スキップしてメイン コンテンツに移動

ケルチ海峡大橋 一夜明け損傷の状況が明らかに。モスクワで政変?真偽をめぐりロシア、ウクライナの情報戦の様相。

Twitter Screencaps


 

アゾフ海で緊迫した夜が明け、ロシアのケルチ海峡橋の爆発をめぐる新事実をお伝えする

 

 

シアによればトラック爆弾による大爆発が起こり、3人が死亡した。夜になり、ケルチ海峡橋の被害が詳細になり、現場の画像と衛星写真で崩壊した車道が示されている。残る車道については、クローズアップによる評価では、部分的に座屈したものの、まだ健在で、橋の鉄道と車道の両方で非常に限られているが通行が再開されている。

 

Courtesy of MAXAR.

 

残るスパンが深刻な損傷を受けているが、ロシアメディアは車道の1つで限定的な車両通行が再開されたと報じており、映像もこの主張を裏付けている。しかし、交通量は極めて少なく、現時点では自動車と小型車のみが橋を使用できるようだ。

 

国営通信社RIA Novostiは、ロシアのマラット・フスヌリンMarat Khusnullin副首相の言葉を引用して、鉄道交通は「完全に復旧した」と伝えており、当局は一度に100台の乗用車が橋の損傷スパンを横断することを認めると述べた。これは完全な事実とは言い難い。橋の鉄道部分の被害は相当深刻なようで、燃えた車両の一部は線路に残ったままだ。ロシアは、橋の別の線路がある程度の大きさの列車を支えることができると考えている節があるが、同橋を渡る鉄道の旅は「完全に復旧した」とは言い難い状態だ。ロシアが鉄道橋を利用するリスクをどの程度負うのか、大規模修理なしで安全に利用できるのか、ということになるのだろう。

 

しかし、トラックやバス、乗客は、24時間以内にさらなる判断が下されるまで、ケルチ海峡の3隻のフェリーに追いやられることになると報じられている。

 

橋の能力が著しく低下しているとはいえ、この事件はウクライナにとっては大勝利であり、ロシアにとっては侵攻作戦に最も都合の悪い時期に、物流の苦労が大幅に増える。

 

また、爆発の余波で海上交通が停止し、交通渋滞が発生している。

 

土曜日の出来事に関し、国防総省のスポークスマンであるパット・ライダー空軍准将Air Force Brig. Gen. Pat Ryderは、「報道を認識しているが、現時点では何も提供できる情報はない」 と述べた。

 

ウクライナからの複雑なメッセージと、ロシアによるクリミア半島の生命線への攻撃に対処する緊急対応は、疑問を増やすだけである。

 

ウクライナ政府関係者は沈黙を守るか、あるいは関与をほのめかしている。ゼレンスキー大統領は演説でこの攻撃についてほのめかした。

 

一部ウクライナメディアは、匿名情報源を引用し、ウクライナ治安部隊SBUが攻撃したと報じている。ただし、SBUから公式コメントは出ていない。

 

ロシア連邦保安庁と国防省の間で進行中かつ悪化している権力闘争の一環として、ロシアがこの攻撃を行ったという根拠なき主張もある。ゼレンスキー大統領の顧問ミハイロ・ポドリャックMiykhailo Podolyakは、モスクワでのクーデターという広範で裏付けのない主張の中で、爆発はより大きな計画の一部であると示唆した。

 

ロシアの準軍事組織「ワグナー・グループ」のテレグラム・チャンネル「グレーゾーン」は、土曜日夜、ロシアのセルゲイ・ショイグ国防相とヴァレリー・ゲラシモフ参謀総長が爆発の後辞任したと投稿した。ウォーゾーンは現在、これらの報道を確認することができない。

 

情報戦の目的からすれば、ウクライナがロシアの分裂を利用することは非常に理にかなう。英国防省は10月8日の情報更新で、チェチェンの指導者ラムザン・カディロフやワーグナーグループのオーナー、エフゲニー・プリゴジンが率いる戦争推進派が、ロシア軍最高司令部に批判し続けていることを指摘した。■

