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中国ミサイルからの防御体制を強化せよ。グアム、台湾、海兵隊のこれからの動きに注目。

 

イージスアショアの発射テスト 


「中国は弾道ミサイル攻撃で米国に大使大きく優勢だ」「地上配備巡航ミサイルも大きく優勢だ」


平洋地区の米軍基地が中国の弾道ミサイル大規模攻撃の脅威にさらされる中で、防御体制の整備が遅れているとインド太平洋軍司令官が中注意喚起している。


「中国は弾道ミサイルを米国に向け発射することで大きな優位性を発揮できる」とフィル・デイヴィドソン海軍大将がミサイル防衛推進連盟主催のオンライン討論会で発言した。「地上発射巡航ミサイルでも同様の優位性が中国にある。この攻撃力を考慮する必要がある」


米側の攻撃力増強よりもグアムにある大規模米軍基地の防御体制のほうが課題であり、米艦船、爆撃機、海兵隊の拠点としてグアムは長年重要な地位を占めている。


グアム防衛


「グアム防御だけでも数十億ドルの予算がかかる」と中国の攻撃手段に言及してデイヴィッドソン大将は発言。


弾道ミサイル、巡航ミサイルを食い止めるグアム防衛のか細い防衛線がをデイヴィッドソン大将が懸念し、くりかえしイージスアショアを同島に導入すべきと求めてきた。グアムにはTHAADが配備されているが北朝鮮をにらむ120度範囲でしか対応していない。「360度常時防御態勢が必要だ」とし、「突破不可能、無敵の防衛体制を構築するとは言っていない。実用に耐える抑止力がほしい」


同大将は現時点のグアム防御体制は不十分としながらも何年も待つつもりはない。「完璧対応のため完成が2035年2040年になるのでは困る。脅威は現実のものだ」としている。イージスアショアの17億ドル支出構想は以前から出ているが、同大将はグアムへの導入を2026年までに完了する提案を議会に出していた。


デイヴィッドソン大将は中国が「SAMによる万里の長城」を南シナ海に構築中と数年前に警告しており、同海域で中国の優位性に衰えの兆候はないとする。


デイヴィッドソンは「中国が地上発射方式の巡航ミサイルや通常弾頭ミサイルを大量に保有しており、さらに地上発射極超音速ミサイルの運用も始めれば域内全域をおさめる攻撃能力を備えることになる」とし、米国政府のみならず域内の同盟各国にも深刻な問題だとする。


米国はロシアとのINF条約脱退により新型攻撃ミサイルの開発が可能となり、従来の射程500キロ制約のない弾道ミサイル試作型のテストをすでに開始している。


デイヴィッドソン大将が求める太平洋地区の各基地の防衛策強化構想はペンタゴンの最大の優位性であり最大の弱点ともなる側面に光をあてることになる。つまり米海軍、海兵隊、空軍の数万名が地域内にちらばっていることだ。


こうした大型基地は中国精密兵器の射程内におさまっており、有事となれば数時間以内に中国精密攻撃の標的となるとデイヴィッドソン大将は懸念し、攻撃を受ければ米軍の対応にも深刻な影響が出る。


海兵隊、海軍の運用構想の変化


海兵隊は海軍とともに一部部隊を分散配備する案に取り組んでいる。これを率いるのが海兵隊総司令官デイヴィッド・バーガー大将だ。


バーガー大将は戦車部隊を全廃し、一部ヘリコプター飛行隊も解隊し、浮いた予算を精密火砲攻撃能力の整備に投じる沿岸地帯連隊に再編する構想を進めている。これは対空装備、また対艦装備品を統合した部隊を迅速展開する構想だ。海兵隊は海軍とともに軽量揚陸艦を30隻程度整備する構想を検討中で、供用中の揚陸用艦艇より相当小型のものとなる。


海兵隊ではF-35Bの燃料補給・装備再搭載に無人装備もテスト中で、遠隔操作で太平洋の激戦地区で運用する。今後は従来の米軍の海上、空中の支配力の退潮が予想される中で、迅速かつ予測不能な展開をめざす構想の一部となる。

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海軍では新型フリゲート艦建造に乗り出しており、今後は現行の沿海域戦闘艦より小さい海防艦の整備も検討する。


台湾向け武器売却  


米中両国が艦船航空機を南シナ海他に展開する中で域内に緊張が高まってきた。引火点となりそうなのが台湾だ。9月19日、中国は戦闘機爆撃機18機を台湾海峡に展開した。これはキース・クラッチ商務次官補が最高位の米高官でとして台湾に入り、李登輝元総統の告別式に参加したことへの対応だった。


米高官の訪台以外にも中国は米国の動きに神経をとがらせている。トランプ政権は新型兵装数億ドル相当を台湾へ売却するとし、従来は防御用に限定されていた以上の装備品売却に向かおうとしている。


検討中なのが空対地AGM-84Hミサイルで、F-16から発射し台湾海峡の中国艦船を攻撃したり、地上目標を撃破する。


トランプ政権はF-16の66機を80億ドルで台湾へ売却すると2019年に発表し、台湾向けでは史上最大規模の装備品販売となった。


その他リーパー無人機、HIMARSトラック搭載ロケット弾、ハープーン対艦ミサイルも売却する。


これに対し北京では国防部報道官Ren Guoqiangが9月19日の軍用機飛行を正当化し、「台湾海峡で進行中の事態に対応し国家主権と領土防御に必要で正当な行為だ」と述べた。


先月もアレックス・エイザー保健長官の訪台中に中国は台湾海峡中央部を超える飛行展開を実施していた。■


この記事は以下を再構成したものです。


PACOM Chief Warns Of Threat To Guam; China Presses Hard

By   PAUL MCLEARY

on September 18, 2020 at 3:22 PM




コメント

  1. >デイヴィッドソンは「中国が地上発射方式の巡航ミサイルや通常弾頭ミサイルを大量に保有しており、
    >さらに地上発射極超音速ミサイルの運用も始めれば域内全域をおさめる攻撃能力を備えることになる」
    >とし、米国政府のみならず域内の同盟各国にも深刻な問題だとする。

    中国が大量に保有する長射程の精密誘導兵器に対して、米軍はどう対応すればよいか?
    今のところ、実現可能な案は「分散配置」だけなんですよね・・・心もとない。
    もっとも、日本はその分散配置すら困難ですが。自衛隊拠点を増やすなんて言えば、大騒ぎでしょう。
    軽空母の開発は分散配備の一環でしょうが、本土が狙われたら、とても足りません。
    イージスアショア?高すぎる!中国が巡航ミサイルを500発撃ってきたら、イージスで500発撃ち返せるでしょうか?とてもムリでしょう。実際は1発に2発で対応するので1000発必要。ムリムリ。
    若干劣る性能の兵器を半分以下のコストで大量配備できる中国人に対して、どう対応すれば良いのか。
    あとはもう、同盟関係の拡大しか思いつきませんね。というか、最初からそれが唯一の答えか。
    日米豪印戦略対話とか、ファイブアイズ加入とか、日英共同開発とか、いろんな話がありますが。
    なんにせよ、身内が殴られら率先して殴り返す準備があると、宣言できるかどうかですなあ。

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