スキップしてメイン コンテンツに移動

ウクライナの次の勝利はケルソンか。ウクライナ戦の最新状況(10月15日現在)

 

Photo by Metin Aktas/Anadolu Agency via Getty Images.


ウクライナ軍は南方攻勢の一環で、ケルソンのロシア軍の遮断をめざしている

 

クライナ軍がケルソン州で再び動き出し、激しい戦闘と様々な段階のパニックがロシアのテレグラムチャンネルで報告されている。

報道によると、ロシア軍を捕捉するため、ドニプロ川西岸で攻勢が続いており、渡河に向け急速に作戦を展開している。

ケルソンのロシア軍陣地は弱体化しており、西側当局者にはケルソンが1週間以内に解放されると考える者さえいる。ウクライナの攻勢が川岸まで続けば、ケルソン市内に入る前に、よく標的になるノヴァ・カホフカ橋とアントニフスキー橋の両方を奪取するか、遮断できる。ロシア軍がケルソンに残る間に両橋を奪取すれば、大規模な包囲網を築くことができる。

ロシア軍は伸び切った前線を維持するか、市街地から川を渡り退却するかの選択を迫られる。包囲される見通しで、ロシア軍事ブロガーやロシア占領当局者をパニックに陥れているようだ。

また、ウクライナ軍が迫っているため、降伏という選択肢もある。ケルソン州でロシア兵が降伏している映像が入ってきた。ウクライナ軍が押し寄せ、急遽動員されたロシア兵が前線に投入される中、緊張したやりとりが一般的になっている。

10月8日のケルチ海峡橋の攻撃以降、ロシア部隊への供給状況は不安定なままだ。悪天候のためフェリー運航が停止し、橋の修理も数カ月かかるというから、事態はすぐに好転しない。

最新情報

戦争研究所による最新の支配地図と、英国国防省の最新情報を伝える。

ロシア軍がベラルーシへ ロシア軍はベラルーシに到着し、モスクワの地域グループの一員の同国に駐留している。MotolkoHelpからの報告によると、ロシア軍はウクライナとの国境付近ではなく、ベラルーシの北部と西部の3つの鉄道駅に到着したようだ。。

しかし、ロシア軍がモスクワのクライアント国家に向かう中、ベラルーシ戦車はロシアに向かっている。ベラルーシのオルシャでこれらの鉄道車両に見られるT-72は、ウクライナの前線で損失が続くロシアの代替に向かうと考えられている。ロシアは機能する装甲車両を求めるている。例えば、数十年前の冷戦時代のT-62戦車数百両を復元し、アップグレードする構想が現在進行中だが、完成するまで何年もかかるという。

こうした動きとは裏腹に、ウクライナのチェルニヒフ市と国境を接する南東部のゴメル市に、ロシア軍が集結しているとの情報もある。ウクライナは、2月にロシアがベラルーシから多方面への侵攻を演出して以来、ベラルーシの正式な参戦を懸念してきた。しかし、いかなる攻撃も、ケルソンで悪化するロシア軍の状況に圧力をかける陽動作戦である可能性がある。

イーロン・マスクが主張を撤回か イーロン・マスクの土曜日のツイートを信じるなら、ウクライナ向けのスターリンク衛星インターネットサービスに関する武勇伝は終わるかもしれない。スペースXが先月、国防総省に、戦争が始まって以来行ってきたウクライナ向けのスターリンク無料サービスは続けられないと書簡を送ったとの報道が出た数日後に、マスクは「もういいや...スターリンクがまだ赤字で他の会社が何十億ドルも税金で得ているのに、ウクライナ政府にただで資金提供を続けるよ」とつぶやいたのである。

衛星インターネットの大失敗は、今月初め、マスクが「平和計画」をツイートし、ウクライナと支援者からただちに批判を浴びたことから始まった。スターリンク故障の報告が加わり、ネットワークのサービスが疑われるようになった。

ドンバスでは塹壕戦? ロシアが得たとされる唯一の成果は、ドンバス地方の都市バフムート付近だ。前線の映像は、数カ月にわたりロシア軍に包囲された塹壕線の黙示録的な光景を映し出している。

