Russian President Vladimir Putin and Ukrainian President Volodymr Zelensky. via Twitter
プーチンはウクライナ4地域併合を正式発表する好戦的な演説を行い、ゼレンスキーはNATOに加盟申請の受付を要請した
ロシアのウクライナへの全面戦争は、金曜日、モスクワとキーウからの決闘的で重要なメッセージにより、言葉の戦争の様相を呈してきた。
クレムリンに集まった何百人もの軍や政府のリーダーを前に、プーチン大統領は、ウクライナの4地域の違法な併合を発表する演説で、米国と西側を徹底的に悪者扱いした。
一方、ヴォロディミル・ゼレンスキー大統領は、キーウ市内で、NATOへの早期加盟を求める文書に署名する簡素な式典を行った。
プーチンの37分間演説は、憂慮すべき険悪さ、疑わしい主張、デマゴギー的誇張に満ちており、米国を「悪魔主義」と「新植民地覇権主義」と非難し、欧米を「ロシア恐怖症」でロシアを植民地にしようと述べ、核兵器使用で冷淡なコメントを発した。
「米国は歴史上、核兵器を使用した唯一の国である。前例をつくった」
プーチンはまた、キーウに停戦に同意し、交渉のテーブルにつくよう促したが、ロシアへの編入を圧倒的に支持する見せかけの住民投票を行ったドネツク、ルハンスク、ザポリツィア、ケルソン各州については交渉の余地はない、と言った。
しかし、プーチンが話す間にも、ゼレンスキーの最高顧問であるミハイロ・ポドリャクMykhailo Podolyakが、ドネツクの重要都市ライマンでロシア部隊がウクライナ軍に包囲されているとツイートして、ロシアのリーダーを困らせた。
「8年前、ロシア軍はIlovaisk付近でウクライナ軍を包囲した。わがほうは無抵抗で降伏に同意した。しかし、ロシアは約束を破った。隊列は撃たれた。今日、RFはライマン撤退を求めなければならないだろう。もちろん、クレムリンが兵士に関心を持てばの話だが」。
一方、キーウでは、ゼレンスキーがNAT加盟要請の迅速化を説明した。
「事実上、我が国はすでにNATO加入への道を完了している」「すでに同盟の基準に対する相互運用性を証明しており、ウクライナでは戦場や相互作用のすべてにおいて現実のものとなっている。われわれはお互いを信頼し、助け合い、守り合う。これがアライアンスの姿です。ウクライナは正統の権利として申請している。我々の共同体全体を保護すると意義に合致した手続きで。加速された手続きの下で」
ゼレンスキーはまた、ロシアと交渉する日が来るかもしれないが、その場合はプーチンが大統領でないときだろうとも述べた。
NATOはウクライナ発表に当惑 イェンス・ストルテンベルグNATO事務総長は金曜日の記者会見で、ウクライナ記者にこの問題について質問され、はぐらかした。
「欧州の各民主主義国家にはNATO加盟を申請する権利があり、NATO同盟国はその権利を尊重している」と述べた。「NATOのドアは開かれていると、繰り返し表明してきた。NATO同盟国は、マドリードのNATO首脳会議で、ウクライナが独自の道を選び、どのような安全保障体制に属したいかを決める権利があるのを支持すると、明確に述べている」と述べた。
しかし、ストルテンベルグは、NATOがゼレンスキーの要求に応じ行動するかという質問に直接答えなかった。
「加盟決定は30カ国すべての同盟国が承認する必要があり、コンセンサスにより決定を行う。現在の焦点は、ウクライナがロシアの残忍な侵略から自らを守るため当面の支援を提供することにある。それがNATO同盟国の努力の中心だ」。
直接回答を避けることで、ストルテンベルグは、ウクライナのNATO加盟が近いうちにありそうもないという茨の道を横取りした。ゼレンスキーの要請は、米政府関係者の意表をついたようで、ジェイク・サリバン国家安全保障補佐官は、今はそのような行動を取る時期ではない、と示唆した。
