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中国経済が不動産バブル崩壊に怯える中、中国の軍事力整備にこれからどんな影響が出るのか

  

2014年1月、中国・西安で取り壊される違法建築の建物

 January 2014

Rooney Chen / Reuters

 

北京の負債が満期を迎える

中国経済を脅かす不動産バブル崩壊

 

国の不動産セクターが揺らいでいる。中国最大の民間デベロッパーが外債をデフォルト(債務不履行)した。ほとんどのデベロッパーは、国内債券の借り換えに苦戦している。住宅価格は過去11カ月間、下落し続けている。新規建設は45%減少した。最も深刻なストレスは、未建設マンションのプレセールで多額の資金を調達したデベロッパーにさかのぼる。しかし、住宅の完成を保証する準備金の積み立てに失敗したところもあり、住宅購入で住宅ローンを組んだ世帯は支払いを止めると脅している。

中国の不動産危機は、金融リスクもあるが、結局は経済成長の危機である。新規不動産の開発・建設は、現在の中国の経済活動で4分の1以上を牽引していると言われており、不動産市場の一時的な低迷が、経済の長期的な低迷につながることは想像に難くない。

中国で国家が支援する金融システムは、大きな損失を出すことができるので、金融崩壊は回避できる。ある国家支援機関が別の国家支援機関に資金を投入することで、破綻した不動産会社向け融資で損失が発生しても、債権者が破綻し債務不履行の連鎖が起こる事態を抑えることができる。中国政府は、国策銀行を通じ資金援助を行い、民間開発業者が放棄した建築プロジェクトを完成させるよう、国策開発業者に依頼できる。政府による介入は経済運営で最適な方法ではないが、資金力のある機関が存在することで、不動産市場向け融資がすべてストップする不安定な事態は避けられる。

その結果、中国は2008年の米国の大不況並の危機を迎えることはないだろう。しかし、だからといって中国経済が安心できるわけではない。中国がこれまでのように輸出を増やすことで経済成長を促進しようとすれば、COVID-19の大流行やロシアのウクライナ侵攻などのショックから立ち直れていない世界各国にも深刻な影響を与える。

キリギリスじゃない、アリだ

金融機関は、中国の不動産開発業者やマンション購入希望者、公共インフラを整備する地方政府などに巨額融資を行ってきた。中国の大手政策銀行は、一帯一路構想の一環として世界各地で建設プロジェクトに融資を行っている。中国の金融システムは、過去20年間平均でGDPの約45%という非常に高い国内貯蓄率のおかげで、海外から多額の借金をせず、融資を行うことができた。これに対し、ほとんどの主要国ではGDPの約25%を貯蓄しており、パンデミック以前は、中国以外の貯蓄率の高いアジア諸国でも、概ねGDP比30%を貯蓄していた。中国と同レベルの貯蓄を行っているのは石油輸出国だけで、しかも石油価格が予想外に上昇した後の短期間だけである。

貯蓄はしばしば美徳とされ、多額の対外債務がないため、中国は現在の不動産不況を管理する選択肢が増えている。対外信用、特に銀行に対する対外信用は、市場が悪化するとすぐに引き揚げられることが多い。これに対し、国内調達の資金は、一般的に中国国内に滞留する。

しかし、過剰貯蓄は、事実上国内債務の増加を必要とする経済環境を助長し、現在の中国の財政難を生み出した。なぜなら、貯蓄が多いことの対極が国内消費の低さだかrだ。その結果、過去20年間の中国の急成長は、輸出というバラストか、定期的な投資というバラストに依存してきた。

2008年の米国大不況に匹敵する危機は、中国には訪れないと思われる。

2008年の世界金融危機以前は、中国国内の債務残高の対GDP比は安定していた。これは、中国が金融セクターを抑制し、輸出の驚異的な成長によって経済と産業の発展を推進できたからである。輸出主導の経済成長は、中国国内の債務リスクを最小化したが、その他世界経済にとっては不安定なものであった。欧米では製造業を中心に雇用が失われ、米国では大幅な対外赤字による需要減退を家計の借り入れ増加で乗り切ったが、これは世界的に不安定なものとなった。2008年の景気後退の要因のひとつとなったのである。

