日本のF-15J「スーパーインターセプター」戦闘機が中国に伝えるメッセージ(19fortyfive)
アイザック・サイツ
要点と概要
– 日本のF-15Jイーグルは、米国F-15Cのライセンス生産機で、1980年代初頭から航空自衛隊で防空の中核を担い、中国やロシアの航空機に数千回の緊急発進を行ってきた。
– 三菱重工がライセンス生産したF-15Jは、イーグルの速度・航続距離・搭載能力を継承し、J-MSIP(日本型戦闘機近代化計画)を経て、現在はF-15JSI「日本スーパーインターセプター」計画で近代化されている。
– 新しい AESA レーダー、EPAWSS 電子戦システム、アップグレードされたミッションコンピュータ、JASSM-ER 巡航ミサイルにより、一部の F-15J は長距離攻撃および制空権確保のプラットフォームへと変貌し、2040 年代まで日本の F-35 および将来の第六世代戦闘機を補完する存在となる。
F-15J は日本の空軍で伝説的な存在になっている
F-15J は、日本がライセンス供与を受けたマクドネル・ダグラス F-15 イーグルの派生型である。
機体は基本型のF-15と同一であったが、米国は安全保障上の懸念から、ライセンス契約でエンジンと一部の航空電子機器を供与せず、日本が自国の特定のニーズに合わせて航空機をカスタマイズすることを許した。
その結果、基本特性を維持しつつ、日本特有の戦略的要件も満たす、改良型のF-15 が誕生した。
設計と開発
1970年代、日本は主にF-104スターファイターとF-4WJファントムIIで構成される空軍を維持していた。これらの航空機は十分にその役割を果たしていたが、老朽化が進み、日本空軍には新しい戦闘機が必要であることが明らかになった。
数多くの候補機を評価した結果、防衛庁はF-15C/Dイーグルを、その卓越した制空任務性能を理由に選定した。
1978年、三菱重工業が主要契約業者に選ばれ、1981年に最初のF-15Jが就役した。当初、生産は米国製と日本組立の機体が混在し、三菱が本格的なライセンス生産を引き継ぐ前に、マクドネル・ダグラスがセントルイスで数機を製造した。プログラム終了までに、日本は 203 機の単座型 F-15J と 20 機の複座型 F-15DJ を導入し、米国以外では最大のイーグル運用国となった。
F-15Jは、双発エンジン、後退翼、サイドマウントの吸気口など、F-15C の空力特性と構造的特性を継承している。全長は19.4メートル、翼幅は13.1メートル、全高は5.6メートルである。
空虚重量は約12,700キログラムで、最大離陸重量は30,800キログラムに迫る。動力は2基のプラット・アンド・ホイットニー社製F100-PW-220Eターボファンエンジンで、IHIがライセンス生産している。各エンジンは通常推力で17,450ポンド、アフターバーナー使用時は25,000ポンドの推力を発生する。
これにより最大速度マッハ2.5、実用上昇限度19,000メートル、航続距離約4,600キロメートルを実現している。武装はM61A1 20mmバルカン機関砲1門と、AIM-7スパロー、AIM-9サイドワインダー、後期型ではAIM-120 AMRAAMなどの空対空ミサイル用ハードポイント最大10基を備える。アビオニクスは当初米国F-15Cと同様だったが、高度な電子戦装備や核兵器搭載能力といった機密システムは省略された。
日本専用の制空戦闘機
1981年の配備以来、F-15Jは航空自衛隊の主力制空戦闘機である。主な任務は領空防衛で、日本の領空に接近または侵犯する外国機の迅速な迎撃を含む。2016年だけでも、F-15Jは1,100回以上出動しており、主に中国とロシアの領空侵犯への対応であった。同機は那覇、小松、千歳などの主要基地を拠点とし、日本の広大な防空識別圏をカバーしている。
また、米国軍や同盟国との合同演習にも参加し、日本の安全保障上の連携を強化している。2025年には「アトランティック・イーグルス」作戦でF-15Jが欧州へ史上初の展開を果たし、日本の遠征能力の向上とNATOとの戦略的連携を示した。
F-15Jには複数の派生型が存在する。標準型F-15Jは単座の制空戦闘機であり、F-15DJは複座の戦闘訓練機でありながら戦闘能力も有する。近代化改修によりF-15J改やF-15J MSIP(多段階改良計画)といった改良型が誕生し、航空電子機器やレーダーシステムの性能向上を実現した。
最新の改良基準であるF-15JSI(日本スーパーインターセプター)は、先進的なレーダー、電子戦システム、長距離攻撃能力を統合している。
アップグレードと将来展望
長年にわたり、F-15Jは現代戦に対応するため数回にわたり近代化改修を受けてきた。1980年代後半に開始されたJ-MSIP計画では、進化する脅威に対応すべくエイビオニクス、レーダー、電子戦システムが更新された。さらに近年では、2020年にF-15JSI計画が開始され、68機のF-15Jを改修するため約45億ドルが投入された。
これらの強化には、優れた探知・追跡能力を持つAN/APG-82(V)1 AESAレーダー、高度な電子戦能力を備えたEPAWSS(イーグル受動警報生存性システム)、そして高速データ処理を実現する先進ミッションコンピュータ(ADCP II)が含まれる。
AGM-158B JASSM-ER巡航ミサイルの統合により、F-15Jは日本の防空戦略でこれまで欠けていた長距離攻撃能力を獲得した。これらの改修によりF-15JSIは米空軍のF-15EXイーグルIIと同等の能力を備え、相互運用性を確保するとともに、少なくとも2040年まで運用寿命を延長する。
F-35A/BライトニングIIのような第5世代戦闘機が配備される中でも、F-15Jは日本の防衛戦略において依然として不可欠な存在である。
ステルス機が敵防空網の突破に優れる一方、F-15Jは比類のない搭載量と航続距離を有し、ステルス機と連携した制空権確保やミサイル運搬任務に最適である。
F-15Jを退役させず近代化する日本の決断は、財政的慎重さと戦略的必要性の両方を反映している。改良型F-15JはF-35や現在開発中の次世代戦闘機と相互補完し、中国・北朝鮮・ロシアの脅威に対抗可能な多層防衛網を形成する。
日本はF-15JSIの改修を2030年までに完了し、強力な多用途プラットフォームへ変貌させる。
先進センサー、電子戦装備、スタンドオフ兵器との統合により、日本は自国周辺を越えた領域への軍事力投射が可能となり、インド太平洋地域における抑止力を強化する。
さらに多国籍演習や展開への参加は、積極的な安全保障姿勢への転換を示している。■
著者について:アイザック・サイツ
アイザック・サイツは防衛コラムニストであり、パトリック・ヘンリー大学の戦略情報・国家安全保障プログラムを卒業した。ミドルベリー語学学校でロシア語を学び、民間企業で情報分析官として勤務した経験を持つ。
Japan’s F-15J ‘Super Interceptor’ Fighter Has a Message for China’s Big Air Force
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