ニュークリアエナジーナウ – 中国が小型モジュール炉(SMR)の稼働開始へ
2025年12月19日
著者:エミリー・デイ
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米=スロバキア原子力協定で米国製原子炉を導入へ
トランプ大統領は、2026年半ばにスロバキアのロベルト・フィコ首相を米国に招待し、この秋に承認された協定に署名する予定だ。この協定は、ウェスチングハウス社が約110億~130億ドルの新規原子力発電所プロジェクトに参加する道を開く可能性がある。スロバキアは以前、計画中の 1,200 メガワット (MW) ユニットの優先パートナーとしてウェスチングハウスを選んでいた。これはスロバキアにとって最大の投資となり、これまでロシアの技術と燃料に依存してきた原子力分野にとって大きな転換となる。米国とスロバキアの合意は、2027年までに実現可能性調査と最終契約が予定され、最初の前進となるだろう。
スロバキアは現在原子炉を5基稼働させており、欧州連合(EU)加盟国の中で原子力エナジーの割合が2番目に高い。2026年には6基目が稼働開始予定で、同国のエナジーミックスにおける原子力の貢献度はさらに高まる見込みだ。高い原子力発電比率にもかかわらず、スロバキアは欧州や米国のロシアからのエナジー依存度削減圧力に抵抗する数少ないEU加盟国の一つであった。ロシアからの供給を断つにはコストがかかりすぎると主張してきたのだ。しかし、今回の合意が最終化されれば、ロシア依存度を低減する措置が取られ、逆に米国の欧における原子力分野での足場が拡大する。これは、ハンガリーなどの地域パートナーとの原子力協力を深化させる最近の米国の取り組みを反映している。
中国の小型モジュール炉が初稼働へ
中国国家核工業集団公司(CNNC)によると、中国初の小型モジュール炉(SMR)「玲龍一号」 Linglong One(ACP100)は2026年前半に商業運転を開始する見込みだ。海南省に設置されたこの原子炉は、2016年に国際原子力機関(IAEA)が承認した初のSMRであり、2021年に建設が開始され、冷間機能試験が今年10月に完了した。中国当局者は、SMRが島嶼部など送電網が脆弱な地域の電力需要を満たすために使用され、この設計には強い輸出可能性があると述べている。スケジュール通り進めば、中国はSMRの商業運転を開始する世界初の国となる。SMRプロジェクトではまだ初期段階にある米国より中国が数年先行する形となる。
韓国が浮体式SMRプラットフォームの認証を取得
韓国のサムスン重工業は、浮体式原子力発電プラットフォームについて米国船級協会(ABS)から原則承認(Approval in Principle)を取得した。このプラットフォームにはSMART100小型モジュール炉(SMR)が2基搭載され、各炉は最大110メガワットを発電できる。ユニットの設計寿命は60年で、3年ごとに燃料交換が必要だ。この過程で、サムスンは原子炉の設計と統合を主導し、韓国原子力研究所は海上使用を可能にするため原子炉設計を改良した。今回の承認はSMART100設計を用いたプラットフォームに限定されるが、将来的には他の小型モジュール炉技術への適応も可能であり、輸出需要の拡大が見込まれる。■
著者について:エミリー・デイ
エミリー・デイは、地政学、原子力エナジー、グローバルセキュリティを専門とする経験豊富な研究者、ライター、編集者である。ナショナル・インタレスト誌の「エナジー・ワールド」および「テックランド」の副編集長を務め、ロングビュー・グローバル・アドバイザーズでは上級研究員として、公益事業、リスク、持続可能性、技術に特化したグローバルな政治・経済動向に関する知見を提供している。以前はグローバル・セキュリティ・パートナーシップのデラ・ラッタ・エナジー・グローバルセキュリティ研究員を務めた。
画像提供:hrui/shutterstock
Nuclear Energy Now – China Is Set to Launch Its First SMR
December 19, 2025
By: Emily Day
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