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膨大な情報を扱うべく米政府の各情報機関が毎日活動している。日本がファイブアイズ並みの待遇を受けても同様に情報を提供しなくてはいけないが可能なのか。

 Intelligence Community

国家安全保障作戦センター(NSOC)はNSAにあり、リアルタイムで機

微情報のSIGINTを統括する。(NSA).


間予算が600億ドルという米国の情報機関社会 Intelligence Communityは巨大組織で能力も高い。情報機関社会は国防の最前線で、政策決定層に米国の国益に有害な脅威を正しく伝える役目がある。だが、どの機関が最も優秀なのだろうか。

情報機関の中でも突出した2機関

米国の情報機関というとまず二つの名前が出てくる。中央情報局(CIA)と国家安全保障庁(NSA)だ。ともに長く活動しており、米国の情報活動の先鋒を担っている。ただし、情報活動の方法は異なる。ときに両機関の活動方法が同じ方向に向かうこともあるが、別の方向を模索するのが通例だ。

CIAは米国の人的情報集活動(HUMINT)で筆頭の機関だ。四つの任務を実行する。海外情報の収集、客観的分析、秘密工作の実行、米国の機密情報の防御(対諜報活動)だ。CIAは分析部、作戦部、科学技術部、支援部、デジタルイノベーション部の5部構成だが、各ミッションセンターが活動を展開し、各部人員をまとめ課題に取り組む。 

例としてロシアミッションセンターでは作戦部要員がHUMINTを行うためスパイや協力者を募る。こうした情報源による情報は分析部人員が吟味して「顧客」へ提供する。大統領もその一部で大統領向け日刊情報まとめ(PDB)を提供しており、国防長官やFBI長官も名を連ねる。

Intelligence CommunityCIA本部にある職務中犠牲となった職員の星を見れば情報活動に犠牲が伴うのがわかる。 (CIA).

NSAは暗号運用に特化した組織で海外の通信情報収集(SIGINT)にあたるが、同時に米国の各種情報システムの防衛にもあたる。NSAによれば米国で数学者の雇用規模が最大でおそらく世界規模でも同様だろうという。外国語分析の専門家も多数雇用している。

1952年に生まれたNSAは国防総省の一部分であり同時に情報機関社会の一員でもある。NSAの顧客は政府全般に及び、軍事部門、政策決定部門のほか他の情報機関さらに海外同盟国の中で中核的な存在のファイブアイズ(オーストラリア、カナダ、ニュージーランド、英国)も含む。

 Intelligence Community謎に包まれたNSAの本部はメリーランド州フォートミードに置かれている。(Wikimedia.org).

NSAとCIAが脚光を浴びるのは重要だが、情報機関全体や情報活動政策乗レベルに注目があつまらないことがある。それぞれの集めた情報が精査う決定層によりよい決定をさせる要素となる。情報機関自体は何ら政策の決定に携わない。今日の世界では秘密工作活動の例として敵対国家の政権転覆や反乱勢力への武器供与は一部CIA要員が単独で行うことはなく、大統領が決裁し議会が情報機関社会の年間予算の中で予算確保し実行されている。

HUMINT 対 SIGINT

人的情報収集活動(HUMINT)は耳にすることがあっても実態がよくわからない用語で、一見して意味がないように見える軍事略語として扱うことが多い。ただし真実はHUMINTは国家防衛戦略の基礎を構成しており、諜報活動の中で最古だが延々と展開されている形態である。

ある程度までHUMINT情報活動は一般社会で描くスパイ活動に近いが、殺人許可書などはない。情報工作員はHUMINTを情報源から直接収集することはない。現地の情報源に情報を集めさせる。人的情報収集の手段には社交会話から尋問まで幅広い手段がある。HUMINTには以下の多様な形態がある。

  • 写真、文書その他情報を秘密のうちに確保する

  • 海外の公開情報を集める

  • 海外渡航した外国国籍あるいは米国市民から事情聴取

  • 海外政府に公式接触する

これに対し通信情報収集(SIGINT)は敵あるいは競合相手、非国家勢力の交信内容を傍受することで、地上線経由の電話内容、携帯電話の交信、水中通信ケーブル、暗号化高周波通信魔でNSAはあらゆる通信を傍受する。

NSAはSIGINTを戦略、戦術両面で展開する。戦略とは中国の通信中継点を盗聴することが例で、戦術はたとえばSIGINT技術を新たに開発しテロリストの携帯電話通話を監視し聞き取り情報を特殊作戦部隊に送り、強襲作戦を実施させることだ。


米国情報機関は国防の第一線

米国の情報機関社会は1981年12月4日に発足し、米政府内17機関を取りまとめた組織体となっている。各機関は独立して運用されるが、ともに活動し米外交政策を支える、あるいは国家安全保障の目標を支援する。加盟機関には情報機関、軍の情報部門、民間情報機関として連邦政府省庁内に設置されたものが含まれる。各機関を統括するのが国家情報長官官房(ODNI)で、国家情報長官は大統領に直属する。

加盟17機関には省庁に付属しない独立運営機関が二つあり、省庁付属の7機関、国防総省付属の8機関がある。

Intelligence Community

ODNIの下に置かれた情報機関は以下の通り。


  • 国家情報長官官房(ODNI)

  • 中央情報局(CIA)

  • エナジー省(DOE)情報対諜報局

  • 国土安全保障省(DHS)の情報分析局

  • 沿岸警備隊情報部

  • 連邦捜査局(FBI)の情報部門

  • 麻薬取締局(DEA)の国家安全法相情報局

  • 国務省の情報調査局

  • 財務省の情報分析部門

  • 国防情報局

  • 国家安全保障庁(NSA)/中央安全保障サービス(CSS)

  • 国家地理空間情報庁(NGA)

  • 国家偵察局(NRO)

  • 空軍情報部

  • 陸軍情報安全保障本部

  • 海軍情報部

  • 海兵隊情報活動部

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American Spies: How the US collects intelligence around the world

Sandboxx | July 23, 2021


コメント

  1. ぼたんのちから2021年7月30日 9:19

    米国の情報機関には大きな欠陥があると推測する。
    それは、①リスクの高い脅威に対する不十分な評価、➁政治に左右され易いこと、③外部勢力の浸透である。
    米国に対する脅威の評価は、結果論になるが、1990年代から緩いものになっていたと推測する。例えば、CCP中国に対する評価、アルカイダの危険性の評価、イラク戦争の発端となった大量破壊兵器の評価等、その後の米国の行く末を左右しかねない評価ミスがあるが、是正されていると思えない。
    情報機関に対する政治の関与は、トランプ政権時に明らかになったが、情報機関相互、あるいはその内部に政治抗争が持ち込まれ、都合の良い情報の選別やサボタージュが露見したが、これはあってはならないものだろう。
    そして、最も重大なことは、情報機関内への中国情報機関の浸透ではなかろうか。中国の国家安全部の高官が米国に亡命し、それを取り扱う情報機関を逆指名した。その理由が他の情報機関に中国の情報機関が浸透しているからと報道されたが、これが真実ならば極めて深刻な問題だろう。
    上記の米情報機関としての欠陥は、恐らく今も内在している。
    日本に情報機関を設置する議論があるようだが、米情報機関を反面教師として、真に国家に役立つ機関にしてもらいたいものだ。

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