2025年12月15日月曜日

ドローン対抗手段として攻撃ヘリの意義が見直されるか―米陸軍はAH-64でドローン撃墜能力を実証したが(TWZ)

 米陸軍AH-64Eアパッチの対ドローン能力が急速に成熟中(TWZ)

「フライスワッター作戦」でアパッチは交戦14回でドローン13機を撃墜して対UAS能力が進化を示した

トーマス・ニューディック

公開日 2025年11月30日 午後2時59分 EST

U.S. M1A2 Abrams assigned to 3rd Battalion, 8th Cavalry Regiment, 3rd Armored Brigade Combat Team, 1st Cavalry Division, Task Force Iron, maneuver to get on line with the Apache helicopters assigned to 1st Battalion, 501st Aviation Regiment, Combat Aviation Brigade, 1st Armored Division, Task Force Iron, during Iron Defender-25 at Orzysz Training Area in Orzysz, Poland, Sept. 17, 2025. The Apache helicopters provided cover fire while the Abrams advanced. The purpose of large scale training events like Iron Defender-25 is to prove the Polish Armed Forces and their NATO allies’ ability to deter and effectively defend the territory of Poland. (U.S. Army National Guard photo by Pfc. Andre Gremillion Jr.)

アンドレ・グレミヨン二等兵

陸軍のAH-64アパッチ攻撃ヘリコプターは、敵の空中ドローンを検知・破壊する能力を継続的に拡大している。最近の実弾射撃試験で、AH-64E型ヘリコプターが最新のバージョン6(V6)ソフトウェアパッケージを使用し、ドローン狩猟能力をさらに強化した。

実弾射撃演習「フライスワッター作戦」はノースカロライナ州ニューリバー海兵隊航空基地で実施され、サウスカロライナ州陸軍州兵(SCARNG)が配備する現行V6仕様のAH-64Eが参加した。陸軍、州兵、海兵隊、海軍、産業界のパートナーも、アパッチプロジェクト管理室(PM Apache)が統括する取り組みの下で参加した。


ノースカロライナ州ニューリバー海兵隊航空基地における「フライスワッター作戦」中の米陸軍AH-64Eアパッチ攻撃ヘリコプター正面図。写真提供:サウスカロライナ州陸軍州兵/マシュー・ライアン

フライスワッター作戦では、AH-64Eは無人航空機システム(UAS)の探知・追跡を任務とし、レーザー誘導ミサイル、レーザー誘導ロケット、およびアパッチの30mm機関砲を組み合わせて撃破した。

この訓練では、V6ソフトウェアと武器パッケージがドローン脅威に対し有用であることを実証した。任務はサウスカロライナ州兵航空要員のみが遂行し、様々な探知・交戦シナリオが展開された。

「14回の交戦中13回の撃墜に成功し、現行のソフトウェアとシステムを備えたアパッチがドローン脅威に対する致死的で適応性の高い解決策であることを証明した」と、アパッチ新装備訓練チーム責任者のダニエル・ヨーク上級准尉は説明した。

ヨークはさらに「アパッチは多様な兵装で小型・大型ドローン双方に対処可能であり、その作戦上の柔軟性と戦闘的意義を裏付けている」と付け加えた。


「フライスワッター作戦」におけるロケット装備のAH-64Eアパッチ攻撃ヘリコプター。写真提供:サウスカロライナ州陸軍州兵/マシュー・ライアン

演習では、アパッチのセンサーと兵器が連携し、強力な対UASプラットフォームを形成する様子が示された。これは、特に片道攻撃兵器や「特攻ドローン」による脅威が拡散する現状において時宜を得ている。

AH-64Eは標準装備の電光/赤外線センサーとAN/APG-78ロングボウマスト搭載レーダーシステムを用いてドローンを検知したと、州標準化パイロットのジョエル・グーチ中尉は説明した。