世界金融危機後、中国は貿易黒字を縮小させながら高成長を維持し、不動産やインフラへの異常な投資を行った。このような高額の投資を行うには、国内の借入金も増やす必要があった。世界金融危機後の10年間で、中国の国内債務残高の対GDP比は150%前後から250%をはるかに超える水準へ上昇した。要するに、家計、地方政府、不動産開発業者、国営企業の負債が、いずれも所得を上回るスピードで増加したのである。これは危険な動きだ。

しかし、中国の中央政府の債務は安定しており、GDPの20%未満と、世界の主要国の中でも低い水準にある。中国の中央政府が中国経済において大きな役割を担っていることは間違いないが、それは中国の主要大手銀行と投資ファンド多数をバックアップしているからだ。中国政府は巨額の税金を徴収しているわけでもなく、社会保障に多く支出をしているわけでもない。失業保険制度もなく、質の高い国民皆保険制度もなく、農村部からより豊かな沿岸部の都市に移り住んだ中国人労働者が利用できる公共サービスも限られている。

その結果、財政的な強みと弱みが異様に混在している。北京の中央政府は、中国で最も収益性の高い企業数社を所有し、中国の金融システムの中で最も健全な部分、すなわち大手国営銀行を支援している。中央政府は直接的にはほとんど負債を抱えていない。しかし、地方政府は多額の負債を抱え、収入基盤も脆弱である。また、地方のインフラプロジェクトに融資するため設立された多くの国営企業の間接的な責任者でもあり、地方資本の弱い銀行の多くをバックアップしている。

中国の中央政府は、不動産バブルの損失をすべて補填することは望んでいない。

一方、大手不動産開発会社は、途方もない負債を抱えている。最大の民間不動産開発会社恒大集団エバーグランデの市場借入金は約1000億ドルである。約束したマンションや未払いの請求書をすべて数えると、同社の借金は推定3000億ドルにもなる。同業他社のバランスシートはこれより少し小さい程度だ。中国の負債総額は、中国ほど貯蓄性の高い経済にとっては問題ではない。本当の問題は、経済の誤った部分が負債の大半を抱え、返済が困難になることだ。

しかし、中国は不動産不況がもたらす当面の金融リスクを管理しそうだ。一部の弱小不動産開発会社は、期限内に全額を支払えないかもしれない。しかし、中央政府には、大手不動産開発会社に融資している重要な機関を保護する能力がある。北京はまた、地方銀行を救済し、地元の重要企業を支援する必要を迫られる地方政府を支援することもできる。

しかし、中国の中央政府は、すべての損失をカバーすることを望んでいない。過剰支援は、最も経営状態の悪い不動産開発業者に融資した業者の教訓を生かせず、新たな危険な行動を引き起こす可能性があるからだ。同時に大手不動産開発会社を同時に破綻させるわけにはいかない。また、過去の投資プロジェクトで損失が発生し、新規のインフラ融資がストップすることも許されない。未払い請求、建築プロジェクトの停滞で中国経済が機能不全に陥るからだ。都市部の失業者や未完成物件の購入者の怒りが、社会と政治の安定を脅かす。開発業者の債務再編は避けられないが、再編は、金融システムが関連損失を負担し、経済への信用の流れが完全に停止しないようにする措置と組み合わすべきだ。

新しいモデル

金融危機を回避することに加え、中国政府は不動産セクターに代わる新しい成長エンジンを見つける必要がある。具体的には、家計消費に活力を与える必要がある。COVID-19のロックダウンの影響を受け、不動産価格の下落は、経済全体が消費者需要を必要としているときに、家計が支出を控えるようになる可能性がある。

つまり、中国は家計に直接支援を行うという新しい景気刺激策に移行する必要がある。中国の消費低迷は、限られた社会保障、高い所得格差、消費税と給与税が税収の大半を占める税制による低所得世帯の負担がもたらす不安の反映である。長期的には、社会保険制度の強化、特に公衆衛生への支出増と失業保険制度の充実が必要であり、財源は中央政府が徴収する累進所得税の引き上げによってまかなう。

短期的には、地方政府の歳入を増やすことで、社会サービスや所得支援のための既存のシステムを強化する必要がある。中国はこれまで、財政負担を地方政府に転嫁することで、中央政府の借入金を抑えてきた。しかし、このやり方では国の財政が不安定になりかねない。地方政府の収入は不動産不況の影響を受け、不動産開発業者への土地売却に大きく依存しているため、予算が圧迫されている。家計消費と国策投資による経済の健全化には、中央政府予算の増額が必要である。

