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ロッキードのコンパクト核融合炉技術が航空、さらに国防の世界を一般するかもしれない。

 


 



 

2018年に、ロッキード・マーティンは「プラズマ閉じ込めシステム」の特許を申請した。「プラズマ閉じ込めシステム」は、太陽の中心の10倍の高温のを管理できるF-16ファイティング・ファルコンの胴体内に入るほど小型デバイスだ。 

 同装置は自由に拡大でき、核融合というSFの世界と考えられている発電方法で重要な役割を果たす。核融合発電は可能はおろか、運用可能でさえあるように思われる。核融合は世界の戦争のあり方を変えるだけでなく、紛争のありかたを変える可能性もある。 

これが、国防総省の闇予算で始まるかもしれない。 

 

原子力航空機は以前からある概念 

 
 



 

テキサス州フォースワースのコンベア工場が開発したコンベアNB-36H実験機(s/n 51-5712)とボーイングB-50スーパーフォートレス追撃機(U.S. Air Force Photo) 

 原子を分割することで大量の電力を生み出すことができることを知った人類は、この新しい概念を、飛行機を含むあらゆるものに取り入れるようとした。しかし、航空機の推進システムの実用化を目指した計画はいくつかあったが、原子を分裂させる核分裂炉は、5万フィートの上空を飛び回るには、報酬よりリスクが大きすぎた。 

核分裂の研究は、今日の原子力潜水艦や超大型空母につながる計画で、海軍への応用で有用な場を見出した。しかし、プルート計画の原子力SLAMミサイルやコンベア社の原子力爆撃機NB-36のような航空分野での取り組みは、今となってはクレイジーに映る。 

 プルトンのスラムミサイルは、何千マイルを飛行し、水素爆弾を投下し、放射線を放出しながら、強烈な騒音を発生させる設計だった。NB-36は、核抑止力として実質的に空中を無限に飛ぶことができたが、墜落や事故があれば、環境破壊につながる可能性があった。 

現在、核分裂を動力源とする飛行プラットフォームの実用化を目指している国で公にされているのは、ロシアの9M730ブレベストニク(スカイフォール)ミサイルだけである。しかし、多くの誇大広告にもかかわらず、2018年に発表されたまま、今日でも実現に近づいていないようだ。そして、この事業の本質的な危険性を証明するかのように、2019年にはロシア連邦核センターの5人の科学者が、同ミサイル開発と関連すると言われる災難で死亡している。 

 
 

核融合は欠点のない原子力発電 

核分裂と航空機は相容れない。しかし、核融合は全く別の話になりそうだ。核融合は、現在の原子力発電所や兵器システムが利用する核分裂の逆のプロセスと考えればよい。どちらも原子からエネルギーを生み出す物理的プロセスだが、核分裂が大きな原子を2つ以上の小さな原子に分割して大量のエネルギーを生み出すのに対し、核融合は2つ以上の軽い原子を1つの大きな原子に結合させる。 

 
 



(Dept. of Energy) 

 

 核分裂発電が、環境に優しいその他エネルギー源と並ぶ有力な選択肢として、再び世間の関心を集めているのには理由がある。核分裂は何百万年も危険なままの放射性廃棄物を出すが、石炭を燃やす方法より何百万倍も効率的な発電方法であることに変わりはない。 

 ただし、核分裂反応の暴走を防ぎ、メルトダウンやチェルノブイリや福島のような環境破壊を防ぐために、核分裂のプロセスは積極的に冷却しなければならない。 

 一方、核融合はメルトダウンの可能性がなく、放射性廃棄物は出るものの、その放射性半減期はわずか12年である。また、核分裂より3~4倍効率が良いと予測されている。核融合炉は、重水素と三重水素トリチウムという2つの水素同位体(前者は海水中に非常に多く存在する)を動力源とする。米国エネルギー省によると、1ガロンの海水に含まれる重水素の量で、300ガロンのガソリンと同じ量のエネルギーを生み出すことができる。トリチウムは手に入れるのが難しい。天然に存在するトリチウムは非常に稀だが、実は濃縮リチウムを使った核融合炉で生産できる。 

 しかし、核融合炉の燃料を数百万℃に過熱するエネルギーと、過熱反応を閉じ込める手段が問題だった。核融合炉の炉心には高温のプラズマがあり、核融合反応を起こすにはこのプラズマを非常に高温に保つ必要があるので、プラズマを十分に高温に保つため大量のエネルギーが必要となる。 

 
 