数ヶ月(あるいは数年)にわたる攻撃で、人、機械、大地が受けたダメージの大きさは、第一次世界大戦の塹壕戦の恐怖を思い起こさせる。

ルハンスクのロシア軍は、塹壕やコンクリートの戦車トラップなど防御線を構築しており、先月行われたウクライナの機械化の成功が拍車をかけたとみられる。

ロシアの動員は裏目に ロシアの「部分的」な動員は、国内を混乱させたにもかかわらず、人事上の問題や戦場での収穫がほとんどないため、まだ梨の礫のような状態である。ロシアのテレグラムのアカウントによると、動員部隊は、専門に関係なく、手に入る人なら何でも取っている。動員された人々は、戦闘技術を学ぶために、YouTubeを利用していると伝えられている。

ロシア南部では、かなりの数の動員された兵士が、動員証に正しいスタンプが押されていないという理由で入隊を拒否されているようだ。その結果、基地の門前で立ち往生し、森の中で野宿を余儀なくされる徴募兵が大量に発生している。

ところで、ロシアの著名な軍事ブロガー、イゴール・ギルキンは、キーボードをライフル銃に持ち替えたようだ。ロシアのテレグラム・チャンネルは、2014年のロシアのクリミア併合とドンバス分離主義政権の中心人物であるギルキンが、志願兵部隊で戦闘に向かうと主張している。ギルキンの配備が報じられたことで、ウクライナには生きたままの本人捕獲に懸賞金5万ドルをかけるとの声があり、金額は拡大している。

徴兵から最前線に行き、その後ウクライナ軍に死亡または捕虜となるまでの時間は、ロシア軍に動員された者にとっては依然として短い。モスクワ・タイムズ紙は、動員されて2週間で戦死した者を報じている。

ロシア国内で混乱続く 極東のウラジオストク郊外の町で徴兵官が絞首刑に処されるなど、ロシアでは動員をめぐりかなりの動揺が続いている。また、北コーカサスのチェルケスク市では徴兵事務所が焼失した。

また、ベルゴロド州のロシア軍基地で銃撃戦があったという。ロシア国防省は、「CIS諸国から来た」2人の銃撃犯が死亡し、11人の軍人が死亡、さらに15人が負傷したと発表した。犯人や犠牲者が動員されたロシア軍に属していたかどうかは、すぐには判明していない。

ロシアのドローン攻撃に対応するウ空軍 ウクライナ空軍は依然活発で、ウクライナのSu-27フランカーが低空で機動する映像が2本あり、航空戦はまだ争われている。

しかし、ロシアのドローンと滞空弾は、依然としてウクライナを脅かしている。ランセット-2の滞空弾は、未知の携帯型防空システム(MANPADS)による迎撃の試みにもかかわらず、前線のはるか後方で貴重なウクライナ製S-300 SAM発射機のペアに命中した。

ウクライナにとって、無人機の脅威はさらに深刻になる可能性がある。イランが近々、攻撃型無人機「ARASH-2」をロシアに送り込むとの報道がある。無人機というより巡航ミサイルに近いこのタイプは、9月に公開された際、「テルアビブやハイファ」を攻撃するため設計されたとイランは主張していた。また、イランの無人機納入に関して、EUが直ちに制裁することはないだろう。

ロシアが9月にイラン製無人機を採用して以来、ウクライナの防空設備と戦闘機がイラン製無人機を追いかけている。ウクライナ国防省は、10月12日に5機のシャヘド-136ドローンと1組の巡航ミサイルを撃墜してから墜落したとされるVadymという名のMiG-29パイロットの写真をツイートした。

各国のウクライナ支援装備品の動向 ウクライナへの援助として、ドイツの対空砲ゲパルトがウクライナで使用されている映像も出てきた。映像ではゲパルトのレーダーが作動している様子や、35mm径のエリコン製オートキャノンを発射する様子は見られないが、ドローンや巡航ミサイルによる継続的な攻撃で、おそらく元は取っているのだろう。

また、ウクライナ軍がスウェーデンの90mm無反動砲Pansarvärnspjäs 1110 (Pvpj 1110)をロシア軍ターゲットに使用する様子も見ることができる。

