ブームを機体の下にぶら下げたまま着陸したKC-46はニューハンプシャー州議会のスタッフを乗せていた
KC-46Aペガサスが本日午後、給油ブームに問題が発生し、機体下にぶら下げた状態で緊急着陸を迫られた。着陸は、パイロットと乗組員を除き16人(議会代表団を受け入れていた)が乗った状態で行われ、ブームは展開したままだった。その後に公開された事故の対応映像には、タンカーが着陸する際にブームが滑走路をこする様子が映っている。幸い、この事故で誰も怪我をしなかった。
問題のKC-46Aは、ニューハンプシャー州ピーズ州軍航空基地の第157給油航空団の所属だった。同タンカーは、「オリエンテーションフライト」と呼ぶ、空軍と飛行能力の見識を得るため、民間人が空軍機で飛行する機会に参加し、別のKC-46Aと一緒に飛行していたと伝えられている。
「2機のKC-46ジェット機のオリエンテーションフライトは、連邦上院議員ジーン・シャヒーンとマギー・ハッサン、下院議員アニー・カスターとクリス・パパスの事務所から合計16名のスタッフからなる議会代表団を乗せ行われた」と157給油航空団は声明で述べた、「飛行中、KC-46の1機が給油ブーム巻き上げケーブルに問題を起こし、ブームを伸ばしたまま着陸を迫られた。第305航空機動隊の救急隊が駆けつけ、現場を安全に確保しましたが、火災や乗員・乗客の負傷はありませんでした」。
第305空中機動航空団は、ニュージャージー州のマクガイア・ディックス・レイクハースト統合基地を拠点に活動している。公式声明では、ブームの巻き上げケーブルの問題の影響を受けたKC-46Aは同地に着陸するべく方向転換し、オリエンテーション飛行の別のKC-46Aはその後ニューハンプシャー州のマンチェスター-ボストン地域空港に方向転換したと説明がある。同じく第157飛行隊所属の3機目のKC-46Aは、緊急事態が宣言されたとき、たまたまフロリダから向かう途中で、合同基地マクガイア・ディックス・レイクハーストにダイバートし、議員団をニューハンプシャーに送り返した。全機が無事に着陸した。
給油ブームの巻き上げケーブルに不具合が生じたKC-46Aは、最近、新塗装が施され話題となった「スピリット・オブ・ポーツマス」で、第157飛行隊の全12機のKC-46Aのうち、今年7月の米空軍75周年とニューハンプシャー州ポーツマス市創立400周年を記念して愛国的な新装備を施された。
大胆にペイントされたスピリット・オブ・ポーツマスがブームを格納できず不時着したことは、議会代表団を乗せたフライトとして残念なことだが、この問題は、KC-46タンカーを悩ますトラブルリストに加わった。
スピリット・オブ・ポーツマスと名付けられ、カラフルな新塗装で飾られたKC-46Aペガサスが、2022年7月1日、ニューハンプシャー州のピーズ航空国家警備隊基地に着陸した。Credit: Staff Sgt. Victoria Nelson/U.S. Air National Guard
「これらは非常にまれな出来事で、5年に1度あるかないかです。このような故障の前例について尋ねられたとき、ベテランC-135パイロットで航空宇宙作家、歴史家、そして時にはWar Zoneの寄稿者でもあるロバート・ホプキンスは、「ドローグではもう少し多い」と語った。
このような事故はまれなことではあるが、聞いたことがないわけではない。ブームを伸ばしたまま着陸するEC-135。出典:ロバート・ホプキンス氏提供
第157空中給油航空団が発表した声明では、この件に関し調査が開始されたかどうかについて言及がないため、空軍がこの件を一過性の問題として扱うのか、それともKC-46全機に影響を与える可能だ。ブームの損傷は相当なものと思われるので、いずれにせよ調査が必要なはずだ。KC-46では他の問題もあり、完全な運用状態になるのは早くても数年先なので、システム的な問題でないことを祈るばかりだ。■
KC-46 Tanker Made Emergency Landing With Its Boom Deployed
BYEMMA HELFRICHAUG 24, 2022 7:33 PM
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