サンディア国立研究所のZマシンを魚眼レンズで俯瞰した。電圧が非常に高いため、給電装置は2メガリットル(2,000m³)の変圧器オイルと2.3メガリットル(2,300 m³)の純水が入った同心の部屋に沈められ、絶縁体として働いている (Wikimedia Commons) 

 

核融合反応を起こすには、そこから得られるより多くの電力が必要となっていた。しかし、最近の進展は、効率的な核融合を10年にわたリ求めてきた努力がまもなく終わりを迎える可能性があることを示唆している。 

昨年、ジョイント・ヨーロピアン・トーラス(JET)核融合炉は、5秒間に59メガジュールの持続的核融合エネルギーを生成し、世界新記録を樹立した。 

 JETのシニア・マネージャーであるフェルナンダ・リニは9月にニューズウィーク誌に「この記録の意義は私たちが核融合、測定可能な核融合を作り出しただけでなく、1997年の約2倍の量を作り出したということです」と語っている。 

「しかし、我々は5秒間に渡ってそれを生成しましたので、非常に安定しており、非常に長く、実験があまり長く続くように設計されていないため、できる限りの長さです」。 

ほとんどの核融合炉が使う磁気閉じ込めシステムには、少なくとも4つの形態がある。最も一般的なものは、1950年代にソ連の物理学者イゴール・タムとアンドレイ・サカロフが開拓した設計に基づくトカマクと、1951年にプリンストン大学のライマン・スピッツァーが最初に発明したステラテーターです。また、核融合炉の燃料となる超高温プラズマを閉じ込める慣性閉じ込め方式もあるが、ここでは割愛する。 

 
 

ロッキード・マーチンの核融合特許には、F-16内部に収まる小型化原子炉も含まれている 




 

2018年、ロッキード・マーティンは、"Encapsulating Magnetic Fields for Plasma Confinement "という地味な名称の特許を取得した。説明にある核融合装置は、超伝導体で磁場を生成し、超高温プラズマを反応室の狭い範囲に閉じ込めることができ、既存のどの核融合装置よりも2000倍優れている。ロッキード・マーチンのスカンク・ワークスのコンパクト核融合炉(CFR)の基幹となる。特許によると、この設計で、従来の想定よりはるかに小さな核融合炉の建設が可能になり、開発の迅速化だけでなく、より幅広い応用が期待できるようになる。 

 「核融合炉110は、グローバルなMED安定性を示す新しい磁場構成を持ち、開放磁場線による粒子損失を最小限に抑え、利用可能な磁場エネルギーをすべて使用し、工学設計が大幅に簡素化されている。磁場の効率的な使用は、開示された実施形態が、典型的なシステムより一桁小さくなり得ることを意味し、これは、発電所の資本コストを大幅に削減する。さらに、コストの削減により、各設計サイクルが典型的なシステムよりもはるかに迅速に完了する可能性があるため、コンセプトの開発をより迅速に行うことができる。一般に、開示された実施形態は、既存のシステムよりもはるかに少ない物理学的リスクで、より単純で安定した設計を有している」。 

米国特許US20180047462A1、"プラズマ閉じ込めのためのカプセル化磁場"より 

原子炉内に含まれるプラズマ体積とその中の磁気エネルギー密度の比は、核融合界ではベータ限界として知られる。今日のほとんどのシステムでは、ベータ限界は0.01から0.05(1%~5%)である。一方、ロッキードのスカンク・ワークスで開発中のシステムは、この特許に記載されているように、ベータ限界値が1になると予想されている。 

 「このため、システムは自己調整フィードバック機構によって制御され、プラズマが外に出れば出るほど、磁場がそれを押し返す力が強くなる。CFRはベータ限界比が1になることが期待されています」。(スカンクワークスのコンパクトフュージョンプロジェクトの責任者Thomas McGuire博士) 

 
 



 

 

スカンク・ワークスによれば、この閉じ込めシステムを使う原子炉1基は、わずか25ポンドの燃料で1年間連続運転でき、およそ100メガワット(10万人分の家庭の電力に相当)の電力を生産できるという。このような装置の潜在的な用途は非常に大きく、スカンク・ワークスの特許には、空母の電力供給用と言った用途だけでなく、自然災害後の都市に緊急エネルギーを供給するコンテナ型核融合トラックのような、斬新な用途も含まれている。 

しかし、この特許で最も興味をそそられるのは、F-16ファイティング・ファルコンの胴体内に収容できるほど小型化された原子炉だ。 

 「航空機の航続距離と稼働時間を大幅に拡大する、航空機用小型核融合炉の提供が望まれる。以下では、小型核融合炉に関連する各種利点を提供するカプセル化核融合炉を説明する」 