 

 

Russia's Kerch Strait Bridge Reopens To Very Limited Road, Rail Traffic

BYHOWARD ALTMAN, STETSON PAYNE, TYLER ROGOWAY| PUBLISHED OCT 8, 2022 4:55 PM

THE WAR ZONE

 


 

コメント

このブログの人気の投稿

漁船で大挙押し寄せる中国海上民兵は第三の海上武力組織で要注意

目的のため手段を択ばない中国の思考がここにもあらわれていますが、非常に厄介な存在になります。下手に武力行使をすれば民間人への攻撃と騒ぐでしょう。放置すれば乱暴狼藉の限りを尽くすので、手に負えません。国際法の遵守と程遠い中国の姿勢がよく表れています。尖閣諸島への上陸など不測の事態に海上保安庁も準備は万端であるとよいですね。 Pentagon reveals covert Chinese fleet disguised as fishing boats  漁船に偽装する中国軍事組織の存在をペンタゴンが暴露   By Ryan Pickrell Daily Caller News Foundation Jun. 7, 3:30 PM http://www.wearethemighty.com/articles/pentagon-reveals-covert-chinese-fleet-disguised-as-fishing-boats ペンタゴンはこのたび発表した報告書で中国が海洋支配を目指し戦力を増強中であることに警鐘を鳴らしている。 中国海上民兵(CMM)は準軍事組織だが漁民に偽装して侵攻を行う組織として長年にわたり活動中だ。人民解放軍海軍が「灰色」、中国海警が「白」の船体で知られるがCMMは「青」船体として中国の三番目の海上兵力の位置づけだ。 CMMが「低密度海上紛争での実力行使」に関与していると国防総省報告書は指摘する。 ペンタゴン報告書では中国が漁船に偽装した部隊で南シナ海の「灰色領域」で騒乱を起こすと指摘。(US Navy photo) 「中国は法執行機関艦船や海上民兵を使った高圧的な戦術をたびたび行使しており、自国の権益のため武力衝突に発展する前にとどめるという計算づくの方法を海上展開している」と同報告書は説明。例としてヘイグの国際仲裁法廷が中国の南シナ海領有主張を昨年7月に退けたが、北京はCMMを中国が支配を望む地帯に派遣している。 「中国は国家管理で漁船団を整備し海上民兵に南シナ海で使わせるつもりだ」(報告書) 中国はCMMはあくまでも民間漁船団と主張する。「誤解のないように、国家により組織し、整備し、管理する部隊であり軍事指揮命令系統の下で活動している」とアンドリュー・エリク...