ストルテンベルグ事務総長は、他の問題にも言及した。ドイツ人記者から、不法に併合された領土に対するウクライナの攻撃が、プーチンによるより大きな反応を呼び起こす懸念があるかと尋ねられ、ストルテンベルグはウクライナには自衛の権利があると述べた。
「ウクライナには、ロシア軍が占領中のウクライナ領を奪還する権利がもちろんある。だから我々は彼らを支援している。自衛のためだけでなく、領土解放を継続するためでもある。そして、ウクライナ領土を違法に併合しても、紛争の性質は変わらない。なぜなら、もし我々がロシアによる併合と核による妨害行為を受け入れれば、核による脅迫を受け入れることになるからだ」。
ロシアの反応がひどい ストルテンベルグはモスクワの一部の反感を買い、ロシア連邦の安全保障理事会副議長でプーチンの盟友であるドミトリー・メドベージェフDmitri Medvedevは、ストルテンベルグが 「止めないと、ウクライナのかなりの部分が消滅する」との薄っぺらな脅しを発した。
当然ながら、プーチン演説は支持者からは称賛され、反対者や敵からは広く嘲笑と軽蔑を浴びた。
ロシアの政治アナリストでプーチン支持のアレクサンダー・ドゥーギンAlexander Duginは、先月モスクワで彼を狙ったはずの自動車爆弾テロで娘のダリヤ・ドゥギナを失ったが、この演説を「近代西洋と近代世界一般に対する根本的な宣戦布告」と呼んだ。
そ演説後にプーチンが赤の広場に姿を現すと、モスクワの大観衆は万雷の支持を示した。
西側はロシアに反感 米国はその他多数国とともにプーチンの併合策を速やかに非難した。アントニー・ブリンケン国務長官は、米国がロシアに新たな制裁措置を発動する中、今回の動きを非難した。
オープンソースインテリジェンスと専門家や市民ジャーナリストのネットワークの活用を専門とする調査報道グループ、Bellingcatのエグゼクティブディレクター兼ロシア調査主任のクリスト・グローゼフChristo Grozevは、「プーチンのこれまでのスピーチで最も狂った内容」とした。
また、メドベージェフが居眠りをしているように見えるなど、聴衆の反応を揶揄する声もあった。
聴衆の誰かによほど緊急の電話をかけてきたのだろう、演説中に電話をする姿も映し出されていた。
しかし、チェチェン共和国の首長ラムザン・カディロフRamzan Kadyrovは、プーチンの言葉に心を動かされたようだ。
プーチンの好戦的な演説は、ウクライナで負け続けるロシアが、敗北を食い止めるため核兵器を含む必死の行動に出るかもしれないという懸念を増大させている。
最新情報
ライマン包囲戦 プーチンの脅迫と何十万人ものロシア人の動員にもかかわらず、ウクライナ軍は地上で前進を続け、ライマンで侵略軍を断ち切るところまで来ているようだ。同市はロシア軍の重要な物流拠点だ。
ゼレンスキーは、キーウ時間金曜日の夜遅く、自身のテレグラム・チャンネルで、「わが国東部で実質的な成果があった」と述べた。「このことについては、すでに情報が公開されている。ドネツク州ライマンで何が起きているのか、誰もが耳にしている。これらは我々にとって大きな意味を持つステップだ」と述べた。
夜のビデオ演説で、ゼレンスキーは、ライマンの南東約7.5マイルのヤンピル村を奪回した部隊に感謝した。そして本日未明、ウクライナ国防省は、第81空挺旅団がライマンの北西約6マイルにあるドロビシェ村を解放したと発表した。
ロイター通信によると、「ライマン周辺のロシア軍陣地が崩壊したことで、ウクライナ軍が東にさらに前進する可能性が出てきた」という。
ロイターによると、「ドネツク州北部の町を占領すれば、ウクライナが隣接するルハンスク州に進出する道が開かれ、2月に全土制圧に失敗したプーチン軍が宣言した工業地帯ドンバス地方全域を奪取する目標を阻止できる」と軍事アナリストは述べている。
戦争研究所ISWは、最新の戦場評価で重要ポイントをまとめた。
