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初期型ホーネットを2030年代まで使いまわせ、米海兵隊の各種性能改修案

 2030年代以降の米海兵隊の戦術航空機材 (TACAIR) はロッキード・マーティンF-35B、C型ライトニングIIに統一される。現在はマクダネルダグラスAV-8BハリヤーIIおよびボーイングF/A-18AからD型ホーネットも海兵隊の近接航空支援(CAS)に投入されている。現行案ではハリヤーIIは2028年度、ホーネットは2030年度に廃止される。

 

海兵隊のホーネットはA型からD型まで1980年代の製造で旧式化が目立つものの全機が性能改修を受ける。各機退役まで10年近く残る中で、選抜した84機は最終年度まで供用対象となる。

 

ホーネットは空対空、空対地両面で海兵隊で最優秀機材となっているがさらに一部機材は10千時間までの稼働を可能とすべく保守管理が施される。並行して新装備も導入され、ライトニング部隊がフル稼働する2030年までのつなぎ機材として十分に機能させる。

 

非公式に「クラシック」ホーネットと呼ばれる第一世代F/A-18はすでに米海軍では大型化したF/A-18E/Fに交代している。海軍から一部機材が海兵隊に提供され、2030年までの供用を期待されている。

 

JAMIE HUNTER

米海兵隊のホーネットは最大7個飛行隊に最新性能改修の実施を目指す。

 

 

F/A-18A-D事業管理部門(PMA)が今後の計画を積極的に検討しており、稼働率向上や機材保存に加え耐用年数末期予定点検(PMI)の再検討も行っている。年二回にわたり検討会を開き、海兵隊の現有ホーネットで今後も供用可能な機体の特定に努めている。

 

海兵隊上層部からホーネット攻撃機部隊に関し、大胆な案が出ている。その中心が数次にわたる改修で、最終的に飛行隊7個分の最良状態のホーネットを確保する。全機にレイセオンAN/APG-79(v)4アクティブ電子スキャンアレイレーダー(AESA)を搭載する。

 

このレーダーは Block 2/3のF/A-18E/FスーパーホーネットならびにEA-18Gグラウラーに搭載されているAN/APG-79(v)1が原型だ。クラシックホーネットにAESAを搭載する構想は長年にわたりあったが、新型機体防御装備ならびに精密誘導兵器を搭載すれば、ホーネットはハイエンドミッションに耐える機体になる。

 

ホーネットの兵装システム士官(WSO)だったマイケル・ペイヴィス中佐がパタクセント海軍基地でF/A18A-D事業にかかわり、The War Zone取材にこう述べている。「海兵隊の航空戦力整備案は海兵隊F/A-18A-D各型の今後の基礎となります。2030年の退役とF-35への機種転換でも重要な構想です。移行期間中もホーネットは海兵隊機材として空対空、空対地で最も多く運用される機体であることにかわりありません。このため同機の維持が必要であり、国防戦略構想でも各機を十分な威力を維持し稼働可能に維持する必要があります」

USMC

米海兵隊のF-35機種転換計画図。

 

 

「A-D各型を運用中の各飛行隊を今後は混成編成にしていきます。F/A-18Cを7機、F/A-18Dの5機として最小限の支出で最大の効果を実現します。F/A-18の設計寿命は6千飛行時間でしたが、8千時間まで延長が完了しています。長時間飛行ずみ機体の点検結果から、1万時間までの飛行が可能と判明しています。ただしこの点検は非常に高額で時間がかかり、作業中は機材が使用できなくなります。点検済み機材はAN/APG-79(v)4レーダー、AN/ALQ-214(v)5・AN/ALR-67電子戦装備を搭載し、最少の出費で最高の性能を実現します。あくまでも機体保持費用を下げながら性能を最高水準にするのがねらいです」

 

新編成の混合飛行隊構想は現役で残る海兵隊のホーネット飛行隊7個でF/A-18の想定ミッションをすべてこなすのが狙いだ。「人員面の問題が解決されますし、今後はホーネットWSOの新規訓練は終了します。ただしホーネット稼働中はキャリアフィールドは維持し、複座型のみで可能な前方航空統制官(機内)や戦術航空統制ミッションの能力開発を進めます」「全部隊にこれを広げれば、WSOの活用が可能となります。混成部隊ならではの人材活用策となります」(ペイヴィス中佐)

 

最良の状況の機材を選ぶ

 

