上隅に見える。PHOTO © 2022 PLANET LABS INC. ALL RIGHTS RESERVED. REPRINTED BY PERMISSION
ウクライナは公式にこの事件を非難したが、軍関係者は匿名で、この攻撃は「精鋭部隊」によるものだとメディア多数に語っている。
前線から約150マイル離れたクリミアと異なり、ベルゴロドはウクライナ国境から約25マイルしか離れておらず、M142高機動砲ロケットシステム(HIMARS)とウクライナに供与されたM270多連装ロケットシステム(MLRS)の射程圏内だ。
どちらの発射台も、ロッキード・マーチン製の誘導多連装ロケットシステム(GMLRS)型や陸軍戦術ミサイルシステム(ATACMS)短距離弾道ミサイルなど、さまざまな227ミリロケットを発射できる。これまで米国がウクライナに提供したきたのは、GPS/INS誘導により約70km離れた標的を攻撃できる200ポンド級の単弾頭M31ロケットのみで、数量の公表はない。特に、ウクライナがロシア内部の各種目標に精密攻撃の実行手段となる。
米軍のHIMARSシステム. DOD
しかし、クリミアでの攻撃と同様に、今回のベルゴロド事件もウクライナの精鋭部隊によって行われた可能性がある。
ロシアによるウクライナとの全面戦争の過程で、ロシア国内での攻撃の映像がソーシャルメディアに登場するようになった。弾薬庫、空軍基地、そして4月にはウクライナのMi-24ハインド攻撃ヘリコプターが国境を越えロシアに低空飛行し、ベルゴロド石油貯蔵施設を攻撃するという大胆な作戦など、各種ターゲットに対して行われてきた。
6月のThe War Zoneとの独占インタビューで、ウクライナのエリート特殊作戦部隊シャーマン大隊のシャーマン隊長は、秘密任務の具体的な場所について詳細を話すことを拒否した。しかし、シャマンは、4月のベルゴロド攻撃は、来るべき事態の前兆とほのめかしていた。
「ベルゴロド製油所の爆発がこれで終わりではない。氷山の一角に過ぎない」。
ロシアの前線の背後で何が起きているのか、具体的で検証可能な情報がないため、攻撃で何が使われたのか、現地で運用されている小型武装ドローンから、シャーマン大隊に見られる特殊作戦の破壊工作、ウクライナが独自の弾道ミサイルシステムを密かに配備した可能性まで、憶測が飛び交っている。ウクライナ軍、あるいはウクライナに忠誠を誓う者たちは、このすべてが始まる前に、クリミアで黒海艦隊司令部への攻撃で小型無人機を使用し注目された。当時、我々はこれは来るものの前触れに過ぎないと言っていた。
ウクライナは、市販の長距離精密ドローンによる攻撃能力も保有しており、ベルゴロド攻撃などの実行手段である可能性もある。ロシア国内の攻撃に使われたことがある。弾薬庫は理想的なターゲットだろう。
進撃が止まり、人員や装備の損失が拡大し、戦線の背後で攻撃を受け続けるロシアに不満が募る中、8月24日のウクライナ独立記念日を控え、大規模報復が行われる可能性がでてきた。同時に、ウクライナが、ロシア国内に戦闘被害を生じさせる試みを止める可能性は非常に低い。■
Russia Increasingly Feeling Sting Of War Behind The Lines | The Drive
BYHOWARD ALTMANAUG 18, 2022 10:17 PM
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