2025年12月19日金曜日

空母ニミッツをこのまま退役させれば米海軍は後悔することになる

 空母USSニミッツ(艦齢60年)を予定通り退役させれば米海軍の失策となる(19fortyfive)―空母11隻体制を護持する米海軍のコミットメントが崩れるが安全保障環境の心配が耐えない中で計画をそのまま実施していいのだろうか

ブレント・M・イーストウッド

US Navy Aircraft Carriers. Nimitz-Class.

ノーフォーク(2019年8月16日)ニミッツ級空母ドワイト・D・アイゼンハワー(CVN 69)(左)とジョン・C・ステニス(CVN 74)がノーフォーク海軍基地に停泊している。空母がノーフォーク海軍基地に寄港するのは日常的な活動だ。


要点と概要

 – 米海軍最古の空母ニミッツは、50年以上の就役期間を経て2026年に退役予定だ。世界的な空母配備需要が高まる中でこれは決定された。

 – フォード級空母「ジョン・F・ケネディ」の就役が最短でも2027年まで遅れるため、中国、ロシア、イラン支援のフーシ派、ヴェネズエラの麻薬ネットワークとの危機的状況下で、空母艦隊は一時的に10隻まで減少しかねない。

 – ブレント・イーストウッド博士は、米海軍の戦力投射が前例のない圧力にさらされている時期に危険な空母不足を回避するため、国防総省はニミッツの供用期間を1~2年でも延長し、高い維持費を受け入れるべきだと主張している。

ニミッツ空母の延命は可能か?

ニミッツの寿命は終わりを告げようとしている。

同空母は最後の巡航任務を終えた後、2026年に退役の予定だ。

同艦は海軍最古の空母であり、50年以上にわたり任務を遂行してきた。

ニミッツはインド太平洋地域とアラビア海における9ヶ月間の展開から帰還する。ブレマートン到着後、ヴァージニア州ノーフォーク海軍基地へ移動し、2026年5月に退役作業を開始する。

ただしブレマートンに空母が配備される状況は終わらない。

新型のUSSジョン・F・ケネディ(ジェラルド・R・フォード級空母)は2027年にワシントン州で就役式典を行う予定だ。

ジョン・F・ケネディは最終的に、ワシントン州に配備されているニミッツ級空母USSロナルド・レーガンに合流する。

整備要件にもかかわらず空母が必要とされる理由

ニミッツは老朽化が進んでいるため、維持費が高く、現役任務を継続するには長期の整備が必要だ。

しかし、空母はこれまで以上に必要とされており、海軍はニミッツの退役決定を再考する必要があるかもしれない。

空母11隻を運用することで、海軍は世界中に軍事力を投射する選択肢を増やせるのだ。

フーシ派テロリストとの戦い

空母は大統領レベルの戦力であり、小規模紛争戦争に対応するため、しばしば紛争地域へ急行をも。

例えば、イランが支援するフーシ派テロリストは、紅海とアデン湾において民間・軍用船舶に様々な問題を引き起こした。

米国は同地域に空母打撃群2個を派遣し、フーシ派がドローンや対艦ミサイルで船舶を沈没させないよう警戒を強めた。

海軍はカリブ海で麻薬戦争を戦っている

現在、USSジェラルド・R・フォードは西半球に戦闘艦隊を率いてヴェネズエラを威嚇している。米国は国土保護を優先事項とし、ヴェネズエラ他の南米諸国から出航する違法麻薬を運ぶ船への攻撃を命じている。

トランプ政権は、沿岸警備隊で容疑者を逮捕するよりも、麻薬密輸船を完全に破壊し、麻薬テロリストを排除する選択をした。

これは、その合法性に疑問があること、そして最近、2発目のミサイルで船を沈め、2人の生存者を殺害した「ダブルタップ」攻撃があったと非難されていることから、民主党員が疑問を呈している戦時体制である。

トランプ政権は麻薬テロリストに対する作戦中に法違反はなかったと主張している。

空母ニミッツと中国を牽制する必要性

中国は明らかに懸念材料だ。中国人民解放軍海軍は既に3隻の空母を就役させており、4隻目は原子力推進となる可能性がある。

米海軍が中国との戦闘で空母を喪失する可能性は十分にある。そうなれば世界に衝撃を与える一撃となり、米国民を震撼させる重大な焦点となるだろう。

ロシアがウクライナへの戦争終結を依然拒否しているため、欧州問題も対処しなければならない。米空母はNATOの訓練を主導すべき戦力だ。同盟国各海軍がロシアを威嚇し、西側諸国への悪意ある行動を抑止できる戦力投射能力を確保するためである。

空母ジョン・F・ケネディは遅延中

しかし米海軍が11隻の現役空母を常時維持すると約束しているにもかかわらず、10隻しか運用できなくなる年が生じる可能性がある。ニミッツが2026年に退役すれば、海軍の空母艦隊は1隻不足する。

ジョン・F・ケネディはさらに2年遅れる可能性があり、就役準備が整うのはその時点となる。ケネディは2027年3月に引き渡される予定だ。

遅延の理由はジェラルド・R・フォードの遅延と類似している。

先進着艦装置と先進兵器エレベーターの改良が必要だ。これらはフォード級で初めて導入されたシステムであり、トランプを含む批判派が海軍の空母問題の根源と指摘している。

こうした事情から、国防総省はニミッツの退役日を2027年に変更し、整備を整えた上で地中海またはインド太平洋への追加巡航に派遣する可能性がある。

2027年を超える耐用年数は見込めないが、ケネディが問題を解決するまでの間、延命措置が必要となるかもしれない。

とはいえ50年という現役期間は長い。最終配備後の整備期間がどれほどか、ニミッツがもう1回の航海をこなせるか不明だ。海軍はニミッツを巡り難しい決断を迫られる。退役させて1年間は空母を10隻体制にするか、それとも現役を維持し最後の切り札として使うかだ。

筆者はニミッツの耐用年数をあと1~2年延長する案を支持する。脅威環境が広範すぎ、2026年に退役させるわけにはいかない。米国が西半球に空母を長期配備し続けるなら(その可能性は高い)、世界の海洋をパトロールする空母が他地域で1隻不足することになる。

ケネディが就役するまで空母を10隻に減らせば、地政学的リスクが大きすぎる。米国の軍事力投射能力と抑止力は危うい状況にあり、ニミッツがあと1回の展開をこなせば、海軍は様々な地域でより広範な監視と統制を維持できる。

ニミッツの退役は先延ばしになる可能性があり、空母戦力が海軍の最も重要な要素だと信じる者たちに追い風となる。■

著者について:ブレント・M・イーストウッド

防衛問題に関する3,000 本以上の記事を執筆しているブレント・M・イーストウッド博士は、著書世界に背を向けないで:保守的な外交政策』および『人間、機械、データ:戦争の未来動向 のほか、さらに 2 冊の著書がある。ブレントは、人工知能を用いて世界情勢を予測するテクノロジー企業の創設者兼最高経営責任者であった。米国上院議員ティム・スコットの立法担当フェローを務め、国防および外交政策問題について上院議員に助言を行った。アメリカン大学、ジョージ・ワシントン大学、ジョージ・メイソン大学で教鞭をとった。ブレントは元米国陸軍歩兵将校である。X @BMEastwoodでフォローできる。


A U.S. Navy Mistake: The USS Nimitz Aircraft Carrier Can’t Be Retired Now

By

Brent M. Eastwood

https://www.19fortyfive.com/2025/12/a-u-s-navy-mistake-the-uss-nimitz-aircraft-carrier-cant-be-retired-now/



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