中露の共同爆撃機パトロール飛行に日韓戦闘機が緊急発進で対応(TWZ)
北京と東京の緊張が高まる中、中露共同航空演習が実施された。
ハワード・アルトマン
2025年12月9日 午後5時39分 EST 公開
(中国政府)
日韓両国は12月9日、両国近くの公海上空を飛行した中露共同爆撃機パトロールに対応し、戦闘機を緊急発進させた。年次二国間演習の一環ではあるが、この飛行は、日本の台湾支援姿勢の強化を巡り日中間の緊張が高まる中で行われた。
ロシアのTu-95ベアターボプロップ爆撃機2機が日本海から南下し東シナ海へ進入したと防衛省が発表した。日本西側と韓国南東側を飛行した後、沖縄沖で中国のH-6爆撃機2機と合流した。
防衛省
「その後、東シナ海から四国沖の太平洋まで長距離の共同飛行を行った」と同省は説明した。
爆撃機が沖縄島と宮古島の間を往復飛行した際、中国のJ-16フランカー多用途戦闘機4機が合流したと防衛省は指摘した。ベア爆撃機はその後、同じルートを北上し日本海へ戻った一方、中国機は中国へ帰還した。
ロシアのTu-95Mベア爆撃機(ターボプロップ機)。(英国王室著作権)
英国王室著作権中国製H-6爆撃機が、2025年9月16日に中国吉林省長春市で開催された2025長春航空ショーに先立ち、飛行リハーサルに参加した様子。(写真提供:Cao Nan/VCG via Getty Images)VCG
防衛省によると、今回の飛行に加え、ロシアのA-50メインステイ早期警戒管制機1機とSu-30フランカー戦闘機2機も日本海上で確認された。
防衛省は「これに対し、航空自衛隊南西航空方面隊などの戦闘機が緊急発進した」と説明したが、戦闘機の飛行経路の詳細は明らかにしていない。
ベリエフA-50U「メインステイ」空中警戒管制機(AWACS)。(写真提供:aviation-images.com/Universal Images Group via Getty Images) aviation-images.com
韓国も戦闘機を緊急発進させた。中国・ロシアの共同飛行が韓国の防空識別圏(KADIZ)に一時的に侵入したためだ。聯合ニュースによると「中国軍機2機とロシア軍機7機が午前10時ごろ相次いでKADIZに進入したため、軍は偶発的な事態に備え空軍の戦闘機を派遣した」と韓国合同参謀本部(JCS)は述べた。
JCSは、中露共同飛行に参加した航空機の種類を特定しなかったが、爆撃機と戦闘機が「約1時間にわたりKADIZに断続的に進入・離脱した後、防空識別圏から完全に撤退した」と説明した。
この海域での中露共同飛行は初めてではない。2019年以降、両国は共同演習中に年1~2回、事前通告なく軍用機をKADIZに侵入させていると聯合ニュースは説明した。
前回は2024年11月、「中露両国から計11機の軍用機が共同でKADIZに侵入した」と聯合ニュースは報じた。
初の共同飛行は2019年6月だった。ロシアのメインステイ機が韓国が領有権を主張する小島群(韓国名:独島)上空の領空を侵犯したため、韓国軍機が一連の警告射撃として20mm機関砲弾約360発を発射した。日本もこれらを自国領土と主張し竹島と呼んでいる。当時、日本もメインステイが日本の領空を侵犯したと抗議した。
今回の共同飛行は10回目となったが、中国と日本が日本の高市早苗首相の発言を巡り激化する対立の真っ只中で発生した。同首相は、中国による台湾へのいかなる攻撃も東京にとって存亡の危機と見なすと発言している。北京は台湾を自国の一部とみなし、平和的か軍事的かいずれの手段で奪還すると明らかにしている。一方、自衛を目的とした日本の軍事力拡大を、脅威の増大と見なしている。
この緊張の高まりは土曜日、沖縄近海で遼寧空母から発進した中国J-15戦闘機が日本のF-15イーグル戦闘機2機にレーダー捕捉したことで顕在化した。双方が事件の発生を認める一方、原因と対応の是非を巡って対立している。
日本は、自国戦闘機が遼寧と護衛艦隊から安全な距離を保って飛行中、標的にされたと主張している。中国は、日本の戦闘機が訓練を妨害したことが事件の発端だと主張している。
問題は火曜日まで持ち越され、中国は空母群と日本の間で交わされたとされる警告通話を公開した。日本は以前、中国が衝突回避ホットラインに応答しなかったと不満を表明していた。
こうした動きは、台湾から約70マイル(約113キロ)に位置する与那国島に日本が兵器を追加配備する計画に対し、中国の懸念が高まる中で起きている。
日本の防衛省は「沖縄県与那国島に航空機通信を妨害可能な電子戦(EW)防空部隊を配備する計画」を発表したと、日経新聞が先週報じた。同紙は具体的なEWシステムの種類について明らかにしていない。
昨年11月、本誌は日本が与那国島に防空システムを設置する意向であると報じた。台湾に近い同島の軍事化が進む兆候と見られる。
これらの飛行は、中国とロシアの軍事協力が強化されている一環だ。昨年、中国のH-6シリーズ航空機2機がロシアのベア爆撃機2機と共に、アラスカ周辺の防空識別圏(ADIZ)を飛行した。これは中国のH-6が同地域で活動した初事例だった。中国の海上艦隊行動も増加傾向にある。
日本と韓国近海での中露共同爆撃機パトロールは常態化し今後も継続される見込みだが、北京と東京の間の緊張の高まりは収まる気配を見せていない。■
ハワード・アルトマン
シニアスタッフライター
ハワードは『ザ・ウォー・ゾーン』のシニアスタッフライターであり、『ミリタリー・タイムズ』の元シニアマネージングエディターである。それ以前は『タンパベイ・タイムズ』のシニアライターとして軍事問題を担当した。ハワードの作品は『ヤフーニュース』『リアルクリアディフェンス』『エアフォース・タイムズ』など様々な媒体に掲載されている。
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