しかし、中国は既存モデルからの脱却に消極的である。家計消費への直接的な支援は非生産的であるというのが中国トップの考えであり、財務省は中央政府の財政赤字を大きくすることに一貫して抵抗してきた。最近の中国政府発表によると、インフラへの国内投資を増やし、輸入品に代わり国産技術を導入することで、成長を再開させたいようである。しかし、国内消費の拡大という安定した基盤なしに中国経済を動かし続ければ、時間の経過とともに不安定さが増えるばかりであろう。

グローバル経済への影響

中国の貿易パートナーは、中国内部の議論の結果に大きく関心を寄せている。世界経済の大部分にとって、中国の成長方針は、成長速度と同じくらい重要である。中国は、2019年に武漢で発生したCOVID-19からの回復を、家計消費の回復ではなく、輸出に求めた。世界の需要がモノにシフトし、あらゆるところで物価上昇圧力がかかる中、世界各国は中国からの供給増を(常に温かく迎えるわけではないにせよ)容認してきた。中国の貿易黒字は、COVID-19関連の混乱が世界的にも中国国内でも緩和されるにつれて、自然に減少すると予想されていた。

しかし、そうならなかった。それどころか、最新の貿易データでは、中国の輸入の弱さを背景に中国の対外黒字が増加している。夏の間、世界経済が供給量減少に適応しようと必死になっているときに、中国の景気減速によって商品需要が減少したことは、世界経済には幸運だった。しかし、だからといって、中国経済が大量に生産できる工業製品の需要を生み出す中国自身の能力が持続的に不足している状況を、世界経済が補えるわけではない。

2009年、中国経済が輸出から国内不動産投資へ軸足を移し、米国の住宅危機による世界的な影響を軽減できたのは、中国の金融システムが十分な強度を備えていたからである。また、中国にはより多くの住宅と近代的なインフラが必要だった。世界金融危機以降、中国の世界経済に占める割合が約3倍になっていることもあり、今日、中国は大きな混乱なしに不動産から輸出に大きく舵を切ることはできない。不動産でて失われた国内活動を、中国製品への世界需要対応で補う必要があるが、規模はあまりにも大きく、中国の貿易相手国自体も、自国の債務問題に悩まされている。

中国は、家計需要を維持・強化する措置を講じ、不動産投資に過剰依存してきた産業部門が消費者の内需に対応できる新しい方法を見出すことで、不動産投資の永続的な減少に対処できる。とりわけ、中国政府関係者がこの難しい事実を受け入れる必要がある。内部債務の増加と異常に高い投資額の時期の終わりは、中国の歴史的な急成長が過去の物語になる可能性が高いことを意味する。■

Beijing’s Debts Come Due: How a Burst Real-Estate Bubble Threatens China's Economy

By Brad Setser

August 30, 2022


コメント

  1. ぼたんのちから2022年8月31日 7:29

    CCP中国は、20年を越える経済の高度成長幻想の終焉を迎え、GDPと軍事力で米国を凌駕し、世界覇権を我が物とする妄想の結末に向かっているように見える。習の3期目は、夢見る、毛を越える中華世界帝国の指導者の椅子でなく、経済・社会の破綻を弥縫し、CCP独裁の崩壊に直面することになりそうだ。
    CCP中国は、GDPを増やすためにあらゆる手段を駆使してきた。水増しはもとより、貿易補助金、過剰な生産手段、技術の窃取、そして何よりも固定資産投資であり、その過半が、人口の二倍以上建設したと言われる不動産である。中国経済の実力は、見かけのGDPを見るよりも、増えないと言われ続けてきた消費から予測した方が良さそうだ。そうなるとGDPは、2/3以下が相応しい。
    軍事増強も、粗製濫造の言葉がピッタリのように見え、ミサイルの高価な標的を大量生産しているように思える。数が多いだけでは、軍事力増強にならない。
    バブル崩壊に一直線に邁進する不動産業界は、かつて毛が行った悲惨な「大躍進」政策を髣髴とさせる。「大躍進」は、英国の鉄鋼生産量を越えたと自画自賛し、今回の不動産バブルは、米国のGDPを越えようとするものだ。しかし、この夢は儚く消え、萎んでしまうことになりそうだ。
    経済破綻に直面するであろう習に残された選択肢は多くなく、結局、暴力的に社会を抑えるしか手立てが無くなると推定する。この状況は、中華民族主義も煽ることになるが、閉塞性を打開するため、国外にその暴力的な手を伸ばすこともあり、注意を要することになりそうだ。

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