米国特許US20180047462A1、"プラズマ閉じ込めのためのカプセル化磁場" 

2018年、ロッキード・マーティンは、原子炉の開発に5年、小都市に電力を供給できる装備の完成はさらに5年かかると予測していた。それ以来、同社はこの取り組みについて沈黙を守っているが、その時間軸が事実ならば、同技術が実現可能であるのを証明するのは約1年後ということになる。 

 

航空機でどうやって核融合により電力を供給するのか 

核融合がどのように航空機の推進力を生み出すかを理解するためには、まず、従来のターボジェット推進システムがどう機能しているかを理解することが必要だ。航空機の推進力は厳密な科学だが、大前提はとてもシンプルだ。 

 ターボジェットエンジンは、エンジン前方から空気を吸い込み、通常3〜12倍の密度に圧縮する。圧縮した空気に燃料を加え、点火する。点火されたばかりの空気と燃料の混合気は、タービン(コンプレッサーの駆動源)を通過してノズルから排出される際に、通常1,100°Fから1,300°Fの温度に達し、推力を発生させる。 

 ターボファンエンジンは、同じような前提で動作するが、入ってくる空気は2つの異なる流れに分けられる。1つはファンを通過し、コアコンプレッサに続き、燃料と混合されノズルから流れ出る前に点火される。残りの空気は、内部エンジンをバイパスし、単にプロペラを通過し、通過する際にわずかに速度を増加させ、推力を追加する。このエンジンは、民間旅客機や、B-52ストラトフォートレスのよう大型機によく搭載されている。 

 ロッキード・マーチンの特許では、既存のターボジェットエンジンやターボファンエンジンに見られる燃焼器を熱交換器に置き換えることで、可燃性燃料を使わず同じ推力を生み出すことができるとある。 

 
 


 


上図のように、核融合炉で過熱された冷却水が各ターボファンエンジンに送られ、流入する空気を加熱し、再び核融合炉に戻り加熱される循環が行われる。
 

 

「一般に、ターボファンは、吸入空気を加熱するためジェット燃料を燃焼させる燃焼器を利用し、それにより推力を発生させる。しかし、航空機システム200では、ターボファン230燃焼器は、吸入空気を加熱するため複数の核融合炉110が供給する高温冷却材240を利用する熱交換器に置換される」。 

米国特許US20180047462A1、"プラズマ閉じ込めのためのカプセル化磁場" 

 

核融合で航空の世界は一変する 

核融合パワーはあらゆるものを変える可能性があるが、短期的には、アメリカでの航空機設計と運用の方法に革命をもたらすかもしれない。 

「典型的なターボファンに利点を多数もたらすかもしれない。例えば、ジェット燃料を燃やす燃焼器なしでターボファン230が運転できるようになり、航空機101の航続距離が大幅に延びる可能性がある。さらに、ジェット燃料の必要性を大幅に低減または排除することにより、航空機101の運用コストを大幅低減できる」。 

米国特許US20180047462A1、"プラズマ閉じ込めのためのカプセル化磁場" 

航空機は一度も燃料補給をすることなく耐用年数を全うすることができる。燃料補給を近所のガソリンスタンドで車に給油することと考えている人にとっては便利に聞こえるかもしれないが、実際ははるかに大きな問題になる。 

 現在、空軍だけで490機の給油タンカーを運用しており、国家安全保障に絶対不可欠な存在だ。アメリカの戦闘機のほとんどは30分程度の戦闘用の燃料を積んでいるが、その間に帰還するか、タンカーで補給する必要がある。また、長時間の爆撃任務では、飛行経路の正確な地点で給油タンカーに出会えるかどうかに、絶対的に依存する。しかし、タンカーは非常に脆弱な航空機であり、高度な防空能力と多大な航空戦力を持つ互角戦力を有する国家との戦いは、空のガソリンスタンドを大量に失うことは必至だ。 

 空軍は現在、航空燃料を年間約20億ガロン消費している。核融合はこの数字をゼロに近づけると同時に、戦闘機、爆撃機、ドローン、その他のプラットフォームに実質的に無限の航続距離と滞空時間を提供できる。核融合炉は核分裂兵器システムのように機能しない。つまり、墜落した航空機から核融合炉を回収・捕獲しても、環境汚染や悪者による核兵器技術のリバースエンジニアリングのリスクはほとんどない。(注:熱核兵器は核融合を利用するが、その核融合は核分裂の爆発で開始される)。 

