中国の艦艇建造が加速中だ。隻数で米海軍を上回る規模になった。
中国の新鋭艦建造では054A型、056型、052D型の各艦が今後3年以内に多数完成する。PLANは太平洋で米海軍にとって代わろうとし、水上艦建造は今以上に増え、空母、強襲揚陸艦も加わり、輸出も増えそうだ。
極端なほど早い中国の艦艇建造で人民解放軍海軍(PLAN)は注目の対象になっている。PLANは艦艇の近代化と拡張を同時に実現しつつある。建造規模は冷戦の頂点時もうまわり、空母から海防艦に至るまでここまで迅速に海軍力を整備した国はない。そのため、中国の海軍力に注視し何を目指しているか絶えず理解していく必要がある。
【空母では003型に注目】空母は二隻が供用しており、三隻目が建造中である。2017年に一号艦遼寧が海南島及び香港に二回にわたる長期航海を実施したと2018年度版中国の軍事力報告書が指摘している。このことは供用開始後3年が経過しても同艦はまだ海外寄港が皆無だということだ。
二号艦002型山東は外観寸法ともに遼寧と近く、通常動力艦でスキージャンプ式発艦方法も同じだ。艦橋がやや異なり、新型電子スキャンアレイレーダー(AESA) の搭載が目立つ。搭載機数もJ-15の20-30機と遼寧より増えている。
他方で三号艦003型は艦名不詳で上海で建造中だ。002型と異なり、モジュール方式(米国では「スーパーリフト」と呼ぶ)の建造で米海軍向け空母と同様の建造方式となっている。建造方式以外に新型空母は米空母同様の原子力推進となり、蒸気式あるいは電磁式カタパルトを採用したと伝えられる。
【075型強襲揚陸艦】正規空母以外でも075型強襲揚陸艦はヘリコプター運用が可能で米海軍ワスプ級に匹敵する。先に就役した071型ドック式揚陸艦に続く075型は全通飛行甲板、アイランド型艦橋をもち、輸送ヘリコプターの運用を想定している。さらに726型ホバークラフトも搭載する。075型は米強襲揚陸艦同様に固定翼垂直着陸機の運用も可能だが、今のところこの性能を有する機材は確認されていない。075型は2025年までに3隻建造される。
【055型は巡洋艦】ペンタゴンは新型055型を駆逐艦ではなく巡洋艦に分類している。055型の排水量は13千トンと巡洋艦を名乗る規模だ。米タイコンデロガ級巡洋艦と同様に055型で空母を敵の航空攻撃から防御するのを第一にした多任務艦のようだ。
055型巡洋艦の兵装は130ミリ主砲一門、垂直発射管112門で対空、対地、対艦、対潜任務をこなし、ヘリコプター二機を搭載する。055型は2018年7月に二隻が同時進水し、現在6隻が建造中だ。PLANは少なくとも8隻を整備するとみられる。
【056型】小型艦建造も急ピッチで、056/A海防艦は50隻目が進水している。056型は旧型フリゲート艦や037型海防艦の後継艦となる多用途艦となる。056型は対潜戦、船団護衛、戦力示威、監視、対空、対艦、対潜をこなす。その派生型056Aでは艦首と艦尾にデプスソナーを搭載し対潜装備を充実している。
056型は2012年に建造開始し、中国の建造所各地で1.5か月で一隻完成している。さらにここにバングラデシュ、ナイジェリア向け輸出仕様艦が加わると64隻という大量建造となる。
【短い建造期間】054A型、056型、052D型と中国艦の建造ペースは早く、1ないし3年で完成している。
これだけの建造能力があり、さらに建造予定が詰まっていると、次の建造艦種に関心が集まる。潜水艦の可能性があるが小型揚陸艦もある。とくに戦車十数両を搭載可能なLSTもある。中国軍事力の実態が外からは見えにくいため不詳のままだ。目指す目標が何であれ、中国はすでにアジア太平洋で主要軍事力を整備したことは間違いない。■
この記事は以下を再構成したものです。
How to Tell How Powerful China's Navy Really Is
September 20, 2020 Topic: Security Region: Asia Blog Brand: The Reboot Tags: ChinaNavyMilitaryTechnologyWorldChinese NavyPLAN
How to Tell How Powerful China's Navy Really Is
Kyle Mizokami is a writer based in San Francisco who has appeared in The Diplomat, Foreign Policy, War is Boring and The Daily Beast. In 2009 he co-founded the defense and security blog Japan Security Watch.
Image: Reuters.
コメント
コメントを投稿
コメントをどうぞ。