ロッキードはは米空軍にC-5がEC-135ドゥームズデイ機の後継機にする可能性を伝えていた
1970年の登場以来、ロッキードC-5ギャラクシーは、米空軍最大の貨物機として活躍してきた。1980年代後半に同社は、巨大機が空中司令部の任務を担う可能性を売り込んでいた。
ロッキードは、非公式にEC-5Bと呼んだ提案モデルのアートワークを2017年3月2日公開した。同社は同機を、大規模攻撃で地上施設が破壊される最悪のシナリオで核戦力に命令を出す、EC-135Cルッキング・グラス飛行指揮所の後継機にする意図があった。
同社が1990年頃に提供した想像図のキャプションによると、「EC-5Bは現在および将来のすべての(指揮、制御、通信)ミッションエレクトロニクス、戦闘スタッフ、サポート要員、消耗品、車両、保守機器、予備品を収容できる」とある。
同機の構想は、1963年から就役していたルッキング・グラスの基本能力を引き継ぎ、改善したものだった。EC-135Cは、KC-135タンカー含むC-135シリーズの多様なバリエーションで、ボーイング707旅客機の親戚であった。
EC-135Cルッキング・グラス。, USAF
ロッキードは、最大の競合相手から契約を奪い取ろうと躍起だった。当時生産中のC-5Bを利用することで、ボーイング製品で実現できないメリットを提供しようとしたことは明らかだった。
EC-5Bコンセプトは、後部に空中給油ブームを装備している。長距離通信装置とともに、緊急時に限定的ながら空中給油機能を果たすため、EC-135C全機にもこの装置が搭載されていた。奇襲攻撃で支援機が吹き飛ばされた場合や、反撃に追加タンカーが必要になった場合、警戒態勢を維持するため重要になっていたかもしれない。
しかし、ボーイング機と異なり、ロッキード提案は、空でも地上でも機能を発揮できる機体の想定だった。KC-135は、輸送用で最大83,000ポンドの貨物を搭載できたが、C-5Bはその3倍以上の積載が可能だった。
その結果、貨物を搭載したEC-5Bは、「小規模で条件の悪い分散飛行場から長期間にわたり自律運用する生命維持装置」用のスペースを持つと、キャプションは述べている。つまり、航空機を安全な遠隔地に着陸させ、外部からの支援なしに作戦継続ができる。C-5の巨大なサイズは、核危機や核兵器による応酬の際に長時間加圧状態のまま運用でき、理論的には遠隔地の地上に待機できる利点がある。しかし、C-5の任務遂行能力達成率の低さは有名で、再び空へ舞い戻れるかは微妙だったろう。
結局、空軍はロッキード提案の超大型飛行指揮所の購入を受け入れなかった。1990年7月24日、空軍はルッキング・グラスの継続ミッションを中止し、EC-135C部隊を24時間警戒態勢で地上待機させた。
標準仕様のC-5B、米空軍 USAF
その後、国防総省は1998年に、米国戦略軍(STRATCOM)の任務拡大として、ボーイング707派生型の米海軍E-6Bマーキュリーに任務を引き継がせた。それまで海軍の航空司令機は、核攻撃で通信システムが破壊された場合に弾道ミサイル潜水艦への連絡を維持する任務のみ担当していた。この任務はTACAMO(Take Charge and Move Out)と呼ばれる。
国防総省は、707派生型がいよいよ寿命の終わりを迎えることを認識している。海軍は1989年にE-6A初号機を受領し、8年後に全機をB型に転換し始めた。ボーイング707派生型ではE-6が最後の機体となった。E-6Aは、通信機器含む各種システムとともに、ミサイル部隊に発射命令を出す空中発射制御システムも搭載している。
ボーイングが2003年に完了したE-6の最終アップグレードで、マーキュリーは2038年まで使用可能となった。空軍は、E-3空中警報管制システム(AWACS)、E-8統合監視目標攻撃レーダーシステム(JSTARS)レーダー機、OC-135B オープンスカイ監視機を2040年以前に更新したいとする。2018年までには、ボーイングの新型タンカーKC-46AがKC-135に交代しているはずだ。
E-6Bは2003年以降に細かいアップデートを受けている。2014年、パトリック空軍基地に着陸したE-6Bは、新しい通信アンテナを収容するためと思われる追加ドームを装備していた。2017年2月7日には、3つの新しいアンテナ・レドームのセットをテストした後、カリフォーニア州のエドワーズ空軍基地を出発した機体があり、これがおそらく標準となる修正内容だろう。
E-6Bの最新改修では、外側のモールドラインが変更され、上下にコブがついた。 USAF
一般に新しい航空機の開発と試験には時間がかかる。E-6のような重要任務の特殊機材では特にそうだ。
「2038年までわずか20年で、指揮統制機能の大型機を作るのなら、今すぐ企画を開始する必要があります」と、STRATCOMトップ、ジョン・ハイテン空軍大将John Hytenは、2017年3月8日に記者団に語っていた。「海軍が始めている。次期機材の定義で検討の開始を要請しました」。
ハイテン大将はまた、空軍が海軍と組んで、E-6Bのアップグレードや代替機材の最終的な姿を考えるの賢明だと示唆した。「空軍側の要求、つまり機のサイズや形状、能力、耐久性などと非常によく似た任務だ」と語った。
両軍とも、核爆発からサイバー攻撃まで、あらゆる脅威から安全な最先端の通信・防御装置を備えた機体を望んでいるのは間違いない。マーキュリー後継機には、飛行コストを抑えつつ耐久性を高めるため、これまで以上に燃費の良いエンジンも必須となる。
ロッキードは、他企業と提携して代替案の提供もできるが、このミッションに対応した機体を自社で製造していない。ギャラクシーの生産が終了して久しく、現在も飛行中の機体は、近代化改修ずみC-5Mは運用コストが高いことため、EC-5空中指揮所構想が実現することはないだろう。■
Lockheed Once Pitched the Massive C-5 as a Flying Command Center
BYJOSEPH TREVITHICK| UPDATED JUL 3, 2020 4:15 AM
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