しかし、実際のところ、燃料なしでの飛行は、核融合が航空分野にもたらす可能性のほんの始まりに過ぎない。豊富な電気エネルギーは、高度な指向性エネルギー兵器や、海軍が特許を取得したレーザー誘起プラズマフィラメントホログラムシステムのような画期的な新しいミサイル防衛システムにも電力を供給できる。 

 しかし、削減された燃料費とハイテク・レーザー・ビームでさえ、コンテナ型核融合の観点から比べれば「小さく考えている」と非難されるかもしれない。現在の航空機の設計と運用のほぼすべての側面は、内部空間の割り当てから外観の形状、エンジン管理から戦闘戦術まで、液体燃料を運搬、管理、効率的に使用する必要性に影響を受けている。ロッキード・マーチンのコンテナ型融合コンセプトが実現すれば、すべてが変わる可能性がある。 

 

核融合が世界を変える前に、国防が変わる 

 

 

核融合発電がもたらす気の遠くなるような広い意味合いについて、また、戦闘機や爆撃機、ドローンなどの防衛用途に限って厳密に考えるのは茶番だと叫ぶ声が聞こえてきそうだ。しかし、実は...この技術が私たちの家庭で使われるよう前に、戦場で使われると考えるには十分な理由がある。 

 核融合について、「あと30年で実現する...ずっとそうだ」というジョークが昔からあるのは、驚くことではない。この先進的な技術は有望で、定期的に進歩が見られるが、いつも実用化には手が届かないように思われる。実際、核融合は、多くの科学的事業と同様に、効率的な原子炉を追求するため大規模な投資が行われていれば、もっと成熟していたはずである。 

 実際、石油を燃やしエネルギーを得ることは、環境には良くなくても、新しい発電方法やそれを利用する全く新しい自動車を発明するよりはるかに安上がりだまた、石油消費量を減らせば、環境への影響という点では明らかにメリットがあるが、人類が石油をすぐに使い果たすとは考えにくい。ブリティッシュ・ペトロリアムの「2019 Statistical Review of World Energy」によると、現地の採掘インフラに基づく既存の石油埋蔵量には、約48年分(2019年の使用量で)、約1兆7339億バレルが残されている。しかし、科学者たちは、未発見の油田に眠っていたり、地域の既存のインフラがアクセスできない場所に貯蔵されていたりして、まだそれ以上の膨大な量が存在すると十分に認識している。そのため、核融合のような技術への投資が制限される。 

 核融合炉JET(Joint European Torus)の責任者である英国原子力庁のCEO、イアン・チャップマン教授は、ナショナルジオグラフィックの最近のインタビューで、核融合発電が商業的に実現するのはいつになるかとの質問に対して、簡潔に説明している。 

 「不可解な質問で、エネルギー力学、政府の政策、炭素価格の動向などに大きく左右される」。 

 「私はその質問には決して答えません。いつも、トカマク(著名な核融合炉の設計)の創始者の一人であるレフ・アーツィモヴィッチの言葉を引用している。彼は1970年代にソビエト連邦の記者会見で同じ質問をされ、『人類が必要とするとき、あるいはその少し前かもしれない』という答えをした。今でもそうだと思う」。 

 彼は、核融合を1950〜60年代の宇宙開発競争になぞらえ、1962年のケネディの演説では、月への到達は考えられないと思われたが、その後アメリカの国内総生産の4%をこの事業に割り当てたことで実現可能になったことを強調した。核融合は、水素同位体を燃料とするが、その出発点には巨額の資金が必要である。 

 そこで、ロッキード・マーチンのCFRプログラムのような取り組みが必要になってくるのだ。企業が先進的な代替燃料の開発に資金を提供するインセンティブはまだないかもしれないが、その必要性はこれまでになく切迫している。燃料価格の不安定さが続く中、アメリカの防衛機構は、それに対抗するため投資を続けていくだろう。 

 
 



核融合は地球全体を変えるかもしれないが、実用化されるのはエリア51の格納庫や潜水艦の推進計画、あるいは国防総省が主導するような陰の部分だけかもしれない。そして皮肉なことに、信頼性が高く、効率的で、安全な方法で大量の電力を生産できれば、世界中の紛争を減らすことにつながるかもしれない......。 

 つまり、国防総省は仕事から解放されるかもしれない。 

 そして、それこそ私たちが望む結果なのだ。■ 

 

Alex Hollings | October 25, 2022 

  

Alex Hollings 

Alex Hollings is a writer, dad, and Marine veteran who specializes in foreign policy and defense technology analysis. He holds a master’s degree in Communications from Southern New Hampshire University, as well as a bachelor’s degree in Corporate and Organizational Communications from Framingham State University. 

 
 

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