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エイブラムズXについて。新技術とウクライナ戦のフィードバックはどこまで有効なのか。

 




General Dynamics Land Systems
が米国陸軍協会の年次シンポジウムで発表した新型エイブラムズXは、戦闘で実証ずみの重装甲戦車の主要要素と、パラダイムを変える可能性のある革新的技術を融合している。

 

 

 

地上ロボット、無人プラットフォーム、攻撃ドローンの制御、ステルス戦闘機や前方部隊との目標データのネットワーク化、精密誘導および軌道修正式弾薬による敵車両の破壊、大量の各種データの受信を瞬時に処理するなど、陸軍の未来の主力戦車が高度な敵に対して行うべきことはすべ備えている。

 

エイブラムズX

360度サーマルサイト、次世代弾薬、殺傷力の高い無人砲塔を備えた、重量60トン、AI搭載、低燃費のハイブリッド電気主戦戦車が、米陸軍の「デモンストレーション」用として登場した。

 


エイブラムズX

 

GDLSの新型エイブラムズの出現は、エイブラムズXのようなテクノロジー、無人システム、機動陣形、高い生存力の重機械化プラットフォームを新しい脅威環境に適合させる最善の方法に関する陸軍の進行中の分析および実験と密接に関連している。疑問も残る一方で、陸軍が大きな熱意と決意を持って歓迎する明確なものは技術革新だ。

 「陸軍の戦闘戦車の未来がどうなるかを語るのは時期尚早です。お伝えできるのは、我々は道を探している、ことはご存知のとおりで、我々が行う必要がある投資はご存知の通りで、可能性の芸術であり、AFCが次世代戦闘車両CFTを通じて実験を継続し、教訓を抽出し始めるだろうと見ている」と陸軍次官Gabe Camarilloはインタビューでウォーリアーに語った。

 陸軍は、エイブラムズXのような特定製品について特定の立場を取らないように注意することがよくあるが、エイブラムズXでは陸軍はイノベーションに強くコミットしている。

 目標の一部と概念的な焦点は、激戦時における生存能力と、主力戦車の機動性、遠征作戦、速度、殺傷力の最適なバランスを見つけることに集中している。軽量装甲複合材、アクティブ・プロテクション・システム、AI搭載コンピューティング、エレクトロニクス、センシング、長距離殺傷力など、パラダイムを変える新技術を活用して、敵の激しい攻撃から最高の防御力を発揮する最適点はどこにあるのか?

 GDLSのエイブラムズXは、重要な重装甲技術を、新世代のイノベーションで構築した新しい戦車設計に織り込み、これらの疑問に対する画期的な道筋と答えを提供する取り組みを行っている。GDLSが「Katalyst」と呼ぶ共通規格とIPプロトコルを用いた技術構成で構築したオープンアーキテクチャのプラットフォームになったエイブラムズXは、今後数年間の継続的な近代化プラットフォームであると同時に、現在の戦闘にパラダイムを変える殺傷能力をもたらす設計になっている。このように、エイブラムズXは、重装甲プラットフォームの最適な技術構成に関する課題を解決するとともに、急速に変化する脅威環境に適応するべく、今後数年間で進化、成熟、アップグレードする位置付けがなされている。

 GDLSは、エイブラムズやストライカーなど主要戦闘プラットフォームの製造元として長年知られていますが、特に近年は、イノベーションと社内資金による「破壊的」または「画期的」技術の研究、実験、分析にも重点を置いている。同社の兵器開発担当者は、これらの技術の多くがエイブラムズXに組み込まれており、新世代の戦闘の可能性をもたらすと述べています。GDLS社が陸軍境界イベントで発表したストライカーXの技術実証車両も同様だ。

 General Dynamics Land Systems の米国ビジネス開発ディレクター、ティム・リースTim Reeseは、Warriorインタビューで、「より軽量で、より効率的なハイブリッド電気パワーパックを持っているので、燃料消費量が少なく、車両のサブシステムの連携機能に関してAIと機械学習を使用した高度な電子アーキテクチャを持っています」と述べている。「当社の社内投資とパートナーの投資であり、まだ陸軍の正式事業ではありません。これは、技術実証車両です。当社は、現在の問題を解決したり、今はない新しい能力を提供する技術を、陸軍にデモしています」。

