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稼働可能エンジンが不足し、米空軍F-35Aの15パーセントが飛行不能に。海軍、海兵隊、一部海外国でも同様の状態で計46機が地上待機。

 

  • F-35 Heritage Flight Team performs in Bell Fort Worth Alliance AirShow

U.S. AIR FORCE/SENIOR AIRMAN ALEXANDER COOK

 

 

計46機のF-35が稼働可能なエンジンがない状態になっている。原因はタービンローターのブレイドの耐熱塗装が予想より早く摩耗しているためだ。エンジン点検施設は修理作業予定で埋まり、第一線機材に影響が表れており、米空軍は深刻な稼働率問題に直面している。

 

下院軍事委員会の戦術航空戦力・地上兵力小委員会での公聴会にエリック・T・フィック空軍中将(F-35共同事業室長)が空軍のF-35で41機に加え海兵隊、海軍それぞれ1機さらに海外出荷分3機がエンジンがなく飛行不能の状態にあると述べた。数字は7月8日現在。

 

ただし、エンジン不足をきたしているF-35の型式別機数は不明だ。空軍はF-35A、海軍はF-35Cのみそれぞれ運用しているが、海兵隊はF-35BおよびF-35Cを飛ばしている。

 

空軍では今年5月8日時点で283機のA型が納入済みだった。となると15パーセント弱の機体がエンジン不足で飛行できない状態にあることになる。

 

「カルシウム-マグネシウム-アルミ-シリカ(CMAS)劣化が予想外に出現しており、補給処への問合わせが増えている」とAviation Weekのスティーブ・トリンブルがツイッターに投稿している。「補給処がボトルネックで、想定の二倍以上の作業が必要となっている」

 

問題の補給処とはオクラホマのティンカー空軍基地内のF135重整備センターだ。ここがF-35が搭載するプラット&ホイットニー製ターボファンエンジンを整備する。F135エンジンは同センターが一括修理し、海軍、海兵隊用含む一部F-35事業パートナー国の機材も対象だ。

 

トリンブルは同補給処での作業が「低下中」としており、運行経費への批判が高まり空軍トップまで矢面に立たされている空軍に別の問題が発生している。

 

ただしエンジン問題が今始まったわけではないことに注目だ。F135エンジンの不足は2月に報じられており、ティンカーAFB施設で予定通りのエンジン補修ができないとあった。

 

作業の滞留を招いている要素に「ローターブレイド表面塗装の早期摩耗」があるとDefense Newsはその時点で指摘していた。補給処で予定外の作業が追加されたことになる。当時、匿名の防衛関係者が同誌にブレイドの摩耗状態から機体の稼働に深刻な影響が出ると指摘していた。

 

状況は悪化の一途のようだ。2月時点ではF-35の5-6パーセントでエンジン不足が2022年に発生すると予想されていた。条件として予定通りの補修作業が完了する前提だった。ただし、作業がこの通りに進展しないと空軍F-35で飛行不能となる機体は一気に20パーセントになるとの想定だった。

 

5月の実態から修理がある程度進展しているものの、エンジンがないままのF-35は予想より増えていることがわかる。

 

タービンローターのブレイド問題より前にペンタゴン高官はF-35のエンジン問題がミッション成立率に影響を与えると懸念を示していた。空軍機材のうち何機が任意の時点でミッションに投入できるかの指標だ。

 

エンジン問題のためF-35Aの航空ショー出典が減らされた。ユタ州ヒル空軍基地の388戦闘航空団が展示飛行を担当している。エンジン補給処の負担を減らす措置だった。

 

CMASブレイド塗料の問題解決策がいつ必要と認識されたのかは不明だ。ただし、2020年初頭の段階でペンタゴンはエンジン不足問題を公表していた。

 

F135重整備センターでは先月から夜勤も導入されたので現在200日の工数を122日に短縮化する狙いが実現し状況は緩和されるかもしれない。

 

プラット&ホイットニーからはエンジンブレイド改修用のハードウェアを昨年導入しており、オーバーホール用エンジンにも使っているとしている。

 

F-35ではF135以外の選択肢もあと一歩で利用可能となるところだったことを改めて思い出す必要がある。だがジェネラルエレクトリック/ロ-ルスロイスF135ターボファンは不必要な経費を発生させるとして2011年にキャンセルされたが、開発は8割進んでいた。今となっては別のエンジンがあればと悔やまれる。

 

F135エンジン問題は一時的となるかもしれないが、今回の問題露呈は同機の維持コストに関する懸念の高まりの中で発生した。トルコが共用打撃戦闘機事業からの脱退でF135のコスト上昇しているとの報道もある。ただし、整備問題は直接つながりがない。

 

F-35の長期ロードマップではエンジン改修の可能性も出ている。適応サイクルエンジンは空気流入量を調整し燃料効率を高めることで航続距離が延び選択肢となる。プラット&ホイットニー、ジェネラルエレクトリック両社が空軍研究本部の適応型エンジン導入事業(AETP)で開発を進めている。短期的にはAETPで生まれる技術がF135改修に応用される可能性もある。

 

他方、まったくの偶然とは思えないのはF-35A飛行展示チームが5月25日にティンカー空軍基地へ立ち寄り「補給処でF-35エンジンや関連部品の整備にあたる隊員への感謝の念を伝え」たと空軍が報道発表していることだ。

 

「航空戦闘軍団司令【マーク・ケリー大将】からF-35整備にあたる人員を勇気づけたいとの希望が示された」とオクラホマシティー航空補給施設司令ジェフ・キング准将が述べていた。

 

 

エンジン整備作業を円滑にすべく努力していること、タービンローターブレイドの摩耗問題の解決策でエンジン不足問題が解決し、46機が任務投入可能状態に復帰することを期待したい。■

 

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Fifteen Percent Of US Air Force F-35s Don't Have Working Engines

Marine Corps, Navy, and foreign F-35s are also being impacted by ongoing problems with the jets’ engines.

BY THOMAS NEWDICK JULY 14, 2021



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