2022年10月22日土曜日

苦戦中のロシアが大規模ダム爆破を画策? ウクライナが環境テロ活動を警戒。その他ウクライナ戦の最新状況(現地時間10月20日現在)

 

Ukrainian military photo

ドニプロ川のカホフカ水力発電所ダムを爆破すれば、「大規模災害」が発生するとウクライナ大統領が発言

シアがウクライナ南部ケルソン州のドニプロ川のカホフカ水力発電所に爆発物を設置し、「大規模災害」を引き起こすつもりだと、ヴォロディミル・ゼレンスキー大統領が木曜日に発言した。

「ロシアがカホフカ水力発電所に爆発物を設置したという情報がある」と、ゼレンスキー大統領は10月20日欧州理事会での演説で述べたと、キーウ・インディペンデント紙は報じている。

ゼレンスキー発言は、戦争研究所(ISW)が以前発表した、ロシア軍が「発電所に偽旗攻撃を行う情報条件を整えている」との評価と一致する。「ロシア軍は、ダムを破壊しドニプロ川右岸からの撤退をカバーし、ウクライナの渡河前進を阻止または遅らせることができると考えているのだろう」。

キーウ・インディペンデント紙によると、同ダムは「約1800万立方メートルの水を蓄えている」。「破壊されれば、州都ケルソンを含む80以上の集落が水没する」と、ゼレンスキーは述べた。大統領は「数十万人が影響を受ける可能性がある」とし、国際的な観測が必要であると付け加えた。

ゼレンスキーは木曜日、自身のテレグラムチャンネルで、ロシアがダムを爆破する動きを示しているのは、ウクライナ南部を保持できなためと述べた。

ゼレンスキーは「今、世界中が、ロシアの新たなテロ攻撃を防ぐため強力かつ迅速に行動しなければならない」と述べた。「ダム破壊は大規模災害を意味する。このテロ行為により、ドニプロ川からクリミアへの水供給も止まる可能性がある。カホフスカヤHPPダムが破壊されれば、北クリミア運河は消滅する」。

「ロシアがこのようなテロ攻撃を準備しているとしたら、そのようなシナリオを真剣に検討しているとしたら、それはテロリストが、ケルソンだけでなく、クリミアを含む我が国南部全体を保持できないことをはっきりと認識しているためだ」。

ダム上部の道路は、以前、ウクライナがケルソンでのロシアの物流を妨害するために攻撃したことがある。

しかし、ダムの爆破は全く別の話だ。ゼレンスキーは、プーチン大統領の核兵器による威嚇と比較した。

「私たちは今、ヨーロッパ人、世界の指導者、国際機関など、みんなで一緒に、カホフスカヤHPPへのテロ攻撃は大量破壊兵器使用と同じ意味を持つことをテロ国家に明らかにしなければなりません。ロシアには適切な結果がもたらされるはずだ。世界は予防的に反応しなければならない。これが今、重要なことだ。安全保障上の脅威への予防的対応の原則が、ようやく国際政治の基本原則の1つになる」。

英国国防省は最新評価で、ロシアは「幅1000mの川を渡り部隊と装備を整然と撤収させる重要課題」に直面している、と述べている。

キーウ・インディペンデント紙によると、ロシアがケルソン市防衛を決定した場合、動員された予備兵のみで行う可能性があるとウクライナ参謀本部は見ている。

最新情報

クリミアになぜイラン軍人がいるのか

イランの無人機技術者と訓練生がクリミアに「少数」いるが、「イラン無人機を操縦し、キーウへの攻撃を含め、ウクライナ全域への攻撃に使っている」のは、ロシア軍であると国家安全保障会議のジョン・カービー報道官が木曜日記者団に語った。

イラン訓練生は、ロシア人がイラン製無人機の操作を習得するためクリミアに滞在していた。カービー報道官は、最初の操作やシステムに失敗があった、と述べた。

イランの無人機、特にシャヘドShahed-136は、ロシアがケルチ橋攻撃の報復として、ウクライナの民間人標的への攻撃で一層使用されるようになってきている。国防総省は木曜日、カービー報道官の評価に同意し、イランが世界中にテロを広げるもう一つの例だと述べた。