「リンク16統合により、地上システムだけではカバーできない隙間を埋める真の機動防空プラットフォームとして運用可能であることを実証した」とグーチ中尉は述べた。リンク16システムで、センサーから発射までのタイムラインを短縮できる。標的データはアパッチ搭乗員と共有され、レーダー誘導に活用される。編隊内のAH-64間で標的情報を共有することも可能だ。1機だけのデータを編隊全体で活用できる。全体として、アパッチの高度なネットワーク化は、戦域における指揮拠点や他プラットフォームとの状況認識能力と接続性を高め、これらは全てドローン防御任務において非常に有用だ。

標的ドローンが発見されると、アパッチ攻撃ヘリは搭載するほぼ全種類の兵器を用いて攻撃した。

ミサイルに関しては、射撃管制レーダーで誘導されるAGM-179ジョイント・エア・トゥ・グラウンド・ミサイル(JAGM)、ならびに無線周波数版と準能動版のAGM-114ヘルファイアミサイル(それぞれレーダーとレーザーによる目標指示を使用)で構成されていた。

使用されたロケットは、アドバンスト・プレシジョン・キル・ウェポン・システムズ(APKWS)誘導キットを装着したハイドラ-70であった。APKWSは標準的な70mmハイドラロケットにレーザー誘導制御部を追加したものである。対ドローン仕様には近接信管システムと適切な弾頭が組み込まれている。陸軍は4機のUASのうち3機がレーザー誘導式APKWSロケットで撃墜されたのを確認し、「バディ・レーザー戦術が特に有効であった」と評価している。これは戦闘機によるAPKWSドローン交戦においても同様である。

本誌は繰り返し、対UAS兵器としてのAPKWSの可能性を検討してきた。特にアパッチの兵装体系において、1発あたり約25,000~30,000ドルというコスト(AGM-114は約215,000ドル)は極めて魅力的だ。レーダー誘導型AGM-114Lモデルはさらに高価だ。現時点ではレーザー誘導のAPKWSは一度に1機のドローンしか攻撃できないが、新型デュアルモード誘導パッケージの追加計画がある。赤外線シーカーを搭載すれば打ちっぱなし能力が得られる。これにより交戦時間が短縮され、大量迎撃時に極めて重要となる。

一方、米空軍の戦闘機は中東でイランのドローンやミサイル攻撃に対処するため、繰り返しAPKWSロケットを使用している。特に今年初めにイスラエルが攻撃を受けた際、ロケット装備の戦闘機は非常に積極的に関与しイスラエル防衛に貢献した。

最後に、アパッチの30mm機関砲はM789高爆発性多用途弾を使用し、328ヤード(約292メートル)未満の距離で撃墜に用いられた。AH-64の銃でドローンを精密に狙撃するには、接近距離の確保が困難で危険を伴う。これは飛行力学上の問題と、ドローンが強力な爆風破片弾頭を搭載している可能性の両面から言える。

また「フライスワッター作戦」では、センサーや兵器に加え、悪天候下・低高度でのアパッチの戦闘能力も実証された。これはロングボウレーダーに支えられた。同レーダーは天候に関係なく、低空飛行ドローンを含む特定航空目標の探知・追跡が可能だ。

グーチは続けた。「本演習の教訓は陸軍航空部隊全体の新たな戦術・技術・手順(TTP)を推進する。新たな訓練課題が開発中であり、近く要求仕様に組み込まれる。これにより対UAS(無人航空機システム)戦がアパッチ部隊にとって永続的かつ重要な任務群であり続けることが保証される」。

さらに「フライスワッター作戦」の成功を受け、アパッチプログラム管理部は、アパッチ大隊訓練に対UAS任務を追加し、AH-64搭乗員訓練マニュアルを改訂し空中対UAS戦術を盛り込むよう提言している。

フライスワッター作戦は、ドローンに対する防空任務においてアパッチが実証済みの能力をさらに推進する最新の取り組みとなった。

今年初め、本誌はサウジアラビアで行われたレッドサンズ演習を報じた。これはサウジアラビアと中央軍(CENTCOM)が共同で主催した演習であり、対UAS能力に重点が置かれていた。同演習では、AH-64Dがヘルファイアミサイルでドローンを攻撃した。使用されたのはAGM-114Lの派生型とみられ、ミリ波レーダーシーカーを搭載し、ロングボウレーダーによる初期誘導を受ける仕様だ。

