H I Sutton Image used with permission
9月末、セヴァストポリのロシア海軍基地付近のクリミア海岸に、出所不明の小型無人水上バイクが黒海から流れ着いた。
ロシアのソーシャルメディアに投稿された写真には、爆発物を積んだ商用水上艇の部品で作られた小型の新型水上ドローンらしきものが写っており、ここ3週間にわたり艦艇を活動させてこなかったロシア海軍の傾向を説明できるかもしれない。
この無人水上機には国籍マークは付いていないが、USVの特徴や水上機を破壊したロシアの反応から、こウクライナ発のものであることが示唆されている。
ソーシャルメディアに公開された写真から、USVの主要な構成要素が明らかになり、機能をより良く知るヒントとなった。
ロシアのSNSで出回ったウクライナ製USVといわれる画像。. Image via Naval News
同艇の写真を分析したところ、レクリエーション用のウォータージェット推進だと判明した。このウォータージェットは、Sea-Dooデザインに酷似しており、ハウジングに貼られた「No Step」のステッカーまで確認されている。
ハウジングに貼られた "No Step "のステッカーとスラストリバーサーのラインの画像から比較的新しいモデルであることを示し、おそらくGTXまたはFish Proモデルであることがわかる。
Sea-Dooはカナダのパーソナルウォータークラフトメーカーで主に民間市場をターゲットに、世界各地で製品を販売している。つまり、比較的容易に入手できる。
外観上の手がかりから、パワープラントについて強いヒントを得られなかった。しかし、シードゥーの一部のモデルは、ロータックスの高性能3気筒ガソリンエンジンを搭載し、水上バイクを時速70マイルまで駆動できる。レクリエーション用の水上バイクには、ディーゼルや電動のものもあるが、シードゥーのウォータージェットと相性が良いガソリンが最も多いようだ。
このUSVのもうひとつの大きな特徴は、ドローンの起爆方法だろう。船首には、衝撃信管と思われる2つの突起があるす。これは、現在でも広く使われているソ連時代のFAB-500ファミリーの航空爆弾の信管と外観が似ている。
導火線は起爆装置と弾頭にケーブルで接続されていると思われる。弾頭の大きさや位置は不明だが、おそらく艇の前半分に搭載されているのだろう。
水上バイクは一般的にグラスファイバーやそれに似た素材で作られているが、今回の自爆USVは、ソーシャルメディアの写真から外観を見ると、アルミニウム製に見える。
国防総省の報道官は、米国が今年初めにウクライナに提供した正体不明の沿岸防衛用USVがこのUSVであるかどうかを確認しなかった。
自爆USVは以前からある
イエメンのフーシやアルカイダを筆頭に、他のグループも近年、USVを爆発艇として使用している。イラン革命防衛隊海軍は、USVの設計と使用においてフーシを支援した可能性があると、USNI Newsは以前に報じていた。
2017年には、サウジアラビア海軍のフリゲート「アル・マディーナ(702)」の水兵2人が、フーシの仕業とされるドローンボートの攻撃で死亡したと米第5艦隊が当時確認している。
しかし、これまでの爆発ドローンボートは、有人ボートの応用であり、長い航行のためパイロットポジションを保持している。今回はサイズとパイロットステーションの欠如により、ウクライナの疑いのある艇は、完全に無人であることが際立っている。また、サイズが小さいため目立たず、発見されにくく、対策も立てにくい。
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新たな自爆型USVの登場で、セヴァストポリ付近とクリミア周辺でのロシア海軍作戦の欠如が説明できる。船舶監視員によれば、9月下旬に謎のUSVが発見されて以来、ロシア軍は防衛されたセヴァストポリ港に退却し、港の入り口付近に配置する艦艇を減らし、港の口をブームで仕切りアクセスを制御するようになったとのことである。
ロシア海軍がセヴァストポリから黒海で活発なパトロールを始めたのは、10月8日のケルチ海峡橋攻撃の後である。■
Suspected Ukrainian Explosive Sea Drone Made From Recreational Watercraft Parts - USNI News
By: H I Sutton
October 11, 2022 3:44 PM • Updated: October 11, 2022 4:38 PM
About H I Sutton
H I Sutton is a writer, illustrator and analyst who specializes in submarines and sub-surface systems. His work can be found at his website Covert Shores.
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