海自の次期イージス艦ASEVはここがちがう。中国の055型大型駆逐艦とともに巡洋艦の域に近づく。イージス・アショア導入を阻止した住民の意思がこの新型艦になった。

  Japanese Ministry of Defense 日本が巡洋艦に近いミサイル防衛任務に特化したマルチロール艦を建造する  弾 道ミサイル防衛(BMD)艦2隻を新たに建造する日本の防衛装備整備計画が新たな展開を見せ、関係者はマルチロール指向の巡洋艦に近い設計に焦点を当てている。実現すれば、は第二次世界大戦後で最大の日本の水上戦闘艦となる。 この種の艦船が大型になる傾向は分かっていたが、日本は柔軟性のない、専用BMD艦をこれまで建造しており、今回は船体形状から、揚陸強襲艦とも共通点が多いように見える。 この開示は、本日発表された2024年度最新防衛予算概算要求に含まれている。これはまた、日本の過去最大の529億ドルであり、ライバル、特に中国と歩調を合わせる緊急性を反映している。 防衛予算要求で優先される支出は、イージスシステム搭載艦 ( Aegis system equipped vessel, ASEV) 2隻で、それぞれ26億ドルかかると予想されている。 コンピューター画像では、「まや」級(日本の最新型イージス護衛艦)と全体構成が似ているものの、新型艦はかなり大きくなる。また、レーダーは艦橋上部に格納され、喫水線よりはるか上空に設置されるため、水平線を長く見渡せるようになる。日本は、「まや」、「あたご」、「こんごう」各級のレーダーアレイをできるだけ高い位置に取り付けることを優先してきた。しかし、今回はさらに前進させる大きな特徴となる。 防衛省によると、新型ASEVは全長約620フィート、ビーム82フィート、標準排水量12,000トンになる。これに対し、「まや」クラスの設計は、全長557フィート強、ビーム約73フィート、標準排水量約8,200トンだ。一方、米海軍のタイコンデロガ級巡洋艦は、全長567フィート、ビーム55フィート、標準排水量約9,600トン。 サイズは、タイコンデロガ級が新しいASEV設計に近いが、それでもかなり小さい。Naval News報道によると、新型艦は米海軍アーレイ・バーク級フライトIII駆逐艦の1.7倍の大きさになると指摘している。 武装に関して言えば、新型ASEVは以前の検討よりはるかに幅広い能力を持つように計画されている。 同艦の兵器システムの中心は、さまざまな脅威に対する防空・弾道ミサイル防衛用のSM-3ブロックII...

次期高性能駆逐艦13DDXの概要が明らかになった 今年度に設計開始し、2030年代初頭の就役をめざす

最新の海上安全保障情報が海外メディアを通じて日本国内に入ってくることにイライラしています。今回は新型艦13DDXについての海外会議でのプレゼン内容をNaval Newsが伝えてくれましたが、防衛省防衛装備庁は定期的にブリーフィングを報道機関に開催すべきではないでしょうか。もっとも記事となるかは各社の判断なのですが、普段から防衛問題へのインテリジェンスを上げていく行為が必要でしょう。あわせてこれまでの習慣を捨てて、Destroyerは駆逐艦と呼ぶようにしていったらどうでしょうか。(本ブログでは護衛艦などという間際らしい用語は使っていません) Early rendering of the 13DDX destroyer for the JMSDF. ATLA image. 新型防空駆逐艦13DDXの構想 日本は、2024年度に新型のハイエンド防空駆逐艦13DDXの設計作業を開始する 日 本の防衛省(MoD)高官が最近の会議で語った内容によれば、2030年代初頭に就役開始予定のこの新型艦は、就役中の駆逐艦やフリゲート艦の設計を活用し、変化する脅威に対し重層的な防空を提供するため、異なるコンセプトと能力を統合する予定である。  防衛装備庁(ATLA)の今吉真一海将(海軍システム部長)は、13DDX先進駆逐艦のコンセプトは、「あさひ」/25DD級駆逐艦と「もがみ」/30FFM級フリゲート艦の設計を参考にすると、5月下旬に英国で開催された海軍指導者会議(CNE24)で語った。  この2つの艦級は、それぞれ2018年と2022年に就役を始めている。  13DDX型は、海上自衛隊(JMSDF)が、今吉の言う「新しい戦争方法」を含む、戦略的環境の重大かつ地球規模の変化に対抗できるようにするために必要とされる。防衛省と海上自衛隊は、この戦略的環境を2つの作戦文脈で捉えている。  第一に、中国、北朝鮮、ロシアが、極超音速システムを含むミサイル技術、電子戦(EW)を含むA2/AD能力の強化など、広範な軍事能力を急速に開発している。第二に、ウクライナにおけるロシアの戦争は、弾道ミサイルや巡航ミサイルの大規模な使用、EWやサイバー戦に基づく非対称攻撃、情報空間を含むハイブリッド戦争作戦、無人システムの使用など、新たな作戦実態を露呈したと説明した。  新型駆逐艦は、敵の対接近・領域拒否(A2/A...