 エイブラムズXに搭載された技術に関する詳細の多くは、保安上の理由で非公開のようだが、軽量化に関するリースのコメントは非常に重要で、エイブラムズXは60トンで機能し、既存の72トン級エイブラムズよりおよそ12トン少ない。このため、機動性、展開性、戦闘速度が大幅に向上し、さらに、脅威の状況に応じ追加の重装甲を装備できる。

 「燃料消費を約50%削減できると考えています」とリースは述べている。

 未来の戦場では、より高速で、より分散した編成で戦わなければならないため、重装甲車両は操縦性、速度、燃料効率、長距離展開の能力を向上させる必要がある。そのため、橋を渡り、戦術車両と歩調を合わせ、燃料を節約し、物流負担を小さくする必要がある戦闘力にとって、脅威に合わせて保護を調整できるモジュール式の重量調整機能は非常に重要だ。

 「当社ではある程度の装甲があれば60トンで維持できると考えていますし、陸軍が望めばそれ以上にもできます。砲塔から乗組員を取り出して車体に格納すると、重装甲砲塔が無人状態になります。そこが軽量化のポイントかもしれません。当社が軍に伝えているのは、無人砲塔に想定する保護レベルを教えてもらえれば、重量をお知らせしますよ、ということです」とリースは言う。

 この方程式の一部として、軽量複合材料の分野における次世代技術革新が、現在可能な範囲よりも軽い重量で極めて高いレベルの防護を実現する可能性があることは確かだ。このような疑問は、陸軍の科学者が分析されており、エイブラムズXの有望性や成功に関わるかもしれない。しかし、新しい軽量装甲複合材料の成熟度や準備に関する技術的な詳細について高官は当然のことながら、話してくれない。また、陸軍研究所の長年の焦点であった画期的な装甲複合材に関する質問だが、エイブラムズXは必要に応じて装甲構成を「アップスケール」または「増加」する能力で運用される。エイブラムズXはまた、無人砲塔と乗組員3人名で構成され、軽量で最適な機能性と生存性を実現できるとリースは述べている。

 

Tim Reese, Director, US Business Development, General Dynamics Land Systems

Tim Reese, Director, US Business Development, General Dynamics Land Systems

 

 

「無人砲塔で、乗員はすべて車体にいて、コックピットスタイルのコントロール画面を共有し、戦車内のすべての電子機器を支えるこのアーキテクチャによって、地上車両や航空車両との有人無人チーム編成を可能にします。もうひとつの革新的技術は、120mm砲の自動装填技術です。ハイブリッド電気パワーパックは、エンジンを作動しない長時間の無音監視能力と、ちょっとした無音移動能力を与えてくれます」(リース氏)。

 この車両は、上部独立したサーマルビューワー2個を備え、車長と砲手の両方が、受信したターゲットデータを収集するための360度カメラを持ち、データをAI対応のKatalyst車両電子アーキテクチャで分析し送信できる。

 GDLSは、軽量車両で生存性を維持・向上させ、重防御を可能にするため、パートナーと協力して、向かってくる敵のRPGや対戦車ミサイルを感知、追跡、迎撃できる「半球型」アクティブ保護システムの構築に取り組んでいる。興味深いことに、GDLSのAPSは、トップダウンの対装甲攻撃から戦車を保護する能力を備える。ウクライナでは、戦車上部を狙ったトップダウン・ミサイル攻撃がロシア軍戦車を撃破した。

 「私たちは、地上車両に対する脅威が日々高まっていることを世界各地の活動から学んでいます。そこで、パートナー企業と協力し、現行のAPSシステムを使用して、レーダーとランチャーシステムを正しい方向へ導き、上部をカバーし、上部攻撃の脅威への防御を実証しました」(リース)。■

 

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