海兵隊ホーネット各飛行隊はこの数年、稼働率問題に苦しんできた。要求を満たす機材数の確保が大変だった。2018年度版の海兵隊航空戦力整備案では「海兵隊所属機材は現時点で飛行隊11予備飛行隊1の編成である。この数年は修理のため稼働機数の不足に悩まされている。そこで海兵隊総司令部では臨時措置として第一線飛行隊を10個編成とし、て稼働率を維持しつつ現時点の作戦要求にこたえる体制とする。今後は点検等が終了し復帰する機体が増えるので12個飛行隊体制が2017年度第三四半期に実現の見込み」とある。

 

海軍システムズ本部がホーネット部隊の摩耗度を調査した際に大きな支えとなったのが飛行時間予測ツールで2030年まで支援コストを最小限にしながら機体の利用度を最大にできるとわかった。「この分析で性能改修が可能な機材が把握できた」とペイヴィス中佐が説明。「最高の常態の機体を抽出し、最少の保守管理費用で最大の効果を実現した。また生産ロット別に区別し、一定のロット番号以降の機体を改修対象にし、それ以下は対象外とした。F/A-18Cではロット15が境目でD型はロット14だった」「機体を個別に点検すると総飛行時間がわかり、どこまでの寿命が残っているか疲労度で把握した」とし、中でも主翼付け根の疲労度が大きな要素で交換が必要なのかで所要時間が変わり、センターバレル交換プラス(CBR+)は大きな出費となる。

 

2019年度海兵隊航空戦力整備計画では「F/A-18供用期間管理事業((SLMP)はセンターバレル交換プラス(CBR+)と長時間飛行機材(HFH) 点検事業で構成する。CBR+でロット17以前の機材の供用期間を延長し、HFH点検ではF/A-18A-D各型で8千時間超を実現する。HFH、CBR+と並行して供用期間延長事業(SLEP)では点検整備に加え技術変更点提言によりその他F/A-18A-D機材の飛行時間を1万時間に延長する。海軍航空兵力整備事業では飛行時間8千超の機体整備も計画する」とある。

 

ペイヴィス中佐は「機体疲労度を調べ、飛行時間累計からどこまでの性能改修が可能か検討し、CBR実施の必要度を判断することでCBR予測を大幅に減らしています。合計5回分のCBRを回避できた事例もあります。これでごく小規模の疲労対策で機材を1万時間稼働させられます」と述べる。「整備拠点には8千時間超のHRH点検対象機材が大量に残っています。可能な限り早く第一線部隊に戻したいので現在の作業工数は最高レベルになっていますが、このままでは完了は2030年になります。9千時間点検もありますが、これは軽微な内容です。

 

JAMIE HUNTER

ホーネット混成飛行隊体制で海兵隊はホーネット完全退役までWSOのキャリアを維持できる。

 

 

現役飛行隊に加え、予備飛行隊一個がフォートワース海軍航空基地/供用予備隊基地(テキサス州)におかれる。VMFA-112「カウボイズ」は旧式F/A-18+機材から低飛行時間機体のロット10および11のF/A-18Cに機種転換中で、後者はボーイングによりC+仕様に改修中だ。このプロジェクトは30機を当初対象にしていたが19機に削減された。「C+プログラムでこれまで7機が納入済みです。12機分の改修作業が残っており、VMFA-112飛行隊を『用途最終日』まで支援していきます」とペイヴィスは述べる。

 

F/A-18C+改修では多機能情報分配システム-小規模ターミナルMultifunctional Information Distribution System-Low Volume Terminal (MIDS-LVT) のデジタル通信機能、海軍航空乗員共通射出座席 Naval Aircrew Common Ejection Seat (NACES) 、共用ヘルメット搭載目標照準システム Joint Helmet-Mounted Cueing System (JHMCS)、戦術航空機用移動地図表示機能Tactical Aircraft Moving Map Capabilities (TAMMAC)や新型フルカラーコックピット表示装置を搭載する。

 

新装備による性能改修

こうした装備品の個別搭載に加えソフトウェアの「手直し」を作戦運用飛行事業Operational Flight Programs (OFP)として連続実施する。ここはLink-16データリンク、Gen4ライトニングポッド、レーダー航法機能の高度化があり、航空管制上の規程に合致するようになる。

 

電子戦機能の高度化でも一部機材への搭載が始まっている。「ALE-67(v)3レーダー警報受信機[RWR]に加え、ALQ-165 ASPJ(機内搭載防御用ジャマー)にALQ-214(v)5を付けて搭載しており、作業は進行中」とPMA-265でレーダー電子戦装備の整備を統括するビシャー・マフティ中佐が説明してくれた。

