ウクライナの無人航空機・水上艇が黒海艦隊母港を攻撃し、掃海艇一隻が損傷したとロシアが発表した
クリミア最大の都市セバストポリはロシア黒海艦隊の本拠地だが今朝、無人機や無人水上艇(USV)の攻撃による激しい爆発と対空砲火で目を覚ましたという。
その後、ウクライナ軍は攻撃に使われた無人水上艇が撮影したとする驚くべき映像を公開した。映像には、誘導ミサイルフリゲート艦への攻撃と、ロシア軍がUSVに機銃掃射で交戦する様子が映し出されている。
USVは、9月にセヴァストポリ付近で見つかった謎の無人艇と同じようだ。
9月上旬にクリミアに漂着した謎の無人水上艇。当時、The War Zoneの分析では、ジェットスキーエンジン搭載の「自爆ドローン」とされた
ロシア当局は、ウクライナの無人機はすべて破壊し、ロシア艦は1隻のみ軽微に損傷し、「英国の専門家」が関与していたと主張しつつ、証拠は示さなかった。占領下のクリミアの当局者は、「特別作戦開始以来、最も大規模 」と呼んでいる。
低照度映像には、最も近代的で強力なロシア軍艦プロジェクト11356Rアドミラル・グリゴローヴィチ級フリゲートと、セヴァストポリ港がはっきりと映し出されている。4月に沈んだプロジェクト1164スラバ級巡洋艦「モスクワ」以降の黒海艦隊の旗艦とされる「アドミラル・マカロフ」が攻撃で損傷したとの情報もある。現時点は、The War Zoneはアドミラル・マカロフの損傷に関する報道を独自に確認できないが、USVからの低照度映像は、ミサイルフゲートに接近する様子を映しているように見える。
ロシアのMi-8'Hip'ヘリコプターが沖合の標的と交戦する様子を映した別の映像の裏付けのなる別の映像もある。USVは波と激しい機銃掃射の中を高速移動し、ある時点では警戒艇をかろうじて避け、遠くのCCTVカメラで海上に沈んでいる様子が映し出されている。
セヴァストポリの映像では、水中と港の近くで数回の爆発があり、ロシア国防省は、黒海艦隊プロジェクト266Mナチャ級の掃海艦イワン・ゴルベツが損傷したと確認している。
ロシア国防省のテレグラム・チャンネルでは、ウクライナは午前4時20分に黒海艦隊に対し「英国の専門家の参加を得て」攻撃を開始し、船舶1隻と防御網に軽度の損害を与えたという。ただし、ロシア国防省は、その主張を裏付ける証拠を提示していない。
英国国防省(MOD)は、ロシアがセヴァストポリ攻撃の主張に特に言及せず、「壮大なスケールの虚偽の主張を売り込んでいる」と述べた。ロシア国防省は「この攻撃には無人航空機9と自律型海上ドローン7が関与した」と述べている。「黒海艦隊の部隊が取った迅速な措置で航空目標をすべて破壊した」。
攻撃中、セヴァストポリの外側航路で、「4台の水上無人装備が黒海艦隊の艦載兵器と海上航空攻撃で消滅し、さらに3台が内側航路で破壊された」と、ロシア国防省は述べている。掃海艇「イワン・ゴルベツ」とユジナヤ湾の浮き網ブームに軽微な損害が発生した。
ロシア国防省は、ロシアが「ウクライナからの農産物輸出に関する協定の実施を停止する」と発表した。
ロシアは「黒海艦隊と穀物回廊の安全確保に関わる民間船に対して、英専門家が参加し、キエフ政権が行ったテロ」のため、この決定に至ったと主張している。
ロシア国防省は、「第73海洋特殊作戦センターの訓練は、ウクライナのニコラエフ地域のオチャコフ市で英国専門家の監督の下で実施された」と述べた。
一ヶ月前、The War Zoneは、ロシアがセヴァストポリ港に通じる警備を強化したことを伝えていた。無人水上艦の攻撃の脅威を意識していたのだろう。
クリミア占領当局を引用したRIAノーボスチによると、今回の攻撃は「特別作戦開始以来、最大規模」だった。
今夏のセヴァストポリの黒海艦隊司令部へのドローン攻撃は、戦争の次の章の驚くべき前兆だったことが証明された。ウクライナは即席の無人システム、いわゆる「アリババ・ドローン」でロシア本国にまで攻撃を仕掛けてきた。対艦兵器としての無人艇の投入は、こうした戦術の延長線上にある。ロシアはここ2カ月間、ウクライナのインフラにイラン製神風ドローンを大量使用し、ウクライナも反撃のため神風ドローンの運用を増やしており、ドローン戦争の様相を見せている。
更新: 10:55 am PDT-
今日の攻撃についての感想と分析。
1) 陸上から発射なら、少なくとも130マイル移動しなければならない。しかし、ジェットスキーのような駆動装置で移動する小型の無人装備では、燃料容量と爆薬・弾頭重量に大きなトレードオフがある。当該地区はロシアが警戒しているので、危険な作業だっただろう。
2) ドローン艇の正確な制御方法が不明だ。BLOS(beyond-line-of-sight)man-in-the-loopコンセプトと思われる。そうなら、これほど小さく、比較的単純な装備に大きな意味があります。多くの港湾が危険にさらされ、長距離から非国家主体による攻撃が行われる可能性さえある。動的、反応的、日和見的、機動的な攻撃を実行するため、近接/視線制御をする必要がない。もちろん、静止標的の攻撃は、視線を越えて可能で、それも恐ろしい。しかし、今日のようなダイナミックな機動攻撃は無理だろう。このシステムがBLOSマンインザループ概念に依拠していれば、海戦における実戦使用で新しい展開となる。
3) 一方、GPS航法で自律的に位置決めし、現地の「パイロット」が視線内で拾い、最終目標走行を制御することも可能だ。この場合、複雑だが、実際に重要な段階に動的に操縦・目標設定を維持できるという大きな利点がある。また、BLOSコントロール設定のフォールバックになる可能性がある。
4) 結論として、これは数年前にイランが即席の「自爆」ドローンボートを配備し始めた際と同様に、資金力のある軍隊に移行すると大きな脅威となる。その意味で、ウクライナはこのようなコンセプトを飛躍的に発展させ、作戦展開する(事実上、テストし、その行動から学ぶ)最適な実験室と言える。これらの舟艇は、ウクライナの「アリババ」長距離空中自爆ドローンに匹敵する。急速な進化と能力強化が期待される。
ロシアが配備しているイラン製無人機でも同じことが言える。大幅改良で広く使われるようになり、特にロシアの資金援助があれば、その効果は絶大だ。無人化空間でターボがかかった進展が始まっているといえよう。■
Ukraine Unleashes Mass Kamikaze Drone Boat Attack On Russia's Black Sea Fleet Headquarters
BYHOWARD ALTMAN, STETSON PAYNE, TYLER ROGOWAY|PUBLISHED OCT 29, 2022 12:55 PM
コメント
コメントを投稿
コメントをどうぞ。