クレムリンは、動員宣言のわずか8日後にロシア官僚機構の組織的な失敗を認識しながらも、表明した「部分動員」手順に違反し続けており、自らのメッセージと矛盾している。
ベラルーシは新たに動員されたロシア軍人を受け入れる準備をしているかもしれないが、ロシアの代理でウクライナに参戦する可能性は依然として低い。
ウクライナ軍はライマンのロシア軍集団の包囲をほぼ完了し、ドロビシェフ-ライマン地域のロシア軍を支える重要な地上連絡線(GLOCS)を切断したようだ。
ウクライナ軍当局は、ケルソン州でのウクライナ軍の地上作戦について沈黙を守っているが、ロシア軍がケルソン州の前線を強化するため、新たに動員した部隊を配備していると述べている。
ウクライナ軍は、ケルソン州のロシア軍兵站、輸送、軍事資産を引き続き標的としている。
ロシア軍はドネツク州で地上攻撃を継続している。
ロシア軍は、ウクライナ南部でイラン製無人機「シャヘド136」の使用を増やしている模様。
ロシアの独立系世論調査機関レバダ・センターによると、世論調査対象のロシア人の約半数が動員を不安視しているが、ロシアの軍事行動への支持は44%とわずかに減少したに過ぎない。
ウクライナ当局は、プーチン大統領の併合発表を受け、クレムリンが占領地域のウクライナ国民を動員するとの懸念を改めて表明した。
ロシアの核攻撃の予想範囲 プーチンが核戦争の危機を再び煽ったことから、ISWは「前線を凍結し、ウクライナの反撃を阻止するという望ましい作戦効果を得るためには、ウクライナで戦術核兵器複数発を使用する必要がある」と指摘している。
しかし、その作戦効果は、NATOの報復による非常に高い代償に見合うものでなければならない。
「プーチンは、ウクライナに衝撃を与え降伏させるか、欧米にウクライナへの援助を打ち切らせるため、ウクライナ主要都市や重要インフラに核テロを仕掛けてくるかもしれない。しかし、そのような攻撃でウクライナや欧米が降伏する可能性は極めて低く、プーチンが歴史的に拒否してきた途方もないギャンブルになる」。
2月24日以降のウクライナの粘り強さを考えれば、そのような賭けが実を結ぶ可能性は低く、米国との同盟国は「前例を作ることになるため」屈しないだろうとISWは評価している。
「プーチンには、戦術核兵器の主な使用オプションが2つあると評価している。ウクライナの地上通信線の主要ノードと司令部を攻撃してウクライナの攻撃活動を麻痺させる、前線付近のウクライナ軍の主要集中地を攻撃するかだ」。
単一の核兵器使用は、「標的のいずれに対しても決定的にならないだろう。プーチンは、大きな効果を上げ、ウクライナの反撃能力を混乱させるため、ウクライナ全土で戦術核兵器複数を使用する必要があるだろう」。
これだけの規模は、「西側による報復のリスクを高め、プーチンが、攻撃そのものがもたらすはずの一時的な利益と比較検討すべき潜在的コストを増大させるだろう」。
西側追加供与の発表間近か さらに西側兵器がウクライナに向かっている。ホワイトハウスで、国家安全保障補佐官ジェイク・サリバンが、今週発表の11億ドの武器パッケージに言及し、「来週にも緊急安全保障支援を発表する」と述べた。このパッケージは数億ドル相当と、政権関係者がPOLITICOに確認した。
ゼレンスキーの挑発 戦争が長引くにつれ、ゼレンスキーはロシア人を挑発し続けている。ロシア軍はウクライナに認識票をつけない兵士を送り込んでいる。そこでゼレンスキーは、「あなたが殺されたときに、あなたの親族を見つける方法がわかるように、体に名前を刺青するように」と要望している。■
Ukraine Situation Report: Putin Claims More Of Ukraine, Zelensky Applies To NATO
BYHOWARD ALTMAN| PUBLISHED SEP 30, 2022 6:06 PM
コメント
コメントを投稿
コメントをどうぞ。