サウジアラビアは、ウクライナに4億ドルの人道支援を約束したと伝えられている。リヤドは、先週のOPEC+の減産決定で米国を怒らせたが、捕虜交換を仲介し、援助を提供している。

最後に、冷戦時代の装甲車ファンのために、ウクライナ軍で使用されている元イギリス軍のフェレットMk1スカウトカーを紹介したい。このモデルはイタリア製のMG42/59バズソーのチャンバーが7.62x51mm NATO仕様である。フェレットは8月にウクライナで初めて発見されたが、運用されているのを見たのはこれが初めて。

ロシアのとんでも報道 ロシア国営放送のコメンテーターがまたやってくれた。今回は、ウクライナに関する交渉を強要するために、アメリカの敵に武器を拡散させるという銀河系的なアイデアで、世界各地の米軍基地を破壊し、米国に停戦交渉を求めるというものだ。■

 

Ukraine Situation Report: Noose Tightens Around Russian-Occupied Kherson

BYSTETSON PAYNE|PUBLISHED OCT 15, 2022 6:06 PM

THE WAR ZONE

 


コメント

このブログの人気の投稿

漁船で大挙押し寄せる中国海上民兵は第三の海上武力組織で要注意

目的のため手段を択ばない中国の思考がここにもあらわれていますが、非常に厄介な存在になります。下手に武力行使をすれば民間人への攻撃と騒ぐでしょう。放置すれば乱暴狼藉の限りを尽くすので、手に負えません。国際法の遵守と程遠い中国の姿勢がよく表れています。尖閣諸島への上陸など不測の事態に海上保安庁も準備は万端であるとよいですね。 Pentagon reveals covert Chinese fleet disguised as fishing boats  漁船に偽装する中国軍事組織の存在をペンタゴンが暴露   By Ryan Pickrell Daily Caller News Foundation Jun. 7, 3:30 PM http://www.wearethemighty.com/articles/pentagon-reveals-covert-chinese-fleet-disguised-as-fishing-boats ペンタゴンはこのたび発表した報告書で中国が海洋支配を目指し戦力を増強中であることに警鐘を鳴らしている。 中国海上民兵(CMM)は準軍事組織だが漁民に偽装して侵攻を行う組織として長年にわたり活動中だ。人民解放軍海軍が「灰色」、中国海警が「白」の船体で知られるがCMMは「青」船体として中国の三番目の海上兵力の位置づけだ。 CMMが「低密度海上紛争での実力行使」に関与していると国防総省報告書は指摘する。 ペンタゴン報告書では中国が漁船に偽装した部隊で南シナ海の「灰色領域」で騒乱を起こすと指摘。(US Navy photo) 「中国は法執行機関艦船や海上民兵を使った高圧的な戦術をたびたび行使しており、自国の権益のため武力衝突に発展する前にとどめるという計算づくの方法を海上展開している」と同報告書は説明。例としてヘイグの国際仲裁法廷が中国の南シナ海領有主張を昨年7月に退けたが、北京はCMMを中国が支配を望む地帯に派遣している。 「中国は国家管理で漁船団を整備し海上民兵に南シナ海で使わせるつもりだ」(報告書) 中国はCMMはあくまでも民間漁船団と主張する。「誤解のないように、国家により組織し、整備し、管理する部隊であり軍事指揮命令系統の下で活動している」とアンドリュー・エリク...