国防総省の最高報道官であるパット・ライダー空軍准将は、木曜日に記者団に対し、「我々は、中東地域だけでなく、今度はウクライナでも、イランがテロの輸出に加担していることを見続けている」と述べた。「多くの点で、これらの無人機は恐怖を作り出す心理的な武器として使われているが、戦略的な観点からは、地上のロシア軍が領土を失い続けるか、せいぜい地面を維持する程度であるという事実を変えることはできない」。

 

10月17日、ウクライナのキーウで、神風ドローンに襲われた住宅で捜索・救助活動を行っている消防隊。 (Photo by Yevhenii Zavhorodnii/Global Images Ukraine via Getty Images)

イラン政府関係者はここに来てロシアにドローン多数と、「数百発」の短距離弾道ミサイルを売却したと認めている。

国防総省はこれまで、イランがロシアに数百機の無人機を提供したと述べているがイランは否定している。イランがロシアに無人機を提供したことを否定していることについて、ライダー准将はぶっきらぼうに言った。

「彼らが嘘をついているのは明らかだ」と彼は言った。

ライダー准将によると、ロシアは精密弾の在庫が枯渇しているため、イランや北朝鮮に接触している。「弾薬の追加を求め、イランの場合は明らかにドローンを求めている。今後も続けるかどうかは、イランやロシアが対処すべきことですが、私たちは注視していきます」。

最近のロシアの無人機の乱射は、ウクライナへの防空設備の追加提供に拍車をかけるかとの質問に対して、ライダー准将は、「ウクライナは、無人機多数を撃墜しており効果を上げている」と答えた。

ウクライナ空軍は、最初のドローンが撃墜された9月13日以降、水曜日の朝の時点で223機のイラン製ドローンShahed-136を撃墜したと主張している。ガーディアン紙は、比較的安価なイラン製ドローンを倒すため防空システムを使うと高コストになると報じている。

ライダー准将は、ウクライナが撃墜したドローンの具体的な機数、またはその他の方法で阻止した数を示すことはできないが、その結果、ロシアはおそらく「目標を攻撃する能力という点では目標を達成していない」と述べた。

それでも、「明らかに大混乱を引き起こし、破壊を引き起こし、罪のない市民を殺しており、深刻な脅威であり、我々はウクライナが必要とする能力を提供するため協力し続けるだろう」と述べた。

一方、ウクライナのドミトロ・クレバ外相は、ロシアへの無人機譲渡をめぐりイランに新たな制裁を加えた欧州連合に謝意を表明した。

米国は、こうした装備品の移転をめぐり、イランとロシアへ追加制裁も検討している。

公式の否定に反して、ロシア国防省高官が、ロシアがウクライナでイラン製の「神風」ドローンを使用していたことを偶然にも認めた。

Business Insiderによると、NGO戦略技術分析センター所長ルスラン・プホフRuslan Pukhovは、昨日ロシアのビジネスニュースポータルRBCの「What It Means」という番組のライブインタビュー冒頭で、マイクが入っていることに気づかず話していたようだ。

「ボートを揺らさないように。イラン製無人機に焦点を合わさないよう頼む。古典的な事例だ。結果は見えるが、話にしてはいけない、いいね。皆イラン製だとわかっているが、当局が認めていない」。

その後、プホフはこの件についてすっとぼけた。

「もしかしたら、言ったかな......言ってないかもしれない。仕組まれたことかもしれない。覚えてない。COVIDの後で頭が混乱しているんだ...... 」。

戦場の他の場所で、ISWは、ロシア軍がハリコフ州北西部の本格侵略で失った領土の再奪還をねらう中、ウクライナはケルソン州北西部で攻勢を続けていると発表した。

以下は、ISWの最新評価から得られた重要ポイント。

  • ロシア大統領ウラジーミル・プーチンの10月19日の戒厳令準備宣言は、将来の動員や国内制限のための枠組みを作りながら、ロシア軍が行う必要がある、あるいはすでに行っている活動を正当化するための、主に法的劇場であることを意味している