レッドサンズ演習中、AH-64が標的ドローンに向けてヘルファイアを発射する瞬間。CENTCOM提供スクリーンキャプチャ

米陸軍がAH-64を用いて低性能の長距離ドローンを撃墜するのは比較的新しい手法だが、イスラエルが長年この目的でアパッチを対空防衛任務に投入している点は注目に値する。イスラエルのAH-64による対UAS作戦には、シリア国境付近でヒズボラドローンを撃墜した事例も含まれる。

イスラエル以外にも、敵対的な空中ドローンを撃墜するためにヘリコプターを増加使用している国々がある。昨年紅海上空でフーシ派ドローンを機関銃射撃で撃墜したフランス海軍ヘリコプターがその例だ。

一方ウクライナでは、Mi-8ヒップヘリコプターがロシア製ドローン、主にシャヘド型長距離ワンウェイ攻撃ドローンの撃墜作戦における主要手段となっている。

対UAS作戦において、ヘリコプターは地上防空システムに比べて決定的な優位性を持つ。戦闘半径内で最も有利な位置へ迅速に再配置可能であり、到達後は対ドローン防護網を展開できる。さらに前線展開(前進する地上部隊との同行を含む)が可能で、接近する脅威へ即座に空中対応できる。地上部隊の護衛や監視任務を遂行しつつ、ドローン防御能力も提供できる点は、その汎用性を示す別の可能性だ。さらに敵ドローンから他の空中ヘリコプターを保護するという選択肢すら存在し、ドローン脅威が進化するにつれ重要性が増す潜在的な応用分野である。

ロングボウ装備型の攻撃ヘリコプター、アパッチは対UAS任務においてさらに有力な候補だ。ネットワーク化された高高度センサー・兵器プラットフォームとして、ロングボウ・アパッチは地上の雑音に紛れた低空・低速飛行の検知が困難な目標を、極めて効果的に捕捉できる。アパッチのレーダーは多数の目標を同時探知・追尾可能であり、限られた時間枠内で襲来する敵ドローンの群れに対し、迅速な交戦を遂行する能力に優れている。

マスト搭載型AN/APG-78ロングボウ射撃管制レーダー。ノースロップ・グラマン

一方、AH-64Eの継続的な進化は、空中ドローン対処能力のさらなる向上を意味する。開発内容には、アパッチが自身のドローン僚機と連携する能力が含まれ、これにより防御範囲の大幅な拡大が可能となるほか、新たな分散型センサーを戦闘に投入できる。

一方で、アパッチはあらゆるヘリコプターに見られる制約に依然として縛られたままだ。最も顕著なのは速度と航続能力だ。前者は特に重要で、大規模なドローン攻撃時に単機のアパッチで対処できるドローンの数を制限する。しかし、対UAS対策の幅広い選択肢の一部として、ヘリコプター、特にアパッチには明確な役割がある。

アパッチの将来開発領域を示す企業図解。Boeing

「フライスワッター作戦」終了後、上級准尉ダニエル・ヨークはこう結論づけた。「本実証でアパッチが重要な戦闘資産としての役割を継続することを裏付けた」。さらに彼は付け加えた。「UAS脅威が増大する中、アパッチ搭乗員は課題に対応し、陸軍航空部隊の最前線に留まり得ることを証明している」。

トーマス・ニュードック

スタッフライター

トーマスは防衛分野のライター兼編集者であり、軍事航空宇宙分野や紛争に関する取材歴は20年以上である。著書は複数あり、編集した書籍はさらに多く、世界の主要航空出版物にも多数寄稿している。2020年に『The War Zone』に参加する前は、『AirForces Monthly』の編集長を務めていた。


U.S. Army AH-64E Apache’s Counter-Drone Capability Rapidly Matures

Apaches scored 13 drone kills out of 14 engagements during Operation Flyswatter, reflecting the AH-64’s evolving counter-UAS capabilities.

Thomas Newdick

Published Nov 30, 2025 2:59 PM EST

https://www.twz.com/air/u-s-army-ah-64e-apaches-counter-drone-capability-rapidly-matures


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