海自の次期イージス艦ASEVはここがちがう。中国の055型大型駆逐艦とともに巡洋艦の域に近づく。イージス・アショア導入を阻止した住民の意思がこの新型艦になった。

  Japanese Ministry of Defense 日本が巡洋艦に近いミサイル防衛任務に特化したマルチロール艦を建造する  弾 道ミサイル防衛(BMD)艦2隻を新たに建造する日本の防衛装備整備計画が新たな展開を見せ、関係者はマルチロール指向の巡洋艦に近い設計に焦点を当てている。実現すれば、は第二次世界大戦後で最大の日本の水上戦闘艦となる。 この種の艦船が大型になる傾向は分かっていたが、日本は柔軟性のない、専用BMD艦をこれまで建造しており、今回は船体形状から、揚陸強襲艦とも共通点が多いように見える。 この開示は、本日発表された2024年度最新防衛予算概算要求に含まれている。これはまた、日本の過去最大の529億ドルであり、ライバル、特に中国と歩調を合わせる緊急性を反映している。 防衛予算要求で優先される支出は、イージスシステム搭載艦 ( Aegis system equipped vessel, ASEV) 2隻で、それぞれ26億ドルかかると予想されている。 コンピューター画像では、「まや」級(日本の最新型イージス護衛艦)と全体構成が似ているものの、新型艦はかなり大きくなる。また、レーダーは艦橋上部に格納され、喫水線よりはるか上空に設置されるため、水平線を長く見渡せるようになる。日本は、「まや」、「あたご」、「こんごう」各級のレーダーアレイをできるだけ高い位置に取り付けることを優先してきた。しかし、今回はさらに前進させる大きな特徴となる。 防衛省によると、新型ASEVは全長約620フィート、ビーム82フィート、標準排水量12,000トンになる。これに対し、「まや」クラスの設計は、全長557フィート強、ビーム約73フィート、標準排水量約8,200トンだ。一方、米海軍のタイコンデロガ級巡洋艦は、全長567フィート、ビーム55フィート、標準排水量約9,600トン。 サイズは、タイコンデロガ級が新しいASEV設計に近いが、それでもかなり小さい。Naval News報道によると、新型艦は米海軍アーレイ・バーク級フライトIII駆逐艦の1.7倍の大きさになると指摘している。 武装に関して言えば、新型ASEVは以前の検討よりはるかに幅広い能力を持つように計画されている。 同艦の兵器システムの中心は、さまざまな脅威に対する防空・弾道ミサイル防衛用のSM-3ブロックII...

次期高性能駆逐艦13DDXの概要が明らかになった 今年度に設計開始し、2030年代初頭の就役をめざす

最新の海上安全保障情報が海外メディアを通じて日本国内に入ってくることにイライラしています。今回は新型艦13DDXについての海外会議でのプレゼン内容をNaval Newsが伝えてくれましたが、防衛省防衛装備庁は定期的にブリーフィングを報道機関に開催すべきではないでしょうか。もっとも記事となるかは各社の判断なのですが、普段から防衛問題へのインテリジェンスを上げていく行為が必要でしょう。あわせてこれまでの習慣を捨てて、Destroyerは駆逐艦と呼ぶようにしていったらどうでしょうか。(本ブログでは護衛艦などという間際らしい用語は使っていません) Early rendering of the 13DDX destroyer for the JMSDF. ATLA image. 新型防空駆逐艦13DDXの構想 日本は、2024年度に新型のハイエンド防空駆逐艦13DDXの設計作業を開始する 日 本の防衛省(MoD)高官が最近の会議で語った内容によれば、2030年代初頭に就役開始予定のこの新型艦は、就役中の駆逐艦やフリゲート艦の設計を活用し、変化する脅威に対し重層的な防空を提供するため、異なるコンセプトと能力を統合する予定である。  防衛装備庁(ATLA)の今吉真一海将(海軍システム部長)は、13DDX先進駆逐艦のコンセプトは、「あさひ」/25DD級駆逐艦と「もがみ」/30FFM級フリゲート艦の設計を参考にすると、5月下旬に英国で開催された海軍指導者会議(CNE24)で語った。  この2つの艦級は、それぞれ2018年と2022年に就役を始めている。  13DDX型は、海上自衛隊(JMSDF)が、今吉の言う「新しい戦争方法」を含む、戦略的環境の重大かつ地球規模の変化に対抗できるようにするために必要とされる。防衛省と海上自衛隊は、この戦略的環境を2つの作戦文脈で捉えている。  第一に、中国、北朝鮮、ロシアが、極超音速システムを含むミサイル技術、電子戦(EW)を含むA2/AD能力の強化など、広範な軍事能力を急速に開発している。第二に、ウクライナにおけるロシアの戦争は、弾道ミサイルや巡航ミサイルの大規模な使用、EWやサイバー戦に基づく非対称攻撃、情報空間を含むハイブリッド戦争作戦、無人システムの使用など、新たな作戦実態を露呈したと説明した。  新型駆逐艦は、敵の対接近・領域拒否(A2/A...