  • ワグネルの資金提供者エフゲニー・プリゴジンは、自身とワグネルグループ軍を従来のロシア軍から切り離そうとしている

  • ロシア軍は、ハリコフ州北東部で失った領土を奪還するため、限定攻撃を継続的に実施している

  • ロシア軍とウクライナ軍は、クレミンナ-スヴァトベ地域で攻撃を継続したと伝えられる。

  • ロシア情報では、ウクライナ軍が北西部のケルソン州で再び攻勢をかけている

  • プーチン大統領は10月19日、ロシア軍関係者が抱える支払いに関する懸念に対処するための法令を可決し、今後の支払い問題については、セルゲイ・ショイグ国防相とアントン・シルアノフ財務相に責任を負わせることを決定した

  • ロシア議会は、ロシア当局が将来起こりうる動員の波において、部分動員の国内影響を最小限に抑えることができる法的措置を提案している

  • ロシア軍当局は、ロシア占領地のウクライナ人住民をロシア軍のため労働や戦闘に強制動員している

 

その他

ベラルーシの動き

ウクライナの北の国境では、ベラルーシにロシア軍の集中が進んでいるようだ。国防総省のライダー報道官は、以前The War Zoneに語ったことを繰り返した。「現在のところ、前線で潜在的な、差し迫った軍事行動の兆候はないが、注視はしていく」と述べた。

 ベラルーシ軍関係者は、ウクライナの同盟国であることが証明ずみのポーランドが、ウクライナに戦争の準備をしていると奇妙な警告を発した。

 ワシントンD.C.のポーランド大使館の防衛・航空担当補佐官パヴェウ・マルツェダ大佐は、そのような発言は「ベラルーシのプロパガンダだ!」とThe War Zoneにメールで伝え、内容を否定した。「ポーランドは隣国を攻撃したことはないし、これからもしない!」と。

プーチンが軍訓練キャンプを訪問

 ウクライナに対する全面戦争の239日目に、プーチン大統領は、モスクワの南東約100マイルにあるリャザンの軍事訓練基地を訪れ、西部戦線に向け準備する動員兵と会談した。

 黒いジャケットに身を包んだプーチン大統領は、装備品を点検し、兵士たちと談笑した後、耳あてをつけて地面にうつぶせになり、ライフルで何発か撃った。

 プーチンは新兵との会話の中で、「住むところや経済的な問題はないのか」と質問した。すると、意外な答えが返ってきた。

 「ない」というのだ。

 ワシントンポスト紙のロシア特派員メアリー・イリューシナによると、プーチンが軍事基地を訪れたのは、ウクライナ全面侵攻を開始した2月24日以来初めてという。

ウクライナはドイツで訓練

 プーチンが動員された予備兵で隊列を埋めようとする一方で、ウクライナは約5000人の軍隊を訓練でドイツに派遣している。これは、約1万5千人のウクライナ人兵士を訓練する幅広い取り組みの一部。

装備品不足を窃盗で補うロシア

 ロシアの戦いを継続させるための軍需物資の入手は大きな課題で、その一端は窃盗によって対処されているようだ。スウェーデンのAftonbladet紙によると、スウェーデンから盗まれた交通カメラが、無人機に使用するためロシアに送られたという。

 ロシアはしばらくの間、ドネスクの町バフムトにあるウクライナ陣地を攻撃してきたが、まだ占領していない。この任務は、ウクライナやアフリカなどでロシアが使う傭兵集団、ワグネルグループに委ねられている。

 しかし、そのワグネル軍もウクライナのキットには感心しているようだ。

 そして、戦場は戦争兵器の無残な残骸で埋め尽くされたままだ。

 例えば、ドミトロ・シュムスキーは、対空兵器スティンガーでロシアの巡航ミサイルを1発だけでなく2発も撃墜し、ゼレンスキーに賞賛された。

人質交換で開放されたウクライナ女性の訴え

 人的被害も大きい。最近、ロシアとの捕虜交換で解放されたウクライナ人女性は、常に殴られ、いじめられ、脅かされていたと訴えている。■


Ukraine Situation Report: Russia Rigged Kherson Dam To Explode Zelensky Claims

BYHOWARD ALTMAN|PUBLISHED OCT 20, 2022 

THE WAR ZONE


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