西安 Y-20輸送機 Credit: Steve Trimble/AW&ST
中国軍にとって「戦略的・歴史的」の意義のある新型戦闘機が、7月の重要な飛行試験イベントを間近に控えていた
中国共産党が発行する日刊紙「環球時報」は、中国飛行試験施設の政治委員葛和平Ge Hepingの発言を引用し、節目の試験を達成するため一層の努力を部下に求めていると報じた。新型機の正体は確認されていない。
北京はこの20年間、戦闘機の分野で多くの進歩を遂げてきた。十数年前、成都J-20ステルス戦闘機は、高速タクシー試験で偽装されていた。西安Y-20輸送機の最初の画像は10年前に公開され、ハルビンZ-20ヘリコプターの初飛行は9年以上前だった。
H-20計画のタイミングは謎のまま
珠海ショーに天宮宇宙ステーションのレプリカが登場か
珠海で11月8日に開催される「第14回中国国際航空宇宙展(Airshow China 2022)」だが、人民解放軍空軍の「20シリーズ」軍用機のうち、4番目、最後、おそらく最も興味深い機体となる西安H-20ステルス爆撃機の状況は不明のままだ。
成都J-20ステルス戦闘機。Credit: Steve Trimble/AW&ST
長距離戦略爆撃機の一般公開タイミングでの憶測は何年も前から出回っている。中国の軍事指導者の会議はPLAAFがそのような航空機を必要としていると2015年に結論づけた。2016年に当時のPLAAF司令官馬暁天大将Gen. Ma Xiaotianが、中国が新型爆撃機を開発中と公に認めた。製造元のAvicは、2018年5月のプロモーションビデオで、同機デビューが間近であると予告している。米軍は2020年の議会報告で、「先進爆撃機」がこの10年間は就役しない可能性があると述べつつ、プログラムの存在を認めている。
12月に予定されているノースロップ・グラマンのB-21レイダーのロールアウトは、エアショー・チャイナの1カ月後に行われ、PLAAFとAvicは米空軍の新ステルス爆撃機からスポットライトを奪う公の舞台を手にできる。
しかし、中国がこのチャンスを掴もうとしている証拠はほとんどない。7月の初飛行が近いことを示唆するコメントがあったももかかわらず、その間、H-20含むどのプログラムで何の確認も得られていない。
珠海エアショー・チャイナに先立つ9月27日の記者会見で、新たな憶測が飛び交った。中国のあるジャーナリストは、中国空軍の報道官沈錦科上級大佐Senior Col. Shen Jinkeに、「20シリーズ」の新機種が静態展示に登場する可能性があるか尋ねた。環球時報は、沈大佐が「長距離戦略輸送」の新たな成果として、観客が「これまで見たことのない」装備と展示すると答えたと報じている。
新型爆撃機が「戦略的輸送」が可能な長距離機として適格だが、他の選択肢もある。沈大佐のコメントは、西安Y-20Uを指していると解釈できる。中国国営メディアは7月に空中給油型Y-20Uを「公開」し、配備前訓練で戦闘機に給油している様子を見せた。同機は8月下旬に中国北東部の長春航空ショーで一般公開された。
航空ショーもまた、一般公開の場としてはありえない。Y-20のように、計画開始後2年以内に珠海ショーに登場した機体もある。しかし、ほとんどの中国軍用機は航空ショーへの登場前に写真公開されている。
例えば、J-20が珠海に初登場したのは2016年で、飛行試験に入って5年近く経っていた。PL-15ミサイルは2018年に珠海で公式発表されたが、最初の写真が登場して5年後だった。昨年、中国は瀋陽J-16D電子戦機を初めて披露した。2021年の珠海開催はCOVID-19の大流行で1年遅れたが、予定通り開催されていれば、同機も初飛行から5年後にデビューしていたことになる。
その代わりに、同イベントで中国の航空・宇宙産業全体の進展が明らかになる期待がある。中国政府は、約100トンの天宮宇宙ステーションの実物大レプリカを初展示すると決定している。
瀋陽WS-10。 Credit: Steve Trimble/AW&ST
注目される新型中国軍用機
H-20戦略爆撃機
米国の公式情報筋は、ステルス性を備えた全翼機計上の亜音速爆撃機が、2020年代末までに実用化されると予想している。製造元Avicは、このプロジェクトは2008年に正式に開始されたと述べているが、コンセプト開発は1990年代から始まっていたようだ。2016年11月には、当時のPLAAF司令官である馬大将が、長距離爆撃機が開発中と述べ、プログラムの存在を公式に認めた。それ以来、Avicはパンフレットや広告で機体の形状を予告し、ノースロップ・グラマンB-2に概ね似た形状の機体をベールで覆っていた。実際の機体形状は公表されていない。
JH-XX 戦術爆撃機
西安H-20を補完する、ステルス性のある超音速中型爆撃機として、長い間噂されていたコンセプトだ。公式に確認されていないが、2011年以降、JH-XXに関連する未確認のコンセプト画像が時折登場している。米国防情報局が発表した「2019 China Military Power」レポートで「戦闘爆撃機」開発プロジェクトが登場した。同レポートは、この爆撃機がアクティブ電子走査アレイレーダー、長距離空対空ミサイル、精密誘導弾を搭載すると記述しているが、出典や引用はない。
J-?? 次世代戦闘機
成都航空機研究設計研究所の主任設計者王海峰Wang Haifengは、2019年1月、西安の雑誌『Ordnance Industry Science Technology』のインタビューで、第6世代戦闘機は2035年より以前に就役すると述べた。そのような航空機は、改良型ステルス、適応型エンジン、レーザー兵器、極超音速ミサイルを搭載する可能性があると、王は付け加えた。中国の次期戦闘機が軽量J-10の後継機になるというアナリストもいるが、成都J-20の主任設計者である楊偉Yang Weiは、別のビジョンを提示している。中国の月刊誌「Acta Aeronautica et Astronautica Sinica」の2020年7月号で、楊は、次期戦闘機は現在の航空機より高いステルス性、耐久性、航続距離、武器搭載量が必要になると記している。また、次世代戦闘機は非常に大量の情報を収集するため、パイロットがデータを理解するための人工知能アルゴリズムが必要になると楊は述べています。
Y-19/Y-30戦術輸送機
1950年代後半のアントノフAn-12輸送機が原型の陝西Y-8/Y-9型輸送機の後継機として、様々なコンセプトが登場した。Y-19は、提案中のWJ-10エンジンをベースにした双発ターボプロップの後継機となる可能性がある。Avicは2014年の珠海航空ショーで、Y-30と呼ぶ13万ポンドの4発輸送機のコンセプトを披露している。■
China Teases New Bomber, But Timing Remains Unclear | Aviation Week Network
Steve Trimble October 13, 2022
Steve covers military aviation, missiles and space for the Aviation Week Network, based in Washington DC.
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