 

あらたに承認され今後登場する装備品に自動地上衝突回避システムAutomatic Ground Collision Avoidance System (Auto-GCAS)があり、ペイヴィス中佐によれば搭載は「可及的速やかに」なるという。NAVWARと呼ばれる改修予算が認められ2022年度に事業開始となり、2023年度2024年度にかけ続き、GPSと時間計測機能を加えるとペイヴィス中佐は述べた。これはジャミングに強いGPSで、一定の作戦シナリオで応用される。

 

兵装面の性能向上ではAIM-9XブロックII、AIM-120D高性能中距離空対空ミサイル(AMRAAM)、AGR-20A高性能精密命中兵器システム Advanced Precision Kill Weapon System (APKWS)の搭載があり、後者はハイドラ70無誘導ロケットにレーザー誘導装置を付け精密誘導弾にしたものだ。新装備に加え新型アクティブ電子スキャンアレイ(AESA)レーダーを組み合わせるとホーネットの戦力は全く新しい水準になる。

 

AESAで戦闘能力が大きく引き上げられるだけでなく、可動部品が減ることで信頼性が高まる効果も期待できる。運用面での改善効果として探知能力が向上し探知範囲も広がり、巡航ミサイルのようなレーダー断面積が小さな標的の探知識別能力が向上するほか広い空域を迅速に走査できるのはAESAレーダーが機械式装置を使わないためだ。

 

ホーネットが搭載するAN/APG-73の換装を海兵隊は長年にわたり望んできた。レイセオンは当初2010年に当時APG-79(VX)の呼称だった同社製高性能レーダーに換装できるか検討した。しかし、案は2018年度海兵隊航空戦力整備案まで陽の目を見なかった。

 

RAYTHEON

レイセオン社員がAPG-79(v)4の装着適合性をチェックしている。

 

 

その他のレーダー候補にはノースロップのScalable Agile Beam Radar (SABR)があり、同社はホーネットへの搭載可能性チェックを2018年に行った。2019年1月にはレイセオンから発表があり、海兵隊より AN/APG-79(v)4の採用通知を受け、F/A-18C/D各機へ搭載が決まった。現時点の予算では同レーダー75基の調達が決まっている。海軍航空システムズ本部はレイセオンに30.2百万ドルの契約を交付し、2021年12月より9基を先行調達する。注目されるのはカナダも同型レーダーを自国のCF-18ホーネットの性能改修用に採用したことだ。

 

同レーダーの選択理由としてスーパーホーネットで搭載したAN/APG-79につながる装備品として費用対効果が優れ、ホーネットで搭載ずみのAN/APG-73用ソフトウェアとも互換性があることがあるとペイヴィス中佐は説明。スーパーホーネット、グラウラーで搭載のAPG-79(v)1 との互換性から新型レーダー換装の際のソフトウェア開発費用を抑える効果がある。「AESAによりサプライチェーンを整理できる」とマフティ中佐も述べている。「APG-79(v)1をスーパーホーネットに搭載し、(v)4は約90パーセントの共用性がある。今後用途廃止までの間のレーダー装備を十分維持できる」


JAMIE HUNTER

海兵隊はホーネットのコックピットディスプレイ改修の予算実現も期待している。

 

 

さらにその先にまだ予算化されていない改修作業もある。AN/ALR-67(v)5 RWRの改良がその一つだ。「コックピット内のディスプレイも旧式化しており整備が問題になっている。左右のデジタルディスプレイ表示装置、コックピット映像記録装置だ」とペイヴィス中佐は述べ、段階的改修の予定があるが予算化と計画化が必要という。

 

こうした案で初期型ホーネットは最強の戦力を発揮するようになる。F-35の配備案が先送りになる中、F/A-18が耐用年数を延長しながら性能改修を受けていけば海兵隊には頼りがいのある機材になる。

 

ただし海兵隊は既存ホーネットの型式名を変更する予定はない。むしろ、ペイヴィス中佐はF/A-18A-D フリートで各種の非公式名称が流布しているが、いずれも米海軍、海兵隊で正規名称と認識されていないと指摘する。「 F/A-18A-Dホーネットです。『レガシー』ではありません、『レジェンダリー』でも『クラシック』でもありません」という。■

 


この記事は以下を再構成したものです。


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